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Microbe Atlas · 細菌

Bartonella quintana

分類
G− 球桿菌 / Gram− coccobacilliBartonella
性状
Gram陰性 (G−)球桿菌 Coccobacilli
科目
Medical Microbiology
トピック
2/23: Pasteurella multocida, Francisella tularensis, Bartonella species5/1: Bacteria causing skin and wound infections (list) and their diagnosis
原因となる疾患
感染性心内膜炎細菌性血管腫症塹壕熱

🧠 全体像Bartonella henselaeがネコを介する人獣共通感染症であるのに対し、Bartonella quintanaヒト-ヒト間で完結する媒介動物感染症という点で決定的に異なる。リザーバーはヒト自身で、(body louse)——衛生状態の悪化した集団(戦場・貧困・ホームレス状態)で流行し、第一次世界大戦の塹壕で大流行したことから「」の名がついた。曝露歴は「がわく生活環境」であり、これがネコ引っかき傷というB. henselaeの曝露歴と対をなす。

微生物学的な特徴

B. henselaeと同じ属で、形態・培養特性(発育が遅い、fastidious、)も共通する。菌種を分けるのは生化学的性状よりも媒介動物とリザーバーの違いであり、この2軸で属内の鑑別を行う。

項目 B. quintana B. henselae
リザーバー ヒト ネコ
媒介動物 ネコノミ
典型的な患者背景 ホームレス状態・貧困・戦時下・ ネコの飼育・接触
特徴的な 5日周期の 特になし

病原性の仕組み

菌血症を起こしながら赤血球・血管内皮に接着・侵入して増殖する点は属共通の機序で、B. henselaeと同様に免疫不全者ではを起こしうる。B. quintanaに特徴的なのは、5日周期で発熱が再発する「という周期性で、これは菌が赤血球内に潜伏と再増殖を繰り返すサイクルを反映すると考えられている。

感染経路と疫学

  • の糞に含まれる菌が、によって生じた皮膚の傷から侵入する(の唾液・吸血そのものではなく、糞を掻き込むことで伝播する点はの起因菌Rickettsia prowazekiiと同じ様式)
  • 衛生状態の悪化(入浴・更衣が困難な環境)でが蔓延しやすく、ホームレス状態・難民キャンプ・刑務所・戦時下で流行がみられる
  • 慢性アルコール使用も独立した危険因子として知られる

起こす疾患

疾患 特徴
(五日熱) 発熱(しばしば5日周期で再発)、頭痛、感、脛骨などの激しい疼痛が特徴的
慢性菌血症 無症候性〜軽症のまま持続することもある
ホームレス状態の患者における血液の代表的な原因菌の1つ
免疫不全者(進行したHIV感染症など)——B. henselaeと共通の病態

診断

  • 標準の血液培養では発育がきわめて遅く、には陰性となりやすい。を疑う場合は診断に3週間程度の、またはBartonella血清学・弁組織PCRの追加が必要になる
  • 血清学(IFA)が診断の中心。B. henselaeとのがあるため、菌種の確定にはPCRを要することがある

治療と予防

まとめ

  • B. quintanaB. henselaeと同属だが、ヒトを唯一のリザーバーとしが媒介する点が決定的に異なる——曝露歴は「ネコ」ではなく「がわく生活環境」。
  • は5日周期の再発熱・痛が特徴で、第一次世界大戦の塹壕での大流行に由来する病名。
  • ホームレス状態の患者におけるの代表的な原因菌であり、免疫不全者ではも起こしうる。
  • 診断は・血清学・PCRの組み合わせで行い、治療はドキシサイクリンを軸とする。
  • 予防はの駆除と衛生環境の改善が中心で、ワクチンは存在しない。