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Drug Atlas · C3 Antiparasitics / 抗寄生虫薬 · 必修

ピレトリン

pyrethrin

分類
Antiparasitics / 抗寄生虫薬
科目
PharmacologyDermatology
トピック
C3: Antiprotozoal and antihelminthic drugs2-15: Pediculosis
承認適応
シラミ症
副作用
灼熱痛掻痒呼吸困難

🧠 全体像の花から抽出される天然のピレスロイドで、における1%と並ぶである。単独では速やかに分解されて効果が乏しいため、必ずという阻害薬と配合される。「天然由来」と「合成の」は同じ標的で作用機序を共有するきょうだいのような関係にあり、への耐性はにも及びうるというの理解が実地では重要になる。

薬効群の中での位置づけ

外用殺虫薬()は「天然か合成か」「単剤で効くか」で整理すると理解しやすい。

薬剤 由来 配合の要否 承認対象 位置づけ
天然(抽出物) PBOとの配合が必須 第一選択の一角
合成ピレスロイド 単剤で安定 (5%)・(1%) にも使える/処方第一選択
系殺虫薬 単剤 (処方) 耐性・時の代替、あり
由来 単剤 (処方) 耐性地域での代替、単回塗布で足りることが多い

「天然由来だから安全・効果が持続する」わけではない。 は光や酸素に不安定で、皮膚上でも速やかに分解される。効果を保つにはPBOで代謝を阻害する配合が前提であり、単剤製剤は存在しない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyrethrins'>ピレトリン</span>が節足動物の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='voltage-gated Na+ channel'>電位依存性Na⁺チャネル</span>に結合"] --> B["チャネルの不活性化を遅延させ<br>開いたまま固定する"]
    B --> C["Na⁺流入が持続し脱分極が反復"]
    C --> D["神経・筋の異常興奮→麻痺→虫体の死滅"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyrethrins'>ピレトリン</span>単独は<br>虫体のミクロソーム酸化酵素(P450)・<br>エステラーゼで急速に分解"] --> F["有効濃度が保てず<br>殺虫効果が不十分"]
    G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PBO'>ピペロニルブトキシド</span>が<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450, CYP'>シトクロムP450</span>酵素を阻害"] --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyrethrins'>ピレトリン</span>の分解を遅らせ<br>殺虫効果を増強(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synergism'>相乗効果</span>)"]

💡 PBOはそれ自体に殺虫作用がほとんどない「効果を長持ちさせる係」である。 単独では虫体の解毒酵素によってすぐに分解されてしまうため、PBOで代謝を阻害して有効濃度を維持する。この剤配合が無ければ、天然は実用に耐えない。

適応

領域 使いどころ
1%と並ぶの第一選択。が不完全なため反復塗布が前提1
などの患部に限局して使用する第一選択の一つ

用法・用量

  • 乾いた頭髪または患部へ十分量を塗布し、10分間だけ放置してから微温湯でよく泡立てて洗い流す2
  • 生きた虫体が残っていれば、殻に残る虫卵からのに備えて7〜10日後にする2
  • 洗浄後は目の細かい用ので死虫・卵殻を丁寧に除去する
  • 家族など者を同時期に治療する

禁忌・注意

  • ブタクサ(キク科)アレルギーがある患者では、呼吸困難や喘息発作を誘発しうるため使用前にへ相談する2もキク科でありがありうる
  • 2歳未満の小児ではの判断なしに自己判断で使用しない2
  • 目・・口腔・腟粘膜、まつ毛・毛の虫卵には使用しない
  • ⚠️ など合成ピレスロイドへの地域耐性は、同じNa⁺チャネルを標的とするにも及びうる。 を繰り返す場合はを疑い、機序の異なるへの変更を検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 塗布部位の・刺激感、頭皮の掻痒、軽度の紅斑
注意 眼刺激(誤って入った場合)
重篤・まれ ブタクサアレルギー患者での呼吸困難・喘息様発作

まとめ

  • 由来の天然ピレスロイドで、を開いたまま固定して虫体を麻痺・死滅させる点はと同じ機序を共有する。
  • 単独では急速に分解されるため、代謝を阻害するとの配合が必須であり、単剤製剤は存在しない。
  • で1%と並ぶの第一選択。10分間の短時間塗布で足りるが、が不完全なため7〜10日後のが前提になる。
  • 同じNa⁺チャネル標的であるため、合成ピレスロイド()への地域耐性はにも及びうるに注意する。
  • ブタクサアレルギー患者では呼吸困難・喘息発作の誘発に注意し、2歳未満では自己判断での使用を避ける。

出典

  1. 1.Head Lice(American Academy of Pediatrics・2022)ピレトリン(ピペロニルブトキシド配合)が1%ペルメトリンと並ぶ頭ジラミ症の第一選択であり、処方箋不要で市販されていることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.RID Lice Killing- piperonyl butoxide and pyrethrum extract shampoo(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2023)有効成分がピペロニルブトキシド4%とピレトリン0.33%(除虫菊抽出物換算)であること、乾いた頭髪に10分間だけ塗布し洗い流すこと、7〜10日後に再治療すること、2歳未満は医師相談を要すること、ブタクサアレルギーで呼吸困難・喘息発作の懸念があることを確認した閲覧 2026-08-10