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Drug Atlas · C3 Antiparasitics / 抗寄生虫薬 · 必修

スピノサド

spinosad

分類
Antiparasitics / 抗寄生虫薬
科目
PharmacologyDermatology
トピック
C3: Antiprotozoal and antihelminthic drugs2-14: Scabies2-15: Pediculosis
承認適応
シラミ症疥癬
副作用
紅斑灼熱痛

🧠 全体像は土壌 Saccharopolyspora spinosa の発酵代謝物に由来する殺虫薬で、農薬としての実績を経て治療薬として転用された。と同じNa⁺チャネル標的の薬剤とはまったく異なる機序(の異常活性化)で虫体を殺すため、への耐性とはに効果を発揮できるのが最大の強みである。では1%よりも高い率を示しており、「耐性地域の代替薬」という位置づけを裏付ける臨床データを持つ数少ない外用殺虫薬である。

薬効群の中での位置づけ

外部寄生虫症の外用薬は標的分子で系統が分かれ、系統が違えばを回避できる。

薬剤 標的 耐性への影響 特徴
第一選択、安価だが地域耐性が広がっている
影響を受けない 処方薬。耐性地域・例の代替、が高く単回塗布で足りることが多い
阻害 影響を受けない 処方薬。可燃性の取り扱い注意が必要

標的分子がNa⁺チャネルから外れているという一点が、ピレスロイド耐性地域でが選ばれる理由のすべてである。 機序を共有しないため、で効かなかった集団にもそのまま有効性が期待できる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='spinosad'>スピノサド</span>が節足動物の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='nicotinic acetylcholine receptor (nAChR)'>ニコチン性アセチルコリン受容体</span>に結合"] --> B["天然リガンド(アセチルコリン)とは<br>別の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='allosteric site'>アロステリック部位</span>に作用"]
    B --> C["受容体を異常に持続活性化させる"]
    C --> D["神経の過剰興奮・振戦・麻痺"]
    D --> E["虫体の死滅"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mammal'>哺乳類</span>の同受容体<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Subtype'>サブタイプ</span>への<br>親和性が低い"] --> G["高い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='selective toxicity'>選択毒性</span>"]

💡 同じ「Na⁺チャネル以外」を狙う薬でも、阻害)とは標的そのものが異なる。 は受容体自体を叩き続けて興奮させ続けるのに対し、は分解酵素を止めてアセチルコリンを蓄積させる。結果として神経が過剰興奮する点は似ていても、は別物である。

適応

領域 使いどころ
生後6か月以上に承認。ピレスロイド耐性・例の代替として選ばれることが多い12
4歳以上に承認。不耐・不応例の選択肢となりうる2

用法・用量

  • :乾いた頭皮・頭髪に十分量を塗布し、10分間放置してから温水で洗い流す。7日後も生きた虫体を確認した場合に限りする2
  • :頸部から足底まで全身へ塗布し、乾燥に10分ほど要した後、最低6時間は皮膚上に残してから入浴する。頭髪が薄い患者では頭皮・生え際・こめかみ・前額にも塗布範囲を広げる2
  • では、14日後の率が群84.6%・86.7%に対し1%群44.9%・42.9%と有意に高かった2

禁忌・注意

  • 添付文書上の禁忌は特にない2
  • ベンジルアルコールを含有するため、生後6か月未満の乳児では全身吸収増加の懸念から推奨されない2
  • 眼・粘膜への接触を避ける
  • ⚠️ 系への耐性の有無にかかわらず有効という前提で選ばれる薬剤である。 ただし価格・処方の必要性から、多くのガイドラインでは薬が無効・不耐だった場合の代替に位置づけられる

副作用

頻度 内容
高頻度 塗布部位の紅斑、眼周囲の発赤(頭部塗布時)
注意 塗布部位の・刺激感、乾燥肌(治療時)
重篤・まれ 過敏反応

まとめ

  • 由来の殺虫薬で、を異常に持続活性化させて虫体を麻痺・死滅させる。Na⁺チャネルを標的とするとは機序を共有しない。
  • この標的の違いにより、ピレスロイド耐性地域でも効果が期待でき、では1%より高い率を示した。
  • (生後6か月以上)と(4歳以上)の両方に承認されている処方薬で、では全身塗布後最低6時間の接触時間が必要。
  • 添付文書上の明確な禁忌はないが、ベンジルアルコール含有のため生後6か月未満の乳児では推奨されない。
  • 実地では、価格や処方の必要性からが無効・不耐だった場合の代替として使われることが多い。

出典

  1. 1.Head Lice(American Academy of Pediatrics・2022)スピノサドがピレスロイド耐性・治療失敗例で検討される頭ジラミ症治療薬の一つであり、処方箋が必要であることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.NATROBA- spinosad suspension(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2021)頭ジラミ症(生後6か月以上)・疥癬(4歳以上)に承認されていること、頭ジラミ症では乾いた頭皮・頭髪に10分間塗布して洗い流し7日後も生きた虫体がいる場合のみ再治療すること、疥癬では頸部から足底まで塗布し最低6時間置いてから入浴すること、禁忌が特にないこと、Clinical Studies欄に記載された頭ジラミ症を対象とする2件の無作為化・観察者盲検・実薬対照試験で最終治療14日後の駆虫率がスピノサド群84.6%・86.7%、1%ペルメトリン群44.9%・42.9%であったことを確認した閲覧 2026-08-10