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Drug Atlas · C9 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

セフェピム

cefepime

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
マキシピーム
商品名(EU)
Maxipime
科目
Pharmacology
トピック
C9: Cephalosporins
標的微生物
Pseudomonas aeruginosaStaphylococcus aureusStreptococcus pneumoniaeEscherichia coliKlebsiella pneumoniaeEnterobacter cloacae
副作用
痙攣意識障害皮疹下痢
監視検査値
クレアチニン
自然耐性の微生物
Enterococcus faecalisEnterococcus faeciumListeria monocytogenes
対象疾患
院内肺炎化膿性関節炎(敗血症性関節炎)急性腎盂腎炎・腎膿瘍血液・腫瘍救急(発熱性好中球減少症・腫瘍崩壊症候群・上大静脈症候群)好中球減少性腸炎人工呼吸器関連肺炎尿路感染症腹膜炎・消化管穿孔
原因となる疾患
クロストリディオイデス・ディフィシル感染症バンコマイシン注入反応

🧠 全体像:は第4世代として、世代が上がるほどグラム陰性へ寄っていく流れをここで一度反転させる薬——緑膿菌を含む広いグラム陰性活性と、グラム陽性活性の回復を両立させる。この「両立」の代償は毒性の質の変化で、ペニシリン共通の痙攣リスクが腎機能低下時の蓄積による神経毒性という形で強く出る。

薬効群の中での位置づけ

第3世代のセフタジジムが緑膿菌に活性を持つ代わりにグラム陽性をほぼ捨てたのに対し、は両方を持つという点で世代のを一部解消している。第5世代のがさらにまで踏み込むのとは対照的に、のグラム陽性活性はMSSA・肺炎球菌レベルにとどまり緑膿菌へ資源を割いている——「グラム陽性の回復」は世代が進むほど強まる流れの折り返し地点にがいる。

機序

セファロスポリン共通の阻害(の項を参照)。💡 は構造を持つ。 分子内に正負両方の電荷を持つことで緑膿菌を含むグラム陰性菌のを速く通過でき、かつAmpC型βラクタマーゼの誘導・分解にも比較的安定という利点がある。

薬物動態

項目 値・特徴
静注・筋注
分布 髄液へも良好に移行
代謝 ほとんど受けない
排泄 が主体(未変化体)。腎機能低下で蓄積しやすい
半減期 約2時間(腎機能正常時)

適応

領域 使いどころ
血液・腫瘍 血液・(・・)のうちのの中核
腎盂腎炎 緑膿菌を想定した・
腹腔内 腹膜炎・消化管穿孔(嫌気性菌カバーにはメトロニダゾール併用)
泌尿器 尿路感染症
呼吸器 ・

用法・用量

静注。1日2〜3回に分割し、重症度・腎機能で用量を調整する。⚠️ 腎機能低下例では減量・延長が必須。 60 mL/分以下では添付文書上もが明記されている1。実際の用量は適応・体重・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

flowchart TD
    A["腎機能低下または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='overdose'>過量投与</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cefepime'>セフェピム</span>が体内に蓄積"]
    B --> C["中枢神経系で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gamma-aminobutyric acid'>GABA</span>-A受容体拮抗作用が増強"]
    C --> D["脳症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='confusion'>錯乱</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myoclonus'>ミオクローヌス</span>"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nonconvulsive status epilepticus (NCSE)'>非痙攣性てんかん重積</span><br>(けいれんを伴わないこともある)"]
  • 禁忌:への過敏症
  • ⚠️ 腎機能に応じた減量を怠ると神経毒性が出る。 高齢者・腎機能低下患者で意識障害・・として現れることがあり、「感染による意識障害の悪化」と誤認されやすい点に注意。適切なを行っていても神経毒性が生じた例が一部報告されているため腎機能正常例でも除外はできない1
  • ⚠️ ACORN試験(米国の単施設、急性感染症の成人2,511例)で、と比較し群の方がせん妄・昏睡などの有害事象が有意に多かった2。のには有意差がなかった
  • Enterococcus・Listeriaには無効(セファロスポリン共通)。にも無効
  • 腎機能を投与前・投与中に確認する(クレアチニン)

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢、注射部位反応
注意 皮疹、意識障害(腎機能低下例)
重篤・まれ 痙攣・(腎機能低下・)、アナフィラキシー、

まとめ

  • 第4世代。緑膿菌を含む広いグラム陰性活性と、グラム陽性活性(MSSA・肺炎球菌)の両立が最大の特徴。
  • のの中核薬。
  • ⚠️ 腎機能低下・で蓄積し、脳症・・を起こす。 腎機能に応じた減量が必須。
  • Enterococcus・Listeria・には無効。
  • 第3世代のセフタジジム(緑膿菌特化・グラム陽性を犠牲)との対比で「両立型」の位置づけが際立つ。

出典

  1. 1.CEFEPIME for Injection, USP Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2021)重篤な神経系有害事象として、意識障害を伴う脳症(錯乱・幻覚・昏迷・昏睡)、失語、ミオクローヌス、痙攣、非痙攣性てんかん重積が生命を脅かす、または致死的な形で報告されている。大多数は腎機能障害があるにもかかわらず適切な用量調整を受けなかった患者に生じたが、腎機能に応じた適切な用量調整を受けていたにもかかわらず神経毒性が生じた例も一部ある。クレアチニンクリアランス60mL/分以下の患者では用量調整が必要と明記されている。閲覧 2026-08-27
  2. 2.Cefepime vs Piperacillin-Tazobactam in Adults Hospitalized With Acute Infection: The ACORN Randomized Clinical Trial(JAMA・2023)米国の1施設で救急部・内科ICUに入院した急性感染症の成人2,511例を対象にセフェピムとピペラシリン/タゾバクタムを比較したランダム化比較試験で、14日以内にせん妄または昏睡を呈した患者はセフェピム群252例(20.8%)、ピペラシリン/タゾバクタム群225例(17.3%)(群間差3.4ポイント、95%CI 0.3〜6.6)であり、せん妄・昏睡のない日数の平均もセフェピム群11.9日 対 ピペラシリン/タゾバクタム群12.2日(オッズ比0.79、95%CI 0.65〜0.95)とセフェピム群で有意に少なかった。急性腎障害の発生率(ステージ3)には両群間で有意差はなかった(7.0% 対 7.5%)。閲覧 2026-08-27