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Symptoms · Published

意識障害

Impaired consciousness

臓器系
全身
科目
Neurology
トピック
神経内科 G1-07:意識障害の分類と鑑別診断神経学 G1-12:外傷性頭蓋内出血
関連疾患
Waterhouse-Friderichsen症候群シアン化物中毒ライ症候群悪性症候群一酸化炭素中毒鉛中毒可逆性後頭葉白質脳症急性骨髄性白血病急性腎障害急性胆管炎急性妊娠脂肪肝緊張病血栓性血小板減少性紫斑病抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)小児虐待・非事故性外傷消化管出血(上部・下部)心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)先天代謝異常症単純ヘルペスウイルス感染症胆石症中枢神経系腫瘍(成人・小児)腸チフス腸重積症糖尿病性ケトアシドーシス・高血糖高浸透圧症候群尿崩症脳梗塞脳卒中脳内出血(非外傷性)肺血栓塞栓症麻疹
起因薬
アスパルトインスリンイソファン(NPH)インスリンエタノールグラルギンインスリンセフェピムデグルデクインスリンリスプロインスリンレギュラーインスリン
スコア
BISAPスコアBurch-WartofskyスコアCharcot三徴CURB-65Hunt and Hess分類NIHSSqSOFAWFNS分類グラスゴー昏睡尺度肺炎重症度指数

🧠 全体像:意識障害は一つの現象ではなく、独立した2つの軸で崩れる。(刺激にどれだけ反応して目を開けるか)と、認知内容していても状況を正しくできているか)である。傾眠→→昏睡は前者の軸が段階的に低下する連続体であり、は後者の軸の異常で、が保たれたまま起こりうる。この2軸を混同すると、は保たれているのに指示が入らない患者や、逆にしているのに反応がない患者を正しく評価できない。危険な意識障害を見逃さないためには、・瞳孔所見・随伴するの有無を必ず確認する。

覚醒度の軸:傾眠から昏睡への連続体

は「どれだけ強い刺激で、どこまで覚醒するか」で段階づける。

段階 定義
清明 刺激なしで正常に覚醒し、周囲を認識できる
傾眠 放置すると眠るが、呼びかけなど軽い刺激で完全に覚醒する
呼びかけでは不十分で、痛み刺激でようやく・反応するが、すぐ元に戻る
昏睡 あらゆる刺激に・反応せず、目的的な運動がみられない

💡 していること=意識清明ではない。 (旧)は睡眠・覚醒周期が保たれするが、周囲への目的的な反応(気づき)がない状態であり、覚醒と気づきは別の評価軸として扱う。反射的な運動を目的的反応と誤認しないよう、時間帯を変えて反復評価する。

認知内容の軸

が保たれていても、・注意・思考の内容が崩れることがある。この軸の異常はが扱う。⚠️ の軸(本稿)と認知内容の軸は独立しており、「は保たれているのにしている」患者と、「そのものが低下している」患者を混同すると、原因検索の方向を誤る。

定量評価:JCS・GCS

な形容詞ではなく、再現性のある尺度で記録する。

項目 最良反応の範囲 点数
E( 自発的に〜刺激してもせず 1〜4
V(言語) なし 1〜5
M(運動) 命令に従う〜・反応なし 1〜6

⭐ GCS 8以下は気道が保護できない深い昏睡とみなし、気道確保を検討する目安として広く使われる。JCSとGCSは採点のが異なり単純な換算式はないため、経過を追うときはどちらか一方の尺度で統一して記録する。

原因の分類:AIUEOTIPS

代謝性・・構造性の原因を見落とさないよう、頭文字で系統的に検索する。

頭文字 カテゴリ 代表例
A Alcohol・中毒 アルコール、などの外因性毒物
I Insulin 低血糖、・高血糖症候群
U Uremia による
E Encephalopathy・Electrolyte・Endocrine 肝性脳症、SIADHなどによる低Na血症、甲状腺・副腎機能異常
O Oxygen・Opiate 低酸素血症、、オピオイド過量
T Trauma・Temperature を含む)、低体温・
I Infection 髄膜炎・脳炎、などの重症
P Psychiatric・Poisoning 精神疾患による様状態、処方薬・違法(Aと重複しうる)
S Stroke・Seizure・Space-occupying

⚠️ 危険な意識障害の見分け方

原因検索の前に、まず指先血糖を測定する。 低血糖は数分で完全に可逆な意識障害の原因でありながら、など局所神経徴候を伴い脳卒中に酷似することがある()。治療可能な低血糖・低酸素・低血圧を最優先で除外してから、系統的な原因検索に進む。

見逃すと不可逆的な転帰につながる意識障害には、共通する3つのがある。

示唆する病態 対応
急性発症(分〜時間単位) 、中毒 を含む緊急画像評価を急ぐ
消失 による へ緊急相談、頭蓋内圧管理
などの随伴 病変(脳卒中、出血、腫瘍) 代謝性・の原因だけで説明しない
発熱・ 髄膜炎・脳炎 血液培養後に経験的抗菌薬、を検討
徐脈・・不規則呼吸( 頭蓋内圧亢進の切迫 過度のを避けへ緊急相談

外傷後に一度意識が持ち直した後、頭痛・嘔吐とともに意識が再び低下し、同側のと対側のが進行する経過はの古典像であり、・瞳孔・の3所見がそろうことの重要性を象徴する。この経過をとらない例も少なくないため、「があったかどうか」だけで安心しない。

⚠️ 代謝性・の意識障害は通常左右対称に進行する。片側性の所見()を伴う意識障害は、代謝性の原因だけで説明せず構造的病変を積極的に疑う。

評価の進め方

flowchart TD
    A["意識障害に気づく"] --> B["気道・呼吸・循環を確保し<br>指先血糖を測定"]
    B --> C["JCS・GCSで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='level of consciousness'>意識レベル</span>を定量化"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Onset'>発症様式</span>・随伴症状・薬剤歴を聴取"]
    D --> E{"瞳孔異常・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hemiplegia'>片麻痺</span>など<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='focal neurologic sign'>局在神経徴候</span>があるか"}
    E -->|"あり"| F["脳卒中・出血・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mass lesion'>占拠性病変</span>を想定し<br>緊急頭部画像検査"]
    E -->|"なし"| G["AIUEO<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transjugular intrahepatic portosystemic shunt'>TIPS</span>に沿って<br>代謝性・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='toxic'>中毒性</span>・感染性の原因を検索"]
    F --> H["原因に応じた治療を開始"]
    G --> H
    H --> I["JCS・GCSで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serial'>経時的</span>に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='level of consciousness'>意識レベル</span>を追跡する"]

まとめ

  • 意識障害は(傾眠→→昏睡の連続体)と認知内容()という独立した2軸で崩れる。
  • だけでは意識清明と判断できない。覚醒と気づき(awareness)は別の評価軸である。
  • JCSは覚醒するかどうかを起点に段階分けし、GCSはE・V・Mを独立採点する。GCS 8以下は気道確保を検討する目安になる。
  • 原因検索はAIUEOで系統的に進めるが、その前に必ず指先血糖を測定する。
  • 急性発症、瞳孔異常、の随伴は危険な意識障害を示す3大所見であり、代謝性の原因だけで説明しない。
  • 最重症段階である昏睡推定や判定との異同は、そちらの稿で扱う。