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FOURスコア

FOUR score

別名
Full Outline of UnResponsiveness
臓器系
神経
科目
NeurologyInternal Medicine
トピック
神経内科 G1-08:意識消失の病因と無反応患者の診察内科学 L-81:意識障害の内科的原因
構成:症状
意識障害

🧠 全体像:FOURスコア(Full Outline of UnResponsiveness)は、⚠️ の2つの欠点——挿管患者で言語スコアが取れないことと、を検査できないこと——を埋めるために作られた意識評価スコアである1。⭐ 眼反応・・・呼吸の4領域を各0〜4点で採点し、合計0〜16点。言語を捨ててと呼吸を入れたという設計そのものが主張であり、⭐ その結果、が3点で頭打ちになる患者をさらに層別でき、を認識でき、の段階を区別できる1。⚠️ ただし「常に優れている」わけではない——の転帰予測では両者は同等で2、遷延性意識障害のベッドサイド行動評価としては推奨されていない3。

目的と適用場面

内容
目的 の定量化。とくに言語が取れない患者との患者の層別化
対象 の意識障害患者。挿管中・中でもそのまま採点できる
使う場面 挿管例の追跡、が3点の患者の内訳を見る、の進行を追う、の認識
評価しないもの 意識障害の原因、の全体像、行動に現れない意識

⭐ を置き換えるものではなく、併用するものと考える。 汎用の共通言語としてはが依然として基準であり、FOURスコアが働くのは挿管中・・ヘルニアの進行を追うという限定された場面である。

構成要素と配点

⚠️ 本スコアの採点票は著作権のある資料であり、各点の判定文言はここに転載しない。 以下は4領域が何を見ているかの要約である。

領域 見ているもの 端の目安
眼反応(FOUR-E) と、命令に応じた眼球運動 ⭐ 最高点には視覚性を要する。 一見にみえる患者に皮質機能が残っていることの指標になる4
(FOUR-M) 命令へのと、疼痛刺激に対する反応 ⚠️ 最低点は「疼痛刺激への」と「」を並べている4
(FOUR-B) の残存 ⭐ はしばしば保たれるため、投与中・下でも評価できる4
呼吸(FOUR-R) 自発呼吸の型。挿管例ではの設定回数を上回る ⭐ の機能をみる項目4
  • 各領域は0〜4点、合計は0〜16点である1。
  • ⭐ 言語()を一切見ない。 これが挿管例でそのまま採点できる理由であり、逆に言語を評価軸に含めたい場面では情報が減るということでもある。
  • ⭐ と呼吸が入っていることが、の内訳を開く鍵である。で3点の患者の大半は、脳幹機能が温存されているためFOURスコアでは0点を上回り、8点までの値に分かれた4。

💡 なぜ「呼吸」が意識のスコアに入るのか。 呼吸はの機能を反映し、しかも挿管中でも「設定回数を上回るがあるか」という形で観察できる4。⭐ 挿管・鎮静という「評価を妨げる条件」のもとでも情報が残る項目を選んだ点に、このスコアのが表れている。

⭐ 合計点の扱い方についても、2つのスコアは立場が違う。 FOURスコアの考案者は合計点をの独立した指標として用いることを支持しているのに対し、の考案者は合計点の使用を推奨していない4。⚠️ それでもE・M・B・Rを個別に記録する意味は失われない——同じ合計点でも、が落ちているのか運動が落ちているのかで次にすることが違う。

解釈とカットオフ

⚠️ の13〜15/9〜12/3〜8のような、確立した重症度3区分は本スコアには無い。 本スコアの価値は総点の帯ではなく、低得点域の分解能と死亡予測にある。

場面 分かっていること
全般 死亡予測のは本スコアのほうが高く、とくに内死亡の予測では有意に高い4
全般 「不良」なの予測精度は両者で同等4
3点の大半が本スコアでは0点を上回り8点までに分かれる(反応性が高い)4
最低点 の確率は本スコア最低点のほうが最低点より高い1
⭐ 最低点の 3点の105例では15%(16例)が生存したのに対し、本スコア0点の55例では生存が1例(1.8%)にとどまった4
⚠️ ⚠️ ・不良転帰の予測はいずれも両者で同等(20論文2,083例の)2

⭐ 「FOURのほうが優れている」を抜きで言わない。 優越が確認されているのは主にでの死亡予測であり、ではももと差がなく、原著者らは「状況に応じてどちらを使ってもよい」としている2。

は重み付きκ=0.82で、(同じく0.82)と同等である1。⭐ 項目が増えても採点のばらつきは増えていないことが、実用に耐える根拠になっている。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 遷延性意識障害のベッドサイド行動評価には使わない。 意識障害の評価尺度13種を比較した系統的レビューは、本スコアが内的整合性とについては実質的な根拠を示しながらも、内容の不足・標準化の欠如・の未証明を理由に「現時点で推奨されない」側に分類した3。⭐ とを分ける仕事は昏睡回復スケール改訂版が担う。 本スコアと役割が重ならない。

⚠️ 鎮静下での性能は、良い方向にも悪い方向にも確立していない。 理屈のうえでは、がしばしば保たれるためFOUR-Bは投与中・下でも評価でき、合計点はより鎮静の影響を受けにくい可能性がある4。⚠️ ところがの系統的レビューが採用した研究の多くは、挿管患者の割合が高いにもかかわらず鎮静患者を組み入れていなかったため、FOUR-Bの予測価値はむしろ過小評価されている可能性があると同レビューは述べている4。💡 「鎮静に強いはずだが、鎮静下で検証されていない」というねじれた状態であり、鎮静の内容と深度を記録せずに点数だけを追ってよいという意味ではない。

⚠️ 採用された研究の質は高くない。 同レビューは20件すべてを poor〜moderate と評価し、十分な検出力をもつ追加研究が必要としている4。

⚠️ の判定基準ではない。 4領域すべてが0点でも、それは採点上の最低点であっての診断ではない。判定には別の手順(の全消失の確認、無呼吸テスト、の除外など)が要る。

⚠️ 共通言語としての置き換えを急がない。 は他のスコアの構成要素(の中枢神経サブスコアなど)としても組み込まれており、施設内の記録・引き継ぎがそれを前提に動いている。併用の判断は、どちらが「良い」かではなく、その場面で情報が失われるのはどちらかで決める。

まとめ

  • FOURスコアは、挿管例で言語が取れないこととを評価できないことという⚠️ の2つの弱点を埋めるために作られた。
  • ⭐ 眼反応・・・呼吸の4領域を各0〜4点、合計0〜16点で採点する。言語は一切見ない。
  • と呼吸が入るため、3点の患者の大半が0点を上回って8点までに分かれ、を認識でき、ヘルニアの段階を区別できる。⭐ 3点の105例では15%が生存したのに対し、本スコア0点の55例では1.8%しか生存しなかった。
  • は重み付きκ=0.82でと同等。では死亡予測(とくに死亡)で優れる一方、の予測は同等。
  • ⚠️ では、・不良転帰いずれの予測もと同等である(2,083例の)。「常に優れている」と言わない。
  • ⚠️ 遷延性意識障害のベッドサイド行動評価としては推奨されていない(内容の不足)。その役割は昏睡回復スケール改訂版が担う。
  • ⚠️ 鎮静下での性能はねじれている。 が保たれるためFOUR-Bは・筋弛緩下でも評価でき鎮静に強いはずだが、検証研究の多くが鎮静患者を組み入れておらず、その予測価値はむしろ過小評価されている可能性がある。

出典

  1. 1.Validation of a new coma scale: The FOUR score(Annals of Neurology・2005)本スコアの原著である。Europe PMCの書誌レコードに収録された抄録で、グラスゴー昏睡尺度の欠点が「挿管患者で言語スコアを評価できないこと」と「脳幹反射を検査できないこと」であると述べられていること、本スコアが眼・運動・脳幹・呼吸の4要素からなり各要素の最高点が4点であること、集中治療室120例を前向きに検討し神経科看護師・神経内科レジデント・神経集中治療医が採点したこと、評価者間信頼性が重み付きκ=0.82と優れておりグラスゴー昏睡尺度でも同じく0.82であったこと、グラスゴー昏睡尺度が最低点の患者を本スコアではさらに区別できたこと、本スコアが脳幹反射・呼吸パターンを評価でき閉じ込め症候群を認識しヘルニアの段階を区別できる点でグラスゴー昏睡尺度より優れていると結論していること、院内死亡の確率が本スコア最低点のほうがグラスゴー昏睡尺度最低点より高かったことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-03
  2. 2.Comparison of Glasgow Coma Scale and Full Outline of UnResponsiveness score for prediction of in-hospital mortality in traumatic brain injury patients: a systematic review and meta-analysis(European Journal of Trauma and Emergency Surgery・2023)外傷性脳損傷患者で両スコアを比較した20論文2,083例のメタアナリシスである。Europe PMCの書誌レコードに収録された抄録で、院内死亡予測のROC曲線下面積がグラスゴー昏睡尺度0.92・本スコア0.91(95%CI 0.88〜0.93)、診断オッズ比がそれぞれ44.51・45.16であったこと、不良転帰(死亡+障害)予測のROC曲線下面積がグラスゴー昏睡尺度0.95・本スコア0.93、診断オッズ比がそれぞれ66.31・45.39であったこと、中等度のエビデンスとして外傷性脳損傷における両スコアの予測価値は同等であり、状況に応じてどちらを使ってもよいと結論していることを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-03
  3. 3.Assessment scales for disorders of consciousness: evidence-based recommendations for clinical practice and research(American Congress of Rehabilitation Medicine, Disorders of Consciousness Task Force・2010)意識障害の行動評価尺度13種を対象とした系統的レビューである。Europe PMCの書誌レコードに収録された構造化抄録で、本スコアが内的整合性と評価者間信頼性については実質的な根拠を示したこと、それにもかかわらず最終的な推奨では、内容妥当性の不足・標準化の欠如・信頼性の未証明のいずれかを理由に、本スコアが「意識障害のベッドサイド行動評価としては現時点で推奨されない」尺度の側に分類されたこと、同じレビューで昏睡回復スケール改訂版(CRS-R)が内容妥当性に優れ「軽微な留保つきで使用してよい」と推奨されたことを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-03
  4. 4.The Predictive Validity of the Full Outline of UnResponsiveness Score Compared to the Glasgow Coma Scale in the Intensive Care Unit: A Systematic Review(Neurocritical Care・2025)集中治療室で両スコアを比較した前向き観察研究20件(質は poor〜moderate)の系統的レビューである。Europe PMC経由でPMC12436514の全文XMLを取得し、抄録・導入・結果・考察の各節を確認した(付録ファイルは未確認)。外傷性脳損傷のみを扱う研究は除外したこと、本スコアが眼(FOUR-E)・運動(FOUR-M)・脳幹(FOUR-B)・呼吸パターン(FOUR-R)の4要素からなりグラスゴー昏睡尺度と違って昏睡・挿管中の集中治療室患者の大半で全要素を評価できること、FOUR-Eの最高点には視覚性追視を要しこれが一見無意識の患者における皮質機能の存在を示すこと、FOUR-Mの最低点が疼痛刺激への無反応とミオクローヌス重積を並べていること、FOUR-Rが挿管患者では人工呼吸器の設定回数を上回る呼吸努力を評価する形で下部脳幹機能をみること、本スコアの考案者は合計点を疾患重症度の独立した指標として用いることを支持している一方グラスゴー昏睡尺度の考案者は合計点の使用を推奨していないこと、死亡予測のROC曲線下面積は本スコアのほうが高く、とくに集中治療室内死亡の予測では有意に高かったこと、「不良(unfavorable)」な機能転帰の予測精度は両者で同等であったこと、グラスゴー昏睡尺度が3点の患者の大半が脳幹機能の温存により本スコアでは0点を上回り8点までの値をとったこと、グラスゴー昏睡尺度3点の105例のうち15%(16例)が生存したのに対し本スコア0点の55例では生存が1例(1.8%)にとどまったこと、FOUR-Bは瞳孔対光反射がしばしば保たれるため筋弛緩薬投与中や深鎮静下でも評価でき鎮静の影響を受けにくい可能性がある一方、採用研究の多くが挿管患者の割合が高いにもかかわらず鎮静患者を組み入れておらずFOUR-B要素の予測価値は現行のエビデンスでは過小評価されている可能性があること、集中治療室では死亡予測について本スコアがグラスゴー昏睡尺度より優れる可能性があるが十分な検出力をもつ追加研究が必要であることを確認した。閲覧 2026-09-03