スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Burch-Wartofskyスコア

Burch-Wartofsky point scale

別名
BWPS
臓器系
内分泌・代謝
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 L-29:甲状腺機能亢進症内科学 E-02:甲状腺疾患の症状・診断・治療
構成:症状
発熱意識障害痙攣昏睡下痢悪心嘔吐腹痛黄疸頻脈下腿浮腫
適用疾患
バセドウ病

🧠 全体像は、が生命を脅かす)へ至っているかを、・消化器・誘因の有無という5つのの症候の重症度を点数化し、臨床的可能性を層別化するである。⚠️ 前向きに検証された確定ではなく連続量を経験的に区切った補助スコアである点、そして日本甲状腺学会(JTA)のという全く別の枠組みが並立している点が、使ううえで最初に押さえるべき注意点である。

目的と適用場面

内容
目的 などのへ急激に悪化しているかを点数化し、臨床診断を支援する
対象 の既往・所見があり、発熱・意識障害・著明な頻脈・消化器症状などが急に悪化した患者
使う場面 救急外来・での初期評価。治療開始の判断を後押しする目的で用いる
評価しないもの 治療反応・予後、甲状腺機能亢進症そのものの重症度、確定診断そのもの

Burch and Wartofskyが1993年に、によるの症候の重症度を経験的に重み付けして合算する形で提唱したスコアで、7項目で評価する1。各項目の上限を合計すると140点になる。

構成要素と配点

⭐ 5つの領域のうちだけは頻脈・・心房細動の3項目に分かれ、合わせて7項目で採点する。

点数 体温
0点 37.2℃未満
5点 37.2〜37.7℃
10点 37.8〜38.2℃
15点 38.3〜38.8℃
20点 38.9〜39.2℃
25点 39.3〜39.9℃
30点 40.0℃以上

意識障害の程度に精神症状を加えた4段階で評価する。

点数 症状
0点 症状なし
10点 軽度(
20点 中等度(せん妄・・高度の傾眠)
30点 重度(痙攣昏睡

点数 症状
0点 症状なし
10点 中等度(下痢悪心嘔吐腹痛
20点 重度(原因不明の黄疸

:頻脈

点数 脈拍数
0点 90/分未満
5点 90〜109/分
10点 110〜119/分
15点 120〜129/分
20点 130〜139/分
25点 140/分以上

点数 重症度
0点 なし
5点 軽度(
10点 中等度(両側
15点 重度(肺水腫)

心房細動

点数 有無
0点 なし
10点 あり

誘因の有無

点数 有無
0点 誘因が同定されない
10点 感染、手術、外傷、の中断・不遵守、分娩などの誘因が同定される

合計0〜140点。

解釈とカットオフ

合計点 判定
45点以上 の可能性が高い
25〜44点 切迫として支持される。厳重な観察・治療を要する
25点未満 の可能性は低い

このは原著のまま広く用いられている1

💡 点数は、誘因の検索と並行して支持療法(気道・循環・体温・電解質の管理)を始めるかどうかの判断材料であり、確定診断そのものではない。25点未満でも臨床像から強く疑わしければ治療を開始する。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ BWPSは前向きに検証されたではなく、の症候の重症度を経験的に重み付けして合算した、連続量を恣意的に区切ったスコアである2。外部検証コホートでは特異度が低いとする報告があり、偽陽性を生みやすい2

⚠️ はBWPSとは別の枠組みである。点数を合算するのではなく、①上昇)の証明を診断の前提条件とし、②の有無で(TS1)と)を分ける3。両基準を比較した報告では概ね一致するが、JTA基準の方が過小診断(偽陰性)になりやすい傾向が指摘されている4

枠組み 5領域7項目の点数を合算する連続スコア 症状の組み合わせでを判定する基準
の証明 必須ではない 必須(上昇の確認が前提条件)
の扱い 点数の一項目(0〜30点) (TS1)と)を分ける鍵となる項目
傾向 感度が高く偽陽性を生みやすい 特異度は高いが過小診断(偽陰性)になりやすい

⚠️ 点数が45点未満、あるいは25点未満であっても、臨床的にを強く疑う状況では点数の確定を待たずに治療を開始する。BWPSとJTA基準のどちらも体系的な評価を助けるであり、機械的な確定・の代わりにはならない。

まとめ

  • は、・消化器(頻脈・・心房細動)・誘因の有無の7項目、合計0〜140点での臨床的可能性を層別化する。
  • 45点以上で可能性が高い、25〜44点で切迫状態として厳重な観察・治療を要する、25点未満で可能性が低いと判定する。
  • 前向きに検証されたではなく連続量を経験的に区切ったスコアであり、外部検証で特異度が低いとする報告もある。
  • は別の枠組みで、の証明を前提としの有無でを分ける。BWPSより特異度は高いが過小診断(偽陰性)になりやすい傾向が指摘されている。
  • 点数が閾値未満でも臨床的に危急と判断すれば、治療開始をためらわない。

出典

  1. 1.Thyroid Storm(StatPearls Publishing(Pokhrel B, Aiman W, Bhusal K)・2022)Burch-Wartofskyスコアの体温調節障害・中枢神経症状・消化器肝機能障害・頻脈・うっ血性心不全・心房細動・誘因の各項目の点数配分(合計140点満点)と、45点以上/25〜44点/25点未満というカットオフの解釈を確認した閲覧 2026-08-04
  2. 2.Diagnostic Criteria, Clinical Features, and Incidence of Thyroid Storm Based on Nationwide Surveys(Thyroid(日本甲状腺学会;Akamizu T, et al.)・2012)日本甲状腺学会(JTA)の甲状腺クリーゼ診断基準が、甲状腺中毒症(遊離T3/T4上昇)の証明を診断の前提条件とし、中枢神経症状の有無で確実例(TS1)と疑い例(TS2)を分ける枠組みであることを確認した閲覧 2026-08-04
  3. 3.Thyroid Storm(Endotext(De Groot LJ, Bartalena L, Feingold KR編)・2025)Burch-WartofskyスコアとJTA診断基準を比較した報告では両者は概ね一致するが、JTA基準の方が過小診断(偽陰性)になりやすい傾向が指摘されていることを確認した閲覧 2026-08-04
  4. 4.Updated Review of the Burch-Wartofsky Score(Evidence to Action(MDCalc Journal)・2026)Burch-Wartofskyスコアが前向きに検証された診断基準ではなく経験的に導出された点数体系であること、外部検証コホートでは特異度が低いとする報告があることを確認した閲覧 2026-08-04