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Symptoms · Published

昏睡

Coma

臓器系
神経肝胆膵
科目
Neurology
トピック
神経学 G1-07:意識障害の分類と鑑別診断
関連疾患
シアン化物中毒メトヘモグロビン血症一酸化炭素中毒鉛中毒肝細胞癌狂犬病抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)新生児黄疸・高ビリルビン血症
起因薬
ヘロイン
スコア
Burch-Wartofskyスコア

🧠 全体像:昏睡は意識障害の連続体の中で最も重症の到達点であり、あらゆる刺激に・反応せず、目的的な運動を示さない状態を指す。の評価枠組み(JCS・GCS・AIUEO)は意識障害の項に譲り、本稿は昏睡に特有の2つの臨床課題に絞る。の型からを推定することと、昏睡とを混同しないことである。

意識障害の中での位置づけ

昏睡は意識障害の軸で最も深部にあり、傾眠・の先に位置する。原因は広範な両側大脳皮質の障害、あるいはを通る脳幹の障害のいずれかで説明される。機序は多様である——のようにヘモグロビンのそのものを妨げるびまん性の低酸素機序、のように脳幹まで到達した感染が終末期に至る局所進行性の機序、SIADHの急速な低Na血症による脳浮腫、進行したに伴う、新生児の重症を侵すなどである。機序は違っても、大脳皮質と系のいずれか、または両方の広範な機能停止というに収束する点は共通している。

脳幹反射による責任病巣の推定

昏睡患者では自発的な訴えが得られないため、を頭側から尾側へ順に確認し、障害の高さ()を推定する。

反射 経路(脳幹レベル) 消失が示す
中脳(視神経→ 中脳病変、による圧迫。片側の消失は特に緊急性が高い
橋(三叉神経→顔面神経) 橋病変
)・ 橋〜中脳(を介した眼球運動の統合) 橋・中脳の広範な障害。反射が保たれていれば脳幹は機能している
延髄(・迷走神経) 延髄病変。消失は気道防御能の喪失を意味し、気道確保の適応になる
flowchart TD
    A["昏睡患者を評価"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pupillary light reflex'>瞳孔対光反射</span>は保たれるか"}
    B -->|"消失(片側)"| C["中脳病変・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tentorial herniation'>テント切痕ヘルニア</span>を疑う"]
    B -->|"保たれる"| D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oculocephalic reflex (doll&#39;s eye)'>眼球頭反射</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vestibulo-ocular reflex (VOR)'>前庭眼反射</span>は保たれるか"}
    D -->|"消失"| E["橋〜中脳の広範な障害を疑う"]
    D -->|"保たれる"| F{"咽頭・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cough reflex'>咳反射</span>は保たれるか"}
    F -->|"消失"| G["延髄病変・気道防御能の喪失<br>気道確保を検討"]
    F -->|"保たれる"| H["脳幹機能は比較的保たれる<br>大脳皮質優位の障害を再考"]

⭐ 反射が頭側(瞳孔)から尾側(咽頭・咳)へ順に失われていく経過は、などによる頭側から尾側への進行性障害を示唆し、緊急の頭蓋内圧管理を要する。

昏睡と脳死・関連病態の違い

昏睡は不可逆とは限らず、の一部が保たれていることも多い。これに対し脳幹を含む全脳機能の不可逆的停止であり、判定は法令・施設プロトコルに基づく厳格な手続きを要する。(旧)やは、や部分的な反応があるため昏睡とは区別する。

状態 ・睡眠覚醒周期 自発呼吸
昏睡 なし に応じて可変(保たれることも消失することもある) に応じて可変
あり 多くは保たれる 保たれる
あり、断続的な目的的反応あり 保たれうる 保たれる
なし が消失 を認めない

⚠️ の判定は、低体温・低血圧・鎮静薬やの残存・重度の代謝異常など、診察所見を偽りうる可逆的要因をすべて除外した上で行う。昏睡が薬物や代謝異常による可逆的なものである可能性を除外せずに、判定へ話を進めてはならない。

まとめ

  • 昏睡は意識障害の軸で最も重症の段階であり、あらゆる刺激に反応しない。
  • 機序は低酸素、感染の脳幹波及、電解質異常による脳浮腫、など多様だが、大脳皮質と系の広範な機能停止というに収束する。
  • →咽頭・の順にを評価すると、頭側から尾側へのを推定できる。
  • 反射消失が頭側から尾側へ進む経過は、ヘルニアなどによる進行性障害を示唆し緊急対応を要する。
  • 昏睡とは別の概念であり、は全の消失とによる自発呼吸の欠如を、可逆的要因を除外した上で厳格な手続きに沿って確認して初めて判定できる。