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King's College基準

King's College criteria

別名
KCCキングスカレッジ基準
臓器系
肝胆膵
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
病態生理学 2-3:肝機能障害(1)
構成:症状
意識障害
構成:検査値
プロトロンビン時間クレアチニン動脈血液ガス
適用疾患
アセトアミノフェン(パラセタモール)中毒急性肝不全

🧠 全体像:King’s College criteriaは、の患者でをどれだけ急ぐべきかを判断するために作られた予後基準である。同じの重症度評価として並べて語られるとの最大の違いは、病因ごとに全く別の基準を使うという設計にある——()中毒によると、それ以外の病因(・薬剤性・特発性など)によるとでは、生存を分けるのパターンが異なるため、導出集団も基準の中身も別物として扱う。両者を混同して当てはめると判定を誤る。

目的と適用場面

内容
目的 患者のうち、なしでは生存が見込めない例を予後不良として拾い上げる
対象 と診断された患者。病因がかそれ以外かで使う基準を分ける
使う場面 病因が判明し次第、できるだけ早期に。基準を満たすかどうかの判定を待たずに移植施設へ相談を始める運用と併用する
評価しないもの 移植の禁忌(活動性の悪性腫瘍、制御不能な敗血症など)、、中の状態変化

構成要素

⭐ 加算式のスコアではなく、病因別に定められた「満たすか満たさないか」の基準である。2つの基準は互いに独立しており、当てはめる病因を取り違えない。

群

基準 内容
単独基準 のpH7.30未満(後)
複合基準(3項目すべて) >100秒(>6.5)+クレアチニン>3.4 mg/dL+III〜IV度の肝性脳症

単独基準(pH)と複合基準(3項目すべて)のどちらか一方を満たせば陽性と判定する1。

非群

基準 内容
単独基準 >100秒(>6.5)、脳症の程度によらない
複合基準(5項目中3項目以上) 年齢<10歳または>40歳/病因が非A非B型肝炎・肝炎・/黄疸出現から脳症発症までの期間>7日/>50秒(>3.5)/ビリルビン>300 μmol/L(約17.5 mg/dL)

こちらも単独基準()と複合基準(5項目中3項目)のどちらか一方を満たせば陽性と判定する1。

解釈とカットオフ

基準を満たせば「移植なしでの生存が見込みにくい」、満たさなければ「基準上は保存的加療を継続しうる」という二値の判定である。段階的な点数帯は存在しない。

判定 意味 対応
基準を満たす 移植なしでの生存が見込みにくい 禁忌がなければを急ぐ
基準を満たさない 保存的加療で回復し得る可能性が高い 経過観察を継続するが、悪化の兆候があれば再評価する

💡 はのみから機械的に算出できる連続値で、複数病因にまたがる肝疾患全般の移植優先順位付けに使われるのに対し、King’s College criteriaはに特化し、病因別に作られた二値の基準である。ではMELDと King’s College criteriaを併せて評価することが多い2。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 感度は高くない。 ではKing’s College criteriaの感度は約58%にとどまり、基準を満たさない患者でも死亡し得る3。単一施設コホートに基づく報告では感度68〜69%・特異度82〜92%とされるが、いずれにせよ基準を満たさないことが「安全」を意味しない2。

⚠️ 基準充足を待たずに移植施設へ談する。 感度が不十分である以上、基準を満たすまで紹介を遅らせると手遅れになり得る。病因が判明した時点、あるいはの診断が確定した時点で移植施設に連絡し、基準はその後の判断材料の一つとして使う3。

⚠️ 病因群を取り違えない。 群と非群は導出集団も基準項目も別物であり、非群の基準をに当てはめる(またはその逆)と判定を誤る1。

⚠️ いかなる予後基準にも全面的に依拠すべきではないとされ、臨床像全体(の推移、、他臓器不全の有無など)と併せて判断する2。

まとめ

  • King’s College criteriaは、患者の適応を判断する予後基準で、群と非群で全く別の基準を用いる。
  • 群はpH7.30未満単独、または>100秒+クレアチニン>3.4 mg/dL+III〜IV度脳症の3項目で判定する。
  • 非群は>100秒単独、または年齢・病因・黄疸〜脳症の期間・・ビリルビンの5項目中3項目で判定する。
  • 感度は高くなく(で約58%)、基準を満たさない例でも死亡し得るため、基準充足を待たずに移植施設へ談する。
  • とは異なりに特化し、病因ごとの二値判定という設計である。

出典

  1. 1.Early indicators of prognosis in fulminant hepatic failure(Gastroenterology・1989)King's College criteriaが、アセトアミノフェン起因例310例から導出しアセトアミノフェン群の基準(pH7.30未満、またはPT>100秒+クレアチニン>300μmol/L+III〜IV度脳症の3項目)と、別集団の非アセトアミノフェン起因例から導出した非アセトアミノフェン群の基準(PT>100秒単独、または年齢・病因・黄疸出現から脳症までの期間・PT・ビリルビンのうち3項目)という、病因ごとに完全に別の基準からなることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Introduction to the revised American Association for the Study of Liver Diseases Position Paper on Acute Liver Failure 2011(Hepatology(Lee WM, et al.)・2012)単一施設コホートでのKing's College criteriaの感度68〜69%・特異度82〜92%という報告値と、「いかなる基準にも全面的に依拠すべきではない」という位置づけを確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Ability of King's College Criteria and Model for End-Stage Liver Disease Scores to Predict Mortality of Patients With Acute Liver Failure: A Meta-analysis(Clinical Gastroenterology and Hepatology・2016)急性肝不全の死亡予測でKing's College criteriaの感度がメタ解析で約58%にとどまり、基準を満たさない例でも死亡し得るため単独では移植紹介の可否を決めきれないことを確認した。閲覧 2026-08-19