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Lab values · Published

動脈血液ガス

Arterial blood gas

別名
ABG動脈血ガス動脈血ガス分析
臓器系
呼吸器腎・泌尿器全身
科目
Pulmonology and Thoracic SurgeryIntensive Therapy and Anesthesiology
トピック
呼吸器内科 02:動脈血液ガス検査と結果の解釈麻酔科学 A-02:酸塩基平衡とその異常
関連疾患
S状結腸捻転オピオイド過量サリチル酸中毒メトヘモグロビン血症肝肺症候群気管支喘息循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)尿素サイクル異常症肥厚性幽門狭窄症慢性閉塞性肺疾患輸血関連急性肺障害輸血関連呼吸困難
監視対象薬
フェニル酢酸ナトリウムフェニル酪酸ナトリウムホメピゾール安息香酸ナトリウム
スコア
King's College基準改訂Atlanta分類肺炎重症度指数

🧠 全体像:は、酸塩基、換気、酸素化を同じ動脈血で評価するパネルである。読む順序を「pH → PaCO₂とHCO₃⁻ → 代償 → 酸素化」に固定すると障害を見落としにくい。PaO₂は吸入酸素条件なしでは解釈できず、HCO₃⁻は多くの装置で計算値である。

何を測っているか

項目 主な意味 測定・算出
pH 酸血症・ 水素イオン活量を電極で測定
PaCO₂ 肺胞換気 CO₂電極で測定
PaO₂ O₂電極で測定
HCO₃⁻ 代謝性成分 多くは 0.03×PaCO₂×10^(pH−6.1) で計算
非呼吸性の酸・塩基偏位 計算値
Hbの酸素化割合 血液ガスから計算、なら異常Hbを含め実測

基準の目安

成人・海面付近・安静時の代表値は、pH7.35〜7.45、PaCO₂35〜45 mmHg、HCO₃⁻22〜26 mmol/Lである。PaO₂は年齢、標高、吸入酸素、体位により変わるため、固定した正常範囲だけで読まない。採血時には酸素投与デバイス、流量またはFiO₂、換気設定、体温、採血部位と時刻を記録する。

酸塩基を段階的に読む

flowchart TD
    A["pHで酸血症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alkalemia'>アルカリ血症</span>を確認"] --> B["PaCO₂とHCO₃⁻の向きを確認"]
    B --> C["一次性障害を決める"]
    C --> D["予測代償を計算"]
    D --> E{"実測値が代償範囲内か"}
    E -->|"はい"| F["単純性障害を支持"]
    E -->|"いいえ"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mixed acid-base disorder'>混合性酸塩基障害</span>を考える"]
    F --> H["AG・乳酸・電解質・臨床像を統合"]
    G --> H
一次性障害 主変化 代表的な予測代償
代謝性アシドーシス HCO₃⁻低下 PaCO₂ ≈ 1.5×HCO₃⁻+8 ±2
HCO₃⁻上昇 PaCO₂ ≈ 40+0.7×(HCO₃⁻−24)±2
急性 PaCO₂が10上昇 HCO₃⁻が約1上昇
慢性 PaCO₂が10上昇 HCO₃⁻が約3.5上昇(資料により4)
急性 PaCO₂が10低下 HCO₃⁻が約2低下
慢性 PaCO₂が10低下 HCO₃⁻が約4〜5低下

代償はpHを完全に正常化するとは限らない。pHが正常域でもPaCO₂とHCO₃⁻がともに大きく異常なら、慢性代償または相反する障害を考える。

代謝性アシドーシスではと乳酸を確認し、AG上昇時はも補助的に使う。単一の式で病歴、、腎機能、薬剤を置き換えない。

酸素化とA–a較差

PaO₂は吸入に依存する。同じPaO₂ 80 mmHgでもと高濃度酸素投与中では意味が全く異なる。

は概略次のように表す。

PAO2=FIO2(Patm−PH2O)−PaCO2RP_{AO_2}=F_{IO_2}(P_{atm}-P_{H_2O})-\frac{PaCO_2}{R}

はPAO₂−PaO₂で、低酸素血症を低換気・低吸入酸素と、・・シャントへ分ける補助になる。基準は年齢、FiO₂、気圧で変わり、高濃度酸素下では誤差が大きくなる。

パターン 主な解釈
PaO₂低値、が保たれる 低換気、低吸入酸素、標高
PaO₂低値、が開大 、、シャント
PaCO₂高値 肺胞換気不足。が保たれても換気不全を否定しない
高FiO₂でもPaO₂改善が乏しい 大きなシャントなどを考える

はPaO₂/FiO₂で酸素化障害を追うが、PEEP、体位、換気条件も記録する。

静脈血液ガスとの違い

項目 静脈血での代用 注意
pH 多くの安定例で酸塩基スクリーニングに有用 ショックや局所うっ滞で差が拡大し得る
PCO₂ 傾向に使える 正確なPaCO₂や換気管理には動脈血が必要
HCO₃⁻ 多くは近い 計算値のためpH・PCO₂差の影響を受ける
PO₂ 代用不可 静脈PO₂から動脈酸素化を推定しない

などで酸塩基だけを見る場合は静脈血で足りることが多い。一方、呼吸不全、正確な換気評価、、侵襲的換気調整ではABGを選ぶ。

採血・測定上の注意

flowchart TD
    A["動脈血を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anaerobic'>嫌気的</span>に採取"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='air bubble'>気泡</span>を直ちに除去し密栓"]
    B --> C["乾燥・電解質平衡化ヘパリンで均一に混和"]
    C --> D["患者・酸素条件・時刻を記録"]
    D --> E["施設規定内に速やかに測定"]
    E --> F["結果を臨床像と照合"]
誤差 典型的な影響
混入 PaO₂を側へ近づけ、PaCO₂を低下、pHを上昇させ得る
液体ヘパリン過量 検体を希釈し、PaCO₂・HCO₃⁻・電解質を低くし得る
測定遅延 細胞代謝でPaO₂低下、PaCO₂上昇、pH低下
シリンジのまま氷冷 はO₂を透過し、低温では溶解度とHbのが上がるため検体が酸素を取り込み、PaO₂がになる
ライン液混入 ・輸液で希釈し、予測不能な変化を生じる
著明な・ 採取後も血球が酸素を消費するため偽性低酸素血症を生じ得る(AARC指針が急速なPaO₂低下を明記しているのは白血球の側)

「速やかに」の具体的な目安として、シリンジの検体は室温で30分以内に測定する。30分を超えて保存する必要があるなら、はじめからガラス容器に採取して0〜4℃に冷却する(採取後に移し替えるのではない)1。逆に、30分以内に測定する検体をシリンジのまま氷冷してはならない。

⚠️ 30分の枠をすべての検体に当てはめない。 AARC指針が禁忌として挙げる検体は、①適切に抗凝固されていない検体、②目に見えるを含む検体、③で室温に30分を超えて置かれた検体、④シャント検査のために室温に5分を超えて置かれた検体、⑤またはがある状態で室温に置かれた検体、である1。シャント検査だけ上限が5分である理由を、同指針は述べていない。白血球が非常に多い被検者の検体ではPaO₂が急速に低下しうるため、直ちに冷却して測定する必要があると明記されている(について同様の記述は無い)1。

⚠️ 採血前に、抗凝固薬、を確認し、採血後は十分に圧迫して血腫・動脈閉塞・神経障害を監視する。結果がSpO₂や臨床像と矛盾すれば、採血部位、、検体遅延、異常ヘモグロビンを再評価し、異常値だけで治療を変更しない。

まとめ

  • ABGはpH、PaCO₂、PaO₂を実測し、HCO₃⁻は多くの場合計算する。
  • pH、一次性変化、予測代償、障害の順に読む。
  • PaO₂はFiO₂と換気条件を必ず添え、必要に応じやを使う。
  • 静脈血は酸塩基スクリーニングに使えるが、酸素化と正確なPaCO₂は代用しない。
  • 、ヘパリン過量、測定遅延、ライン混入は臨床判断を変える誤差になる。
  • シリンジは室温30分以内に測定し、氷冷しない。長く置くならはじめからガラス容器に採取して0〜4℃で冷却する。
  • 30分の枠は全検体共通ではない。シャント検査は室温5分が上限で、・の検体は室温に置くこと自体が禁忌に挙げられている。混入と抗凝固不十分も測定してはならない検体である。

出典

  1. 1.AARC Clinical Practice Guideline: Blood Gas Analysis and Hemoximetry: 2013(American Association for Respiratory Care(Respir Care 2013;58:1694-1703)・2013)発行元のPDF全文の 4.0 CONTRAINDICATIONS を読み、禁忌として 4.3 適切に抗凝固されていない検体、4.4 目に見える気泡を含む検体、4.5 プラスチック容器で室温に30分を超えて置かれた検体/シャント検査で室温に5分を超えて置かれた検体/白血球増多もしくは血小板増多のある状態で室温に置かれた検体、が挙げられていること、30分を超えて保存する必要がある検体はガラス容器に採取して0〜4℃に冷却すべきこと、白血球が非常に多い被検者の検体ではPaO₂が急速に低下しうるため直ちに冷却と測定が必要であることを確認した。5分という上限の理由は同指針に書かれていない。閲覧 2026-09-21