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Hunt and Hess分類

Hunt and Hess scale

別名
Hunt-Hess分類
臓器系
神経
科目
Neurology
トピック
神経内科 G1-20:自発性くも膜下出血の診断・治療・予後
構成:症状
頭痛項部硬直脳神経麻痺意識障害運動麻痺

🧠 全体像は、動脈瘤性臨床的重症度を頭痛・などの診察所見からI〜Vの5段階に分ける、1968年に提案されたな尺度である1。同じ場面で並記されるとの違いはここにある——GCSという数値化された指標を土台にするのに対し、は「傾眠」「」といった診察者のな記述に頼って全体像から直接グレードを判定する。

目的と適用場面

内容
目的 の急性期臨床重症度を診察所見だけで評価し、・手術タイミングの判断材料とする
対象 と診断された患者
使う場面 決定前の初期評価。と並記されることが多い
評価しないもの CT上の出血量(の領域)、鎮静・挿管中の患者での正確な意識評価

Hunt WEとHess RMが1968年にJournal of Neurosurgeryで発表した、動脈瘤を介入時期との関連で検討した論文の中で提案された分類である1。もとは手術適応と手術タイミングを判断する材料として設計されたが、現在はの初期重症度・予後を表す指標として広く転用されている。

構成要素と配点

はGCSのように項目の点数を合算するのではなく、頭痛・などのの全体像から診察者が直接I〜Vのグレードを一つ判定する2

グレード
I 無症状、または軽度の頭痛と軽い
II 中等度〜重度の頭痛、以外の欠損なし
III 傾眠、、または軽度の
IV 、中等度〜重度のの初期像を伴うこともある
V 状態

⭐ 一部の文献は、重症の(高血圧・糖尿病・高度の動脈硬化・など)やで高度のを認める場合に、判定したグレードへさらに1段階を加える修飾ルールを紹介している3。ただしこの修飾ルールの運用は文献間で一貫しておらず、常に適用されるわけではない。

解釈とカットオフ

区分 グレード 位置づけ
I〜III 早期のを前提とした方針を取りやすい
IV〜V 死亡率が急激に上昇する。個別に手術適応を検討する

グレードI〜Vを、Alert(I〜II)・Drowsy(III)・Comatose(IV〜V)の3群へしても、予後のはおおむね保たれるとされる2

💡 グレードは「治療するかどうか」を機械的に決める閾値ではなく、を判断する材料の一つとして、他のと合わせて使う。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 「傾眠」「」「」といった用語自体に明確な境界がない。 開発者自身も、区分は恣意的で境界は曖昧になりうると述べている2はCohenのκ=0.42程度にとどまるとする報告があり2、GCSという数値化された指標を土台にするの方が再現性で優ると評価されている4

⚠️ 従来のグレード5は臨床的に幅の広い患者を含み、識別能が乏しいとの指摘がある。 6,130例の入院例を用いた検討では、従来のグレード5(2,245例)のうちGCS3〜5の群(785例)とそれ以外の群とで転帰が異なり、GCSでさらに細分化したmodified Hunt-Hess(mHH)分類の方が転帰予測のc統計量で従来法(0.780)を上回った(0.793、外部検証コホートで0.835)5。ただしこの改訂版はまだ従来のI〜V分類ほど広く定着した標準ではない。

⚠️ 鎮静薬・投与中、挿管中はの評価が妨げられ、正確なグレード判定ができない。 このと共通する。

⚠️ 修飾ルール(重症の・高度のでの+1グレード)は文献間で運用が一貫しない。 報告や研究間でグレードを比較する際は、この修飾ルールを適用したかどうかを確認する必要がある3

まとめ

  • の臨床的重症度を、頭痛・などの診察所見からI〜Vの5段階に分ける、1968年提案のな尺度である。
  • 項目を合算せず、診察者が全体像から直接グレードを判定する。
  • (I〜III)は早期のを前提としやすく、(IV〜V)では死亡率が急激に上昇する。
  • 用語の境界が曖昧でが中等度にとどまり、GCSを土台にするの方が再現性は高い。
  • 従来のグレード5内のを指摘し細分化するmodified などの改訂も提案されているが、まだ標準として定着していない。

出典

  1. 1.Surgical risk as related to time of intervention in the repair of intracranial aneurysms(Journal of Neurosurgery(Hunt WE, Hess RM)・1968)原著の書誌情報(1968年、Journal of Neurosurgery 28巻14-20頁、Hunt WEとHess RMによる、動脈瘤修復術の手術リスクと介入時期の関連を検討した論文の中でこの分類が提案されたこと)を確認した。PubMed上に抄録は存在しない閲覧 2026-08-10
  2. 2.Grading the severity of subarachnoid haemorrhage(Deranged Physiology(オーストラリア集中治療専門医による教育用リファレンス))Hunt-Hess分類グレードI〜Vの臨床所見の定義文言、開発者自身が区分の境界は恣意的で曖昧になりうると述べていること、評価者間信頼性がCohenのκ=0.42程度と報告されていること、Alert/Drowsy/Comatoseの3群へ圧縮しても予後の弁別能がおおむね保たれるとされることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Grading and Decision-Making in (Aneurysmal) Subarachnoid Haemorrhage(Interventional Neuroradiology(Mooij JJA)・2001)WFNS分類がHunt-Hess分類の用語のあいまいさによる評価者間ばらつきを避けるためGCSという再現性の高い指標を土台に設計された経緯を確認した閲覧 2026-08-04
  4. 4.SAH Grading Scales(Neuro.Wiki(著者・更新日不明の神経学教育用リファレンス))重症の全身疾患(高血圧・糖尿病・高度の動脈硬化・COPDなど)や脳血管撮影上の高度の血管攣縮を認める場合にグレードへ1段階を加える修飾ルールが一部の文献で紹介されていること、Hunt-Hess分類が手術リスク・死亡率と相関する指標として使われてきたことを確認した閲覧 2026-08-10
  5. 5.Prognostication Following Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage: The Modified Hunt and Hess Grading Scale(Stroke: Vascular and Interventional Neurology(Al-Mufti F, et al.)・2024)6,130例のくも膜下出血入院例のコホートで、従来のHunt-Hessグレード5(2,245例)のうちGCS3〜5の785例と残りの群とで転帰の異質性があったこと、GCSで細分化したmodified Hunt-Hess分類が転帰予測のc統計量で従来法を上回った(0.793対0.780、外部検証コホートで0.835)ことを確認した閲覧 2026-08-10