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Disease Atlas · 腫瘍 · 腫瘍

骨肉腫・ユーイング肉腫

Osteosarcoma and Ewing sarcoma

別名
Primary malignant bone tumors原発性悪性骨腫瘍
臓器系
腫瘍運動器
科目
PathologyOncology and Reconstructive Oncoplastic SurgeryPediatrics
トピック
病理学 C/93:骨腫瘍・腫瘍様病変腫瘍学 II-35:骨腫瘍の疫学・病因・組織型・病期・症状・診断腫瘍学 II-36:骨腫瘍の放射線・外科・薬物療法小児科 3-05:小児の悪性骨・軟部腫瘍
鑑別疾患
Brodie膿瘍横紋筋肉腫骨巨細胞腫骨髄炎線維形成性小円形細胞腫多発性骨髄腫軟骨肉腫
合併症
偽関節
治療薬
メトトレキサートドキソルビシンシスプラチンビンクリスチンシクロホスファミドエトポシドダクチノマイシンミファムルチド
症状
倦怠感骨痛腫脹発熱夜間痛跛行
画像所見
砲弾状陰影
組織像
骨肉腫手の骨肉腫骨肉腫の疫学・病態・画像・治療骨肉腫(表在型の亜型と生物学的行動)骨肉腫(化学療法後評価・切除マージン編)骨肉腫(病期分類:Enneking・AJCC)
下位分類
傍骨性骨肉腫
元疾患
線維性骨異形成症
原因となる疾患
Li-Fraumeni症候群Rothmund-Thomson症候群Werner症候群骨のパジェット病網膜芽細胞腫
適応薬
ビンクリスチンミファムルチドロイコボリン

🧠 全体像:若年者の持続する・腫脹をみたら、で悪性をつくると、・骨盤に生じるEWSR1再構成陽性のであるを対比する。単純X線から局所・胸部CT・全身病期評価へ進み、画像を完了してから骨軟部腫瘍専門チームがを設計する。はMAP化学療法と完全切除、はと手術・放射線による局所制御が治癒の柱になる。

病態

は、悪性腫瘍細胞が直接、または骨を形成することで定義される。小児・思春期では急速に成長するの、とくに・など膝周囲に多い。RB1・TP53を含む細胞周期制御の破綻が関与し、遺伝性、、既往放射線、は重要な素因である。肺へ血行性に転移しやすく、診断時に画像で転移がなくてもを前提に全身治療を行う。

は、骨または軟部組織に生じる未分化肉腫である。多くはEWSR1とETSファミリー遺伝子の融合をもち、小児例の約85〜90%ではt(11;22)に由来するEWSR1::FLI1融合を認める。、骨盤、胸壁、肋骨に好発し、から皮質・・軟部組織へ進展する。肺だけでなく骨・骨髄にも転移しうるため、が局所に見えても最初から全身性疾患として化学療法を組み込む。

flowchart TD
    A["若年者の持続性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone pain'>骨痛</span>・腫脹"] --> B{"主座と腫瘍基質"}
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metaphysis of a long bone'>長管骨骨幹端</span>・悪性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteoid'>類骨</span>"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteosarcoma'>骨肉腫</span>"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diaphysis'>骨幹</span>または骨盤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='small round cell'>小円形細胞</span>"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Ewing sarcoma'>ユーイング肉腫</span>"]
    C --> E["肺を主とする<span class='jp-term jp-term-diagram' title='micrometastasis'>微小転移</span>を想定"]
    D --> F["肺・骨・骨髄への播種を想定"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic chemotherapy'>全身化学療法</span>+完全切除"]
    F --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic chemotherapy'>全身化学療法</span>+手術または放射線による局所制御"]

2疾患の対比

項目
好発年齢 主に思春期。40歳以降では・既往放射線など二次性も考える 主に10〜20歳
好発部位 、特に膝周囲 、骨盤、胸壁・肋骨
定義的病理 悪性細胞が・骨を直接形成 均一な、CD99膜陽性が多いが非特異的
分子所見 複雑な核型、RB1・TP53経路の異常など EWSR1::FLI1を代表とするFET–ETS融合
画像の典型 の溶骨・造骨像、放射状、 溶骨像、層状の、大きな
臨床上の紛らわしさ スポーツ外傷・と誤認されやすい 発熱・炎症反応を伴い骨髄炎に似ることがある
主な転移 肺、次いで骨 肺、骨、骨髄
局所治療 を得る広範切除が中心 手術、放射線、または両者
全身治療 ではMAPを中心とする VDC/を代表とする
比較的低い 高く、・切除で機能喪失が大きい場合や断端不十分時に重要

⭐ ・放射状・はいずれも「増殖速度が速い」ことを示す手掛かりであり、単独で組織型を確定する所見ではない。

臨床像

共通する入口は、数週から数か月にわたり進行する深部の、、局所腫脹、触知腫瘤、低下、である。軽微な外傷を契機に気づかれることはあるが、外傷が腫瘍を発生させるわけではない。が初発となることもある。

⚠️ 痛みが持続・増悪する、夜間に覚醒する、腫脹または腫瘤を伴う、通常の外傷経過から外れる場合は単純X線を先送りしない。悪性骨腫瘍が疑われるでは、によりが難しくなるのを避けるため、専門評価まで保護的荷重とする。

では発熱、倦怠感、貧血、、を伴うことがあり、感染症との鑑別が問題になる。抗菌薬で一時的に症状が揺れても、画像上の破壊性病変が残る場合は腫瘍を除外できない。

診断

画像と病期評価

最初は患部の直交2方向単純X線で、病変の部位、、腫瘍基質、、を評価する。疑わしい病変では病変を含む患骨全体の造影MRIを行い、髄内進展、・関節・軟部組織との関係、同一骨内の病変を確認する。肺転移評価には胸部CTを用い、全身のにはまたは/を用いる。が利用できない場合はを選択する。

flowchart TD
    A["持続性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone pain'>骨痛</span>・腫脹・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pathologic fracture'>病的骨折</span>"] --> B["患部の単純X線"]
    B --> C["骨軟部腫瘍専門施設へ紹介"]
    C --> D["患骨全体の造影MRI"]
    D --> E["胸部CT+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='FDG PET/CT'>FDG-PET/CT</span>または<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positron emission tomography'>PET</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>"]
    E --> F["最終切除で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='en bloc'>一塊</span>に除去できる生検路を計画"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='core needle biopsy'>コア針生検</span>または計画<span class='jp-term jp-term-diagram' title='incisional biopsy'>切開生検</span>"]
    G --> H["病理・免疫染色・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='molecular diagnostics'>分子診断</span>"]
    H --> I["局所進展・転移・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='resectability'>切除可能性</span>を統合"]
    I --> J["組織型別の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='multimodal therapy'>集学的治療</span>"]

生検と病理

生検は「診断だけの処置」ではなく最初のである。画像評価を先に完了し、最終手術を担当する骨軟部腫瘍外科医と病理医が、を横切らず、複数の筋区画や関節を汚染せず、生検路全体を最終に含められる経路を決める。十分な組織をまたは計画で得る。

では腫瘍性を確認する。では形態とCD99・NKX2.2などの免疫所見を手掛かりにするが、CD99単独では診断しない。未の組織を確保し、EWSR1またはFUSとETSファミリーの融合を分子学的に証明して、CIC再構成肉腫・BCOR関連肉腫・リンパ腫・などを除外する。

成人のでは原発性よりが多く、も重要である。年齢、病変数、原発癌歴、血清・尿蛋白検査を含め、最初から鑑別に入れる。

治療

すべて肉腫専門ので治療する。年齢、原発部位、病期、組織学的悪性度、神経血管との関係、を完全切除できるか、予測される機能を統合し、可能ならも検討する。

骨肉腫

小児・思春期のなでは、一般に、を目指す広範切除、を組み合わせる。代表的なは高用量メトトレキサート、、シスプラチンからなる。高用量メトトレキサートはを全身で遮断するため、正常細胞を救うために()の救済投与を必ず併用する——米国の注射剤添付文書は適応の筆頭に「の高用量メトトレキサート療法後の救済」を挙げており、は救済がとして名指しされている数少ない疾患である1。救済が遅れる、あるいはメトトレキサートの排泄が腎障害で遷延すると、・骨髄抑制が致死的になりうる。成人では高用量メトトレキサートの性や施設プロトコルが異なるため、年齢だけで機械的に同じレジメンを当てはめず専門施設で決める。

手術では、、同一骨内の病変、生検路をでする。はと実用的機能を両立できる場合に選び、主要神経血管浸潤、感染、再建不能などでは切断が必要になることがある。肺転移・再発でも全病変を完全切除できれば長期生存の可能性があるため、肺転移切除を積極的に検討する。

の化学療法効果は壊死率で評価し、90%以上の壊死は良好な予後因子である。ただし90%未満でも化学療法が無効だったという意味ではなく、標準治療を中断する根拠にはしない。EURAMOS-1では反応不良例の術後MAPに・を追加しても生存利益がなく毒性が増えたため、壊死率だけを理由にMAP-へ強化しない。は低いため手術の代替にはなりにくいが、、、症状緩和では高精度照射を検討する。

診断時転移例も治癒を目指し、だけでなく肺・骨を含む画像で確認できる全病変の完全切除が可能かを評価する。肺転移のみなら、と切除に加えて肺病変を完全切除する。再発時もな孤立性肺転移・局所再発では完全切除が治療の中心で、薬物療法のは既治療、再発時期、病変数に応じてを優先して決める。

化学療法へ追加する免疫賦活薬——ミファムルチド

⭐ ミファムルチド(化ムラミル、MTP-PE)は、MAPに「追加する」薬としてで承認されている数少ないの薬である。 単球・マクロファージのNOD2を刺激して活性化するで(その活性化が抗腫瘍作用に至る正確な機序はまだ分かっていない)、のは適応を「肉眼的完全切除後の・・非転移性に対し、術後と併用して用いる」と定めている(安全性・有効性が評価されたのは初診時2〜30歳の患者を対象とした試験である)2。根拠は INT-0133 試験で、臨床的に検出できる転移が無くと判断された662例において、化学療法へムラミルを加えた群の6年全生存率が70%から78%へ改善した(P=.03、0.71)3。

⚠️ 改善したのはであってではなく、位置づけは国によって違う。 同試験でEFSの改善は有意差に至らない傾向(P=.08)にとどまった3。では2009年3月6日に中央審査で承認されている一方、米国では承認が得られておらず、INT-0133 の解釈がのあいだで議論の的であり続けているため使用が限られている欧州の国もある4。2025年に報告されたイタリア・スペインの2試験(ISG/OS-2・GEIS-33)の398例でも、Pgp陽性例に術後ミファムルチドを投与する戦略のもとでEFSが良好だった(5年EFS 71.4%対58.3%、P=.0139)がでは確認されず(P=.0593)、著者自身が対照群を欠くことを最大の限界として挙げている4。⭐ 「の適応薬である」ことと「どこでも標準治療である」ことは別に扱う。

ユーイング肉腫

診断後早期にを開始し、その後に局所制御を行う。代表的なVDC/療法は・・と、・をに投与する。局所例では、造血回復を確認しながら2週ごとに行う間隔短縮型が3週ごとの投与より長期成績を改善しており、専門プロトコルの標準となる。

局所制御は、機能を保ってを得られるなら手術を優先し、、手術による機能喪失が大きい部位、断端不十分では放射線療法を用いる。の要否は、、病理学的反応、原発部位を統合して判断し、非骨盤原発ではでも追加照射を検討する。

診断時転移例にも局所例と同じ骨格のを行い、とへ可能な限り根治的局所制御を加える。肺のみの転移は骨・より予後が良く、全肺照射を検討する。骨・や多発転移では予後が不良であり、病変部への手術・放射線療法とを多職種で検討する。年齢・肺機能・に応じて照射計画を個別化する。

有害事象と長期フォロー

治療前から妊孕性温存を検討する。メトトレキサートの腎毒性・、の心毒性、シスプラチンの腎・、の骨髄抑制・・性腺毒性、関連二次白血病を監視する。、、の・感染・破損、再建骨の偽関節、心肺機能、聴力、腎機能、心理社会面を長期追跡し、リハビリテーションを診断時から組み込む。

まとめ

  • は「・悪性・肺転移」、は「/骨盤・EWSR1–ETS融合・肺/骨/」で対比する。
  • 、放射状、は診断の手掛かりだが、病理・を置き換えない。
  • 単純X線後に患骨全体の、胸部CT、全身病期評価を行い、最終切除で除去できる経路から専門チームが生検する。
  • はMAPを中心とすると完全切除、はVDC/を中心とすると手術・放射線による局所制御が基本である。
  • を避ける保護的荷重、妊孕性温存、心・腎・の監視、と成長を含む長期フォローまでが治療である。

出典

  1. 1.Leucovorin Calcium for Injection — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed/Sagent Pharmaceuticals)・2025)2025年9月改訂(Revised: September 2025)の注射剤添付文書で、適応の筆頭が逐語で "Leucovorin rescue is indicated after high dose methotrexate therapy in osteosarcoma" であり、骨肉腫の高用量メトトレキサート療法後の救済が承認適応であることを確認した閲覧 2026-09-08
  2. 2.Mepact, INN-mifamurtide (Summary of Product Characteristics)(European Medicines Agency(EMA)・2025)4.1の適応が逐語で "MEPACT is indicated in children, adolescents and young adults for the treatment of high-grade resectable non-metastatic osteosarcoma after macroscopically complete surgical resection. It is used in combination with post-operative multi-agent chemotherapy. Safety and efficacy have been assessed in studies of patients 2 to 30 years of age at initial diagnosis" であり、年齢は適応の限定ではなく評価された試験集団として書かれていること、4.2の推奨用量が体表面積あたり2 mg/m²で少なくとも3日以上あけて週2回12週間・その後週1回24週間の計48回を36週間で投与し1時間かけて点滴静注すること(ボーラス投与は不可)、30歳超は推奨に足るデータが無く0〜2歳では安全性・有効性が確立していないこと、4.3の禁忌が有効成分・添加剤への過敏症、シクロスポリンその他のカルシニューリン阻害薬との併用、高用量NSAID(シクロオキシゲナーゼ阻害薬)との併用の3項目であること、4.5が後2者の理由を、カルシニューリン阻害薬では脾臓マクロファージ・単核食細胞機能への推定上の作用(hypothesised effect)、高用量NSAIDでは in vitro でマクロファージ活性化作用を遮断しうることが示されたこと(demonstrated in vitro)と述べ副腎皮質ステロイドの慢性的・定型的使用を避けるよう求めていること、9項の初回承認が2009年3月6日であることを確認した。5.1がMTP-PEを単球・樹状細胞・マクロファージに主に発現するNOD2の特異的リガンドで単球・マクロファージの強力な活性化因子とし、試験管内で処理したヒト単球が同種・自家の腫瘍細胞を傷害したと述べる一方、逐語で "The exact mechanism by which mifamurtide activation of monocytes and macrophages leads to anti-tumour activity in animals and humans is not yet known." と明記していることを2026-09-16に再取得した全文で確認した。閲覧 2026-09-16
  3. 3.Osteosarcoma: The Addition of Muramyl Tripeptide to Chemotherapy Improves Overall Survival—A Report From the Children's Oncology Group(Journal of Clinical Oncology(Meyers PA, et al., INT-0133試験)・2008)抄録で、組入れが臨床的に検出できる転移が無く切除可能と判断された骨肉腫662例であり、シスプラチン・ドキソルビシン・メトトレキサートの累積量を全例同一としてイホスファミドの有無とムラミルトリペプチドの有無を2×2要因デザインで無作為化したこと、ムラミルトリペプチド追加で6年全生存率が70%から78%へ改善し(P=.03、ハザード比0.71、95%CI 0.52〜0.96)、EFSの改善は有意差に至らない傾向(P=.08)にとどまったこと、イホスファミドの追加はEFS・全生存のいずれも改善しなかったことを確認した。閲覧 2026-09-13
  4. 4.Is There a Role for Mifamurtide in Nonmetastatic High-Grade Osteosarcoma? Results From the Italian Sarcoma Group (ISG/OS-2) and Spanish Sarcoma Group (GEIS-33) Trials(Journal of Clinical Oncology(Palmerini E, et al., ISG/OS-2・GEIS-33統合解析)・2025)PMC12456199の全文で次を確認した。序論に逐語で「In 2009, the European Medicines Agency granted a centralized marketing authorization for muramiltripeptide (mifamurtide; MTP) for patients age between 2 and 30 years presenting a high-grade nonmetastatic resected osteosarcoma (EU/1/08/502/001). However, it is unclear which patients could potentially benefit from mifamurtide the most, and no approval has been obtained from the Food and Drug Administration. Moreover, in several European countries, the use of mifamurtide is still limited as the results of the INT-0133 trial have been a matter of debate between key-opinion leaders.」とあること。ISG/OS-2は非対照の第II相試験、GEIS-33は第IV相の観察研究であり、統合398例でミファムルチド併用群の5年EFSが化学療法単独より良好(71.4%対58.3%、P=.0139)だったが多変量解析では確認されなかった(P=.0593)こと、著者が対照群を欠くことを最大の限界として明記していることを確認した。閲覧 2026-09-13