薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · B3 Other / その他 · 必修

ロイコボリン

leucovorin

分類
Vitamins / ビタミン
商品名(日本)
ロイコボリン
商品名(EU)
Leucovorin-TevaLeucovorin PharmacenterLeufolicCalcium Folinate KabiLederfolin
科目
Pharmacology
トピック
B28: Immunopharmacology I (cytotoxic agents)B31: Drugs used in cancer treatment I (antimetabolites)
承認適応
大腸癌巨赤芽球性貧血骨肉腫
副作用
下痢
相互作用
スルファメトキサゾール+トリメトプリム5-フルオロウラシル
対象疾患
コバラミンC欠損症テトラヒドロビオプテリン欠損症(BH4欠損症)トキソプラズマ症ビタミンB6依存性てんかんメタノール中毒原発性中枢神経系リンパ腫毒性アルコール中毒
対象薬
メトトレキサート

🧠 全体像:()は、すでに還元された活性型の葉酸そのもの——DHFR()を経由せずに細胞が直接利用できる葉酸である。この一点が、と組み合わせたときに正反対の2つの顔を生む。メトトレキサートの高用量療法やでは、DHFR阻害による正常細胞への毒性を「救済」する目的で使う一方、では標的酵素との複合体を安定化させて効果を「増強」する目的で使う。同じ薬が「守る」ためにも「攻める」ためにも使われる、レジメンの理解に欠かせない脇役である。

薬効群の中での位置づけ

葉酸関連の3剤は、DHFRを経由するかどうかで役割が分かれる。

薬剤 DHFRとの関係 主な役割
葉酸 DHFRで活性化されて初めて使える 生理的な(欠乏性貧血、予防)
すでに活性型でDHFRを経由しない の毒性からの救済、または5-FUの効果増強
ビタミンB12 別経路(の補因子) の補充のうち神経障害を伴う側

⭐ 「葉酸はDHFR依存、はDHFR非依存」という一点が、低用量メトトレキサート療法で葉酸を、高用量メトトレキサート療法でを使い分ける理由と直結する。 低用量の関節リウマチ治療で併用するのが葉酸なのは、葉酸自体がDHFRを経由しなければ活性化されず、DHFRが阻害されている状況ではを打ち消しきれないからである(低用量での抗炎症作用はアデノシン放出の増加など別経路が主体と考えられている点も合わさり、・消化器症状・肝障害だけを減らせる)。逆に高用量療法のを救済する場面では、DHFRを迂回して活性型がそのまま入るでなければ意味がない——同じ理由で、を漫然と併用すればそのものを打ち消しうる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antifolate'>葉酸代謝拮抗薬</span><br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyrimethamine'>ピリメタミン</span>・高用量メトトレキサート)がDHFRを阻害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dihydrofolate (DHF)'>ジヒドロ葉酸</span>→活性型(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tetrahydrofolate (THF)'>テトラヒドロ葉酸</span>)への<br>還元が止まる"]
    B --> C["宿主細胞・原虫ともに<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='reduced (active) folate'>活性型葉酸</span>が枯渇し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleic acid synthesis'>核酸合成</span>が止まる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leucovorin (folinic acid)'>ロイコボリン</span>(すでに還元された<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reduced (active) folate'>活性型葉酸</span>)を補充"]
    D --> E{"DHFRを経由せず<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='reduced (active) folate'>活性型葉酸</span>をそのまま利用できるか"}
    E -->|"宿主細胞:できる"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleic acid synthesis'>核酸合成</span>が回復し<br>骨髄抑制などの毒性から救済される"]
    E -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Toxoplasma'>トキソプラズマ</span>等の原虫:できない<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='reduced folate'>還元型葉酸</span>の取込み経路を持たない"| G["恩恵を受けられず<br>抗原虫・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antitumor effect'>抗腫瘍効果</span>は保たれる"]
    D -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluorouracil'>5-フルオロウラシル</span>では<br>別の役割"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='FdUMP (fluorodeoxyuridine monophosphate)'>FdUMP</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thymidylate synthase'>チミジル酸合成酵素</span>との<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ternary complex'>三者複合体</span>を安定化"]
    H --> I["阻害が長く強く効く<br>(『救済』ではなく『増強剤』として働く)"]

💡 「救済」と「増強」は矛盾しない。 どちらも「宿主細胞・標的酵素へを直接届ける」という同じ性質から生まれる。メトトレキサート・では標的以外(正常細胞・宿主)を守るために使い、では標的そのもの(の阻害複合体)を強化するために使う。

薬物動態

経口・筋注・静注いずれの経路でも投与できる(高用量療法の救済では静注が主体)。吸収後は速やかに活性型に変換され、DHFRを経由せずにすぐ利用可能になる。高用量メトトレキサート療法では、投与開始から24時間以内に救済を開始し、血中メトトレキサート濃度が10⁻⁸ M未満になるまで6時間ごとに継続するのが標準的な考え方で(⚠️ この「24時間」を上限として書くか開始時刻として書くかは文書で異なる。後述)、開始が40時間を超えて遅れるとが不可逆になりうる1。を持つのはL体()のみで、(通常の)はL体の実質2倍量を投与する換算になる1。

💡 経口では「1回量」に天井がある。 時のの見かけのは25mgで97%、50mgで75%、100mgで37%と、25mgを超えると急落する2。だから総量を増やしたいときは1回量を上げるのではなく回数を増やす——後述するの「1日6回まで分割、1回25mg以下が望ましい」という指示は、このから来ている。のも同じことを「吸収が飽和するので最大用量は25 mg」(スペイン)3、「25〜50 mgを超える量はが飽和するため非経口で投与する」(ハンガリー)4と書いている。

適応

⚠️ 「の適応」は、国・剤形・の3つで割れる。 一国の添付文書だけを読んで「適応は◯つ」と書けない。米国では経口錠と注射剤が別立ての添付文書を持ち、日本ではさらに同じ「錠」でも5mg錠と25mg錠が別の効能を持つ。⚠️ も「の適応」として一括りにできない——加盟国ごとに(SmPC)が別に承認されており、後述のとおりハンガリーの注射剤とスペインの経口錠でも適応が重ならない。適応ごとに用量の決め方(固定量・あたり・体重あたり)も禁忌の線引きも変わるため、「の用法」とひとくくりにしない。

米国

剤形 承認された適応
経口錠(Wellcovorin、2026年3月改訂) ①成人のメトトレキサート排泄遅延時の毒性軽減 ②成人の・DHFR阻害薬の後の毒性軽減 ③FOLR1変異が確認された成人・小児のの治療2
注射剤(2025年9月改訂) ①の高用量メトトレキサート療法後の救済 ②メトトレキサート排泄遅延・の誤ったの毒性軽減 ③経口療法が行えない場合の葉酸欠乏によるの治療 ④進行大腸癌のでと併用して生存期間を延長すること5

日本

⚠️ 日本の電子添文は米国とかなり違う。 ①ごとに効能が別で、②の増強を担うのはのではなくレボであり、③の経口錠25mgが担うのはテガフール・配合剤(UFT)との併用という、今回確認した米国の2文書(経口錠・注射剤)のどちらにも無い適応である。

製品(改訂) 効能又は効果 用法の骨格
注3mg(2023年3月、第1版) 拮抗剤の毒性軽減(この1文だけ。腫瘍名を挙げていない) ①メトトレキサート通常療法・CMF療法・メトトレキサート関節リウマチ療法・M-VAC療法で副作用が発現した場合は1回6〜12 mgを6時間間隔で4回筋注(時は投与したメトトレキサートと同量) ②メトトレキサート・ではメトトレキサート投与終了3時間目から1回15 mgを3時間間隔で9回静注、以後6時間間隔で8回静注または筋注 ③メトトレキサート・交代療法ではメトトレキサート投与後24時間目から1回15 mgを6時間間隔で2〜6回6
錠5mg(2024年3月、第2版) 拮抗剤の毒性軽減 ①上と同じ4療法で1回10 mgを6時間間隔で4回経口 ②メトトレキサート・交代療法で1回15 mgを6時間間隔で2〜6回 ③プララトレキサート投与時は投与後24時間目から1回25 mgを8時間間隔で6回経口し、次回プララトレキサート投与まで72時間以上あける7
錠25mg(2025年4月、第3版)/ユーゼル錠25mg 〈・テガフール・療法〉結腸・に対するテガフール・のの増強(この1つだけ) として75 mgを1日3回に分け(約8時間ごと)UFTと同時に経口。28日間連日投与し7日間を1クール。⚠️ 食事の前後1時間を避ける8
アイソボリン用25mg/100mg(レボ、2026年6月、第2版) ①レボ・療法…胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・に対するのの増強 ②レボ・持続静注併用療法…結腸・、、治癒な及び治癒な進行・再発の胃癌に対する同増強 レボとして1回250 mg/m²を2時間で(週1回6回→2週が1クール)。持続静注併用療法はレジメンにより100・200・250 mg/m²9

⚠️ 5mg錠と25mg錠は互いの適応を持たない。 5mg錠でUFT併用療法はできず、25mg錠でメトトレキサート救済はできない。「錠」という商品名だけで用量を決めない。

⚠️ 日本の注3mgの効能は「拮抗剤の毒性軽減」という一文であり、という腫瘍名は書かれていない。 米国の注射剤が「の高用量メトトレキサート療法後の救済」と腫瘍を名指ししているのとは書き方が違う。「が適応に挙がっている」と言えるのは米国の注射剤の添付文書についてであって、日本の電子添文についてではない。 今回確認したEU2か国(ハンガリーの注射剤・スペインの経口錠)の適応にもという腫瘍名は出てこない43。

EU(加盟国ごとに確認した範囲)

⚠️ は中央審査ではなく加盟国ごとの承認なので、「の適応」を1国の文書で代表させられない。 ここで確認したのはハンガリーとスペインの2か国だけである。

製品(国・改訂) 効能又は効果 用法の骨格
Leucovorin-Teva 10 mg/mL 注射剤(ハンガリー、2021年9月) ①療法における(メトトレキサート等)の作用の中和と毒性軽減、および時(成人および小児)=いわゆるカルシウム救済 ②療法におけるとの併用 救済は初回15 mg(6〜12 mg/m²)をメトトレキサートの開始後12〜24時間(最大24時間)に投与し、同量を6時間間隔で72時間繰り返す4
Lederfolin 15 mg 錠(スペイン、2023年7月) ①葉酸欠乏による ②療法におけるメトトレキサートなどの毒性軽減・作用の中和、および時(併用は適応に無い) は1日1錠15 mgを通常10〜15日間。救済はメトトレキサート静注の開始から24時間が経過してから15 mg(およそ10 mg/m²)を6時間ごとに合計10回3

⭐ ここが日本といちばん違う。 ハンガリーのでは、のカルシウムそのものが併用の適応を持つ4。日本でこの役割を担うのはレボ(アイソボリン)で、の注3mg・錠5mgの効能は「拮抗剤の毒性軽減」にとどまる6。「はの構成薬」という言い方が成り立つかどうかは国で変わる。

⚠️ 同じの中でも、併用が適応に入るかは剤形で分かれている。 スペインの経口錠Lederfolinの適応に併用は無く、代わりにの治療がある3。=ハンガリー版と読み替えない。

💡 救済を始める閾値は、ハンガリーのが数字で書いている。 による救済はメトトレキサート500 mg/m²超で必要、100〜500 mg/m²では考慮する4。米国の経口錠も日本の電子添文も、この「どの用量から救済が要るか」という閾値を数字で示していない。

実地での使いどころ

上のとは別に、実地では次の場面で用いる。

領域 使いどころ
高用量メトトレキサート救済 ()のほか・の高用量療法でも同じ考え方で用いる
増強 ・(大腸癌)、()、FLOT(胃癌・)などのレジメンの構成薬になる。⚠️ 日本ではこの役割を担うのはレボである
の救済 +療法(・患者の脳炎・妊婦の胎児感染確定後)での骨髄抑制予防()
米国の注射剤の適応は経口療法が行えない場合の、葉酸欠乏によるの治療5。スペインの経口錠Lederfolinは剤形が逆で、経口錠の適応の筆頭が葉酸欠乏によるであり、1日1錠15 mgを通常10〜15日間とする3。⚠️ 今回確認した日本の製剤4品目(注3mg・錠5mg・錠25mg・ユーゼル錠25mg)と、ハンガリーの注射剤Leucovorin-Tevaの効能又は効果には、この項目は無い4
2026年に米国で経口錠に追加された適応(下の節)
その他() での代謝促進の補助(で補助的に用いるのは・でありではない)

ホリナートとレボホリナートは別の薬剤

⚠️ ()とレボ()を同じ薬として扱わない。力価が2倍違う。 はd体とl体ので、を持つのはl体だけである。したがって同じ効果を得るのに要する量はレボがのおよそ半分になる1。日本の電子添文もそれぞれ「として」「レボとして」と力価の基準を明示して書き分けている69。mg数をそのまま読み替えると2倍の誤りになる。

脳葉酸輸送欠損症(FOLR1-CFTD)

(FOLR1)の変異により髄液中(5-MTHF)が低下する希少なで、2026年3月、米国での適応に「FOLR1の変異が確認された成人・小児のの治療」が追加された2。

項目 内容2
開始量 体重によらず1〜2 mg/kg/日
最大量 体重40kg未満は8.5 mg/kg/日、40kg以上は330 mg/日
分割 1日量を1回または最大6回に分割。1回25mg以下が望ましく、75mgを超える単回投与は行わない
増量 臨床反応をみて調整する

⚠️ この適応の承認根拠はではない。 FOLR1変異例での有効性・安全性を調べたは実施されておらず、2024年までの26報の症例報告・症例レビューに含まれる46例の文献レビューが根拠である。うち経口のみで治療された27例(59%)では、24例でけいれんの重症度・回数の減少、・意思疎通・行動の改善などが報告され、残る3例は不変または症状の進行なしだった。髄液5-MTHFを治療開始前後の両方で測定できたのは7例のみで、7例全例が上昇し5例で正常化した2。⭐ 「27例全例で髄液5-MTHFが上がった」ではない——前後で測れているのは7例だけである。

⚠️ メテニル合成酵素(MTHFS)欠損症の患者には推奨されない。 MTHFSはを5-MTHFへ代謝する主要酵素であり、これを欠くとが作れないためである2。

用法・用量

米国の経口錠の添付文書は、メトトレキサートの排泄遅延がある患者について「メトトレキサート投与から24時間以内に投与せよ」と定める(同剤のメトトレキサート関連の適応自体が「排泄遅延のある成人」に限定されている)。血中メトトレキサート濃度をモニタリングしながら、濃度がに下がるまで継続する。腎機能低下や排泄遅延(貯留)があれば増量・投与延長で対応する。あわせて補液(3 L/日)と(尿pH 7.0以上)を行う2。

経口で救済する場合の用量は10 mg/m²(最大25mg)を6時間ごとで、血清メトトレキサート濃度が10⁻⁸ M(0.01 µmol/L)未満になるまで続ける。⚠️ 6時間ごとに25mgを超える量が必要な場面では経口錠を使わない——この用量・剤形ではメトトレキサート毒性の治療として不十分で死亡につながりうるとして、注射剤へ切り替えるよう明記されている。やメトトレキサート濃度が一定の閾値を超えた場合も、より高用量が必要なので経口を中止して静注・筋注に切り替える(閾値の数字と国差は下記)2。

⚠️ 「24時間」の意味が国によって違う。 米国の経口錠は「メトトレキサート排泄遅延があるとき、メトトレキサート投与から24時間以内に(within 24 hours)投与せよ」と上限として書くのに対し、スペインの経口錠は「メトトレキサート静注の開始から24時間が経過してから救済を開始する」と開始時刻として書き3、ハンガリーの注射剤は「の開始後12〜24時間(最大24時間)」と幅で書く4。⭐ どの文書も「遅れるほど効かない」という向きは共通だが、「24時間以内ならいつでもよい」と読むのはのの書き方とは合わない。

⚠️ 経口から静注へ切り替える閾値も国で違う。 米国の経口錠は「24時間後のがベースラインより50%上昇、24時間値が5×10⁻⁶ M超、または48時間値が9×10⁻⁷ M超」で経口を中止する2。スペインの経口錠は「24時間で10 μmol/L以上、48時間で1 μmol/L以上、または24時間でが100%以上上昇」を早期の排泄遅延として静注へ切り替える3。数字が近いので片方に寄せて覚えない。 ・嘔吐など消化管毒性があるときに非経口へ回す点は両者共通である。

💡 ハンガリーのは、48時間後の残存濃度で増量段階を定めている。 メトトレキサート開始48時間後の残存血中濃度が 0.5 μmol/L以上で15 mg/m²、1.0 μmol/L以上で100 mg/m²、2.0 μmol/L以上で200 mg/m² を6時間ごとにさらに48時間、または0.05 μmol/L未満になるまで追加する4。濃度が高いほど必要量が桁で増える。

⚠️ 日本の電子添文は救済の開始時刻を療法ごとに数字で定めており、米国の「24時間以内」という一般則とは書き方が違う。 注3mgでは、〈メトトレキサート・〉はメトトレキサート投与終了3時間目から1回15 mgを3時間間隔で9回静注し、以後6時間間隔で8回、〈メトトレキサート・交代療法〉はメトトレキサート投与後24時間目から1回15 mgを6時間間隔で2〜6回である6。⚠️ 開始が遅れるほど効果が落ちるという原則は日本の電子添文にも明記されている——「メトトレキサートの時は、すみやかに本剤を投与すること。メトトレキサートと本剤のが長いほど、本剤の効果が低下することがある」6。💡 交代療法の投与回数(2〜6回)は固定ではなく、腎機能低下でメトトレキサートの排泄遅延が疑われる患者や全身状態の悪い患者では多く(6回)、全身状態が良好で腎機能が正常なら少なくできると用法の注意に書かれている7。

💡 日本にはプララトレキサート救済という用法がある。 錠5mgは、プララトレキサート投与後24時間目から1回25 mgを8時間間隔で6回し、次回のプララトレキサート投与までの間隔を72時間以上あける。等の副作用が出なければ1回15 mgへ減量し、減量後に副作用が出れば1回25 mgへ戻せる7。米国の経口錠の添付文書にこの適応・用法は無い。

レジメンでは投与の前または同時に併用するのが標準で、⚠️ 同じ内で混合するとを生じるため混合しない5。の毒性対策としての用量は、のが数字で示している——高用量の、または低用量を長期に用いる場合に、末梢血球数をみながら1日5〜50 mg(ハンガリー)4、1日7.5〜45 mg(スペイン。25 mgを超えると吸収が飽和するため非経口が望ましい)3である。米国の経口錠は・DHFR阻害薬(または)の後という別の場面について1日1回5〜15 mgを挙げる2。⚠️ 「予防的な併用」と「後の処置」は別の場面であり、数字を混ぜない。 実際の用量・・投与期間はレジメン・年齢・腎機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

⚠️ はメトトレキサートの腎毒性を救済しない。 スペインのは「はメトトレキサートの非血液学的毒性(腎における代謝物のに起因する腎毒性など)には効果が無い」と明記する3。⭐ だから補液とはの「おまけ」ではなく、が手当てできない毒性を受け持つ独立した柱である。 既存の腎障害やメトトレキサートによる腎障害があると排泄が遅れ、より高用量・より長期のが必要になる3。

💡 救済が効かない患者がいる。 の低下によってメトトレキサート耐性が生じている場合、同じ輸送系を共有するによる救済にも耐性になる3。逆に、を過量に与えるとメトトレキサートの抗腫瘍活性そのものを妨げうる——とくにで蓄積するで問題になる3。⚠️ 「多めに入れておけば安全」ではない。

禁忌・注意

  • ⚠️ 禁忌は国と製品で違う。「の禁忌は◯項目」と書けない。
文書 禁忌
米国・経口錠 適応ごとに敷居が違う過敏症の既往——・DHFR阻害薬の毒性に用いるときは「重度の過敏反応の既往」、に用いるときは「あらゆる過敏反応の既往」2
米国・注射剤 ビタミンB12欠乏によるその他の5
日本・注3mg/錠5mg 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者の1項目だけ。 ⚠️ B12欠乏性は禁忌に挙がらず、錠5mgでは8.2の重要な基本的注意として「葉酸の投与により、ビタミンB12欠乏による(等)が隠蔽されるとの報告がある」と扱われている67
日本・錠25mg/ユーゼル錠25mg 6項目——①重篤な骨髄抑制 ②下痢() ③重篤な感染症 ④本剤またはテガフール・配合剤の成分への重篤な過敏症の既往 ⑤テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の投与中および投与中止後7日以内 ⑥妊婦または妊娠している可能性のある女性8
・ハンガリー(Leucovorin-Teva 注射剤) 2項目——①成分への過敏症 ②およびその他のビタミンB12欠乏性貧血4
・スペイン(Lederfolin 経口錠) 2項目——①成分への過敏症 ②またはその他のビタミンB12欠乏による3
日本・アイソボリン(レボ) 8項目——重篤な骨髄抑制/下痢/重篤な感染症/多量の腹水・胸水/重篤な心疾患またはその既往/全身状態が悪化している患者/本剤またはへの重篤な過敏症の既往/テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の投与中および投与中止後7日以内9

⚠️ 25mg錠の6項目とアイソボリンの8項目は、単体の禁忌ではなく「併用療法としての禁忌」である。 どちらも効能欄が〈・テガフール・療法〉〈レボ・療法〉という療法の単位で書かれており、禁忌もその療法に掛かる。日本の注3mg・錠5mgが単剤の救済薬として1項目しか持たないのと対比すると構造が見える。⚠️ また日本の25mg錠・アイソボリンはS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)との併用が禁忌で、中止後7日以内も含む——米国の添付文書にはこの規定が無い。

  • ⚠️ (PCP)の治療でST合剤にを併用してはならない。 経口錠の添付文書も「ST合剤との併用を避けること」と明記し、ST合剤の有効性が低下しうること、感染者のPCP急性期治療でと死亡率の上昇と関連したことを理由に挙げている2。根拠となったRCT(患者92例)では、好中球減少はむしろ少なかった(23% vs 47%)にもかかわらず、プラセボ群に比べが有意に高く(15% vs 0%、P=0.01)、死亡も多かった(11% vs 0%。では P=0.02)10。💡 とは異なり、Pneumocystis jiroveciiはを利用できる可能性があり、宿主だけを救済するという前提が崩れる。を懸念してPCP治療にを安易に追加しない。
  • ⚠️ B12欠乏を除外せずにへ投与しない。 書き方は文書ごとに違い、米国の注射剤は「ビタミンB12欠乏によるその他の」を禁忌として掲げ5、米国の経口錠は同じ内容を適応の限定として述べ2、EU2か国のはいずれも禁忌に置き43、日本の錠5mgは重要な基本的注意(8.2)として「葉酸の投与により…(等)が隠蔽されるとの報告がある」と述べる7。理由はいずれも同じで、血液学的寛解が得られても神経症状が進行しうるためである。⭐ 禁忌欄に置いているのは今回確認した5文書のうち3つ(米国の注射剤・ハンガリー・スペイン)で、置いていないのは日本の錠5mg(8.2 重要な基本的注意)と米国の経口錠(1.3 Limitations of Use=適応の限定)の2つである。置かれている節が違うだけで、臨床的な要求は同じである。
  • ⚠️ でできた大球症をで「治療」しない。 ヒドロキシカルバミド・・・チオのように合成を直接または間接に阻害する薬は大球症を起こすが、EU2か国のはいずれもこの種の大球症をで治療してはならないと明記している43。葉酸欠乏によると見分けずに投与すると、原因薬を見落としたまま所見だけを動かすことになる。
  • ⚠️ に投与しない。 されたのを治療する場合であっても、をに投与してはならない。米国の注射剤の添付文書はとして「は有害または致死的となりうる」と大文字で記載し51、日本の注3mgも適用上の注意14.1.1で「本剤はしないこと」と明記している6。
  • ⚠️ との併用ではを通常より減量する。 ・下痢を中心とする消化管毒性がより高頻度で、重篤かつ遷延しうる。高齢者では重症腸炎・下痢・脱水による死亡が報告されている。消化管毒性の症状は、程度を問わず完全に消失するまで併用療法を開始・継続してはならない52。
  • ⚠️ のにはではない。むしろ毒性を増強する側である。 米国ではまたはのに対する緊急治療薬としてウリジントリアセタート(Vistogard)が承認されており、適応は「後(症状の有無を問わない)」または「投与終了後96時間以内に心臓・中枢神経系を侵す早期発症の重篤・生命を脅かす毒性、あるいは早期発症の異常に重い(消化管毒性・好中球減少など)を示した」成人・小児の緊急治療である。用量は成人で10 g(1包)を6時間ごとに20回、小児であたり6.2 g/m²(1回10 gを超えない)を6時間ごとに20回、いずれも食事を問わずする11。⚠️ これは米国の規定である。 日本には本剤の承認製品が見当たらない——PMDAの未承認薬データベース(更新日2026年7月31日)の米国分一覧に、 URIDINE TRIACETATE が米国で承認され国内未承認の新として載っている(当該行の効能欄はXURIDENとVISTOGARDの両方の適応を載せる)。⚠️ ただし同データベース自身が「承認状況等を保証するものではありません」と注記しており、当該行の調査日は2018年2月21日である12。国ごとの承認状況の詳細はウリジントリアセタートのノートを見る。
  • ⚠️ 日本の錠25mg・ユーゼルのは「・テガフール・療法」に掛かる。 本療法に関連したと考えられる死亡例が認められており、重篤な下痢、等の重篤な肝障害、重篤な骨髄抑制が致命的な経過をたどりうること、S-1との併用を行わないことがに置かれている8。を単剤の救済薬として使う場面(日本の注3mg・錠5mg)には、このは掛からない。
  • 一部のとの相互作用が双方向にある。葉酸を大量に用いると・フェニトイン・の抗てんかん作用を打ち消し、感受性のある小児でけいれんの頻度を増やしうる。で同じことが起こるかは不明だが代謝経路が一部共通するため、これらを併用中の患者ではけいれんの監視を強める。逆に、これらのは葉酸の吸収・代謝を落とすことでの効果を減じうる2。

副作用

頻度 内容
高頻度 は高く、単独投与での重大な副作用は乏しい
注意 との併用時に下痢・・・骨髄抑制が増強される5
重篤・まれ 過敏反応(そう痒・皮疹・じん麻疹・呼吸困難・アナフィラキシー反応、悪寒、体温変化)2、誤ってした場合の致死的神経毒性

まとめ

  • はすでに還元されたで、DHFRを経由せず利用できる点が全ての作用の起点。
  • メトトレキサートの高用量療法・では正常細胞・宿主を守る「救済」、では複合体を安定化する「増強」という正反対の目的で使われる。
  • ⚠️ 適応も禁忌も、国・剤形・の3つで割れる。「の適応は◯つ」「禁忌は◯項目」と書けない。 米国では経口錠と注射剤で承認された適応が別で、過敏症の既往が禁忌になる敷居(重度のみか、あらゆるものか)も適応で変わる。日本では同じ「錠」でも5mg錠(拮抗剤の毒性軽減)と25mg錠(UFTの増強)が互いの適応を持たない。 も加盟国ごとにが別なので1国で代表させられない——確認したハンガリーの注射剤とスペインの経口錠でも適応が重ならない。
  • ⚠️ 「はの構成薬」が成り立つかは国で変わる。 ハンガリーのはのカルシウムそのものに併用の適応を与えているが、日本でこの役割を担うのはレボである。
  • ⚠️ 日本での増強を担うのは、のではなくレボ(アイソボリン)である。 とレボは別の薬剤で、活性を持つのはl体だけなので力価が2倍違う——mg数をそのまま読み替えない。日本の経口錠25mgが担うのは、米国の添付文書に無いテガフール・配合剤との併用療法である。
  • ⚠️ 日本の注3mgの効能は「拮抗剤の毒性軽減」の一文で、という腫瘍名は出てこない。 を名指しするのは米国の注射剤の添付文書である。
  • ⚠️ のにはではない——むしろ毒性を増強する。米国で緊急として承認されているのはウリジントリアセタートであり、成人10gを6時間ごとに20回する。
  • の治療でを併用できるのは、原虫がの取込み経路を持たず抗原虫効果が保たれるため。
  • ⚠️ のST合剤治療にはを併用しない。 とは事情が異なり、・死亡のリスクを上げるというの結果があり、添付文書も併用回避を指示している。
  • 高用量メトトレキサート療法では、救済の開始は遅くとも24時間あたりで、40時間を超える遅延は不可逆的毒性のリスクを高める。経口で6時間ごとに25mgを超える量が要るなら注射剤へ切り替える。⚠️ ただし「24時間」の意味は文書で違う——米国は「24時間以内」という上限、スペインは「24後」という開始時刻、ハンガリーは「開始後12〜24時間」という幅、日本は療法ごとの固定時刻(はメトトレキサート投与終了3時間目)である。
  • 2026年に米国で(FOLR1-CFTD)が経口錠の適応に加わった。根拠はではなく46例の症例報告の文献レビューである。
  • は致死的となりうるため行わない。B12欠乏を除外せずにへ単独投与しない。⚠️ B12欠乏性を禁忌に置いていないのは、今回確認した5文書のうち日本の錠5mg(8.2 重要な基本的注意)と米国の経口錠(1.3 Limitations of Use という適応の限定)の2つである。禁忌欄に置くのは米国の注射剤とEU2か国(ハンガリー・スペイン)で、節が違うだけで臨床的な要求は同じである。
  • ⚠️ はメトトレキサートの腎毒性には効かない。 補液とは別の柱であって、省略できる付け足しではない。低下によるメトトレキサート耐性例では救済にも耐性になり、逆に過量のはそのものを妨げうる。

出典

  1. 1.Leucovorin(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)機序・適応・投与法(10 mg/m²を6時間ごと、メトトレキサートの細胞内ポリグルタミン酸化が進むため救済開始が40時間を超えて遅れると組織毒性が不可逆になりうること)・B12欠乏マスクのリスク・髄腔内投与が致死的となりうること・レボロイコボリンはラセミ体ロイコボリンの半量に相当すること閲覧 2026-09-08
  2. 2.WELLCOVORIN (leucovorin calcium) tablets, for oral use — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration・2026)2026年3月改訂の経口錠添付文書で、適応が①成人のメトトレキサート排泄遅延時の毒性軽減②成人の葉酸拮抗薬またはDHFR阻害薬の過量投与後の毒性軽減③葉酸受容体1遺伝子(FOLR1)の変異が確認された成人・小児の脳葉酸輸送欠損症(FOLR1-CFTD)の治療の3つであること、FOLR1-CFTDの用量が体重40kg未満で1〜2 mg/kg/日開始・最大8.5 mg/kg/日、40kg以上で1〜2 mg/kg/日開始・最大330 mg/日であり、1日量は1回または最大6回に分割し1回25mg以下が望ましく75mgを超える単回投与は行わないこと、メトトレキサート救済の経口用量が10 mg/m²(最大25mg)を6時間ごとで血清濃度10のマイナス8乗M未満までであり6時間ごとに25mgを超える量が必要なら経口錠では不十分で注射剤へ切り替えること、禁忌が適応別に書き分けられ葉酸拮抗薬・DHFR阻害薬の毒性では重度の過敏反応の既往・FOLR1-CFTDではあらゆる過敏反応の既往であること、メテニルテトラヒドロ葉酸合成酵素(MTHFS)欠損症には推奨されないこと、ビタミンB12欠乏による悪性貧血その他の巨赤芽球性貧血には適応がないこと、ST合剤との併用を避けることとHIV感染者のニューモシスチス肺炎急性期治療で治療失敗率と死亡率の上昇と関連したこと、フルオロウラシルの毒性を増強し高齢者で重症腸炎・下痢・脱水による死亡が報告されていること、一部の抗てんかん薬との相互作用、経口投与時のレボロイコボリンの見かけの生物学的利用率が25mgで97%・50mgで75%・100mgで37%であること、承認根拠が臨床試験ではなく2024年までの26報の症例報告・症例レビューに含まれる46例の文献レビューであり経口のみで治療された27例のうち24例で神経症状の改善が報告され残る3例は不変または進行なしであったこと、髄液5-MTHFを治療開始前後の両方で測定できたのは7例のみで7例全例が上昇し5例が正常化したことを確認した。閲覧 2026-09-08
  3. 3.LEDERFOLIN 15 mg comprimidos — Ficha técnica(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios(AEMPS CIMA/Pfizer S.L.)・2023)スペインの公的登録簿CIMAから全文(本文の改訂は2023年7月)を取得して確認した。経口錠の4.1の適応は2つで、①葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血②細胞毒性療法におけるメトトレキサートなど葉酸拮抗薬の毒性軽減と作用の中和、および過量投与時、である。5-フルオロウラシルとの併用は本剤の適応に含まれない。4.2は巨赤芽球性貧血に1日1錠15 mgを通常10〜15日間とし、吸収が飽和するため最大用量は25 mgとする。メトトレキサートのレスキューは、メトトレキサート静脈内投与の開始から24時間が経過してから開始し、通常フォリン酸15 mg(およそ10 mg/m2)を6時間ごとに合計10回投与する。血清クレアチニンとメトトレキサート濃度を1日1回以上測定し、メトトレキサート濃度が0.05 μmol/L未満になるまで、1日3リットルの補液と尿のアルカリ化(pH 7以上)とともに継続する。排泄遅延が早期に生じた場合(24時間で10 μmol/L以上または48時間で1 μmol/L以上、あるいは24時間で血清クレアチニンが100%以上上昇)は静注へ切り替える。ピリメタミン毒性には1日7.5〜45 mgを用いるが、25 mgを超えると吸収が飽和するため非経口が望ましいとする。4.3の禁忌は成分への過敏症と、悪性貧血またはその他のビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血。4.4はフォリン酸の過量投与がメトトレキサートの抗腫瘍活性を妨げうること(とくに反復投与で蓄積する中枢神経系腫瘍)、膜輸送低下によるメトトレキサート耐性は同じ輸送系を共有するフォリン酸レスキューへの耐性も意味すること、フォリン酸はメトトレキサートの腎毒性など非血液学的毒性には効果が無いこと、細胞毒性薬による大球症をフォリン酸で治療してはならないことを述べる。閲覧 2026-09-13
  4. 4.Leucovorin-Teva 10 mg/ml oldatos injekció — Alkalmazási előírás(Országos Gyógyszerészeti és Élelmezés-egészségügyi Intézet(OGYÉI/Teva Gyógyszergyár Zrt.)・2021)ハンガリーの医薬品データベースから全文(本文の改訂日は2021年9月14日)を取得して確認した。4.1の適応は2つで、①細胞毒性療法における葉酸拮抗薬(メトトレキサート等)の作用の中和と毒性軽減、および過量投与時(成人および小児。これを calcium folinate rescue と呼ぶ)②細胞毒性療法における5-フルオロウラシルとの併用、である。葉酸欠乏性貧血の治療も骨肉腫という腫瘍名も適応に挙がらない。4.2はフォリン酸レスキューがメトトレキサート500 mg/m2超で必要・100〜500 mg/m2では考慮とし、初回15 mg(6〜12 mg/m2)をメトトレキサート点滴の開始後12〜24時間(最大24時間)に投与し、同量を6時間間隔で72時間繰り返すとする。25〜50 mgを超える量は腸管吸収が飽和するため非経口で投与する。メトトレキサート開始48時間後の残存血中濃度が0.5 μmol/L以上で15 mg/m2、1.0 μmol/L以上で100 mg/m2、2.0 μmol/L以上で200 mg/m2を6時間ごとにさらに48時間、または0.05 μmol/L未満になるまで追加する。ピリメタミン毒性には1日5〜50 mgを併用する。4.3の禁忌は成分への過敏症と、悪性貧血およびその他のビタミンB12欠乏性貧血の2つ。4.4は髄腔内投与を禁じ(髄腔内メトトレキサート過量投与後に髄腔内フォリン酸を投与して死亡した症例報告を挙げる)、ヒドロキシカルバミド・シタラビン・メルカプトプリン・チオグアニンなど細胞毒性薬による大球症をフォリン酸で治療してはならないとし、フェノバルビタール・フェニトイン・プリミドン・スクシンイミド系の血漿濃度低下による発作増加に注意を求め、5-フルオロウラシルと同一の注射・点滴内で混合してはならないとする。閲覧 2026-09-13
  5. 5.Leucovorin Calcium for Injection — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed/Sagent Pharmaceuticals)・2025)2025年9月改訂の注射剤添付文書で、適応が①骨肉腫の高用量メトトレキサート療法後の救済②メトトレキサート排泄遅延および葉酸拮抗薬の誤った過量投与の毒性軽減③経口療法が行えない場合の葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血の治療④進行大腸癌の緩和的治療で5-フルオロウラシルと併用して生存期間を延長することの4つであること、5-FUと同じ点滴内で混合すると沈殿を生じるため混合しないこと、禁忌がビタミンB12欠乏による悪性貧血その他の巨赤芽球性貧血であり血液学的寛解が得られても神経症状が進行しうること、警告として髄腔内に投与された葉酸拮抗薬の過量投与の治療でもロイコボリンを髄腔内投与してはならず髄腔内投与は有害または致死的となりうること、5-FUとの併用では5-FUを通常より減量する必要があり口内炎と下痢を中心とする消化管毒性がより高頻度で重篤・遷延しうること、消化管毒性の症状が完全に消失するまで併用療法を開始・継続してはならないことを確認した。閲覧 2026-09-08
  6. 6.ロイコボリン注3mg 電子添文(ファイザー株式会社・2023)2023年3月改訂(第1版)の電子添文で、一般的名称がホリナートカルシウム水和物(別名ロイコボリンカルシウム)であること、4.効能又は効果が「葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減」の一文のみで腫瘍名を挙げていないこと、6.用法及び用量が3つの療法に分かれ、メトトレキサート通常療法・CMF療法・メトトレキサート関節リウマチ療法・M-VAC療法で副作用が発現した場合は1回6〜12mgを6時間間隔で4回筋肉内注射し過量投与時は投与したメトトレキサートと同量を投与すること、メトトレキサート・ロイコボリン救援療法ではメトトレキサート投与終了3時間目より1回15mgを3時間間隔で9回静脈内注射し以後6時間間隔で8回静脈内または筋肉内注射すること、メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法ではメトトレキサート投与後24時間目より1回15mgを6時間間隔で2〜6回投与すること、2.禁忌が「本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者」の1項目だけでビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血が禁忌に挙がっていないこと、14.1.1で本剤を髄腔内投与しないことと定めていること、14.1.2でメトトレキサートの過量投与時はすみやかに本剤を投与しメトトレキサートと本剤の投与間隔が長いほど本剤の効果が低下することがあるとしていること、10.2の併用注意に葉酸代謝拮抗剤とスルファメトキサゾール・トリメトプリムを挙げこれらの薬剤の作用が減弱することがあるとしていることを確認した。閲覧 2026-09-08
  7. 7.ロイコボリン錠5mg 電子添文(ファイザー株式会社・2024)2024年3月改訂(第2版)の電子添文で、4.効能又は効果が「葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減」であり、メトトレキサート通常療法・CMF療法・メトトレキサート関節リウマチ療法・M-VAC療法では1回10mgを6時間間隔で4回経口投与、メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法ではメトトレキサート投与後24時間目より1回15mgを6時間間隔で2〜6回経口投与であること、プララトレキサート投与時という用法が別に立てられプララトレキサート投与後24時間目より1回25mgを8時間間隔で6回経口投与し本剤投与後から次回プララトレキサート投与までの間隔を72時間以上あけること、口内炎等の副作用があらわれない場合は1回15mgへ減量し減量後に副作用があらわれた場合は1回25mgとすることができること、交代療法の投与回数の目安が腎機能低下傾向などによる排泄遅延のおそれのある患者や全身状態の悪い患者では多く(6回)全身状態が良好で腎機能が正常な患者では少なくできるとされること、2.禁忌が「本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者」の1項目だけであること、8.2で葉酸の投与によりビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血(悪性貧血等)が隠蔽されるとの報告があると重要な基本的注意に置いていること、7.1で嘔吐・激しい下痢のある患者には注射剤の投与を考慮するとしていることを確認した。閲覧 2026-09-08
  8. 8.ロイコボリン錠25mg 電子添文(ファイザー株式会社・2025)2025年4月改訂(第3版)の電子添文で、薬効分類名が還元型葉酸製剤、4.効能又は効果が〈ホリナート・テガフール・ウラシル療法〉「結腸・直腸癌に対するテガフール・ウラシルの抗腫瘍効果の増強」の1つだけであり、メトトレキサート救済も5-フルオロウラシル併用も効能に含まれないこと、6.用法及び用量がホリナートとして75mgを1日3回に分けて(約8時間ごとに)テガフール・ウラシル配合剤と同時に経口投与し28日間連日投与後7日間休薬を1クールとすること、7で本療法は食事の影響を受けるので食事の前後1時間を避けて投与すること、5で術後補助療法における有効性及び安全性は確立していないとされること、2.禁忌が6項目(重篤な骨髄抑制のある患者、下痢(水様便)のある患者、重篤な感染症を合併している患者、本剤またはテガフール・ウラシル配合剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中の患者および投与中止後7日以内の患者、妊婦または妊娠している可能性のある女性)であること、1.警告が本療法に関連したと考えられる死亡例、重篤な下痢、劇症肝炎等の重篤な肝障害・重篤な骨髄抑制、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤との併用を行わないことの4項からなることを確認した。同一の効能・用法・禁忌を持つユーゼル錠25mg(大鵬薬品工業、2025年1月改訂第2版)も併せて取得し一致を確認した。閲覧 2026-09-08
  9. 9.アイソボリン点滴静注用25mg/アイソボリン点滴静注用100mg 電子添文(ファイザー株式会社・2026)2026年6月改訂(第2版)の電子添文で、一般的名称がレボホリナートカルシウム水和物、薬効分類名が活性型葉酸製剤であり、ホリナート製剤とは別の品目であること、4.効能又は効果がレボホリナート・フルオロウラシル療法(胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強)とレボホリナート・フルオロウラシル持続静注併用療法(結腸・直腸癌、小腸癌、治癒切除不能な膵癌及び治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する同増強)の2本立てであること、用法がレボホリナート・フルオロウラシル療法で1回250mg/m2を2時間かけて点滴静注し開始1時間後にフルオロウラシル600mg/m2を静注、週1回6回繰り返した後2週間休薬を1クールとすること、持続静注併用療法ではレジメンにより1回100mg/m2・200mg/m2・250mg/m2が使い分けられること、2.禁忌が8項目(重篤な骨髄抑制、下痢、重篤な感染症、多量の腹水・胸水、重篤な心疾患またはその既往歴、全身状態が悪化している患者、本剤またはフルオロウラシルに対し重篤な過敏症の既往歴、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中および投与中止後7日以内)であること、3.1組成で力価がレボホリナートとして表示されることを確認した。閲覧 2026-09-08
  10. 10.Adjunctive folinic acid with trimethoprim-sulfamethoxazole for Pneumocystis carinii pneumonia in AIDS patients is associated with an increased risk of therapeutic failure and death(Journal of Infectious Diseases・1994)AIDS患者のPCP治療(92例)でST合剤にロイコボリンを併用した群は、好中球減少は少なかった(23% vs 47%)ものの、プラセボ群と比べ治療失敗率が高く(15% vs 0%、P=0.01)、死亡も多かった(11% vs 0%、P=0.06。生存解析では P=0.02)という二重盲検RCT閲覧 2026-08-10
  11. 11.VISTOGARD (uridine triacetate) oral granules — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed/BTG International Inc.)・2023)DailyMedの当該setidのページをブラウザUA付きcurlで取得して確認した。Highlights末尾に印字された改訂表示は Revised: 10/2023(ページ上部の Updated March 31, 2026 は掲載側の更新日で、SPLは version 3)、Packager は BTG International Inc、Initial U.S. Approval は2015。1の適応は逐語で "indicated for the emergency treatment of adult and pediatric patients: following a fluorouracil or capecitabine overdose regardless of the presence of symptoms, or who exhibit early-onset, severe or life-threatening toxicity affecting the cardiac or central nervous system, and/or early-onset, unusually severe adverse reactions (e.g., gastrointestinal toxicity and/or neutropenia) within 96 hours following the end of fluorouracil or capecitabine administration."、Limitations of Use は逐語で "not recommended for the non-emergent treatment of adverse reactions associated with fluorouracil or capecitabine because it may diminish the efficacy of these drugs"。2.1の用量は成人10g(1包)を6時間ごとに20回、小児6.2 g/m2(1回10gを超えない)を6時間ごとに20回でいずれも食事を問わない。2.2は軟らかい食物3〜4オンスに混ぜて30分以内に摂取・顆粒を噛まない・水を4オンス以上飲む・2時間以内に嘔吐したら1回分を再投与・必要なら経鼻胃管または胃瘻から投与すると定める。4 CONTRAINDICATIONS と 5 WARNINGS AND PRECAUTIONS はどちらも逐語で None.。6.1は135例中2例(1.4%)が有害反応で中止、重篤およびGrade3以上は1例(Grade 3の悪心・嘔吐)で、Table 2 は嘔吐13例(10%)・悪心7例(5%)・下痢4例(3%)。12.1はウリジンがUTPへ変換されFUTPのRNA取り込みと競合すると述べ、"Uridine is not found in DNA" と明記する。14のTable 4は、30日生存または30日より前の化学療法再開を生存とし、過量投与117例で114例(97%)、早期発症毒性18例で16例(89%)、全体135例で130例(96%)。支持療法のみを受けた過量投与25例の後ろ向き症例報告では84%が死亡したとする。閲覧 2026-09-17
  12. 12.未承認薬データベース(米国または欧州で承認されている新有効成分含有医薬品のうち国内未承認のもの)(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA、厚生労働省からの委託)・2026)ページに示された更新日は2026年7月31日。リンクされている米国分のExcel(https://www.pmda.go.jp/files/000281963.xlsx )のシート「2015」に、有効成分名 URIDINE TRIACETATE・企業名 WELLSTAT THERAP・承認日2015年9月4日・調査日2018年2月21日の行があり、効能欄はXURIDEN(遺伝性オロト酸尿症)とVISTOGARD(フルオロウラシル・カペシタビンの過量投与等への緊急治療)の両方の適応を載せている。掲載基準はページに「調査時点において海外承認日より3か月以上遅れて国内未承認である品目」と書かれている。欧州分のExcel(https://www.pmda.go.jp/files/000281964.xlsx )にウリジントリアセタートの行は無い。ページ自身が「承認状況等を保証するものではありませんので、正確な情報は各国ウェブサイト等で確認してください」と注記している。閲覧 2026-09-17