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Drug Atlas · B3 Hematopoietic growth factors / 造血因子製剤 · 必修

ロキサデュスタット

roxadustat

分類
HIF-PH inhibitors / HIF-PH阻害薬
商品名(日本)
エベレンゾ
商品名(EU)
Evrenzo
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
承認適応
慢性腎臓病腎性貧血
副作用
血栓塞栓症
監視検査値
ヘモグロビン(Hb)
対象疾患
慢性疾患に伴う貧血

🧠 全体像は、外からのようなそのものを補充するのではなく、「低酸素にいる」と体にさせて内因性EPO産生を引き出すという発想の転換でを治療する、初の経口HIF-PH阻害薬である。は本来、低酸素環境で分解を免れて・鉄利用を促す転写因子だが、の患者では下でも分解され続けている。はこの分解酵素(水酸化酵素)を止めることで、注射薬であるESAに対する経口の代替選択肢を提供する。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 機序 特徴
などESA 外因性の補充 注射(皮下・静注) そのものを補充する直接的なアプローチ
HIF-PH阻害→内因性EPO産生増加+鉄改善 経口 注射が不要。鉄利用も同時に高める点がESAと異なる

「EPOを足すか、EPOを作らせるか」という発想の違いが、ESAとHIF-PH阻害薬を分ける軸。 ESAは外因性のEPOそのものを補充するのに対し、は低酸素を模倣してEPO遺伝子の転写を高め、体自身にEPOを作らせる。さらにを抑制して鉄のからの動員を促すため、鉄が不足していると反応しにくいESAの弱点を部分的に補う1

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='normoxia'>常酸素</span>下では<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PHD'>プロリン水酸化酵素</span>が<br>HIF-αをヒドロキシ化"] --> B["ヒドロキシ化されたHIF-αはVHL複合体で分解される"]
    C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='roxadustat'>ロキサデュスタット</span>がPHDを可逆的に阻害"] --> D["HIF-αが分解されず安定化・蓄積"]
    D --> E["HIF-αが核内でHIF-βと二量体を形成"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythropoietin, EPO'>エリスロポエチン</span>遺伝子の転写を促進"]
    E --> G["肝での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepcidin'>ヘプシジン</span>産生を抑制"]
    F --> H["内因性EPO産生増加→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythropoiesis'>赤血球造血</span>を刺激"]
    G --> I["鉄の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal absorption'>腸管吸収</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='storage iron'>貯蔵鉄</span>からの動員が促進される"]
    H --> J["ヘモグロビン上昇"]
    I --> J

💡 低酸素環境を模倣するという発想が、EPO産生と鉄利用の両方を同時に動かす。 高地に住む人や運動時に体が低酸素に適応する仕組み(HIF経路の活性化)をそのまま的に再現しているため、EPO遺伝子だけでなく、鉄の吸収・利用に関わる遺伝子群も同時に動く——これがESA単独より鉄欠乏の影響を受けにくい理由になる。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収・代謝 、主に肝で代謝される
半減期 約12〜14時間
投与頻度 週3回などが基本(透析スケジュールに合わせることが多い)

適応

KDIGO 2026年指針では、可逆的な貧血の原因(鉄欠乏、出血など)を是正した上で、ESAが効果不十分または投与困難な場合の次の選択肢として位置づけられる2

用法・用量

体重に応じた初回用量から開始し、ヘモグロビンの反応をみながら週3回など間欠的なスケジュールで漸増・する。ESAとの併用は推奨されない。実際の用量・は透析の有無・体重・肝腎機能で異なるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 心血管・血栓塞栓症の既往、、妊娠のある患者では投与を避ける(いずれもハイリスク集団として指針が注意喚起している)2
  • ヘモグロビンを11.5 g/dL以上に維持しない——過剰な上昇は血栓塞栓症リスクを高めうる2
  • ESAとの併用は推奨されない
  • 患者では慎重投与し、定期的な肝機能モニタリングを行う

副作用

頻度 内容
注意
重篤・まれ 血栓塞栓症(バスキュラーアクセス血栓症を含む)、

まとめ

  • 初の経口HIF-PH阻害薬。水酸化酵素を阻害してHIF-αの分解を防ぎ、内因性EPO産生と抑制による鉄改善の両方を同時に引き出す。
  • 注射薬であるESA(など)に対する経口の代替選択肢という位置づけで、2018年に中国で世界初承認された。
  • KDIGO 2026年指針では、可逆的原因是正後もESAが効果不十分・投与困難な場合の次の選択肢とされる。
  • 心血管・血栓塞栓症の既往、、妊娠のある患者では避け、Hbを11.5 g/dL以上に維持しない。
  • 血栓塞栓症・のモニタリングが必要で、ESAとの併用は推奨されない。

出典

  1. 1.KDIGO 2026 Clinical Practice Guideline for the Management of Anemia in Chronic Kidney Disease(Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO)・2026)2026年KDIGO貧血指針が、可逆的原因を是正した患者ではESAをHIF-PH阻害薬(ロキサデュスタットなど)より第一選択として弱く推奨し、心血管・血栓塞栓症の既往、活動性悪性腫瘍、多発性嚢胞腎、増殖性網膜症、妊娠のある患者ではHIF-PH阻害薬を避けるよう注意していることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Roxadustat: First Global Approval(Drugs誌(Dhillon S)・2019)ロキサデュスタットが2018年に中国で世界初承認されたHIF-プロリル水酸化酵素阻害薬であり、HIF-PHを可逆的に阻害してHIF-αの分解を防ぎ、内因性エリスロポエチン産生の増加とヘプシジン低下による鉄利用能改善を介して腎性貧血を治療する機序を確認した。閲覧 2026-08-10