組織病理学

組織病理学 · H1-079

骨肉腫

Osteosarcoma - BONE

描出疾患
骨肉腫・ユーイング肉腫

🧠 全体像:は、悪性腫瘍細胞が直接、腫瘍性または骨を形成するである。診断の核は「がある」ことだけではなく、悪性細胞と連続して不規則なが産生されていることである。

標本の要点

項目 所見
臓器 骨
染色 ・染色(HE)
腫瘍細胞 、、核、異型有糸分裂
診断的基質 腫瘍細胞が直接産生する好酸性
太く不整で、編み目状・レース状になりうる
正常を破壊して浸潤

腫瘍性類骨の形成

flowchart TD
    A["悪性骨形成系細胞"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aberrant cell type'>異型細胞</span>が増殖"]
    B --> C["細胞間へ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteoid'>類骨</span>基質を直接産生"]
    C --> D["不規則なレース状<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteoid'>類骨</span>"]
    D --> E["石灰化・腫瘍性骨形成"]
    B --> F["周囲正常骨を破壊"]
    F --> G["局所浸潤・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hematogenous metastasis'>血行性転移</span>"]

観察の順序

  1. 正常と腫瘍部の境界を確認する。
  2. の強い腫瘍細胞と異型有糸分裂を探す。
  3. 腫瘍細胞の間に直接形成された好酸性基質を追う。
  4. 基質が単なる線維化や壊死物ではなく、として連続することを確認する。
所見 読み方
無構造から細いレース状の好酸性基質
悪性細胞との関係 を腫瘍細胞が直接取り囲み産生する
正常 規則的なをもち、骨芽細胞縁取りを示しうる
破壊 腫瘍に取り込まれするが、これだけでは腫瘍性骨形成の証拠にならない

⭐ 既存骨を破壊しているだけの肉腫はではない。悪性腫瘍細胞による・骨の直接産生が必要である。

主な亜型

亜型 優位な基質
骨芽細胞型 腫瘍性・骨が豊富
型 悪性が目立つが、腫瘍性も確認する
線維芽細胞型 が目立ち、が少ない
型 血液腔が目立ち、との鑑別を要する

💡 型との鑑別には分子情報が加わった。 は「」の名を残したまま、現在はの良性腫瘍として扱われ、原発性の約3分の2にがある。一方、・瘍・などに二次的に生じる様変化にはUSP6再構成がない1。血液腔が目立つ病変でUSP6再構成が無いことは、型や二次性変化の可能性を残す所見であって、それだけで良性を意味しない。こうした分子情報の組み込みは、2020年5月刊行の軟部・骨腫瘍分類第5版の主要な変更点でもある2。

鑑別

病変 鑑別点
骨芽細胞性形成はあるが、悪性・破壊性浸潤を欠く
骨折 反応性骨形成で細胞異型が乏しく、臨床的骨折部位と対応する
悪性軟骨が主体で、悪性細胞による産生を欠く
を示すが、腫瘍性を形成しない

💡 と低悪性度の境目は、形態だけでは決まらないことがある。 低悪性度ではMDM2とCDK4が強くびまん性に発現し94%で両者がするのに対し、の陽性は不定かつ限局的にとどまり、小柱型骨形成線維腫では全例陰性だったという報告がある。迷う症例ではこの2つの免疫染色が補助になる3。

まとめ

  • は悪性腫瘍細胞が・骨を直接形成する腫瘍である。
  • 、有糸分裂、正常に加え、腫瘍性を必ず確認する。
  • 破壊された既存と、新生した腫瘍性を区別する。
  • 量が少ない亜型でも、診断には悪性細胞との直接的な関係が重要である。

出典

  1. 1.Aneurysmal bone cyst: a review(Journal of Pathology and Translational Medicine・2023)動脈瘤様骨嚢腫は多房性の血液充満腔からなる良性かつ局所破壊性の骨腫瘍で、原発性の約3分の2にUSP6遺伝子再構成がある。骨肉腫・巨細胞腫瘍・線維性異形成など他の骨腫瘍に二次的に生じる動脈瘤様骨嚢腫様変化にはUSP6再構成がない閲覧 2026-08-24
  2. 2.Updates from the 2020 World Health Organization Classification of Soft Tissue and Bone Tumours(Histopathology・2021)WHO軟部・骨腫瘍分類第5版は2020年5月に刊行され、分子学的特徴づけの進歩にもとづく分類の精緻化、補助診断法の整備、新規腫瘍型の追加が主要な変更点である閲覧 2026-08-24
  3. 3.An immunohistochemical based assessment of murine double minute 2 (MDM2) and cyclin-dependent kinase 4 (CDK4) in jaw osteosarcoma and benign osseous lesions(Oral and Maxillofacial Surgery・2026)低悪性度骨肉腫ではMDM2とCDK4が強くびまん性に発現し94%で共発現するのに対し、骨芽細胞腫の陽性は不定かつ限局的、若年性小柱型骨形成線維腫は全例陰性。形態が紛らわしい症例でこの2つの免疫染色が鑑別の補助になる閲覧 2026-08-24