内科学

内科学 · L-69

骨髄炎

Osteomyelitis

前提:病態
骨髄炎・Paget病黄色ブドウ球菌
前提:正常
総論:骨学総論
疾患
結核性脊椎炎骨髄炎骨膜下膿瘍脊椎椎体炎・椎間板炎
画像所見
Modic変化
スコア
PEDIS分類

🧠 全体像:骨髄炎は骨の感染症であり、血行性、隣接組織からの波及、外傷・手術や関連に分ける。で病変範囲を捉え、可能なら抗菌薬開始前の血液培養とで起因菌を同定する。

原因と臨床像

経路・背景 主な起因菌・特徴
血行性 黄色ブドウ球菌が最多。小児の、成人の椎体に多い
外傷・隣接感染 糖尿病足、、開放骨折ではしばしば
関連 S. aureus、。
特殊背景 足底穿刺では緑膿菌、鎌状赤血球症ではも考慮。は亜急性〜慢性

急性〜亜急性では局所痛、圧痛、腫脹、熱感、発熱・悪寒を来す。慢性例では疼痛反復、瘻孔、変形、創治癒不良が中心で、全身症状を欠くことが多い。片を、その周囲の反応性新生骨をという。

診断

flowchart TD
    A["局所痛・発熱・難治性創"] --> B["血算、<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C-reactive protein'>CRP</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythrocyte sedimentation rate'>ESR</span>、血液培養2セット"]
    B --> C["単純X線"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='magnetic resonance imaging'>MRI</span>で骨髄・軟部組織・膿瘍を評価"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone biopsy'>骨生検</span>で組織・培養"]
    E --> F["菌と感受性に合わせ治療"]

単純X線は早期には正常でも、後に、、を示す。は早期、、軟部組織・の評価に最も有用である1。血行性では血液培養が陽性となりうるが、陰性でも除外できない。安定患者では、可能なら抗菌薬前に画像誘導下または手術時の骨検体を採取する。表面だけで深部起因菌を決めない。

💡 では probe-to-bone テストが最初の一手になる。 した鈍な金属ゾンデでを探り、硬い骨に触れれば陽性とする。7件の研究を統合した感度は 0.87(95%CI 0.75〜0.93)、特異度は 0.83(95%CI 0.65〜0.93)で、が高い患者では陽性が診断を支持し、低い患者では陰性が除外に役立つ2。IWGDF/ 2023はこれを単純X線と・・のいずれかと組み合わせて初期検査とし(条件付き推奨)、それでも診断が不確かなときにを行うことを強い推奨としている1。

⚠️ 表在の培養は骨の起因菌を代表しない。 骨培養と非骨培養のは報告の多くで 50%未満で、最も一致するのは黄色ブドウ球菌である1。IWGDF/ 2023は骨髄炎を疑う場合、軟部組織ではなく骨検体を術中または経皮的に採取することを提案し、が起因菌を決める唯一の確定的方法だとしている1。軟部組織を採るときも、表在よりのほうが培養の感度・特異度が高い1。

治療

敗血症、神経障害、急速進行例では培養後直ちに経験的抗菌薬を開始する。リスク、グラム陰性菌リスク、感染経路、地域耐性に応じて選び、で狭域化する。治療期間は部位、手術、残存、菌、反応により異なるが、成人のなどでは一般に約6週を目安とする。

💡 は静注にである(OVIVA試験)。 骨・症の成人1054例で、最初の6週間を経口でした群と静注でした群を比べたところ、1年時点の確定的は 13.2% 対 14.6%、群間差 −1.4(90%CI −4.9〜2.2)で 7.5 を満たし、カテーテル合併症は静注群に多かった(9.4% 対 1.0%)3。の高い薬剤を選べること、外科的コントロールが済んでいることが前提で、「骨髄炎だから長期静注」という反射を見直す根拠になる。

💡 期間は「切除したかどうか」で変わる。 骨髄炎について IWGDF/ 2023 は、骨切除も切断も行わなければ6週間、小切断後に骨断端培養が陽性なら最長3週間を目安とし、非手術例で6週を超える必要が無いことは2件の無作為化試験が支持するとしている1。感染骨を取り切れたぶんだけ抗菌薬期間は短くできる、というのが期間設定の原理である。

膿瘍、、、脊髄圧迫、不安定性、内科治療不応では・排膿を行う。は感染時期、安定性、菌、軟部組織を踏まえ、温存+、一段階/二段階交換、を選択する。では血流評価、、創管理、も不可欠である。

まとめ

  • はと病変範囲の、は起因菌確定に重要である。
  • 抗菌薬は培養に基づき、・膿瘍・にはコントロールを組み合わせる。は、条件が整えば経口が静注にである3。
  • 慢性例は全身症状が乏しくても否定できない。

出典

  1. 1.IWGDF/IDSA Guidelines on the Diagnosis and Treatment of Diabetes-related Foot Infections (IWGDF/IDSA 2023)(International Working Group on the Diabetic Foot (IWGDF) / Infectious Diseases Society of America (IDSA)・2023)推奨7で probe-to-bone テスト・単純X線・赤沈またはCRPまたはプロカルシトニンの組合せを糖尿病足骨髄炎の初期検査とし(条件付き・低)、推奨8で臨床所見・単純X線・検査値でなお診断が不確かなときにMRIを行うことを強く推奨した(強い推奨・中等度)。推奨10で骨髄炎を疑う場合は軟部組織ではなく骨検体を術中または経皮的に採取することを提案し、骨培養が起因菌を決める唯一の確定的方法である一方、骨培養と非骨培養の一致率は報告の多くで50%未満であるとした。抗菌薬期間は、骨切除も切断も行わない糖尿病足骨髄炎で6週間、小切断後に骨断端培養が陽性の場合は最長3週間を目安とし、非手術例で6週を超える必要は無いことを2件の無作為化試験が示すとした。表在スワブより組織検体のほうが培養の感度・特異度が高いとして組織検体の採取を勧めた。閲覧 2026-08-25
  2. 2.Diagnostic Accuracy of Probe to Bone to Detect Osteomyelitis in the Diabetic Foot: A Systematic Review(Clinical Infectious Diseases・2016)7件の研究を統合し、糖尿病足骨髄炎に対する probe-to-bone テストの感度 0.87(95%CI 0.75〜0.93)・特異度 0.83(95%CI 0.65〜0.93)を示した。事前確率が高い患者では陽性所見が診断を支持し、事前確率が低い患者では陰性所見が除外に役立つと結論した。閲覧 2026-08-25
  3. 3.Oral versus Intravenous Antibiotics for Bone and Joint Infection(The New England Journal of Medicine(OVIVA Trial Collaborators)・2019)骨・関節感染症の成人1054例を、治療開始(または手術)から7日以内に経口抗菌薬群と静注抗菌薬群へ無作為に割り付け、最初の6週間を各経路で完遂させた。1年時点の確定的治療失敗は静注群 14.6%・経口群 13.2%で、群間差 −1.4パーセンタイル(90%CI −4.9〜2.2)と非劣性マージン 7.5 パーセンタイルを満たした。重篤有害事象に差は無く、カテーテル合併症は静注群に多かった(9.4% 対 1.0%)。閲覧 2026-08-25