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PEDIS分類

PEDIS classification

臓器系
循環器感染症
科目
CardiologyInternal Medicine
トピック
循環器内科 B-08:動脈疾患の臨床像・身体診察・画像検査と糖尿病足内科学 L-69:骨髄炎
構成:症状
潰瘍紅斑分泌物しびれ

🧠 全体像は、Perfusion(灌流)・Extent(範囲)・Depth(深さ)・Infection(感染)・Sensation(知覚)の5項目に分解し、それぞれを独立にグレード評価する記述的分類である。が研究登録基準の統一を目的に開発したもので、グレード(fI)は、こののInfection項目(IDSA足感染分類と同一)をそのまま取り込んでいる1

目的と適用場面

対象はで、より末梢の潰瘍を指す。多発潰瘍・再発潰瘍・や足の一部切断歴のある患者も対象に含めうる2

💡 はもともとの対象患者を統一する研究登録基準として作られたもので、個々の患者を診療の場で層別化する目的では設計されていない。研究では、5項目それぞれのグレードをそのまま記述に使う「分類」としての使い方と、各項目を0点から採点して合計する「PEDISスコア(0〜12点)」として使う使い方の両方がある12

⭐ 灌流は脈拍触知(特に)とドプラ検査、下肢虚血が疑われる場合はで評価する。範囲は測定用テープで潰瘍の最大径をし、深さはを触診・して露出する組織(筋・・腱・骨)を確認する。知覚は・指先・痛覚刺激で評価する2

⚠️ ある観察研究では、潰瘍を伴わない軟部組織感染のみの症例、外傷後に生じた潰瘍、を呈する症例を対象から除外している2が疑われる場合は、PEDIS採点を待たずの急性判定表でを評価する。

構成要素と配点

5項目をそれぞれ独立にグレード評価する。ExtentとDepthは潰瘍そのものの大きさ・深さを評価する2

Perfusion(灌流)

Grade 定義
0 の徴候なし
1 PADの徴候はあるが、は伴わない
2 を伴う

Extent(範囲・大きさ)

Grade 定義
0 皮膚は損なわれていない
1 潰瘍面積が1 cm²未満
2 潰瘍面積が1〜3 cm²
3 潰瘍面積が3 cm²

Depth(深さ・

Grade 定義
0 皮膚は損なわれていない
1 表層にとどまる
2 筋膜・筋・腱に及ぶ
3 骨または関節に及ぶ

Infection(感染)

⭐ この項目はIDSA(米国感染症学会)の分類そのものであり、グレード(fI)も同じ基準を用いる1

Grade 定義
0 や炎症所見を認めない(未感染)
1 皮膚・皮下組織に限局する感染。次のうち2項目以上を認める:局所の腫脹または紅斑が潰瘍周囲0.5〜2 cm以内、局所の圧痛・疼痛、局所の熱感、膿性(粘稠で不透明〜白色、または血性)の分泌物。全身症状は伴わない
2 上記ので、紅斑が2 cmを超える範囲に及ぶ、または皮膚・皮下組織より深部(膿瘍、骨髄炎、筋膜炎など)に及ぶが、の徴候はない
3 の徴候を伴う。体温>38℃または<36℃、心拍数>90/分、呼吸数>20/分>12,000/mm³または<4,000/mm³(もしくは未熟顆粒球10%以上)のうち2項目以上を満たす1

Sensation(知覚)

Grade 定義
0 は保たれている
1 が失われている(を伴う)

解釈とカットオフ

はもともと5項目のグレードをそのまま並べて記述する分類であり、点数化を前提としない1。一方、研究では5項目のグレードを合計してPEDISスコア(0〜12点)とし、0〜7点をlow、8〜12点をhighに二分する使い方がある2

ある前向き観察研究(DFU患者100例、6か月追跡)では、high群(34例)はlow群(66例)に比べて次の傾向を認めた(保存的治療のみを除きp<0.052

項目 low群(0〜7点、n=66) high群(8〜12点、n=34)
治癒 49例(74%) 2例(6%)
治癒不良 4例 10例
切断 8例 20例
骨髄炎・プローブ・トゥ・ボーン試験陽性 各2例 各8例

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 個々の患者のには使わない。 IWGDFは、PEDISを含め現時点で利用可能などの分類・スコアリングシステムも、個々のDFU患者の予後を予測する目的では使うべきではないと強く推奨している(根拠の質は低い)。8つの予後関連因子(、PAD、の喪失、潰瘍の面積・深さ・部位、単発/多発、感染)のうち、PEDISを含むどの分類も全てを含んでいない1

⚠️ 目的別に使う分類が異なる。 IWGDFは、医療者間の情報共有にはSINBAD分類を、足感染の評価・管理にはIDSA/IWGDF足感染分類(PEDISのInfection項目と同一)を、灌流評価との恩恵判定には専門的な血管評価が可能な環境でを、地域・施設間の転帰監査にはSINBAD分類を、それぞれ推奨している。PEDIS全体(5項目)はこのいずれの推奨にも単独では選ばれていない1

⚠️ 文献によってグレードの数え方が0始まりか1始まりかが異なる。 IDSA/IWGDF足感染分類の一次資料はUninfected〜Severeの4段階を「PEDIS grade 1〜4」と数える一方、研究で使われるPEDISスコア(0〜12点)の枠組みでは同じ4段階をグレード0〜3として合計点に組み込む。本ノートは後者(0始まり)で5項目を統一して記載した。カルテ記載や文献を読むときは、どちらの数え方かを確認する12

⚠️ Depth(深さ)の判定はの触診・に基づく評価者判断であり、標準化された画像基準を必須としない。プローブ・トゥ・ボーン試験による骨露出の確認は骨髄炎を疑う手がかりになるが、単独で骨髄炎の有無を確定しない2

⚠️ 潰瘍を伴わない軟部組織感染のみの症例、外傷後に生じた潰瘍、を呈する症例には、は想定されていない2

まとめ

  • はDFUをPerfusion・Extent・Depth・Infection・Sensationの5項目で独立に評価する、IWGDFが研究登録基準として開発した記述的分類である。
  • Infection項目はIDSA足感染分類そのものであり、グレード(fI)にそのまま取り込まれている。
  • 5項目を合計した「PEDISスコア(0〜12点)」は研究で治癒・切断などの転帰と関連づけて使われるが、グレードの数え方(0始まり/1始まり)は文献によって異なる。
  • IWGDFは、個々の患者のにはPEDISを含むどの分類も使うべきでないとし、目的別にSINBAD(情報共有・監査)、IDSA/IWGDF足感染分類(感染管理)、WIfI(灌流評価・適応)を使い分けるよう推奨している。
  • 潰瘍、潰瘍を伴わない軟部組織感染にはを適用しない。

出典

  1. 1.IWGDF Guideline on the classification of diabetic foot ulcers(International Working Group on the Diabetic Foot (IWGDF)・2019)このガイドライン本文(全15ページ)を通読し、PEDIS分類が糖尿病足潰瘍(DFU)の記述目的の分類として研究用に開発されたもので、個々の患者の予後予測を目的として作られたものではないこと、患者側因子(末期腎不全)や潰瘍の部位・数を含まないこと、2件の研究で創治癒と複合エンドポイント(治癒不良・切断・死亡)の予測について妥当性が検証され良好な信頼性が示された一方でスコアリングシステムではないこと、IDSA/IWGDF足感染分類(Uninfected/Mild/Moderate/Severeの4段階、PEDIS grade 1〜4に対応)の詳細な臨床基準(局所所見2項目以上・紅斑の範囲・深部組織/骨関節への波及・SIRS基準)、およびこのIDSA/IWGDF分類がPEDIS分類の一部として研究目的で開発され現在は感染管理のガイドとして使われていること(推奨3)を確認した。あわせて、コミュニケーション目的にはSINBAD(推奨1)、灌流評価・血行再建適応にはWIfI(推奨4)、個々の患者の予後予測にはどの分類システムも用いるべきでないこと(推奨2、根拠の質は低い)を確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Role of PEDIS Scoring in Predicting Complications of Diabetic Foot: An Observational Study(International Journal of Current Pharmaceutical Review and Research・2024)この前向き観察研究(全5ページ)を通読し、PEDIS採点でPerfusion・Extent・Depth・Infection・Sensationの5項目をいずれもグレード0始まりで定義していること(Perfusion 0〜2、Extent 0〜3、Depth 0〜3、Infection 0〜3、Sensation 0〜1)、合計点0〜12点をlow(0〜7)/high(8〜12)に二分すること、各項目の評価手技(灌流は脈拍触知・ドプラ・CT血管造影、範囲は測定用テープ、深さは創底の触診・視診による組織層の判定、感染は全身状態評価、知覚は綿花・指先・痛覚刺激)を確認した。また対象を果部(内果・外果)以下のDFU患者100例(多発潰瘍・再発潰瘍・部分切断既往を含み、潰瘍を伴わない軟部組織感染・外傷後潰瘍・急性下肢虚血は除外)とした結果、high群(n=34)はlow群(n=66)に比べ治癒率が低く(2/34 対 49/66)、切断(20/34 対 8/66)・治癒不良(10/34 対 4/66)・骨髄炎とプローブ・トゥ・ボーン試験陽性(いずれも8/34 対 2/66)の頻度が高かったこと(保存的治療以外はp<0.05)を確認した。閲覧 2026-08-10