スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

WIfI分類

WIfI classification

別名
WIfISVS WIfI
臓器系
循環器
科目
CardiologyInternal Medicine
トピック
循環器内科 B-09:下肢末梢動脈疾患の症状・診察・画像診断と糖尿病足内科学 L-08:末梢動脈疾患
構成:症状
安静時痛潰瘍壊疽紅斑
構成:検査値
足趾収縮期血圧・経皮酸素分圧
適用疾患
末梢動脈疾患

🧠 全体像は、における1年以内ので得られる恩恵の大きさを層別化する体系である。虚血の程度だけを段階づけるのに対し、WIfIは創(W)・虚血(I)・(fI)の3軸を独立に採点し、その組み合わせで重症度を捉える点が異なる。

目的と適用場面

対象はによるで、典型的には前足部の虚血性、または2週間以上治癒しない潰瘍・壊疽に、(ABI・またはの低下)を伴うである1

💡 糖尿病患者もこの対象に含まれる点が、旧来の「」の概念からの転換点である。糖尿病患者は神経障害・虚血・感染が複雑に混在するため、旧来の分類ではしばしば評価対象から除外されていた1

⭐ 使う場面は初診時のベースライン評価と、・創処置後の再評価の両方である。

⚠️ 次は対象から除外される。純粋な、血管炎・・放射線などによる創、(突然の疼痛・蒼白・の急性判定表を使う)、急性外傷・切断肢1

構成要素と配点

3つの軸をそれぞれ0(なし)〜3(重度)の4グレードで独立に採点する1

W(創・組織欠損)

Grade 定義
0 潰瘍壊疽なし(のみ)
1 下腿または足の小さく浅い潰瘍。壊疽を伴わない
2 骨・関節・腱が露出する深い潰瘍、または壊疽がに限局する
3 前足部・中足部に及ぶ深く広範な潰瘍(への進展を伴うことがある)、または広範な壊疽

I(虚血)

Grade ABI
0 ≥0.80 >100 mmHg ≥60 mmHg
1 0.60–0.79 70–100 mmHg 40–59 mmHg
2 0.40–0.59 50–70 mmHg 30–39 mmHg
3 ≤0.39 <50 mmHg <30 mmHg

⚠️ ABIとが異なるグレードを示したときは、を主たる判定基準とする。ABIが>1.3)を示す場合もまたはで判定する。糖尿病患者ではによりABIがになりやすいため、の測定を必須とする1

fI(足部感染)

とIDSA(米国感染症学会)の分類を踏まえて対応させたグレードである1

Grade 定義
0 感染の症候なし
1 皮膚・皮下組織に限局し、紅斑0.5 cmを超え2 cm以下の範囲に及ぶ軽度の
2 紅斑が2 cmを超える範囲に及ぶ、またはより深部の組織に及ぶ中等度の
3 (SIRS、発熱・頻脈・頻呼吸・異常など)の徴候を伴う重度の

解釈とカットオフ

3軸のグレード(0〜3)をすべて決めると、64通りの組み合わせをパネルがで臨床1〜4に分類した表に当てはめる1

臨床 1年切断リスク
1 非常に低い(VL)
2 低い(L)
3 中等度(M)
4 高い(H)

⚠️ 5は上の64通りの組み合わせとは別枠で、を行ってもできない足に与える1

⭐ 同じ3軸の組み合わせを、別の対応表に当てはめるとの恩恵も同じくVL〜Hの4段階で読み取れる。この恩恵の評価は感染がコントロールされていることを前提とし、値は臨床の番号と必ずしも一致しない(例:W0・I3・fI0の組み合わせは臨床2=低い切断リスクだが、の恩恵は中等度と評価される)1

💡 切断リスクの表では、他の2軸を固定したまま1軸のグレードだけを上げてリスクが下がることはない。一方、の恩恵の表はこの性が成り立たない——創グレードが上がると恩恵の評価が下がる組み合わせがある。3軸は独立ではなく組み合わせで最終評価が決まるため、1軸だけを見て重症度を判断してはならない1

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 解剖学的な病変分布(どの動脈がどの範囲で閉塞しているか)は含まない。 の治療手順を組み立てる要素のうち重症度の1要素に過ぎず、血管の解剖学的複雑さを評価する別の分類や、患者側のリスクを評価する枠組みと組み合わせて使う必要がある1の術式選択には、解剖学的な病変分布と複雑さを評価するなど別の分類を用いる。

⚠️ の代替ではなく補完である。 これらは虚血の重症度だけを段階づける共通言語として引き続き有用であり、WIfIはそこに創と感染の評価を加える。施設・診療科でどの体系を主に記録に使うか統一する。

⚠️ 虚血の判定に用いるABIは、糖尿病ではによりとなり、実際の虚血を過小評価しうる。の測定を必須とし、も優先する1でも同様のが起こりうるため、同じ考え方でを優先する。

⚠️ 患者側の因子(併存症、可動性、生命予後)を含まない。 WIfIは病態の重症度を定義する目的で作られ、治療法を指定する目的では作られていないため、かはWIfIの判定単独では決まらない1

⚠️ 、純粋なによる創には使わない1

⚠️ の評価でを認めたら、WIfI採点を待たず敗血症としての緊急対応(・全身管理)を優先するの恩恵の評価も感染コントロールが前提であり、が先である。

まとめ

  • は創(W)・虚血(I)・(fI)の3軸をそれぞれ0〜3のグレードで採点し、の1年切断リスクとの恩恵を臨床1〜4(非常に低い〜高い)で層別化する。
  • が虚血の程度だけを見るのに対し、WIfIは創の複雑さと感染の重症度を統合する点が異なり、両者を代替せず補完する。
  • 虚血グレードはABI・で判定し、糖尿病・CKDでのABIにはを優先する。
  • や患者側の因子は含まないため、など別の評価軸・患者リスク評価と組み合わせて使う。
  • fI Grade 3(SIRS徴候)を認めたら、WIfI採点より敗血症対応を優先する。

出典

  1. 1.WIfI classification: the Society for Vascular Surgery lower extremity threatened limb classification system, a literature review(Jornal Vascular Brasileiro (SBACV)・2020)原著(Mills ら, J Vasc Surg 2014)のTable 3・4・5を出典番号付きで再録した文献レビューから確認した(原著本文は403で未取得)。WIfI分類が創(Wound)・虚血(Ischemia)・足部感染(foot Infection)の3軸を0〜3のグレードで独立に採点すること(原著Table 3の内容)、虚血グレードのABI・足関節収縮期血圧・足趾収縮期血圧またはTcPO2の数値区分、足部感染グレードがPEDIS分類とIDSAの糖尿病足感染分類を踏まえて対応させたものであること、3軸の組み合わせを専門家パネルがDelphi法で臨床ステージ1〜4(1年切断リスクVL/L/M/H)と血行再建の恩恵(感染コントロールを前提に同じくVL/L/M/Hだがステージ番号とは独立の評価)に分類したこと(Table 4・5)、対象がCLTI(虚血性安静時痛または2週間以上治癒しない潰瘍・壊疽に客観的血行動態所見を伴う患肢)で純粋な静脈性潰瘍・非動脈硬化性病変・急性下肢虚血・急性外傷を除外すること、糖尿病患者ではABIが動脈石灰化で偽高値となるため足趾血圧測定を必須とすること、WIfI分類がCLTI治療手順を構成する3要素(重症度・解剖学的病変分布・患者併存症)のうち重症度の1要素に過ぎないことを確認した。閲覧 2026-08-04