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足趾収縮期血圧・経皮酸素分圧

Toe pressure and transcutaneous oximetry

別名
足趾収縮期血圧足趾上腕血圧比TBITcPO2経皮酸素分圧足趾収縮期血圧・TcPO2
臓器系
循環器
科目
Translational Medicine and Pathophysiology
トピック
病態生理学 P-1-26:糖尿病の血管機能:レーザードップラー/TcPO2 — 加温反応
関連疾患
末梢動脈疾患
スコア
WIfI分類

🧠 全体像:()の重症度評価はを入口にするが、は部の動脈を圧迫して測るため、糖尿病・でみられるが強いと動脈を圧迫しきれずになる。(TP)と()は、まさにこの弱点を埋め合わせる位置にある指標である。の動脈は部の動脈に比べての影響を受けにくく、に至っては血管の硬さそのものとに皮膚へのを直接測る。が使えない、または信頼できないときに何を見るかという問いに対する答えがこの2つである。

何を測っているか

(TP)は、などに小径のカフを巻いて加圧し、(PPG)またはレーザードプラのセンサーで血流が再開する圧を検出する、レベルでのである。上腕との比を()= ÷ 上腕として算出し、と同じ発想で左右差・上下肢差を評価する。

()は、皮膚に貼付した電極を45℃に加温し(皮膚面では約43℃相当になる)、拡散してきた酸素の分圧を電気化学的に測定する1。加温は血管を拡張させて局所血流を増やし、のも高める。TPが「動脈がを超えて血流を再開できる圧」という血圧を測るのに対し、は「皮膚組織にどれだけ酸素が届いているか」というそのものを測る点が本質的に異なる(病態生理 P-1-26:糖尿病の血管機能:レーザードップラー/ — 加温反応)。動脈の狭窄があってもが発達していればは保たれうるし、逆に動脈が開存していても局所の炎症や浮腫があればは低下しうる。

基準値とカットオフ

は、 0.9〜1.3・またはの足部ドプラ波形と並んで ≥0.70でが否定的と判断される所見の一つである2。

の虚血グレードは、ではなくTP・の実測値を・と並列に用いて判定する2。

グレード TP・
0 ≥0.80 ≥100 mmHg ≥60 mmHg
1 0.60–0.79 70–99 mmHg 40–59 mmHg
2 0.40–0.59 50–69 mmHg 30–39 mmHg
3 <0.40 <50 mmHg <30 mmHg

💡 の区分は、原著の表では 70–100・50–70 と境界値が隣接グレードで重複している。上の表は重複を解消した表記に整えられており、判定結果は変わらない。

⚠️ グレード区分とは別に、創傷治癒・リスクの予測に使う閾値は次のとおりである。

指標 治癒のが上がる目安 のが上がる目安
TP ≥30 mmHg(最大+30%) <30 mmHg(約+20%)
TcPO2 ≥25 mmHg(最大+45%) <25 mmHg(約+20%)

いずれもを対象にした研究に基づくの変化幅であり、「この値なら必ず治る/必ず切断になる」という診断的ではない2。さらにTP<30 mmHgまたはTcPO2<10 mmHgは、1年切断リスクの強い予測因子とされる3。

⚠️ 測定上の注意

測定条件に左右されやすい検査であり、単回の測定値だけで重要な決定をしないことが共通原則である。

TPに特有の注意点

  • に潰瘍・壊疽があったり、すでに切断されていたりすると測定できない。この場合はなどの代替検査に切り替える。
  • カフ幅がの径に対して不適切だと、圧を過大または過小に評価する。
  • 寒やRaynaud現象によるがあると、実際の灌流より低い値が出うる。

に特有の注意点

  • 加温による平衡到達に時間がかかり、1部位あたり平均35分を要する1。
  • ⚠️ ずれる向きを取り違えない。 出典の一覧は過小評価と過大評価をはっきり分けている1。
    • 低く出る(過小評価): 皮膚硬化、浮腫、室温22℃未満、送風(扉の開放)、・表在腱・の上での測定、会話、疼痛、不安、2時間以内の喫煙・摂取。
    • 高く出る(過大評価): 局所の炎症、室温24℃超、座位(下肢を下垂させた体位)。
  • 💡 炎症は「低く」ではなく「高く」出る側である。 充血で皮膚血流が増えるためで、蜂窩織炎を伴う潰瘍で測ると灌流を実際より良く見積もることになる。切断レベルの判定でこの向きを逆に覚えていると、治癒が見込めない高さを「大丈夫」と読む方向に誤るため危険。
  • 喫煙直後・摂取・疼痛・不安は血管収縮を介して値を過小評価させる1。
  • 電極の設置部位(か足底かなど)は施設・の判断に委ねられており、統一された基準がない1。

共通の注意点

  • ⚠️ 単回値だけでやの要否を決めない。 、脈拍・ドプラ波形、他の血流評価と統合して判断する。
  • 糖尿病でのは、部の圧ほどではないにせよ、の圧をある程度押し上げうる2。でも部の圧がになりやすく、この場合はTPの波形とを優先する3。TPが「意外に高い」ときも、や臨床像との整合性を確認する。

経時変化とモニタリング

  • 後の再評価:術前値をベースラインに再測定し、灌流が改善したかを確認する。改善が乏しければ追加のや創部管理の見直しを検討する。
  • 創傷治癒の予測:治療経過中にTP・が上記の治癒側の目安へ近づくかどうかで、保存的治療の継続とのを見直す材料にする。
  • の適応判定:難治性の創傷でが低い症例では、の適応や効果判定にの推移を用いることがある。

まとめ

  • TPはレベルの、は皮膚組織へのそのものを測る指標で、いずれも部で測るがによりになりやすい糖尿病・で代替・補完として使う。
  • ≥0.70はが否定的な所見の一つだが、の虚血グレードはではなくTP・の実測値を・と並べて判定する。
  • 創傷治癒・リスクの予測にはTP ≥30 mmHg/ ≥25 mmHgが目安になるが、を変える指標であって単独の診断的ではない。
  • TPはの創傷・切断・寒冷で測定できないことがあり、は浮腫・炎症・室温・喫煙などの影響を受けやすく再現性に注意を要する。
  • いずれも単回値でを決めず、後の再評価・創傷治癒の予測・の適応判定など経過を追う指標として使う。

出典

  1. 1.What Is Currently the Role of TcPO2 in the Choice of the Amputation Level of Lower Limbs? A Comprehensive Review(Journal of Clinical Medicine (MDPI)・2021)TcPO2測定は電極を45℃に加温し(皮膚面では約43℃相当となる)、1部位あたり平均35分を要するとした。本文 Table 1「Conditions affecting TcPO2 reliability」は影響を過小評価列と過大評価列に分けている——過小評価(Under Estimation)は皮膚硬化・浮腫・室温22℃未満・送風・骨突出部/表在腱/表在静脈上での測定・会話・疼痛・不安・2時間以内の喫煙またはカフェイン摂取、過大評価(Over Estimation)は炎症・室温24℃超・座位(下垂)である。⚠️ 炎症は過大評価側であり、過小評価側ではない。電極の設置部位は施術者の判断に委ねられ、統一された合意はないとした。閲覧 2026-08-04
  2. 2.The intersocietal IWGDF, ESVS, SVS guidelines on peripheral artery disease in people with diabetes mellitus and a foot ulcer(International Working Group on the Diabetic Foot (IWGDF) / European Society for Vascular Surgery (ESVS) / Society for Vascular Surgery (SVS)・2023)TBI≥0.70をABI 0.9〜1.3・triphasic/biphasicの足部ドプラ波形と並べ、PADが否定的となる所見の一つとした。糖尿病足潰瘍患者でTP≥30 mmHgは治癒の事前確率を最大30%高め、TP<30 mmHgは大切断の事前確率を約20%高めるとし、TcPO2≥25 mmHgは治癒の事前確率を最大45%高め、TcPO2<25 mmHgは大切断の事前確率を約20%高めるとした。重症虚血(ABI<0.4、足関節圧<50 mmHg、TP<30 mmHgまたはTcPO2<30 mmHg、または単相性/消失した足部ドプラ波形)はGlobal Vascular Guidelinesの定義を踏襲し、血管専門医への緊急コンサルトを要するとした。糖尿病足では中膜動脈石灰化(MAC)が足関節圧を、程度は弱いがつま先の圧も上昇させうるとした。WIfI虚血グレード表(Table 1B)はABI・足関節収縮期圧・TP/TcPO2の区分をGrade 0(≥0.8/≥100/≥60)〜Grade 3(<0.40/<50/<30)で示した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Global Vascular Guidelines on the Management of Chronic Limb-Threatening Ischemia(Global Vascular Guidelines Writing Group (Society for Vascular Surgery / European Society for Vascular Surgery / World Federation of Vascular Societies)・2019)組織欠損を伴うCLTI疑い例では全例でTPとTBIを測定すべきとし、TP<30 mmHgまたはTcPO2<10 mmHgを1年切断リスクの強い予測因子とした。足関節部の圧測定(AP・ABI)は糖尿病・末期腎不全での中膜石灰化により偽高値になりやすく、AP単独ではCLTI患者の42%を同定できなかったとして、TP・TcPO2の方がAPより正確であるとした。糖尿病・末期腎不全ではTPの波形と収縮期圧を優先するとし、圧測定は動脈ドプラ波形と組み合わせて評価すべきとした。閲覧 2026-08-04