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Symptoms · Published

皮膚壊死

Skin necrosis

別名
skin necrosis皮膚の壊死
臓器系
皮膚
科目
PathologyPathophysiologyDermatologyHistopathology
トピック
病理学 A/01:細胞壊死病態生理学 1-17:凝固系の低下と亢進が併存する病態(TTP・HIT・DIC)皮膚科 3-27:血管炎・多形紅斑・結節性紅斑組織病理 H1-011:前腕・手の湿性壊疽
関連疾患
ヘパリン起因性血小板減少症壊死性軟部組織感染症凍傷播種性血管内凝固
起因薬
メクロレタミン
スコア
WIfI分類

🧠 全体像は「血流が途絶えた」か「直接組織が壊された」かのどちらかで生じる組織死であり、びらん・潰瘍とは深さでなく成り立ちで区別する概念である。壊死組織はいずれ脱落して深い潰瘍を露出させるため、潰瘍の前段階として現れることが多い。原因を機序で群分けすると、の高いもの(、薬剤性)を早期に拾い上げやすくなる。

定義と用語の整理

用語 定義 との関係
壊死(本項の対象) ないし直接的傷害による組織死全般 壊疽はそのうち肉眼的に明らかな組織死を呈する一型1
乾性壊死( 虚血が主体で組織が乾燥・し、境界が比較的明瞭 感染を伴わなければ無菌的に進行し、境界確定を待つ管理もありうる
湿性壊死( 虚血に感染が合併し、組織が融解・腫脹しながら急速に拡大 全身状態を脅かし緊急のを要する1
びらん・潰瘍 そのものを指す所見 壊死組織が脱落すると深い潰瘍として現れ、潰瘍の前段階に位置づけられることが多い

病態生理

機序で群にまとめると、原因検索の優先順位が立てやすい。

  • 大血管の動脈閉塞・塞栓では、血栓症・・解離などによりが突然閉塞し、の乏しい領域から壊死に至る。
  • DICは、いずれも全身のを生じさせて皮膚を含む末梢を虚血に陥れる。はこの性閉塞が皮膚で急速に進み、から壊死へ至る病型である2
  • 血管炎による血管炎が皮膚のを炎症性に閉塞させ、支配領域が梗塞してから壊死・する。
  • 持続的圧迫の持続的圧迫によるが主因で、外力を取り除かない限り進行が止まらない。
  • 感染は筋膜面に沿って感染が急速に広がり、した小血管が支配領域を壊死させる。
  • 薬剤ワルファリン投与初期は・Sが半減期の短さから先に枯渇し、一過性のを来してを生じることがある。
  • :進行した腎不全患者でが石灰化し、形成が加わって内腔が狭窄・閉塞する3

⚠️ 見逃してはいけないもの

  • ⚠️ 外観に不釣り合いな激痛・急速拡大を伴う壊死は、蜂窩織炎で片付けずとして外科的評価を急ぐ。 した小血管と浅在神経の破壊によりにかえって疼痛が和らぐことがあり、軽快と読み違えない。
  • ⚠️ ・進行した腎不全患者に生じる網状の有痛性皮疹は、を疑う。 1年死亡率が50%を超える致死的な病態であり3、局所の創処置だけでは進行を止められない。
  • ⚠️ 急速に拡大する広範な紫斑とを疑い、敗血症・DICの評価を急ぐ。 真の的緊急事態であり2、新生児では先天性欠損症も鑑別に挙げる。
  • ⚠️ ワルファリン投与開始後まもなく生じるは、を疑う。 症患者で顕在化しやすく、の継続可否を急いで判断する。

鑑別の進め方

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='skin necrosis'>皮膚壊死</span>を確認"] --> B{"数時間〜1日の急速な進行か"}
    B -->|"はい"| C{"外観に不釣り合いな激痛・全身毒性を伴うか"}
    C -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='necrotizing soft tissue infection'>壊死性軟部組織感染症</span>を疑い外科的評価を急ぐ"]
    C -->|"いいえ"| E{"広範な紫斑を伴い敗血症・DICの背景があるか"}
    E -->|"はい"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='purpura fulminans'>電撃性紫斑病</span>を疑う"]
    B -->|"いいえ(数日〜週単位)"| G{"分布は四肢末端で境界明瞭か"}
    G -->|"はい"| H["動脈閉塞・塞栓を疑い血流評価"]
    G -->|"いいえ"| I{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bony prominence'>骨突出部</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immobilization'>不動化</span>患者か"}
    I -->|"はい"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pressure ulcer'>褥瘡</span>による圧迫壊死を想定"]
    I -->|"いいえ"| K{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dialysis patient'>透析患者</span>・進行腎不全で網状有痛性皮疹か"}
    K -->|"はい"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calciphylaxis'>カルシフィラキシス</span>を疑う"]
    K -->|"いいえ"| M["血管炎・薬剤性(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='warfarin-induced skin necrosis'>ワルファリン起因性皮膚壊死</span>)を検索"]

対症療法の考え方

壊死組織そのものへの介入が必要な場面と、原疾患の治療に委ねるべき場面を区別する。

  • の適否:湿性壊死・感染合併は緊急の適応である一方、境界の明瞭な乾性壊死では自然脱落を待つ管理が選ばれることもある。
  • 乾性壊死を湿潤環境にしないびらん・潰瘍で標準とされる湿潤環境を、感染のない乾性壊死にそのまま適用すると湿性化を招き感染リスクを高める。
  • 由来の壊死はの見直しなしに進行を止められない。
  • :動脈閉塞由来の壊死はの適応評価が進行を止める唯一の手段であり、局所処置だけでは不十分。
  • 原疾患治療に委ねる場面の石灰化そのものは局所処置で止められず、透析条件の是正など原疾患側の管理が主軸になる。も抗凝固・原疾患治療が主軸で、局所の創処置は補助に留まる。

まとめ

  • または直接的傷害による組織死で、脱落すると深い潰瘍として現れ潰瘍の前段階になりうる。
  • 壊疽はそのうち肉眼的に明らかな組織死を呈する一型で、無菌的に進行すると感染を合併し急速に拡大するに分かれる。
  • 機序は大血管の動脈閉塞・塞栓、(DIC・)、血管炎による、持続的圧迫、感染、薬剤、に大別できる。
  • ⚠️ は見逃すと致命的な経過をたどる。
  • 対症療法はの適否・湿潤環境の可否・で構成されるが、は局所処置よりも原疾患治療が主軸になる。

出典

  1. 1.Gangrene(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)壊疽は虚血または感染による壊死の一型であること、乾性壊疽は虚血が主体で組織が乾燥・ミイラ化し感染を伴わない無菌的な経過をたどることが多いこと、湿性壊疽は虚血に感染が合併し組織が融解・腫脹しながら急速に拡大することを確認した。閲覧 2026-08-04
  2. 2.Calciphylaxis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)カルシフィラキシスは細動脈中膜の石灰化に内皮傷害・微小血栓形成が加わって内腔が狭窄・閉塞する病態であること、大半が進行した腎不全患者に生じること、1年死亡率が50%を超える致死的な病態であることを確認した。閲覧 2026-08-04
  3. 3.Purpura Fulminans(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)電撃性紫斑病は皮膚微小血管の血栓性閉塞により紫斑病変と皮膚壊死を来す真の皮膚科的緊急事態であること、急性型は敗血症時の細菌内毒素によるプロテインC・S・アンチトロンビンの消費で生じ、新生児型は先天性プロテインC欠損症により出生後5日以内に発症することを確認した。閲覧 2026-08-04