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Disease Atlas · 腫瘍 · 腫瘍

リンパ腫様丘疹症

Lymphomatoid papulosis

別名
LyP
臓器系
腫瘍皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-14:皮膚T細胞リンパ腫
上位概念
皮膚T細胞リンパ腫
鑑別疾患
急性苔癬状痘瘡状粃糠疹未分化大細胞リンパ腫
治療薬
メトトレキサート
症状
丘疹皮膚結節皮膚壊死

🧠 全体像:(LyP)は、組織学的にはリンパ腫の顔をしているのに、臨床的には自然に治ってしまうという一見矛盾した病態である1。陽性のが皮膚に浸潤するが、丘疹・結節は2〜12週で治療なしに自然消退し、再発を繰り返しながら何年も経過する。原発性皮膚陽性という一つのカテゴリの中に、この良性寄りのLyPと、より腫瘤形成性の原発性皮膚(C-ALCL)が連続したスペクトラムとして存在し、全体の中では「まれだがに出会う」位置づけにある2。

疫学と臨床像

皮膚リンパ腫の約12%を占め、好発年齢は35〜45歳。性差については報告により幅があり、引用元では男女比が概ね1:5(女性に多い)とされる1。

⭐ 診断の手がかりは「経過」そのものである。 体幹・四肢に多発する丘疹や結節が、しばしば壊死を伴いながら2〜12週で自然消退し、萎縮性(様)瘢痕を残すことがある1。この「出ては消える」を年余にわたり反復するのが典型経過で、単発の生検所見だけでなく臨床経過を合わせて診断する必要がある。

組織型・遺伝子型

2018年の-EORTC分類改訂で、組織型・遺伝子型のスペクトラムが拡張された2。

型 特徴
A型 陽性細胞が多い。全体の80%超を占める最多の型で、CD4陽性・CD8陰性
B型 に類似し、陽性細胞は乏しいか無く、を示す
C型 陽性の大型リンパ球からなるプラーク状病変
D型 CD4陰性・CD8陽性。侵襲性のT細胞リンパ腫に組織学的に類似する
E型 血管中心性で、大型の壊死性・(eschar様)を呈する
DUSP22-IRF4再構成型 6p25.3のDUSP22-IRF4遺伝子座の染色体再構成を伴い、CD4陰性でCD8陽性または陰性。形質転換したとの鑑別が問題になる

(2)

💡 組織型を覚えるより「A型が大多数」だけ押さえればよい。 A型が80%超を占め、B型・C型以降は鑑別上の亜型として位置づけられる。

⚠️ 陽性という所見だけでと決めつけない。 はA型LyPで多数の細胞に発現するが、これは良性の炎症性疾患でも部分的に陽性となりうる免疫マーカーであり、自然消退という経過をして組織所見だけで判断すると過剰診断になる。

C-ALCLとのスペクトラム

LyPと原発性皮膚(C-ALCL)は、組織学的・表現型的に重なり合う一つのスペクトラムを形成する2。区別は臨床像で行う。

LyP C-ALCL
経過 再発性・自然消退性の丘疹壊死性病変 孤立性・・多発性の腫瘤
自然消退 あり(2〜12週) 乏しい、または遅い
経過観察〜低用量メトトレキサート 切除・放射線治療が中心

⭐ 同じ組織所見でも、臨床像が診断とを決める。 これが陽性というカテゴリの本質である。

flowchart TD
    A["再発性の丘疹・結節性皮疹<br>(自然消退の既往)"] --> B["皮膚生検:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='CD30'>CD30</span>陽性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atypical lymphocyte'>異型リンパ球</span>"]
    B --> C{"臨床経過は<br>自然消退性か"}
    C -->|"あり・2〜12週で消退"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lymphomatoid papulosis'>リンパ腫様丘疹症</span>"]
    C -->|"乏しい・進行性の腫瘤"| E["原発性皮膚<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anaplastic large cell lymphoma (ALCL)'>未分化大細胞リンパ腫</span>を疑う"]
    D --> F["経過観察、または低用量メトトレキサートで頻度・重症度を制御"]
    D --> G["長期的に二次性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='blood dyscrasias'>血液疾患</span>のリスクを評価"]

治療

⭐ メトトレキサートが組織型によらない全身治療の第一選択で、週7.5〜25mgの低用量投与により90%で良好〜非常に良好なが得られる1。療法や外用薬も選択肢となる。病変が少なく症状が乏しい例では、自然消退を待つ経過観察のみで対応することも多い。

二次性血液疾患のリスクと予後

⚠️ LyPは「治る皮疹」であると同時に「見張り続けるべき疾患」でもある。 5年間で2〜15%の患者が、・性T細胞リンパ腫・・陽性大細胞リンパ腫などの二次性を発症し、が長いほど・発症年齢が高いほどリスクが上がる1。

一方でLyPそのものの10年はほぼ100%であり2、LyPで命を落とすのではなく、合併しうる別のが予後を左右するという理解が実務的に重要である。

まとめ

  • は、陽性のからなる皮疹が2〜12週で自然消退することを繰り返す、のT細胞リンパ腫である。
  • 組織型はA〜E型とDUSP22-IRF4再構成型があるが、A型(CD4陽性・CD8陰性)が80%超を占める。
  • ⭐ C-ALCLとは組織学的に重なるスペクトラムであり、区別は臨床経過(自然消退性か、進行性の腫瘤か)で行う。
  • 治療は低用量メトトレキサートが第一選択で90%が良好に反応するが、でよいことも多い。
  • ⚠️ 5年で2〜15%がなどの二次性を発症する。 LyP自体の生命予後は良好(10年ほぼ100%)だが、長期のを要する。

出典

  1. 1.Lymphomatoid Papulosis(StatPearls(NCBI Bookshelf)(Toumi A, Fazal S, Litaiem N)・2023)リンパ腫様丘疹症は、CD30陽性の組織像を示しうる再発性・自然消退性の丘疹結節性(時に壊死性)皮疹を特徴とする非侵襲性のT細胞リンパ腫であること、皮膚リンパ腫の約12%を占めること、好発年齢は35〜45歳で男女比は概ね1:5(女性に多い)とされること、皮疹は通常2〜12週で消退し萎縮性(痘瘡様)瘢痕を残すことがあること、組織型としてCD30陽性細胞が多いA型、菌状息肉症に類似しCD30陽性細胞が乏しいB型、CD30陽性の大型リンパ球からなるプラークを示すC型の3型が主に認識されること、菌状息肉症・紅皮症性T細胞リンパ腫・ホジキン病・CD30陽性大細胞リンパ腫などの二次的血液疾患を発症するリスクが5年で2〜15%あり罹病期間が長いほど・高齢であるほどリスクが高いこと、全身治療の第一選択はメトトレキサート(週7.5〜25mg)で組織型によらず良好な奏効を示すこと、10年疾患特異的生存率はほぼ100%であることを確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.The 2018 update of the WHO-EORTC classification for primary cutaneous lymphomas(Blood(Willemze R, Cerroni L, Kempf W, et al.)・2019)2018年改訂のWHO-EORTC分類において、リンパ腫様丘疹症は組織型・遺伝子型のスペクトラムが拡張され、A・B・C型に加えて、CD4陰性・CD8陽性で侵襲性の表皮向性T細胞リンパ腫に類似するD型、血管中心性で大型の壊死性潰瘍を呈するE型、6p25.3のDUSP22-IRF4遺伝子座の染色体再構成を伴いCD4陰性でCD8陽性または陰性となる亜型が追加されたこと、A型が全体の80%超を占めCD4陽性・CD8陰性の表現型をとり原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(C-ALCL)やホジキンリンパ腫との鑑別が問題となること、リンパ腫様丘疹症とC-ALCLは組織学的・表現型的に重なり合う一つのスペクトラムを形成し臨床像(再発性の自然消退性皮疹か、孤立性・多発性の腫瘤か)で区別すること、5年疾患特異的生存率はリンパ腫様丘疹症で99%であることを確認した閲覧 2026-09-06