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SINBAD分類

SINBAD classification

臓器系
循環器感染症
科目
Cardiology
トピック
循環器内科 B-08:動脈疾患の臨床像・身体診察・画像検査と糖尿病足
構成:症状
潰瘍しびれ

🧠 全体像:SINBAD分類は、Site(部位)・Ischaemia(虚血)・Neuropathy(神経障害)・Bacterial infection(細菌感染)・Area(面積)・Depth(深さ)の6項目に分解し、それぞれを0点か1点で採点する記述的分類である。が研究登録基準として各項目を0〜3点まで細かく採点するのに対し、SINBADはあえて二値(該当・非該当)に単純化し、特殊な機器を使わずだけで完結するように設計されている。IWGDFガイドラインは、医療者間の情報共有と地域・施設間の転帰監査という2つの場面で、SINBAD分類を第一選択(強い推奨)として挙げている1

目的と適用場面

対象はで、もとは英国・ドイツ・タンザニア・パキスタンという医療資源の水準が大きく異なる4カ国の症例を同じ基準で比較するために考案された2

⭐ IWGDFガイドラインは、SINBAD分類を次の2つの目的で強く推奨している1

目的 推奨内容
医療者間の SINBAD分類を用い、6項目それぞれの該当有無を明示する。設備・専門性が十分にあればを代替として検討してもよい(Recommendation 1b)
地域・全国・国際的な転帰監査(Recommendation 5) SINBADスコア(合計0〜6点)を用いる

💡 同じSINBAD分類でも、目的によって「何を使うか」が異なる点に注意する。医療者間の情報共有では、合計点だけでは不十分で、6項目それぞれの該当有無を個別に伝える必要がある。一方、監査では合計点そのものを使う1

⚠️ 個々の患者のには使わない。 IWGDFは、SINBADを含め現時点で利用可能などの分類・スコアリングシステムも、個々の患者の転帰を予測する目的では使うべきではないと強く推奨している(Recommendation 2、エビデンスの確実性は低い)1

構成要素と配点

6項目をそれぞれ0点または1点で採点し、合計0〜6点とする21

項目 0点 1点
Site(部位) 前足部 中足部・後足部
Ischaemia(虚血) 少なくとも1本の足の脈拍を触知できる 脈拍を触知できない、または末梢血流低下のがある
Neuropathy(神経障害) は保たれている が失われている(を伴う)
Bacterial infection(細菌感染) 感染徴候なし 感染あり
Area(面積) 潰瘍面積が1 cm²未満 潰瘍面積が1 cm²以上
Depth(深さ) 潰瘍が皮膚・皮下組織にとどまる 潰瘍が筋・腱またはそれより深部に及ぶ

⭐ 各項目とも0点か1点かの二値であり、のように段階を細分した中間点は存在しない。この単純さが、特殊な機器(ドプラ、測定など)を持たない環境でも運用できる理由になっている——単フィラメントによるの評価は推奨されるが、機器がなくても各項目はから判定できる1

解釈とカットオフ

原著の英国コホート(449例)では、SINBADスコアが高いほど治癒までの日数が有意に延びた。ドイツ・タンザニア・パキスタンを含む全4カ国のデータを合わせた解析でも、スコア3点(6点満点)以上で治癒までの日数が状に延びる変化が認められた2

英国のNational Diabetes Foot Care Audit(2021年次報告、患者76,310例・潰瘍108,450件)でも、SINBADスコアが高いほど12週時点で生存かつ潰瘍が治癒している割合が低く、6か月以内にに至る割合が高いことが示されている1

💡 これらの関連はあくまで集団レベルの傾向であり、Recommendation 2が示すとおり、個々の患者の転帰を「スコアが◯点だから治癒する/しない」と断定する根拠にはしない。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 個々の患者のには使わない。 IWGDFの強い推奨(Recommendation 2)が対象とするのはSINBADを含む全ての分類・スコアリングシステムであり、SINBADも例外ではない1

⚠️ 医療者間の情報共有では合計点だけを伝えない。 IWGDFは、この目的では6項目それぞれの該当有無を明示することを最低限の情報共有とみなしており、合計点のみの使用は不十分としている1

⚠️ 患者側の因子を含まない。 や過去の切断歴といった患者関連因子は、SINBAD分類には組み込まれていない。IWGDFは、こうした因子や全身性を組み合わせることで層別化を改善できる可能性があるとし、今後の検討課題としている1

⚠️ 感染の重症度を詳しく段階分けする場面(軽症・中等症・重症の区別が必要な場面)には、SINBADのBacterial infection項目(感染の有無のみ)は情報量が不足する。この用途にはIDSA/IWGDF足感染分類(のInfection項目と同一)を用いる1

⚠️ 灌流障害の程度を詳しく評価しの適応を判断する場面では、Ischaemia項目の二値評価では不十分であり、専門的な血管評価が可能な環境ではを用いる1

まとめ

  • SINBAD分類は、Site・Ischaemia・Neuropathy・Bacterial infection・Area・Depthの6項目をそれぞれ0点または1点で採点し、合計0〜6点とするの記述的分類である。
  • 特殊な機器を必要とせずのみで完結するため、医療資源の水準が異なる地域間でも同じ基準で評価できる。
  • IWGDFガイドラインは、医療者間の情報共有(各項目の該当有無を明示)と地域・国際的な転帰監査(合計点を使用)の2つの場面でSINBAD分類を強く推奨している。
  • 個々の患者のにはSINBADを含むどの分類も使うべきではない。
  • 感染の重症度評価にはIDSA/IWGDF足感染分類、灌流評価・適応にはというように、目的に応じて他の分類と使い分ける。

出典

  1. 1.Use of the SINBAD Classification System and Score in Comparing Outcome of Foot Ulcer Management on Three Continents(Diabetes Care・2008)SINBAD分類の原著。英国(449例)のデータをもとに簡略化した分類とスコアを考案し、ドイツ(239例)・タンザニア(479例)・パキスタン(173例)のデータにも適用したこと、英国コホートでスコアが高いほど治癒までの日数が有意に長いこと、全施設を合わせた解析でもスコア3点(6点満点)以上で治癒までの日数が段階的に延びることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Guidelines on the classification of foot ulcers in people with diabetes (IWGDF 2023 update)(International Working Group on the Diabetic Foot (IWGDF)・2023)このガイドライン本文を通読し、Site・Ischaemia・Neuropathy・Bacterial infection・Area・Depthの6項目をそれぞれ0点または1点で採点し合計0〜6点とするSINBAD分類の定義(Table 2)、医療者間の情報共有にはSINBAD分類(各項目の該当有無を明示、Recommendation 1a・強い推奨・エビデンスの確実性は低い)を第一選択とし詳細な設備・専門性があればWIfI分類を代替として検討すること(Recommendation 1b・条件付き推奨)、個々の患者の転帰予測にはSINBADを含むいかなる分類・スコアリングシステムも用いるべきでないこと(Recommendation 2・強い推奨)、地域・全国・国際的な監査にはSINBADスコア(合計点)を用いること(Recommendation 5・強い推奨)、英国のNational Diabetes Foot Care Audit(2021年次報告、糖尿病患者76,310例・潰瘍108,450件)でSINBADスコアが高いほど12週時点の生存・潰瘍治癒率が低く6か月以内の大切断の割合が高かったこと、SINBAD分類が特殊な機器を必要とせず設備の乏しい地域でも実施可能であること、患者側因子(末期腎不全・過去の切断歴)を含んでいない点は今後の課題とされていることを確認した閲覧 2026-08-10