内科学

内科学 · L-68

関節リウマチ

Rheumatoid arthritis

前提:病態
自己免疫性関節疾患:関節リウマチと強直性脊椎炎
前提:正常
総論:関節学総論
疾患
悪性関節リウマチ関節リウマチ強膜軟化症
症状
強膜炎
検査値
リウマトイド因子抗CCP抗体

🧠 全体像:関節リウマチは、から(pannus)形成、軟骨・骨びらんへ進む慢性である。後、()を開始し、寛解または低疾患活動性を目標に治療を調整する。

病態

(-DRB1(shared epitope)など)と喫煙、などの環境要因を背景に蛋白のが起こり、()が産生される。T細胞、B細胞、、IL-6などがを維持し、が軟骨・骨を破壊する。はIgG Fcに対する自己抗体で、RA以外でも陽性となる。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='genetic predisposition'>遺伝素因</span>+喫煙など"] --> B["蛋白の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='citrullination'>シトルリン化</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='immune tolerance'>免疫寛容</span>破綻"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anti-citrullinated protein antibody'>ACPA</span>・RF、T/B細胞活性化"]
    C --> D["慢性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synovitis'>滑膜炎</span>と血管新生"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pannus formation'>パンヌス形成</span>"]
    E --> F["骨びらん・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cartilage destruction'>軟骨破壊</span>・変形"]

臨床像

MCP、PIP、手関節、MTPを中心に左右対称の疼痛・腫脹とを来す。DIP、第1 CMC、は通常保たれるが、は侵されうる。

変形・合併症 所見
PIP+DIP屈曲
(boutonnière deformity) PIP屈曲+DIP
母指MCP屈曲+IP
MCPで指がへ偏位
、脊髄/。挿管・頸部操作前に注意

には皮下、・、強膜炎、末梢血管炎、、、続発性Sjögren病がある。はRA、好中球減少、脾腫の組合せである。炎症と治療薬の双方が感染・心血管リスクを高めうる。

診断と分類

診断は炎症性の分布・持続、血清、炎症反応、画像を統合し、、、などを除外する。RF、、/を測定し、単純X線を基準画像とする。超音波・は早期や骨びらんの検出に有用である。

💡 画像は診断・評価に使うが、「画像の寛解」をに足してもは示されていない。 未治療の早期関節リウマチ230例で、超音波の信号消失まで目標に含める戦略と従来の臨床目標だけの戦略を比べたところ、の・・に差はなく、2年間のびらん進行も39%対33%( 1.16、95%CI 0.81〜1.66、P=0.40)で差がなかった1。超音波・は早期や骨びらんの検出には有用でも、寛解の判定基準や治療調整の目標としてする根拠は乏しい。

急性や感染疑いではの細胞数、結晶、、培養を優先する。

2010 は、他疾患で説明できない1関節以上のを対象とし、合計 ≥6/10点で分類する2。

💡 2010年基準が作られたのは、1987年基準が早期例を拾えなかったからである。 1987年ACR基準は発症早期の症例に対する感度が不足すると批判されており、2010年基準はそれを受けた改訂である2。2010年基準は「他疾患で説明できないが1関節以上ある」ことを入口条件に置き、関節の数と部位(0〜5点)・血清学的異常・・症状持続期間の4領域を合計10点満点で採点し、6点以上を確定的関節リウマチとする2。旧基準は試験で問われうるので、置き換わったという位置づけとあわせて覚える。

領域 点数
関節罹患 1個:0、2〜10個:1、1〜3個:2、4〜10個:3、10関節超かつ1個以上:5
血清 RF/とも陰性:0、いずれか:2、いずれか高力価:3
/とも正常:0、いずれか異常:1
症状持続 <6週:0、≥6週:1

疾患活動性は腫脹・、患者評価、/を含む検証済みで反復評価する。は経時追跡に使えるがを含まず、IL-6阻害薬や阻害薬では炎症反応低下の影響を強く受けるため、 <2.6だけを厳格な寛解とはみなさない。寛解判定にはACR/ Boolean基準、SDAI、を優先する。2022年改訂のBoolean 2.0は、(PtGA、0〜10 cm)の閾値を従来の1 cmから2 cmへ引き上げたもので、これによりBoolean基準とSDAI・の一致度が改善し、いずれの寛解定義も後のHAQ ≤0.5とX線非進行を予測することが4試験2048例で検証された3。

目標達成型治療

flowchart TD
    A["RA診断"] --> B["メトトレキサート+葉酸を基本に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conventional synthetic disease-modifying antirheumatic drug'>csDMARD</span>開始"]
    B --> C["1〜3か月ごとに活動性と安全性を評価"]
    C --> D{"3か月で改善・6か月で目標達成か"}
    D -->|"はい"| E["寛解/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoactive'>低活動</span>性を維持し減量を慎重に検討"]
    D -->|"いいえ"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='biologic disease-modifying antirheumatic drug'>bDMARD</span>追加を基本とし<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='Janus kinase'>JAK</span>阻害薬は個別リスク評価後に検討"]
    F --> C
  • 第一選択は週1回のメトトレキサート()+葉酸である。禁忌・不耐なら、などを選ぶ。軽症選択例ではも用いる。
  • グルココルチコイドは必要時の短期に限定し、速やかに減量・中止する。は症状を軽減するがを防がない。
  • 2025では、初期戦略で目標未達なら予後因子による振り分けを行わず、阻害薬、、、リツキシマブなどの生物学的()を追加する4。阻害薬など標的合成()は個別の安全性評価後に検討する。2022年版までは「予後不良因子がある場合に限り追加」だったので、振り分けを外したという変更点で覚える4。
  • 阻害薬は重篤感染、帯状疱疹、、悪性腫瘍、リスクを個別評価し、特に高齢、喫煙、心血管・悪性腫瘍リスク例では慎重に選択する。この慎重さの根拠はORAL Surveillance試験で、はこれを受けて・・にMACE・悪性腫瘍・血栓症・死亡増加のを課し、50歳以上かつを1つ以上持つ患者で特にリスクが高いとした5。
  • b/前に結核、B/C型肝炎、ワクチン歴を確認する。は妊娠、重度肝障害などで禁忌となる。

破壊が進行し疼痛・機能障害が残る場合は人工関節置換、などを検討する。

グルココルチコイド中止後も6か月以上のが続けばの用量減量・延長を検討できるが、全中止はしやすいため継続を基本とする。

まとめ

  • RAは優位の対称性、/RF、炎症反応、画像を統合して診断する。
  • 分類基準 ≥6点は診断補助であり、を代替しない2。
  • を軸に早期治療し、3か月で改善、6か月で目標達成を目指して調整する。

出典

  1. 1.Conventional versus ultrasound treat to target: no difference in magnetic resonance imaging inflammation or joint damage over 2 years in early rheumatoid arthritis(Rheumatology (Oxford)(ARCTIC study group)・2020)DMARD未治療の早期関節リウマチ230例を、超音波のパワードプラ信号消失まで目標に含める戦略と従来の臨床所見のみの目標達成型治療に無作為化した。MRIの骨髄浮腫・滑膜炎・腱鞘滑膜炎はどの時点でも両群に有意差がなく、2年間のMRIびらん進行リスクも超音波群39%対従来群33%(相対リスク 1.16、95%CI 0.81〜1.66、P=0.40)で差がなく、超音波の系統的使用に上乗せの利益は無いと結論した。閲覧 2026-08-25
  2. 2.2010 Rheumatoid arthritis classification criteria: an American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism collaborative initiative(Arthritis and Rheumatism・2010)少なくとも1関節の滑膜炎が確認され他の診断で説明できないことを前提に、関節の数と部位(0〜5点)・血清学的異常・急性期反応物質・症状持続期間の4領域の合計10点満点で6点以上を確定的関節リウマチと分類する。1987年基準が早期例に感度不足と批判されたことを受けた改訂である。閲覧 2026-08-25
  3. 3.American College of Rheumatology/EULAR remission criteria for rheumatoid arthritis: 2022 revision(American College of Rheumatology / EULAR・2023)患者全般評価(PtGA)の閾値を従来の1 cmから2 cmへ引き上げたBoolean 2.0を外部検証し、Boolean基準と指数基準(SDAI・CDAI)の一致度が改善すること、いずれの寛解定義も後の良好な身体機能(HAQ 0.5以下)とX線非進行を予測することを4つの無作為化試験2048例で確認した。閲覧 2026-08-25
  4. 4.EULAR recommendations for the management of rheumatoid arthritis with synthetic and biologic disease-modifying antirheumatic drugs: 2025 update(European Alliance of Associations for Rheumatology (EULAR)・2026)csDMARD目標未達時の対応が、2022年版までの「予後不良因子がある場合に限りbDMARD追加を推奨」から、予後因子で振り分けず全例にb/tsDMARD追加を検討する方針へ変更されたことを確認した。閲覧 2026-08-25
  5. 5.FDA requires warnings about increased risk of serious heart-related events, cancer, blood clots, and death for JAK inhibitors that treat certain chronic inflammatory conditions(U.S. Food and Drug Administration・2021)ORAL Surveillance試験を根拠にJAK阻害薬(トファシチニブ・バリシチニブ・ウパダシチニブ)へMACE・悪性腫瘍・血栓症・死亡増加の枠組み警告が追加され、50歳以上かつ心血管危険因子を1つ以上持つ患者で特にリスクが高いことを確認した。閲覧 2026-08-25