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内科学 · L-67

全身性自己免疫疾患:全身性エリテマトーデスとシェーグレン病

Systemic autoimmune diseases: systemic lupus erythematosus and Sjögren's disease

前提:病態
全身性自己免疫疾患の一般的発症機序Ⅲ型・Ⅳ型過敏反応(免疫複合体型/遅延型)
前提:正常
自然自己免疫と病的自己免疫
疾患
シェーグレン症候群横断性脊髄炎乾燥性角結膜炎薬剤誘発性ループス
症状
光線過敏
検査値
リンパ球減少抗ヒストン抗体

🧠 全体像:は自己抗体と免疫複合体により多臓器障害を来す。病(Sjögren disease)は・唾液腺の自己免疫性障害を中心とし、全身病変とリンパ腫リスクも持つ。いずれも分類基準は診断そのものではなく、臨床的鑑別が必要である。

全身性エリテマトーデス

病態と臓器病変

、紫外線、感染、ホルモンなどを背景に、核酸の処理異常、系、B/T細胞活性化、自己抗体と免疫複合体が炎症を起こす。

系統 主な病変
皮膚粘膜 、、、、、血管炎
筋骨格 の、関節痛、筋痛
腎 蛋白尿、血尿、円柱、高血圧、腎機能低下
神経精神 痙攣、精神病、、、末梢神経障害、など
心肺 、、肺胞出血、、肺高血圧、Libman–Sacks心内膜炎
血液 、白血球/、血小板減少、APS
眼・消化管 、、腸間膜血管炎、膵炎など

は腎生検でI:微小、II:増殖、III:、IV:びまん性、V:膜性、VI:進行硬化性に分類する。尿所見、蛋白尿、、補体、抗dsDNA抗体の変化から疑い、に影響する場合は腎生検を行う。

💡 の分類はISN/RPS 2018で改訂されている。 クラスI〜VIという骨格は変わらないが、クラスIVの IV-S()/IV-G()という細分類は廃止され、(細胞性・性・線維性)などの定義が明確化された。代わりに、クラスIII/IVでは修正NIH活動性指数・慢性化指数を報告することになった1。旧来のIV-S/IV-Gは試験で問われうるので、廃止されたという位置づけとあわせて覚える。

自己抗体と分類

検査 学習上の意味
高感度だが非特異的。陰性ならSLEは考えにくい
抗dsDNA抗体 特異度が高く、腎炎・疾患活動性と関連しうる
特異度が高い
抗Ro/SSA・抗La/SSB 、、Sjögren病と関連
、、(anti-β2-glycoprotein I antibody)。血栓・妊娠罹患を評価
/C4 低下は免疫複合体消費と活動性を示唆

2019 /ACR分類基準では、過去に一度でも ≥1:80を入口条件とし、臨床・免疫領域を重み付けして合計 ≥10点、かつ少なくとも1つの臨床項目で分類する。同一領域では最高点のみ数える2。旧ACR「11項目中4項目」やSLICC基準は歴史的・研究上重要だが、現在の中心的分類基準と区別する。分類基準を満たさなくても臨床診断されうる。

⚠️ 分類基準はではない。 2019年/ACR基準はもともとの組入れなど均質な集団を定義するためのであり、陰性ならで除外されるうえ、各領域で最高点しか加算しない2。同じことが2016年ACR/の基準にも当てはまる3。基準を満たさない患者を「SLEではない」としない。

治療

  • (HCQ)は禁忌がなければほぼ全例で用い、あたり概ね ≤5 mg/kg/日とし、眼科スクリーニングを行う4。
  • グルココルチコイドは活動性臓器障害の速やかな制御に用いるが、を可能な限り減らし中止を目指す。 2023はの換算を 1日5 mg以下へ最小化し、可能なら中止することを求め、その手段として・生物学的製剤(、)の早期導入を位置づける4。
  • 皮膚・関節病変では、短期、メトトレキサート、、、などを重症度に応じて選ぶ。
  • 臓器障害では、、、、生物学的製剤を病態別に選ぶ。
  • 活動性LNでは生検型・重症度に応じ、グルココルチコイドにまたは低用量静注を組み合わせ、またはを加える多剤療法も用いる。維持療法を継続し、蛋白尿と腎機能を追跡する。

SLE患者では感染、骨粗鬆症、心血管リスク、妊娠計画、ワクチンを管理する。はSLE全例に機械的に投与せず、APSリスクなど適応を評価する。

薬剤誘発性ループス

、、、、阻害薬などで起こりうる。発熱、関節痛、が多く、古典的薬剤ではを認めやすい。腎・中枢神経病変は典型的SLEより少なく、原因薬中止が基本である。

シェーグレン病

💡 「シェーグレン症候群」から「病」への呼称変更が国際合意になった。 患者側が「症候群」を「漠然とした症状の寄せ集め」と受け取ること、primary/secondary の区別が自己免疫疾患の重なりを説明できないことを理由に、2023年のRome国際合意は ① Sjögren disease(略号 SjD) を用いる、② 他のに併存する場合は secondary ではなく associated と呼ぶ、③ 日常臨床では primary と associated を区別せず「Sjögren disease」と呼ぶ、④ 両者の区別は均質な集団を要する研究に限る、と勧告した5。分類基準の名称(2016 ACR/)には primary Sjögren's syndrome が残っているので、文献の年代で用語が変わる点に注意する。

・唾液腺へのにより(keratoconjunctivitis sicca)とを来す。、、口腔カンジダ、疲労、関節痛のほか、末梢神経障害、、、、を伴いうる。

2016 ACR/EULAR分類基準

などを持つ対象で、除外疾患を確認したうえで合計 ≥4点なら分類する3。検証コホートでの感度は96%(95%CI 92〜98%)、特異度は95%(95%CI 92〜97%)であった3。

項目 点数
陽性 3
≥1/4 mm² 3
≥5(またはvan Bijsterveld ≥4) 1
≤5 mm/5分 1
≤0.1 mL/分 1

治療は、、唾液代替、十分な水分、・定期歯科診療を基本とする。残存機能があれば/を検討し、局所眼炎症には眼科管理下で抗炎症点眼を用いる。全身免疫抑制は臓器病変に限り病態別に行う。

持続する硬い、リンパ節腫大、B症状、紫斑、、低C4、はB細胞リンパ腫を示唆し、組織評価を含め精査する。

まとめ

  • SLEは自己抗体だけでなく多臓器の臨床像と活動性を統合して診断・治療する。
  • 2019 /ACR SLE基準は入口+重み付け2、2016 Sjögren基準はの点数制である3。どちらも分類基準であってではない。
  • HCQ、グルココルチコイド節減、臓器別免疫治療と、Sjögren病の乾燥・リンパ腫リスク管理が重要である。

出典

  1. 1.Revision of the International Society of Nephrology/Renal Pathology Society classification for lupus nephritis: clarification of definitions, and modified National Institutes of Health activity and chronicity indices(Kidney International(ISN/RPS国際腎病理ワーキンググループ、Bajema IM, et al.)・2018)2018年にISN/RPSのループス腎炎分類が改訂され、細胞性・線維細胞性・線維性半月体などの定義が明確化されたこと、クラスIII/IVの活動性・慢性化指標が改訂されIV-S/IV-Gの細分類が廃止されたことを確認した。閲覧 2026-08-25
  2. 2.2019 European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology Classification Criteria for Systemic Lupus Erythematosus(ACR/EULAR・2019)現行の2019年EULAR/ACR分類基準は、ANA 1対80以上の陽性を参入条件とし、7つの臨床領域・3つの免疫領域のうち各領域で最高点のみを加算して合計10点以上で分類することを確認した。閲覧 2026-08-25
  3. 3.2016 American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism classification criteria for primary Sjögren's syndrome: A consensus and data-driven methodology involving three international patient cohorts(Annals of the Rheumatic Diseases(International Sjögren's Syndrome Criteria Working Group)・2017)抗SSA/Ro抗体陽性と口唇小唾液腺のフォーカススコア1以上をそれぞれ3点、眼表面染色スコア5以上(またはvan Bijsterveldスコア4以上)・Schirmer試験5 mm/5分以下・無刺激全唾液流量0.1 mL/分以下をそれぞれ1点とする5項目の重み付け和で、合計4点以上を分類とすること、検証コホートでの感度96%(95%CI 92〜98%)・特異度95%(95%CI 92〜97%)を確認した。臨床試験の組入れ基準として適することも明記されている。閲覧 2026-08-25
  4. 4.EULAR recommendations for the management of systemic lupus erythematosus: 2023 update(European Alliance of Associations for Rheumatology(Fanouriakis et al., Ann Rheum Dis)・2023)ヒドロキシクロロキンは禁忌がなければ全患者に実体重5 mg/kg/日を目標用量として投与すること、維持療法ではグルココルチコイドをプレドニゾン換算1日5 mg以下へ最小化し可能なら中止を目指すこと、疾患コントロールとステロイド減量のために免疫抑制薬・生物学的製剤(アニフロルマブ・ベリムマブなど)の速やかな導入を検討することを確認した。閲覧 2026-08-25
  5. 5.2023 International Rome consensus for the nomenclature of Sjögren disease(Nature Reviews Rheumatology(International Task Force on Nomenclature of Sjögren Disease)・2025)Delphi法による国際合意として、Sjögren syndrome ではなく Sjögren disease(略号 SjD)を用いること、他の全身性自己免疫疾患に併存する場合は secondary ではなく associated と呼ぶこと、日常臨床では primary と associated を区別せず Sjögren disease と呼ぶこと、両者の区別は均質な集団を定義する必要がある研究に限ることの5項目を勧告した。閲覧 2026-08-25