病理学

病理学 · A/36

Ⅲ型・Ⅳ型過敏反応(免疫複合体型/遅延型)

Type III and Type IV hypersensitivity reactions and their pathological presentations

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Mechanism / 機序High-yield / ポイント
応用トピック
動脈疾患の疫学・危険因子・スクリーニング・予防・保存的治療:血管炎薬疹の病型と主な原因薬皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデス血管炎・多形紅斑・結節性紅斑全身性自己免疫疾患:全身性エリテマトーデスとシェーグレン病IgA血管炎・川崎病・小児多系統炎症性症候群・多発血管炎性肉芽腫症IgA血管炎(Henoch–Schönlein紫斑病)
疾患
Mooren潰瘍接触皮膚炎
症状
周辺部潰瘍性角膜炎注射部位反応

🧠 全体像:III型は抗原–抗体複合体が組織に沈着して補体を活性化する「巻き添え」の障害で、IV型は抗体を介さずT細胞が直接攻撃する「遅延型」の障害——両者は(III型は数時間、IV型は24〜72時間)と組織像(III型は、IV型は肉芽腫・)で区別できる。

III型(免疫複合体介在型)

抗原–抗体(免疫)複合体(IC)により誘発される反応。抗原は内因性(自己、ヒストン)にも外因性(細菌、ウイルス)にもなりうる。複合体は通常は貪食で除去されるが、多量に形成され沈着すると疾患となる — 血管・臓器(全身性)や抗原侵入部位(局所)に。

発生機序(3段階):

  1. 循環中でのIC形成 — 抗原+抗体が複合体を形成。軽度の抗原過剰の状況で形成される小〜中型の複合体は貪食で除去されにくく可溶性のまま循環し、組織へ沈着しやすい。
  2. ICの沈着 — 腎、関節、小血管などの組織床に。
  3. 炎症反応 — 沈着したIgG/IgMが補体を活性化 → (C3a/C5a)→ 透過性亢進+好中球・単球の動員。+Hageman因子 → と虚血。
flowchart TD
    A["抗原+抗体が循環中で複合体形成"] --> B["組織床(腎・関節・血管)への沈着"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='complement activation'>補体活性化</span><br>C3a/C5a→好中球・単球の動員"]
    C --> D["血管壁の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fibrinoid necrosis'>線維素様壊死</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='necrotizing vasculitis'>壊死性血管炎</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='microthrombi'>微小血栓</span>"]

形態: 、、。血管壁は(不明瞭な好酸性のタンパク沈着)を示す。

局所IC病 — Arthus反応: 事前に免疫された宿主の皮膚に抗原を注射 → 局所でIC沈着(抗体過剰)→ 浮腫・出血・潰瘍を伴う急性IC血管炎。注射後4〜10時間でピーク。

IV型(細胞介在型・遅延型)

抗体ではなくT細胞が介在。2つの経路:

  • サイトカイン介在性炎症 — CD4⁺ T細胞 → サイトカイン → マクロファージ・好中球を動員・活性化 → 。
  • 細胞介在性細胞傷害 — CD8⁺ ()が宿主細胞を直接殺す。

⭐ IV型は動員される細胞の種類でIVa〜IVdに細分され、の重症型もこの枠組みに位置づけられる。 単球主体のIVa(・1型糖尿病)、好酸球主体のIVb(持続型喘息・)、好中球主体のIVd(・)に対し、CD4/CD8による細胞傷害性のIVcはすべてのIV型反応に関与し、・(の重症型)はこのIVcに位置づけられる12。

⚠️ この4分類はGell & Coombsの拡張の一例であり、体系によって同じ番号が別の反応を指す。 EAACIの2023年改訂はIV型をT細胞応答の型(T1・T2・T3)でIVa〜IVcの3つに再定義した——IVaはTh1とCD8⁺の(Tc1。薬剤への非即時型反応を含む)、IVbはTh2・好酸球、IVcはTh17・ILC3などのIL-17産生細胞によるを特徴とする。つまり好中球性の反応は消えたのではなく上記のIVdからEAACIのIVcへ移り、上記のIVc(細胞傷害性)はEAACIではIVaに含まれる。番号だけで対応づけない3。

2a. 遅延型過敏反応

事前に感作された宿主における抗原への反応。古典的な例 = (PPD)反応。CD4⁺ Th1が介在。

  1. 初回曝露 → がMHC-IIで提示 → IL-12 → Th1との生成。
  2. 再曝露 → Th1・リー細胞の動員。
  3. Th1がIFN-γを分泌 → マクロファージ活性化。/ → 線維芽細胞の増殖+コラーゲン。
  4. 持続刺激 → 慢性炎症 → 肉芽腫(+巨細胞+リンパ球の襟。古い病変は線維化)。

2b. T細胞介在性細胞傷害

III型 IV型
メディエーター 免疫複合体 T細胞(CD4 Th1 / CD8 )
数時間(Arthus 4〜10時間) 遅延(24〜72時間)
組織像 、好中球 、肉芽腫
例 SLE、PAN、GN、 、結核/PPD、、1型糖尿病

💡 ポイント: III型 = 免疫複合体 → 補体 → 好中球 → (SLE、PAN、GN、、Arthus)。IV型 = T細胞介在性・遅延型 — CD4 Th1/IFN-γ → DTH・肉芽腫、CD8 → / → アポトーシス(、、1型糖尿病)。

まとめ

  • III型は抗原抗体複合体の形成→→→血管炎という3段階で進む。
  • Arthus反応は局所の典型で、注射後4〜10時間でピークに達する。
  • IV型はサイトカイン介在性炎症(CD4 Th1、が代表)と細胞介在性細胞傷害(CD8 、-)の2経路からなる。
  • はIFN-γによるマクロファージ活性化を経てに至る。
  • III型は数時間、IV型は24〜72時間とが異なる。
  • III型の代表疾患はSLE、、。IV型の代表疾患は、結核、、1型糖尿病。

出典

  1. 1.Delayed drug hypersensitivity reactions - new concepts(Clinical and Experimental Allergy・2007)遅延型(IV型)はT細胞が動員する細胞の違いで単球主体のIVa、好酸球主体のIVb、好中球主体のIVdに細分され、CD4/CD8による細胞傷害性のIVc(薬疹の重症型であるStevens-Johnson症候群・中毒性表皮壊死症を含む)はすべてのIV型反応に関与する閲覧 2026-08-27
  2. 2.Chapter 28: Classification of hypersensitivity reactions(Allergy and Asthma Proceedings・2012)IV型はIVa(CD4陽性Th1によるマクロファージ活性化:肉芽腫形成・1型糖尿病)、IVb(CD4陽性Th2による好酸球性:持続型喘息・アレルギー性鼻炎)、IVc(細胞傷害性CD8陽性T細胞のパーフォリン/グランザイムBによるアポトーシス:Stevens-Johnson症候群・中毒性表皮壊死症)、IVd(T細胞が駆動する好中球性炎症:膿疱性乾癬・急性汎発性発疹性膿疱症)の4つに分かれ、複数の型の免疫学的過敏症を併せもつ疾患があることを確認した閲覧 2026-08-27
  3. 3.Nomenclature of allergic diseases and hypersensitivity reactions: Adapted to modern needs: An EAACI position paper(Allergy・2023)抄録と著者最終稿(accepted manuscript、南デンマーク大学リポジトリ)で、EAACIがGell & Coombsの4型を9型(抗体依存性I〜III、細胞性IVa〜c、組織由来V・VI、化学物質への直接反応VII)へ拡張したこと、細胞性IVa〜cはT1・T2・T3応答に対応づけて再定義され、IVaはTh1とCD8陽性の細胞傷害性Tc1(薬剤への非即時型反応を含む)、IVbはTh2・好酸球、IVcはTh17・ILC3などIL-17産生細胞による好中球浸潤を特徴とすること、Pichlerの旧細分(IVc=CD8陽性T細胞の細胞傷害、IVd=好中球性)とは番号の意味が異なること、臨床では複数型の混在がありうることを確認した閲覧 2026-08-27