病理学

病理学 · A/39

全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)

Systemic Lupus Erythematodes, Rheumatoid Arthritis

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High-yield / ポイント
応用トピック
梅毒の診断法と生物学的偽陽性反応皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデス全身性エリテマトーデス・強皮症・皮膚筋炎・血球貪食性リンパ組織球症
疾患
C1q欠損症関節リウマチ全身性エリテマトーデス
症状
光線過敏凍瘡

🧠 全体像:SLEとRAはどちらも自己免疫疾患だが標的が違う——SLEは免疫複合体が全身の血管・腎・漿膜に沈着する(抗dsDNA/抗Sm+が核)、RAは滑膜に限局したT細胞・サイトカイン介在性の破壊的炎症(RF/抗CCP+が核)。

全身性エリテマトーデス(SLE)

あらゆる臓器を侵しうる多臓器性の自己免疫疾患 — 主に皮膚、腎、漿膜、関節、心。再発・寛解性で、多彩な自己抗体、特にを特徴とする。女性:男性 = 9:1、発症は20〜40歳。

自己抗体

  • () — (、ヒストン)に対する。を用いたで検出する。系統的レビューのメタ回帰では1:80の感度97.8%に対し特異度は74.7%で、感度は高いが特異的ではない1。この感度の高さが、2019年分類基準で 1:80以上をに置く根拠になった2。
  • 抗dsDNA抗体と — 高度に特異的3。抗dsDNAは腎病変の活動性を反映。
  • 血球(赤血球、血小板、リンパ球)に対する抗体、 → 血栓症+血小板減少。

💡 分類基準は2019年に/ACRで改訂されている。 現行基準は 1:80以上の陽性を必須のとし、臨床・免疫領域の重み付けスコアが合計10点以上で分類する2。⚠️ 旧来のACR基準(11項目中4項目で分類)は歴史的に重要だが、現在の中心的な分類基準ではない。いずれも分類基準であって診断そのものを置き換えるものではない。

発生機序

  • 遺伝的 — 家族・関連。補体欠損()→ 免疫複合体の除去障害。
  • 環境的 — 紫外線(損傷 → アポトーシス → の放出)、喫煙、性ホルモン、薬物( → )。
  • 免疫学的 — 、のTLR活性化、B細胞寛容の破綻。

病態機序と形態

  • III型 — /抗免疫複合体(LE小体・小体)。
  • II型 — 血球に対する抗体 → 血球減少、凝固因子に対する抗体 → 凝固異常。
  • 病変は免疫複合体の沈着を反映:急性(線維素様 → 線維性)、()紅斑()、非変形性関節炎、Libman–Sacks心内膜炎()、、中枢神経の。
  • = 最も重要な病態 — 6クラス(I 正常 → II → III → IV びまん性、最重症・最多、「」 → V 膜性、ネフローゼ → VI 硬化性、)4。💡 このは2018年に改訂され、クラスIVのIV-S()/IV-G()という細分類が廃止され、活動性・慢性化指数の定義が明確化された5。
  • 臨床:・発熱・関節炎・・を呈する若年女性。死因は腎不全、感染、中枢神経病変。

関節リウマチ(RA)

主に関節を侵す全身性の慢性炎症性疾患 → → と骨の破壊 → 障害性の関節炎。女性に多いが性比は集団により異なり、な5:1とはしない。どの年齢でも発症し得る。

💡 分類基準は2010年にACR/で改訂されている。 現行基準は他疾患で説明できないが1関節以上あることを前提に、関節の数と部位・血清学的異常・・症状持続期間の4領域を合計10点満点で採点し6点以上を分類する6。⚠️ 旧1987年基準にあった「」「骨びらん」というX線・身体所見は進行例でしか出現しないため、早期例の感度不足を理由に現行基準では採用されていない6。

発生機序

  • -DRB1などのに、喫煙、歯周・気道などの症が重なってが破綻する。特定の病原体感染を単一の引き金とは断定しない。
  • CD4⁺ T細胞のサイトカイン介在性炎症:
    • マクロファージ → 分解酵素、IL-1/IFN-γ → 滑膜・線維芽細胞の増殖 → 。
    • B細胞 → (IgG Fc部に対する自己抗体で、典型的にはIgM)と(より特異的)を産生し、炎症を増幅7。💡 ではが感度67%・特異度95%、が感度69%・特異度85%で、両者の感度はほぼ同等だが特異度で差がつく7。
    • RANKリガンド(駆動)→ 破骨細胞活性の増加 → 骨びらん。

形態と臨床

  • 対称性の炎(手、足、手関節)。過形成を伴う慢性、血管周囲のCD4/、血管新生、破骨細胞によるびらん。
  • (増殖した滑膜・)→ 軟骨・骨をびらん → ・変形。晩期には線維性・骨性を来し得るが、全例がへ一本道に進むわけではない8。💡 米国の地域住民ベースコホートでは、診断後10年間の関節手術のが1980〜94年診断例の27.3%から1995〜2007年診断例の19.5%へ低下しており、より早期からの積極的な薬物治療への移行を反映しうるとされる8。
  • リウマチ結節(、中心に)、、、慢性疾患の貧血。
  • 臨床:、対称性の関節痛・腫脹 → 、、。合併症に()不安定性がある。
SLE RA
抗体 、抗dsDNA、抗Sm RF、抗CCP
関節 非変形性関節炎 びらん性・変形性()
主要臓器 腎() 関節、
心 Libman–Sacks心内膜炎 、結節

💡 ポイント: SLE — ANA(感度)、抗dsDNA/抗Sm(特異度)、III型IC → (クラスIVが最重症)、、Libman–Sacks心内膜炎、女性9:1。RA — RF+抗CCP、-DRB1、対称性の → → 骨びらん・変形、、。

まとめ

  • SLEは(感度)と抗dsDNA/抗Sm(特異度)を特徴とする多臓器性自己免疫疾患で、女性に好発する(9:1)。
  • はSLEで最も重要な病態で、クラスIV(びまん性)が最重症・最多。
  • SLEのは()紅斑、Libman–Sacks心内膜炎、急性。
  • RAはから始まり、が軟骨・骨をびらんさせる対称性の炎。
  • RAの自己抗体は(IgG Fc部に対する、典型的にはIgM)と(より特異的)。
  • RAのには、、がある。

出典

  1. 1.Performance of Antinuclear Antibodies for Classifying Systemic Lupus Erythematosus: A Systematic Literature Review and Meta-Regression of Diagnostic Data(Arthritis Care & Research・2018)抄録で、64研究・SLE患者13,080例のうち12,542例(95.9%)がHEp-2細胞を用いた間接蛍光抗体法のANA陽性と報告されていたこと、メタ回帰による感度は1対40で98.4%、1対80で97.8%、1対160で95.8%、1対320で86.0%、対応する特異度は1対40で66.9%、1対80で74.7%、1対160で86.2%であり、1対80が分類基準の参入条件として十分な感度をもつと結論したことを確認した閲覧 2026-09-23
  2. 2.2019 European League Against Rheumatism/American College of Rheumatology Classification Criteria for Systemic Lupus Erythematosus(ACR/EULAR・2019)現行の2019年EULAR/ACR分類基準はANA 1対80以上の陽性を必須の参入条件とし、7つの臨床領域・3つの免疫領域(各領域は最高点のみ加算)の重み付けスコアで合計10点以上を分類の目安とすること、旧1997年ACR基準(11項目中4項目)に代わる現行基準であることを確認した閲覧 2026-08-27
  3. 3.Anti-Sm and anti-RNP antibodies(Autoimmunity・2005)抗Sm抗体はSLE患者の5〜30%(測定法・人種背景により変動)で検出され、その高い特異性からSLEの血清学的分類項目に含まれてきたこと、抗Sm抗体は腎病変の重症度・活動性と関連する一方、類似の抗RNP抗体はレイノー現象や比較的軽度の腎病変と関連する傾向があることを確認した閲覧 2026-08-27
  4. 4.The classification of glomerulonephritis in systemic lupus erythematosus revisited(Kidney International・2004)ISN/RPS分類がループス腎炎をclass I(正常に近いメサンギウム免疫沈着)からclass VI(高度硬化性病変)までの6クラスに分け、class IVをびまん性増殖性糸球体腎炎として分節性(IV-S)と全節性(IV-G)に細分していたことを確認した閲覧 2026-08-27
  5. 5.Revision of the International Society of Nephrology/Renal Pathology Society classification for lupus nephritis: clarification of definitions, and modified National Institutes of Health activity and chronicity indices(Kidney International(ISN/RPS国際腎病理ワーキンググループ、Bajema IM, et al.)・2018)2018年の改訂でループス腎炎分類のクラスIVにあったIV-S/IV-Gの細分類が廃止され、細胞性・線維細胞性・線維性半月体の定義が明確化されたこと、活動性指数・慢性化指数が全クラス共通の指標として整理されたことを確認した閲覧 2026-08-27
  6. 6.2010 Rheumatoid arthritis classification criteria: an American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism collaborative initiative(Arthritis and Rheumatism・2010)2010年ACR/EULAR分類基準は少なくとも1関節の滑膜炎を前提に、関節の数と部位・血清学的異常・急性期反応物質・症状持続期間の4領域を合計10点満点で採点し6点以上を分類すること、旧1987年基準がリウマトイド結節や骨びらんなど進行例(late-stage features)に基づく項目を含み早期例の感度が不十分だったためこれを置き換える形で開発されたことを確認した閲覧 2026-08-27
  7. 7.Meta-analysis: diagnostic accuracy of anti-cyclic citrullinated peptide antibody and rheumatoid factor for rheumatoid arthritis(Annals of Internal Medicine・2007)抗CCP抗体37試験・リウマトイド因子50試験の統合値は、抗CCP抗体が感度67%(95%CI 62〜72%)・特異度95%(94〜97%)、IgM型リウマトイド因子が感度69%(65〜73%)・特異度85%(82〜88%)であり、両者の感度は近いが特異度で抗CCP抗体が優ることを確認した閲覧 2026-08-27
  8. 8.Orthopedic surgery among patients with rheumatoid arthritis 1980-2007: a population-based study focused on surgery rates, sex, and mortality(The Journal of Rheumatology・2012)米国オルムステッド郡の成人発症RA患者813例の地域住民ベース研究で、診断後10年間の関節手術(人工関節置換・関節形成術・軟部組織手術・再置換術)の累積発生率が1980〜94年診断コホートの27.3%から1995〜2007年診断コホートの19.5%へ低下し(軟部組織手術は12.1%から6.0%へ、p=0.012)、より早期からの積極的な薬物治療への移行を反映しうると考察されていることを確認した閲覧 2026-08-27