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Disease Atlas · 運動器 · 外傷

距骨骨折

Talus fracture

別名
距骨頸部骨折距骨体部骨折
臓器系
運動器
科目
Macroscopic Anatomy and Embryology (Macroscopic Anatomy)Traumatology and Orthopedics
トピック
解剖学 6.5:下肢:足関節と足外傷学 34:踵骨骨折と治療
鑑別疾患
pilon骨折足関節骨折踵骨骨折
続発疾患
距骨無腐性壊死
症状
疼痛腫脹圧痛

🧠 全体像:を理解する一点は⭐ 「は逆行性の血流で養われている」ことである。血液の大半はの後内側から入り、頸部を通って体部・へ向かう1。だから頸部骨折で転位・が大きいほど、その先の体部への血流が断たれの危険が跳ね上がる——これがHawkins分類という体系そのものの存在理由である2。⚠️ 機転は高所墜落などの高エネルギーで、やと同じ足を作る。を見つけたら、隣接する骨も必ず疑う。

疫学と受傷機転

頸部骨折は全の約50%を占めるが、全体としてはまれで、・足部外傷の1%未満(近年のの向上により約2%へ増加)にとどまる2。

⭐ 典型的な機転は、高エネルギーを伴うのである。 脛骨前方の硬いが、頸部の相対的に弱いを下方へ押し込み、靱帯損傷を経て・のに至る2。高所からの墜落・飛び降り、交通事故()が代表的なで、と同じ機転を共有する。

血流とHawkins分類

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='talus'>距骨</span>への血流<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior tibial artery'>後脛骨動脈</span>47%・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior tibial artery'>前脛骨動脈</span>36%・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibular/peroneal artery'>腓骨動脈</span>17%"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='posterior tibial artery'>後脛骨動脈</span>の枝=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tarsal tunnel'>足根管</span>動脈が<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='talus'>距骨</span>頸部を通って体部へ向かう"]
    B --> C["頸部骨折で転位・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dislocation'>脱臼</span>が大きいほど<br>この経路が断たれる"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='talus'>距骨</span>体部・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='trochlea'>滑車</span>への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retrograde flow'>逆行性血流</span>が失われる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='avascular necrosis (AVN)'>無腐性壊死</span>"]
    F["Hawkins分類 I〜IV<br>転位・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dislocation'>脱臼</span>の程度で分類"] --> C

への血流は47%・36%・17%の3系統からなり、なかでもの枝である動脈が頸部の中面との間を通って体部へ向かう2。⭐ この経路が骨折転位で断たれることが、の直接の機序である。

Hawkins型 定義 のリスク
I 非転位 0〜13%
II のを伴う 20〜50%
III ・のを伴う 20〜100%
IV 下・脛距・のを伴う 70〜100%

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⭐ 型が上がるごとにリスクが跳ね上がるのは、が増えるたびに血流経路がもう一つ断たれるからである。 転位のないI型はほぼ安全だが、3関節すべてがするIV型では大半が壊死する。

Hawkinsサイン——血流が残っているかを教える所見

⭐ HawkinsはX線で「壊死していないこと」を示す所見である。 受傷後およそ6〜8週(他文献では6〜12週)に、のに透亮帯として現れる21。血流が保たれた骨は荷重を受けてが進み、この透亮帯を作る。壊死した骨は代謝が止まっているためこれが起こらない。

  • が出れば、ほぼ100%の症例でを除外できる1。
  • が出なければ、58%の症例でを意味する1——ただし欠如だけでは診断確定にならない。

⚠️ 12週を過ぎてもHawkinsが出現せず症状があれば、へ進む。 ではT2の高信号帯、またはT1像の低信号帯としてが描出される1。

診断

  • 単純X線に加えてCTが転位の程度・関節面の適合性・の評価に最良で、単純X線に対し93%の症例で追加情報が得られる2。
  • ⚠️ 合併損傷を積極的に探す。 Hawkinsの原報告では頸部骨折27例中26%にを合併しており2、高エネルギーという同じ機転から、・・も同時に起こりうる。

治療

⚠️ 整復の遅延は許容されないが、固定自体の遅延は許容されうる。 の治療はを主体とするが、まずを速やかに整復して血流をこれ以上損なわないことが優先され、確定的なは軟部組織の状態を見て後に回してよい2。26例の報告では、遅延固定でも癒合率88%が得られている2。

⭐ これはの「span, scan, plan」と同じ発想である。 変形を早期に整復して神経血管・軟部組織への追加損傷を防ぎ、確定手術は後で計画する。

合併症

合併症 頻度
11〜100%(Hawkins型による)
30〜90%(うちの関与が81%)
(が最多) 20〜37%
21%
偽関節 5%未満

2

⚠️ 転帰は全体として不良である。 転位頸部骨折の90%超で後足部を来し、18.6%が6年以内にを要する2。

が確立した例の治療は病期で分かれる1。

病期 治療
Stage I〜II(早期) (3〜6か月)、、(有効率82〜91%)、(成功率83.3〜90%)
Stage III〜IV() Blair固定術、脛固定術(癒合率85〜100%)、、人工との併用

鑑別・合併しうる損傷

損傷 見分け方・関係
() 回旋機転で果を折る。自体は通常保たれる
⚠️ 同じ機転で併存しうる。 を見つけたらの関節面も評価する
⚠️ 同じ機転で併存しうる。 高所墜落では・・脊椎を通しで評価する

まとめ

  • ⭐ は(大半が後内側から)で養われる骨で、頸部骨折の転位が大きいほど体部への血流が断たれに至る。
  • は高エネルギーを伴うの。全の約50%が頸部骨折で、高所墜落・が典型。
  • Hawkins分類(I〜IV)は転位・の程度でのリスクを予測する:0〜13%→20〜50%→20〜100%→70〜100%。
  • ⭐ Hawkins(受傷後6〜8週の軟骨下透亮帯)は血流が保たれている証拠。 出現すればほぼ100%壊死を除外でき、欠如は58%で壊死を意味する。12週を過ぎても出ず症状があればへ。
  • が評価の中心(93%で追加情報)。⚠️ 26%にを合併し、・とも機転を共有するため隣接損傷を必ず探す。
  • 治療は「整復は急ぐが固定は待てる」——変形を速やかに整復し、確定的なは軟部組織を見て計画する。
  • 合併症は多く、11〜100%、30〜90%(90%超が後足部)。の治療は病期別(早期は・、は・人工関節)。

出典

  1. 1.Avascular Necrosis of the Talus: Diagnosis, Treatment, and Modern Reconstructive Options(Medicina(Kubisa MJ, Kubisa MG, Pałka K, Sobczyk J, Bubieńczyk F, Łęgosz P)・2024)PMC11509827として公開されている全文を閲覧した。距骨の60%超が関節軟骨で覆われ血管が入り込める非関節面が乏しいこと、血流が足背動脈・後脛骨動脈(洞様管の枝を介して)・穿通腓骨動脈の3系統からなり大半が後内側から入ること、この逆行性の血流構造ゆえに外傷後の虚血に弱いこと、Hawkins分類による無腐性壊死のリスクがI型0〜13%・II型20〜50%・III型20〜100%・IV型70〜100%であること、Hawkinsサインが受傷後おおむね6〜12週で距骨滑車の軟骨下骨に生じる透亮帯として現れその欠如が58%の症例で無腐性壊死を示す一方その存在はほぼ100%の症例で無腐性壊死を除外できること、単純X線での経過観察を6〜8週に行いHawkinsサインが12週を過ぎても出現せず症状があればMRIを行うべきでMRIではT2脂肪抑制像の高信号帯またはT1像の蛇行状低信号帯として描出されること、早期(Stage I〜II)の治療が非荷重(3〜6か月)・体外衝撃波療法・骨髄減圧術(有効率82〜91%)・骨移植(成功率83.3〜90%)であること、進行期(Stage III〜IV)の治療がBlair脛距関節固定術・脛距踵関節固定術(癒合率85〜100%)・距骨全置換術・人工足関節全置換術との併用であることを確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.Talar Neck Fractures(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)距骨頸部骨折が全距骨骨折の約50%を占め全足関節・足部外傷の1%未満(近年は交通外傷の生存率向上により約2%へ増加)とまれであること、典型的な機転が高エネルギー軸圧を伴う足関節の強制背屈で脛骨前方の皮質骨が距骨頸部の弱い海綿骨を下方へ押し込み靱帯損傷を経て距骨下関節・脛距関節の脱臼に至ること、距骨への血流が後脛骨動脈47%・前脛骨動脈36%・腓骨動脈17%の3系統からなり後脛骨動脈の枝である足根管動脈が距骨頸部の中距踵関節面と後距踵関節面の間を尾側に走ることが骨折転位時に無腐性壊死のリスクを生むこと、Hawkins分類がI型(非転位、無腐性壊死0〜13%)・II型(距骨下関節脱臼を伴う、20〜50%)・III型(距骨下関節・脛距関節の脱臼を伴う、20〜100%)・IV型(さらに距舟関節脱臼を伴う、70〜100%)に分けられ転位・脱臼の程度が無腐性壊死のリスクを予測すること、Hawkinsサインが受傷後約6〜8週で距骨滑車の軟骨下骨に生じる透亮帯でありその存在が血流の温存を示し無腐性壊死への進行がまれであることを示すこと、Hawkinsの原報告で距骨頸部骨折27例中26%に内果骨折を合併したこと、CTが転位の程度・関節面の適合性・粉砕の評価に最良で単純X線に対し93%の症例で追加情報が得られること、転位骨折の治療が観血的整復固定を主体とし整復の遅延は許容されないが固定自体の遅延は許容されうること(転位骨折26例で遅延固定による癒合率88%)、合併症として無腐性壊死11〜100%(Hawkins型による)・外傷後関節症30〜90%(距骨下関節が81%に関与)・変形治癒20〜37%(内反変形が最多)・深部感染21%・偽関節5%未満が報告されること、転位距骨頸部骨折の90%超で後足部関節症を来し18.6%が6年以内に関節固定術を要することを確認した閲覧 2026-09-06