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Disease Atlas · 皮膚 · 疾患

多形日光疹

Polymorphic light eruption

別名
PMLE多形光線発疹
臓器系
皮膚
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 3-04:皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデス
鑑別疾患
全身性エリテマトーデス日光蕁麻疹
治療薬
ヒドロキシクロロキン
症状
光線過敏瘙痒丘疹水疱

🧠 全体像は、の中で最も頻度が高いである。名前の理解の鍵は「多形」が指す対象を取り違えないことにある。同一患者内では毎回ほぼ同じ形の皮疹が出る(丘疹型ならいつも丘疹型)一方で、患者間では丘疹・水疱・湿疹様など多様な形態をとるため、この「患者間の多様性」を指して多形と呼ぶ。日光曝露から数時間〜数日後にへ痒みを伴う皮疹が出て、春先に強く初夏にかけて自然に軽快する(ハードニング)という季節パターンも診断の手がかりになる。エリテマトーデスの皮疹との鑑別が実務上の要点である。

病態

紫外線曝露を受けた皮膚の抗原に対すると考えられているが、原因抗原は特定されていない。好発年齢は20〜40歳で、女性が男性のおよそ4倍多い1

「多形」は個体間の多様性を指す。 丘疹、局面、水疱、苔癬様病変、痒疹様結節など病型は個体間で多様だが、個々の患者では発症のたびにほぼ同じ形態をとる21。この「患者間では多形、患者内では単形」という構造を理解していないと、名前だけから「同じ患者でも毎回違う皮疹が出る病気」と誤解しやすい。

日光への慢性曝露はメラニン産生増加と肥厚をもたらし、紫外線に対する皮膚の免疫抑制反応を回復させることで症状を軽快させる。この現象をハードニングと呼び、顔面・など年間を通じてに日光に曝されている部位が通常は侵されにくいことの説明にもなる2

flowchart TD
    A["紫外線曝露(特に春先〜初夏の急な曝露)"] --> B["光曝露皮膚の抗原に対する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='delayed-type hypersensitivity (DTH)'>遅延型過敏反応</span>"]
    B --> C["数時間〜数日の潜伏期"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sun-exposed area'>露光部</span>に痒みを伴う皮疹"]
    D --> E["曝露を続ける・繰り返す"]
    E --> F["メラニン増加・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stratum corneum'>角層</span>肥厚(ハードニング)"]
    F --> G["紫外線への免疫抑制反応が回復"]
    G --> H["夏にかけて軽快"]

臨床像

  • 頸部V字部・前腕伸側・下腿など、ふだんは衣服で覆われ日光にさらされる機会が少ない部位に、日光曝露から数時間〜数日後に痒みを伴う丘疹・小水疱・局面が出現する2
  • 春先〜初夏の屋外活動後に発症し、症状のない冬を経て日光曝露のたびに急に再発するという季節パターンが特徴的である2
  • 顔面・など年間を通じてに日光に曝されている部位はハードニングにより比較的侵されにくい2

診断

病歴(曝露から発症までの時間、季節パターン、ハードニングの有無)と臨床像から診断できることが多い。エリテマトーデスとの鑑別に迷う場合は血算・を検討する。

⚠️ エリテマトーデスの皮疹との鑑別が実務上の要点である。 エリテマトーデスは顔面が侵されうる点、陽性・血清学的異常(など)を伴いうる点でと区別される。ではは陰性である21

鑑別 区別の要点
の皮膚病変 顔面()を侵しうる、などの血清学的異常、陽性
曝露から数分以内にが出現し、数時間以内に消退する(は数時間〜数日の潜伏期)
原因となる薬剤・の使用歴があり、感作後の再曝露で発症する

治療

  • 第一選択: 広域スペクトラム(UVA・UVBともにカバー)の日焼け止めと衣による予防2
  • 予防的 シーズン前にを漸増照射してハードニングを人工的に誘導すると、発症・重症度を減らせる2
  • 薬物療法: 頻回・重症例ではで有効性を示している2

まとめ

  • は最も頻度の高いで、日光曝露から数時間〜数日後にへ痒みを伴う丘疹・水疱・局面が出現する。
  • 「多形」は患者間の多様性を指し、個々の患者では発症のたびにほぼ同じ形態をとる。
  • 春先に強く初夏にかけて軽快する季節パターンは、に日光に曝される部位が侵されにくいハードニングで説明される。
  • エリテマトーデスとの鑑別が要点で、顔面病変・血清学的異常・陽性の有無で区別する。
  • 治療は広域スペクトラム日焼け止めと予防的が第一選択で、重症例ではを検討する。

出典

  1. 1.Polymorphic Light Eruption(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)序論節で、世界的に最も頻度の高い特発性光線過敏性皮膚疾患であると述べていること。臨床像節で、紫外線曝露から数時間〜数日後に発症すること(潜伏期が診断上の重要な手がかりであること)、丘疹・局面・水疱・苔癬様病変・痒疹様結節など個体間で多様な形態をとる一方で「個々の患者では通常一貫した形態をとる」こと、春先〜初夏の屋外活動後に発症し、症状のない冬を経て日光曝露で急に再発することが特徴的であること、顔面・手背など年間を通じて日常的に日光に曝されている部位は通常侵されにくい(hardening)こと。鑑別診断節で、エリテマトーデスは顔面が侵されうる点、直接免疫蛍光法陽性・血清学的異常を伴いうる点で多形日光疹(直接免疫蛍光法陰性)と区別されること。治療節で広域スペクトラム日焼け止め・遮光衣が第一選択であること、予防的なnarrowband UVBが発症・重症度を減らすこと、ヒドロキシクロロキンがランダム化比較試験で有効性を示していること閲覧 2026-08-12
  2. 2.Polymorphic light eruption (PMLE)(DermNet NZ・2022)好発年齢は20〜40歳、女性が男性のおよそ4倍多いこと。臨床像節で「形態は同一患者では常に同じ」であり、患者間で丘疹型・湿疹型・蕁麻疹型など病型が異なることが"polymorphic"の由来であると説明していること。日光への慢性曝露によりメラニン増加・角層肥厚が生じ、紫外線に対する皮膚の免疫抑制反応を回復させることで多形日光疹を軽快させる「hardening」効果があること。鑑別節で、エリテマトーデス除外のために全血算・抗核抗体・直接免疫蛍光法を行うが、多形日光疹では直接免疫蛍光法は陰性であること閲覧 2026-08-12