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Disease Atlas · 皮膚 · 疾患

日光蕁麻疹

Solar urticaria

別名
日光じんましん
臓器系
皮膚免疫・膠原病
科目
Dermatology
トピック
皮膚科 1-03:蕁麻疹の病態機序と臨床病型皮膚科 1-04:慢性蕁麻疹の管理
上位概念
蕁麻疹
鑑別疾患
多形日光疹
治療薬
オマリズマブビラスチン
症状
光線過敏瘙痒腫脹

🧠 全体像は、蕁麻疹の一亜型で、光曝露を受けた皮膚で生成される内因性の光アレルゲンに対するのI型過敏反応と考えられている。診断の生命線は「数分」という発症までの速さである。曝露から数分以内にが出現し曝露停止とともに数時間以内に消退するという即時性は、同じ性疾患である(曝露から数時間〜数日後に発症する遅延型)と対極にあり、この一点で両者を鑑別できる。治療は日焼け止め・抗ヒスタミン薬で不十分な例が多く、が既存治療抵抗例の中心的な選択肢になる。

病態

紫外線または可視光を受けた皮膚内で生成される内因性の物質(光アレルゲン)が抗原となり、これに対する抗体が結合して肥満細胞を活性化させるが機序と考えられている1。実際に患者群では血清総IgE平均値が対照群より高いことが報告されており、の機序を示唆する2。誘発する波長はがあるが、UVAが最も頻度の高い誘発波長とされる一方1、治療を要するほど重症な患者では可視光が誘発波長として関与する割合がより高いとする報告もある2

flowchart TD
    A["紫外線・可視光への曝露"] --> B["皮膚内で内因性の光アレルゲンが生成"]
    B --> C["光アレルゲンに対するIgEが肥満細胞上のFcεRIを架橋"]
    C --> D["肥満細胞の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='degranulation'>脱顆粒</span>"]
    D --> E["ヒスタミンなどのメディエーター放出"]
    E --> F["曝露から数分以内に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='wheal'>膨疹</span>が出現"]
    F --> G["曝露を中止すると数分〜数時間で消退"]

好発年齢は平均35歳(乳児期〜70歳の幅がある)で性差は明確でなく、およそ6割にの合併がみられる1

臨床像

  • 光曝露から数分以内(典型的には30分未満)に、に一致してを伴う紅斑性のが出現する1
  • 曝露を中止すると、多くは数分〜数時間で消退し、24時間を超えて残ることはまれである1
  • 広範囲の皮膚が曝露されると、立ちくらみ・頭痛・悪心・嘔吐などの全身症状を伴うことがあり、まれにアナフィラキシー様の反応に至る。

「数分」対「数時間〜数日」がとの唯一にして最も実用的な鑑別点である。 は光曝露から数分以内に発症し数時間以内に消退するのに対し、は数時間〜数日の潜伏期を経て発症し、消退にも数日を要する1

鑑別 発症までの時間 消退までの時間 皮疹の性状
数分以内 数分〜数時間(多くは24時間以内) を伴う(蕁麻疹)
数時間〜数日 数日 丘疹・局面・水疱など患者ごとに一定した形態

診断

病歴(曝露から発症までの時間、消退の速さ)に加え、(フォトテスト)で誘発波長を同定して確定する1。他の性疾患、特には生化学的検査(便・尿・血中測定)で除外する1

治療

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='solar urticaria'>日光蕁麻疹</span>の診断"] --> B["日焼け止め・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='light protection (shielding)'>遮光</span>衣による曝露回避"]
    B --> C["第二世代抗ヒスタミン薬"]
    C --> D{"症状が十分に制御できるか"}
    D -->|"はい"| E["継続"]
    D -->|"いいえ"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='omalizumab'>オマリズマブ</span>を追加"]
    F --> G{"標準用量(300mg/4週)でCCRが得られるか"}
    G -->|"はい"| H["安定後に減量を検討(300mg/6週まで)"]
    G -->|"いいえ"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phototherapy'>光線療法</span>・光化学療法(PUVA等)によるハードニングを検討"]
  • 第一選択: 広域スペクトラムの日焼け止めと衣による曝露回避1
  • 薬物療法: 第二世代抗ヒスタミン薬(など)はを軽減するが、反応を完全に防げることはまれである1
  • は既存治療に抵抗する例で最も効果的な治療とされるが、完全な症状コントロールが得られる割合は報告により幅があり、DermNetは37%としている一方1、標準用量(300mg/4週)を用いたコホートでは10例中9例が完全臨床寛解に達し、寛解安定後に4例が300mg/6週へ減量できた(300mg/8週まで減量すると寛解を維持できなかった)と報告されている2
  • ハードニング: ・光化学療法(PUVAなど)でシーズン前にを図る方法もあるが、効果はしばしば一時的である1

⚠️ 広範囲曝露後に立ちくらみ・呼吸苦・血圧低下などアナフィラキシー様の全身症状を来した場合は、通常の蕁麻疹の全身反応に準じて対応し、と回避を徹底する。

まとめ

  • 蕁麻疹の一亜型で、光曝露で生成される内因性光アレルゲンに対する反応が機序と考えられている。
  • 光曝露から数分以内に発症し数時間以内に消退するという即時性が特徴で、これが数時間〜数日の潜伏期をとるとの決定的な鑑別点になる。
  • 診断は病歴と(フォトテスト)で行い、は生化学的検査で除外する。
  • 治療は日焼け止め・衣を基本とし、抗ヒスタミン薬で不十分な例にはを追加する。
  • は報告により幅があるが、標準用量で高いを示す報告もある。

出典

  1. 1.Solar urticaria(DermNet NZ・2026)日光蕁麻疹を、自然光または紫外線を放つ人工光源への曝露から数分以内(典型的には30分未満)に皮膚が膨疹を来す、まれな慢性誘発型蕁麻疹と定義していること。疫学節で平均発症年齢35歳(乳児期〜70歳の範囲)、英国の178例のコホートで95%が欧州系・4%がアフリカ系カリブ人・1%が東アジア系だったこと、61%にアトピー素因を合併していたこと。病態節で、体内で生成された化学物質(光アレルゲン)が紫外線と反応してアレルギー反応を起こすという抗原抗体反応が機序と考えられていること、UVAが最も頻度の高い誘発波長であること。臨床像節で、曝露から数分以内に発症し、曝露停止後数分〜数時間で消退する(24時間を超えて残ることはまれ)こと、広範囲が曝露されると立ちくらみ・頭痛・悪心・嘔吐などの全身症状を伴いうること。診断節で光線照射試験(フォトテスト)が確定に用いられ、ポルフィリン症など他の光線過敏性疾患は生化学的検査で除外する必要があること。治療節で、日焼け止めと遮光衣が基本であること、抗ヒスタミン薬は膨疹を軽減するが反応を完全に防げることはまれであること、オマリズマブが最も効果的な治療とされる一方で完全な症状コントロールが得られるのは37%にとどまること、光線療法・光化学療法(PUVA等)によるハードニングが重症例の代替治療となるが効果はしばしば一時的であることを述べていること。閲覧 2026-08-12
  2. 2.Solar Urticaria and Omalizumab: A Retrospective Case-Control Study and Follow-Up(Actas Dermo-Sifiliográficas・2024)日光蕁麻疹患者計59例を対象とした研究で、オマリズマブ投与群13例と対照群13例の後方視的ケースコントロール解析(結果セクション)として、可視光がケース・コントロール両群で最も多く関与する作用スペクトルであったが、治療を要した群でその割合がより高かったこと(76.9%対46.2%)、光線照射試験の陽性率は全波長でケース群がコントロール群より高かったこと(23.1%対7.7%)、ケース群の血清総IgE平均値が350 IU/mLでコントロール群の197 IU/mLより高く免疫学的機序を支持すること。オマリズマブ300mg/4週の標準投与で10例中9例が完全臨床寛解(CCR)に達し、寛解安定後6か月以上を経て4例が300mg/6週へ減量できたが、300mg/8週へ減量した例でCCRを達成した患者はいなかったこと、有害事象は報告されず治療中止例もなかったこと。閲覧 2026-08-12