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Disease Atlas · 感染症 · 疾患

トリコモナス症

Trichomoniasis

別名
Trichomonas vaginalis infection
臓器系
感染症生殖・産婦人科
科目
Medical MicrobiologyDermatologyGynecology
トピック
微生物学 4/17:腟トリコモナス皮膚科 2-12:トリコモナス症婦人科 13:外陰・腟の炎症性疾患
鑑別疾患
カンジダ症クラミジア性器感染症細菌性腟症
続発疾患
早産陣痛・早産
関連疾患
HIV感染症・AIDS
治療薬
メトロニダゾールチニダゾール
原因微生物
Trichomonas vaginalis
症状
性交痛掻痒点状出血排尿痛分泌物
検査値
腟pH

🧠 全体像は世界で最も頻度の高い非ウイルス性STIで、Trichomonas vaginalisが原因である。同じでも嚢子を作らず栄養型のみが存在し、この栄養型が感染性・診断形態の両方を兼ねる。女性は、男性の多くはとして経過し続けるため、治療は必ずカップル単位で行う——これが本疾患の臨床対応の核心である。

病態と感染経路

T. vaginalis・鞭毛4本・中心核1個を持つで、栄養型のみで存在し嚢子は形成しない。男女の尿道・腟・前立腺に保虫し、主に性行為で伝播する。新生児は母親の感染産道通過時に感染しうる。性交時に・前立腺分泌物中の栄養型が付着し、長軸方向ので増殖する。

flowchart TD
  A["性行為で栄養型が付着"] --> B["腟・尿道粘膜で増殖(長軸方向の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='binary fission'>二分裂</span>)"]
  B --> C["女性:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vaginitis'>腟炎</span>"]
  B --> D["男性:多くは<span class='jp-term jp-term-diagram' title='asymptomatic carrier'>無症候性キャリア</span>"]
  D --> E["パートナーへの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reinfection'>再感染</span>源となる"]
  C --> F["まれに早産・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low birth weight, LBW'>低出生体重</span>、HIV獲得・伝播リスク上昇"]

臨床像

対象 主な所見
女性 無症候のことも多いが、悪臭を伴う、外陰、腟壁発赤
子宮頸部 点状出血によるを認めることがあるが感度は低い
男性 多くは。まれに・尿道を伴う尿道炎、前立腺炎、

⭐ 「」は代表的な所見だが感度は低く、陰性でも除外できない。

妊娠中の感染は早産と関連し、症によりHIV獲得・伝播リスクも高める。症候性妊婦は治療する。メトロニダゾールは全妊娠期を通じて安全性が確認されている一方、は妊娠中のデータが乏しく妊娠中は避ける1

診断

  • または尿のNAATが最も高感度で第一選択。
  • )で「コルク栓抜き(corkscrew)」様の運動性原虫を確認できるが、感度は低く採取後すぐに観察する必要がある。
  • 培養やも利用できる。Pap検査はではなく、示唆された場合は高感度検査で確認する。
  • は通常>4.5だが、と区別できない。

治療

(メトロニダゾール・)が唯一有効性の確立した薬剤群である。

対象 推奨レジメン
女性 メトロニダゾール500 mgを1日2回、7日間
男性 メトロニダゾール2 g単
代替 2 g単

⚠️ 女性への2 g単回投与は7日法より再陽性が多いため用いない。 男女で推奨レジメンの投与法が異なる点に注意する。時は再曝露と服薬状況を確認し、再曝露がなければ高用量・長期レジメンや耐性検査を専門機関と相談する。

メトロニダゾール・服薬中のを理由とする指導)は、この反応を支持するin vitro・動物・臨床エビデンスが見当たらないとして、2021年CDC指針では一律には求められなくなった。個々の添付文書の記載には従う2

パートナー管理

  • 現在の全を症状の有無にかかわらず治療する(男性の源となるため必須)。
  • 本人とパートナーの治療が完了し症状が消失するまで性交を避ける。
  • 女性はが多いため、治療後3か月以内にNAATで再検査する。治療直後のNAATは残存核酸を検出しうるため、持続・再発例の再検査は治療完了後3週より前には行わない1
  • HIV、梅毒、淋菌、クラミジアを検査する。

まとめ

  • T. vaginalisは嚢子を形成せず栄養型のみで存在し、その栄養型が感染性・診断形態を兼ねる。
  • 女性は・悪臭を伴うを来しうるが、男性の多くはとなる。
  • 診断はNAATが最も高感度で、女性はメトロニダゾール7日間、男性は2 g単回投与と男女で用法が異なる。
  • サイクルを断つため全パートナーの同時治療が必須で、女性は3か月以内に再検査する。

出典

  1. 1.Diagnosis and Management of Trichomonas vaginalis: Summary of Evidence Reviewed for the 2021 CDC Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines(CDC(Clinical Infectious Diseases誌掲載のガイドライン根拠レビュー)・2021)女性はメトロニダゾール500 mgを1日2回7日間投与するほうが2 g単回投与より再感染率を半減させるため優先されること、男性は2 g単回投与を用いること、NAAT再検査は治療完了後3週以降に行うべきこと、メトロニダゾールは全妊娠期を通じて安全とされる一方チニダゾールは妊娠中データが乏しいことを確認した閲覧 2026-08-03
  2. 2.Diagnosis and Management of Bacterial Vaginosis: Summary of Evidence Reviewed for the 2021 CDC Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines(CDC(Clinical Infectious Diseases誌掲載のガイドライン根拠レビュー)・2021)メトロニダゾール・チニダゾールとアルコールのジスルフィラム様反応を支持するin vitro・動物・臨床のエビデンスがsystematic reviewで見当たらず、2021年CDC性感染症治療ガイドラインでは服薬中の禁酒が一律には推奨されなくなったことを確認した閲覧 2026-08-03