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Lab values · Published

腟pH

Vaginal pH

別名
膣pH腟内pH
臓器系
生殖・産婦人科
科目
DermatologyGynecologyPathophysiology
トピック
皮膚科 2-02:腟分泌物の診断と管理婦人科 13:外陰・腟の炎症性疾患病態生理学 1-27:閉経後(ポストメノポーズ)
関連疾患
カンジダ症トリコモナス症細菌性腟症
スコア
Amsel基準

🧠 全体像は、1本の試験紙での状態を代理測定する検査である。単独では病名を決めないが、の鑑別を最初に二分する入口になる——正常ならカンジダ症を、上昇していればを疑う。

何を測っているか

生殖年齢の腟上皮ではLactobacillusが優位で、上皮細胞に蓄えられたグリコーゲンを乳酸へ変換し腟内を酸性に保つ。この上皮グリコーゲン量を決めるのはエストロゲンであるため、は細菌叢だけでなくの代理指標でもある。エストロゲンが乏しい・少ない時期(思春期前、閉経後、)は生理的にpHが高くなる1

基準値と単位

単位はpH。「正常値」は年齢・・妊娠で大きく動くため、生殖年齢の数値だけを覚えても不十分である。

時期 目安 機序
一過性に酸性 母体エストロゲンの2
思春期前 6〜7台 エストロゲン欠乏でグリコーゲン・が乏しい
生殖年齢 3.8〜4.5 エストロゲンによるグリコーゲン蓄積と優位
妊娠中 生殖年齢と同程度 が続く
上昇しうる 相対的な
閉経後 5以上になりうる エストロゲン低下による1

高値の意味

高値そのものは病的意味を持つが、原因は機序で3群に分かれる。

代表例 特徴
細菌叢の変化 いずれもpH>4.5で、だけでは両者を鑑別できない
エストロゲン低下 、思春期前 グリコーゲン減少に伴う減少が背景
混入・希釈 ・精液・血液・潤滑剤・直後 腟内環境そのものの異常ではない(後述)

低値の意味

低値は事実上「正常、またはカンジダ症」を意味するにとどまる。カンジダ症は通常pH≤4.5を保ったまま増殖するため、はカンジダ症を積極的に示す所見ではなく、を除外する方向に働く程度である。

⚠️ 測定上の注意

偽陽性が非常に多い検査である。 次はいずれも腟内環境そのものとはにpHを上げる。

  • (pH約8.0)
  • 精液(pH約7.2〜8.0)
  • 血液(
  • 潤滑剤
  • 直近の・性交

検体はの中央から採取し、頸管やからは採らない。頸管分泌物の混入を避けるためである1。試験紙をで湿らせてから測ると系統的にpHが上がるため、分泌物へ直接あてる。水も同様にpHを狂わせうるため用いない。

経時変化とモニタリング

単回のスクリーニング・鑑別値であり、治療効果判定には用いない。では、均一分泌物・>4.5・陽性・クルー細胞の4項目中3項目以上を満たすかを一時点で判定する1項目にすぎず、pH単独の推移を追う検査ではない3。研究上の基準法である(グラム染色でラクトバチルス形態・ガードネレラ/バクテロイデス様形態・モビルンカス様形態を採点)はpHを含まない別の判定系であり、両者は独立に運用される。

まとめ

  • を映す代理指標で、鑑別を「正常/低値→カンジダ症」「高値→」に二分する入口になる。
  • は年齢・妊娠・授乳で動き、生殖年齢の3.8〜4.5だけを覚えても不十分である。
  • ・精液・血液・潤滑剤・最近の性交・不適切な採取部位はすべてを起こす、偽陽性の多い検査である。
  • の1項目として3項目以上の合致をみるために使い、単独では診断も治療効果判定もしない。

出典

  1. 1.Vaginitis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2025)腟pHは腟側壁中央から採取すべきで頸管粘液・精液・血液が偽って上昇させること、腟洗浄・保護具なしの性交も上昇因子であること、生殖年齢3.8〜4.5・思春期前後閉経後6〜7.5という年齢別基準値、カンジダ症<4.5・トリコモナス症>4.5・萎縮性腟炎5.0〜5.5以上という鑑別上の位置づけを確認した閲覧 2026-08-03
  2. 2.Amsel Criteria(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)Amsel基準が均一分泌物・腟pH>4.5・アミン試験陽性・clue cellの4項目中3項目以上で細菌性腟症と診断すること、腟pH単独の感度は報告差が大きい一方で特異度は高いこと、修正Amsel基準(2項目以上)の感度96.97%・陰性的中率98.75%を確認した閲覧 2026-08-03
  3. 3.Physiology, Vaginal Structure and Function(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)出生直後は母体エストロゲンの経胎盤移行により腟が一過性に酸性化すること、思春期前はエストロゲン欠乏により中性〜アルカリ性環境へ移行すること、閉経後は卵巣機能低下により腟組織が萎縮し腸内細菌による定着が増えうることを確認した閲覧 2026-08-03