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Drug Atlas · C3 Antiparasitics / 抗寄生虫薬

チニダゾール

tinidazole

分類
Antiparasitics / 抗寄生虫薬Antibiotics / 抗菌薬
商品名(EU)
Fasigyn
科目
Pharmacology
トピック
C3: Antiprotozoal and antihelminthic drugs
標的微生物
Giardia lambliaEntamoeba histolyticaTrichomonas vaginalisBacteroides fragilis
副作用
腹痛めまい
相互作用
ワルファリン
対象疾患
トリコモナス症

🧠 全体像メトロニダゾールの「半減期が長い版」として理解すると位置づけが一気に定まる。同じで、原虫のDNAを損傷する機序もほぼ同一だが、半減期が長いぶん単回〜短期投与で治療が完結するのが臨床上の実利。・ジアルジア・アメーバという3大を1剤でカバーする守備範囲の広さも、メトロニダゾールと共通する。

薬効群の中での位置づけ

C3のもう一つの柱、原虫を狙うの中での対比。

薬剤 半減期 投与回数の目安 適応
メトロニダゾール 約8時間 複数回・複数日 Giardia・Trichomonas・Entamoeba・嫌気性菌・C. difficileH. pylori併用
約12〜14時間と長い 単回〜少回数で完結することが多い Giardia・Trichomonas・Entamoeba・嫌気性菌

「同じ標的・同じ機序、違うのは半減期」という対比がこの2剤の関係のすべて。 はメトロニダゾールが無効・不耐な場合の代替、あるいは投与コンプライアンスを優先したい場面(単回投与で終えたいなど)で選ばれる。C. difficile感染症・H. pyloriはメトロニダゾールが使われる領域で、はこれらの標準治療には位置づけられていない。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tinidazole'>チニダゾール</span>が原虫・嫌気性菌の<br>細胞内へ取り込まれる"] --> B["嫌気性の低<span class='jp-term jp-term-diagram' title='redox potential'>酸化還元電位</span>環境で<br>nitro基が還元される"]
    B --> C["反応性の高い<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nitro radical'>ニトロラジカル</span>を生成"]
    C --> D["DNA鎖の切断・蛋白質の損傷"]
    D --> E["原虫・嫌気性菌の死滅"]
    F["好気性の環境(ヒト正常細胞)"] -.->|"nitro基が還元されない"| G["活性化されず毒性を及ぼさない"]

💡 「酸素の少ない環境でだけ活性化される」という設計がの核心。 の還元は低酸素・嫌気性のでしか起こらないため、酸素が豊富なヒトの正常組織では薬が「不活性なまま」通過し、嫌気性菌やの原虫の中でだけ牙をむく。

薬物動態

項目 値・特徴
良好(ほぼ完全に吸収される)
分布 が良く、生殖器・などへも到達
代謝 (CYP3A4を含む)
半減期 約12〜14時間(メトロニダゾールの約8時間より長い)

半減期の長さが「単回投与で治療完結」という実利につながる。 では単回投与、ではやや長めの投与で治療できるレジメンが組めるのは、メトロニダゾールより緩徐に血中濃度が低下するためである。

適応

領域 使いどころ
性感染症 Trichomonas vaginalis):単回投与で治療できる代表例
消化管 Giardia lambliaによるEntamoeba histolyticaによる(腸管型・
一般感染症 Bacteroides fragilisなどの嫌気性菌感染症

用法・用量

:メトロニダゾール7日投与を使わない場合の代替として、女性・男性とも2 g単回投与を用いる(パートナーの同時治療も行う)1:成人では単回投与で治療が完結することが多い。:数日間の投与が必要。嫌気性菌感染症:適応・重症度により単回〜複数日投与。実際の用量・投与日数は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌への過敏症、、重篤なの既往
  • かつてはアルコールとの併用で、悪心)が起こるとされが指導されてきたが、この相互作用を支持するエビデンスは乏しく、2021年CDC指針では服薬中の一律は推奨されなくなった。添付文書にの記載がある場合はそれに従う2
  • ワルファリンとの併用でCYP2C9阻害を介し抗凝固作用が増強しうるため、併用時はのモニタリングを強化する
  • 長期・高用量投与では末梢神経障害のリスクがあるため、の出現に注意する

副作用

頻度 内容
高頻度 腹痛などの消化器症状
注意 めまい。アルコールとの相互作用は2021年CDC指針で否定的に見直されている
重篤・まれ 末梢神経障害、痙攣(高用量・長期投与)、

まとめ

  • 。嫌気性環境でnitro基が還元されDNAを損傷する機序はメトロニダゾールとほぼ同一。
  • 半減期が約12〜14時間と長く、単回〜短期投与で治療が完結するのがメトロニダゾールとの実務上の違い。
  • ・嫌気性菌感染症という原虫3種+細菌1種をカバーする守備範囲の広さも共通する。
  • アルコールとのはエビデンス不足を理由に2021年CDC指針で見直され、一律の指導は推奨されなくなった。ワルファリンとの併用ではCYP2C9阻害を介した抗凝固作用増強に注意する。
  • は禁忌。

出典

  1. 1.Diagnosis and Management of Trichomonas vaginalis: Summary of Evidence Reviewed for the 2021 CDC Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines(CDC(Clinical Infectious Diseases誌掲載のガイドライン根拠レビュー)・2021)トリコモナス症でメトロニダゾール7日投与を使わない場合の代替として、チニダゾール2 g単回投与は女性・男性いずれにも用いることを確認した閲覧 2026-08-03
  2. 2.Diagnosis and Management of Bacterial Vaginosis: Summary of Evidence Reviewed for the 2021 CDC Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines(CDC(Clinical Infectious Diseases誌掲載のガイドライン根拠レビュー)・2021)ニトロイミダゾール系とアルコールのジスルフィラム様反応を支持するエビデンスが乏しく、2021年CDC性感染症治療ガイドラインでは服薬中の禁酒が一律には推奨されなくなったことを確認した閲覧 2026-08-03