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Drug Atlas · C15 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

レタパムリン

retapamulin

分類
Antibiotics / 抗菌薬
科目
Pharmacology
トピック
C15: Macrolides. Pleuromutilins
標的微生物
Staphylococcus aureusStreptococcus pyogenes / GAS
副作用
頭痛下痢悪心掻痒血管性浮腫
対象疾患
細菌性皮膚感染症(伝染性膿痂疹・毛包炎・せつ・よう)

🧠 全体像:はとして初めてされた薬で、(全身投与できる後継薬)が登場する10年以上前から、外用薬という限られた形でこの系統の実用性を証明してきた存在である。標的はので、他系統のとを生じにくい。守備範囲はの原因菌(黄色ブドウ球菌の・)に絞られ、全身投与用製剤は存在しない。

⚠️ 「だから安全に使い続けられる」と早合点しない。 全身吸収はごくわずかで禁忌も無いが、市販後にを含む過敏症反応が報告されており、局所刺激・感作が起きれば中止してへ切り替える1。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 標的 主な適応
外用()のみ の (局所限局例)
経口・静注(全身投与) 同じくPTC付近(後継の全身投与薬)
外用() 、鼻腔除菌
外用中心(欧州では経口・静注も) G(EF-G) 、(欧州ではの併用療法)

⭐ はもともと局所用()・動物用()に使われてきた系統で、はこれを全身投与できるよう開発した初めての薬——は、この系統がヒトの臨床で最初に成功した足がかりにあたる1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='retapamulin'>レタパムリン</span>が皮膚局所で<br>細菌の菌体内へ移行"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='50S ribosome'>50Sリボソーム</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='peptidyl transferase center'>ペプチジルトランスフェラーゼ中心</span>(PTC)付近に結合"]
    B --> C["tRNAのA部位・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='P site'>P部位</span>への<br>正しい位置取りを妨げる"]
    C --> D["ペプチド結合形成・転座が阻害される"]
    D --> E["蛋白合成が止まる"]

結合部位はと共通する。分子構造がマクロライド・リンコマイシン系・A群とは異なるため、これらの系統に対する既存の耐性機構ではを生じにくい。

薬物動態

  • 外用のみの剤形で、全身投与用の製剤は存在しない1
  • 皮膚からの全身吸収はごくわずかで、健康な完全皮膚に塗布した第7日のCmax中央値は約3.5 ng/mLと低い1
  • ⚠️ 経口・眼・・膣内には使用しない(外用のみを前提とした製剤)1

適応

⚠️ 米国とで適応の範囲が違う。しかもの製剤は既に販売されていない。

米国添付文書(現行)1 (Altargo、2019年に販売中止)2
対象 (Staphylococcus aureusのまたはStreptococcus pyogenesによる) 、およびした小さな裂傷・・縫合創の短期治療
対象年齢 生後9か月以上 成人および生後9か月以上の小児
現在の入手可否 販売中 2019年2月25日に販売承認を取り下げ(安全性上の理由ではなく、承認者Glaxo Group Ltdによる商業上の理由)

💡 米国添付文書は「した外傷創」への適応を持たない。 現行版(2023年改訂)のの項でも、皮膚外傷による例は試験対象から除外されている——の旧適応にあった裂傷・・縫合創への使用は、米国では承認されたことがない1。

軽症の限局性に対しては、・と並ぶ外用の一つに位置づけられる3。

用法・用量

患部に薄く1日2回、5日間塗布する。最大塗布面積は成人で100 cm²、小児(生後9か月以上)での2%まで。塗布部位はガーゼ・で覆ってよい1。

禁忌・注意

  • 禁忌は「None」——米国添付文書の4項に明記される1
  • ⚠️ 経口摂取を意図しておらず、口腔内・眼・・膣内には使用しない1
  • 感作または重度の局所刺激が生じた場合は使用を中止し、を拭き取ったうえで感染症に対するへ切り替える1
  • 妊娠・授乳中も全身吸収がごくわずかであることを理由に、曝露は限定的とされる1
  • 生後9か月未満の患者での安全性は確立していない1

副作用

集団(試験) 高頻度の有害事象
成人(ALTABAX群 N=1,527) 頭痛2.0%、塗布部位刺激1.6%、下痢1.4%、悪心1.2%、1.2%
小児9か月〜17歳(N=588) 塗布部位掻痒症1.9%、下痢1.7%、1.5%、1.5%

⚠️ 市販後には塗布部位灼熱感に加え、を含む過敏症反応が報告されている1。禁忌が無いことと、まれな重篤反応が起こらないことは別である。

まとめ

  • としてされた最初の薬。標的はので、(全身投与できる後継薬)と同じ部位を狙う。
  • 外用()のみで、全身投与用の製剤は存在しない。適応は米国添付文書上、(S. aureusの、S. pyogenes)に限られる。
  • ⚠️ の旧適応にあった「した外傷創」への使用は、米国では承認されたことがない。 製剤(Altargo)は2019年に商業上の理由で販売中止となっており、現在入手できるのは米国のALTABAXのみ。
  • 用法は1日2回5日間塗布、最大塗布面積は成人100 cm²・小児はの2%。
  • 禁忌は無いが、市販後にを含む過敏症反応が報告されており、局所刺激・感作時は中止してへ切り替える。

出典

  1. 1.ALTABAX- retapamulin ointment(DailyMed (U.S. National Library of Medicine)・2023)米国添付文書の1項の適応が「生後9か月以上の患者における、Staphylococcus aureus(メチシリン感受性株のみ)またはStreptococcus pyogenesによる膿痂疹の外用治療」に限られ「secondarily infected traumatic lesions」等の記載は無いこと、2項の用法が1日2回5日間塗布・最大塗布面積が成人100cm²/小児は体表面積の2%であること、4項の禁忌が「None」であること、5.1項が過敏化または重度の局所刺激が生じた場合は中止し軟膏を拭き取り代替療法へ切り替えるとすること、5.2項が本剤を経口・眼・鼻腔内・膣内に用いないとすること、6.1項の臨床試験での薬物関連有害事象の頻度が成人(ALTABAX群N=1,527)で頭痛2.0%・塗布部位刺激1.6%・下痢1.4%・悪心1.2%・鼻咽頭炎1.2%、小児(9か月〜17歳、N=588)で塗布部位掻痒症1.9%・下痢1.7%・鼻咽頭炎1.5%・掻痒症1.5%であること、6.2項の市販後有害事象に塗布部位灼熱感と血管性浮腫を含む過敏症反応が挙がること、8項が妊娠・授乳とも全身吸収がごくわずかであることを理由に曝露は限定的とすること、12項が50Sリボソーム亜単位への結合による蛋白合成阻害を機序としヒト健康被験者で完全皮膚に塗布した第7日のCmax中央値が3.5 ng/mLと低いこと、改訂表示が「Revised: 6/2023」であることを確認した閲覧 2026-09-08
  2. 2.Altargo : EPAR - Medicine overview (Withdrawn medicine)(European Medicines Agency・2019)EUでは2007年5月24日に承認され適応が「膿痂疹、および二次感染した小さな裂傷・擦過傷・縫合創の短期治療」であったこと、2019年2月25日に欧州委員会が販売承認を取り下げたこと、これは製造販売承認者Glaxo Group Ltdが商業上の理由で販売の恒久的な中止を通知したことによるものであり安全性上の理由ではないことを確認した閲覧 2026-09-08
  3. 3.Impetigo(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2023)非水疱性膿痂疹では小水疱が破裂したあと膿性の滲出液が乾燥して特徴的な蜜色痂皮を形成すること、水疱性膿痂疹は蜜色痂皮を形成しないこと、軽症にはムピロシン・レタパムリン・フシジン酸などの外用抗菌薬が第一選択となり、重症例では黄色ブドウ球菌とA群連鎖球菌の双方をカバーする全身抗菌薬(セファロスポリン系、アモキシシリン・クラブラン酸など)を用いることを確認した。閲覧 2026-08-04