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Drug Atlas · A5 CNS stimulants / 中枢神経刺激薬 · 必修

リスデキサンフェタミン

lisdexamfetamine

分類
CNS stimulants / 中枢神経刺激薬
商品名(日本)
ビバンセ
商品名(EU)
Vyvanse
科目
Pharmacology
トピック
A5: Indirect sympathomimetics. Selective α1 agonists
承認適応
注意欠陥多動性障害
禁忌疾患
肥大型心筋症
副作用
不眠食欲不振不安口腔乾燥
相互作用
セレギリンモクロベミド

🧠 全体像の一つだが、「不活性なとして投与し、体内で初めて活性化する」という設計が最大の特徴である。d-にL-リジンが結合した構造をとり、経口摂取後に赤血球内のによる加水分解という速度の決まった過程を経て初めてd-が遊離するため、摂取や静注などの乱用経路では急速な血中濃度上昇が得られにくい——乱用抑止設計という発想がこの薬の存在意義である。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 機序 特記事項
DA/NAのみ ADHDの第一選択。乱用リスクは相対的に低い
として赤血球で活性化) に次ぐ第一選択級の選択肢(NICE等)。設計により乱用リスクを抑える
その他の 活性体そのものを投与するため作用発現が速く、乱用リスクも相対的に高い

のノートで触れたとおり、NICE等のガイドラインでは成人ADHDの第一選択にと並んでが挙げられ、小児ではで効果不十分な場合の次段階として位置づけられる。 同じ「」という機序を持つの中でも、構造によって乱用抑止性を高めた点が処方上の優位性になっている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lisdexamfetamine'>リスデキサンフェタミン</span>(不活性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)を経口摂取"] --> B["消化管から吸収され血流へ"]
    B --> C["赤血球細胞質の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peptidase'>ペプチダーゼ</span>が<br>L-リジン-d-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='amphetamine'>アンフェタミン</span>結合を加水分解"]
    C --> D["活性体のd-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='amphetamine'>アンフェタミン</span>が遊離"]
    D --> E["前シナプスの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monoamine'>モノアミン</span>トランスポーターを逆走させ<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic vesicle'>シナプス小胞</span>からドパミン・ノルアドレナリンを放出"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct antiglobulin test'>DAT</span>・NETによる再取り込みも阻害"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic cleft'>シナプス間隙</span>のドパミン・ノルアドレナリン濃度が大きく上昇"]
    F --> G
    G --> H["注意・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='executive function'>実行機能</span>の制御が向上(ADHD症状の改善)"]

💡 活性化のが「赤血球での加水分解」という一定速度の生物学的過程にあるため、投与量を増やしても血中への放出速度は頭打ちになる。1 これはに依存しないため、遺伝的な多型の影響を受けにくいという利点にもなる。この「速度が生物学的に決まっている」という性質こそが、摂取や静注といった乱用経路で急激な血中濃度上昇を得にくくする根拠であり、単なる(物理的にゆっくり溶ける)とは仕組みが異なる。

適応

領域 使いどころ
精神科・小児科 (6歳以上の小児・成人)
精神科 成人の中等度〜重度の(米国での

日本では2019年に6〜18歳の小児期ADHDに対して承認され、など他ので効果不十分な場合の選択肢として、登録医療機関・登録薬局を通じてのみ処方できる制度のもとで使われる。

用法・用量

PO、1日1回朝に投与する。少量から開始し、症状・に応じて漸増する。赤血球での加水分解を経て緩徐に活性体が生じるため、製剤と比べて作用発現が穏やかでが長い。 実際の用量は年齢・体重・適応で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌MAO阻害薬の使用中および中止後14日以内(のリスク)2製剤への過敏症
  • ⚠️ ・心筋症・重篤な不整脈・冠動脈疾患のある患者では投与中の突然死が報告されている。 投与前に心疾患の既往・家族歴を確認する2
  • 精神症状:既存のを悪化させうるほか、既往のない患者でも・躁症状を新規に誘発しうる(頻度は概ね0.1%程度)2
  • 末梢血管障害(Raynaud現象):指先の色調変化・に注意し、出現すれば減量・中止を検討する2
  • 成長への影響:長期使用で体重・身長増加が一時的に鈍る可能性があり、定期的なモニタリングが推奨される2
  • 尿pHを変える薬剤との相互作用などの酸性化薬は血中濃度を低下させ、などの薬は血中濃度を上昇させる2
  • (乱用歴のある患者では特に慎重に管理する)

副作用

頻度 内容
高頻度 不眠、体重減少、悪心
注意 不安・頻脈(での使用時)
重篤・まれ )・躁症状の新規誘発、Raynaud現象などの末梢血管障害、患者での重篤な心、依存

まとめ

  • と同じくADHDの第一選択級だが、の一つでという機序を持つ。
  • 不活性なとして投与し、赤血球のによる加水分解で初めて活性化するという設計が最大の特徴——が生物学的に決まっているため乱用抑止性が高い1
  • 日本では小児期ADHD(6〜18歳)に限り承認され、登録制度下で処方される。
  • MAO阻害薬とは禁忌。の既往、末梢血管障害には特に注意する2
  • 長期使用では成長(身長・体重)への影響を定期的にモニタリングする。

出典

  1. 1.VYVANSE (lisdexamfetamine dimesylate): Prescribing Information(U.S. National Library of Medicine DailyMed(Takeda/Sun Pharmaceutical添付文書)・2026)赤血球細胞質でのペプチダーゼ媒介加水分解によるデクスアンフェタミンへの変換機序、乱用・依存に関する枠組み警告、MAO阻害薬併用禁忌、尿pH変化薬との相互作用、構造的心疾患患者での突然死報告、精神症状(幻覚・妄想・躁症状)誘発、末梢血管障害(Raynaud現象)、小児での成長抑制についての警告を確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Metabolism of the prodrug lisdexamfetamine dimesylate in human red blood cells from normal and sickle cell disease donors(Journal of Drug Assessment・2013)リスデキサンフェタミンが健常者・鎌状赤血球症患者いずれの全血サンプルでも同程度の速度(半減期約1.1〜1.4時間)で赤血球により加水分解されデクスアンフェタミンへ変換されることをin vitroで確認した閲覧 2026-08-10