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Drug Atlas · A5 Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬 · 必修

キシロメタゾリン

xylometazoline

分類
Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬
商品名(EU)
Otrivin
科目
Pharmacology
トピック
A5: Indirect sympathomimetics. Selective α1 agonists
承認適応
アレルギー性鼻炎
禁忌疾患
閉塞隅角緑内障褐色細胞腫
副作用
徐脈傾眠
相互作用
ラサギリン
原因となる疾患
薬剤性鼻炎

🧠 全体像:はと同じ-azoline系の局所で、の鼻炎スプレーとして最も広く流通している薬の一つ。機序・リバウンドのリスクの本態はと共通なので、この薬に固有の情報は最小限にとどめる。固有に押さえるべきは、濃度ごとに使える年齢と連用の上限日数が決まっていること、そしてその線引きが国によって違うことである——成人用0.1%(1 mg/mL)製剤はハンガリー・英国とも12歳未満には使えず連用は7日まで。一方、小児用0.05%(0.5 mg/mL)製剤の下限年齢と上限日数は割れており、ハンガリーは1歳から(2歳未満はの管理下)で7日まで、英国は6歳未満禁忌での指示なしには5日まで、スペインは6〜12歳が対象で日数の上限ではなく「3日で改善しなければ中止して再評価」という書き方をする12345。

薬効群の中での位置づけ

機序・受容体・の成り立ちはの項を参照。効果は数分で始まり、SmPCの記載では最大10〜12時間持続する(英国の0.1%スプレーは「最大10時間」、ハンガリーの1 mg/mLスプレーは「最大12時間」)31。「製剤によって連用の上限日数の表示が違う」というのは曖昧な目安ではなく、濃度と国ごとに規定が分かれているためである(数字は下の用法・用量の表)。「短期間にとどめる」という原則自体はどの-azoline系薬剤でも変わらない。

機序

局所α作動 →のを収縮させ鼻閉を改善する(受容体レベルの詳しい機序はの項を参照)。連用でリバウンド()が起こるのも同じ機序の裏返しで、のと内因性ノルアドレナリン産生の低下により、中止後に血管がむしろ拡張しやすい状態になるために生じる。

適応

鼻閉(点鼻の局所)。適応の書かれ方は国で違う。

  • 英国:鼻閉・および(を含む)・副鼻腔炎の症状緩和3
  • ハンガリー:かぜ・その他の・副鼻腔炎による鼻閉の解消に加えて、副鼻腔病変に伴う分泌物の排出促進・中耳炎の(上咽頭粘膜の腫脹軽減)・検査のまで適応に挙げる12
  • スペイン:適応は「鼻閉の一時的な局所的緩和」だけで、鼻炎・副鼻腔炎の病名を挙げていない5

いずれの添付文書も副鼻腔炎を急性・慢性に分けて書いていない。原因治療(抗ヒスタミン薬・や抗菌薬など)の代わりにはならない対症療法である。

用法・用量

点鼻。1回量も回数も「1〜2噴霧を1日2〜3回」ではなく、製剤と国ごとに確定した数字が与えられている。

国・製剤 1回量 回数 連用の上限
英国 0.1%スプレー(12歳以上)3 各鼻孔に1噴霧 必要に応じ1日3回まで(各鼻孔あたり1日3回を超えない) 7日
英国 0.05%点鼻液(6〜12歳、成人の監督下)4 各鼻孔に1〜2滴 1日2回まで(24時間に2回を超えない) の指示がなければ5日
ハンガリー 1 mg/mLスプレー(12歳以上)1 各鼻孔に1噴霧 1日3回まで 7日
ハンガリー 0.5 mg/mL点鼻液(1〜6歳)2 各鼻孔に1〜2滴 1日1〜2回(8〜10時間ごと。1日3回まで) 7日
ハンガリー 0.5 mg/mL点鼻液(6〜12歳)2 各鼻孔に2〜4滴 1日2〜3回(1日3回まで) 7日
スペイン 1 mg/mLスプレー(12歳以上)5 各鼻孔に1噴霧 1日2回(必要時1日3回まで) 3日で改善しなければ中止して再評価
スペイン 0.5 mg/mL点鼻液(6〜12歳)5 各鼻孔に1〜2滴 1日1回(必要時1日2回まで) 3日で改善しなければ中止して再評価

スペインの「3日」は4.2の末尾に製剤を限定せず置かれた一文で、症状が悪化するか3日の治療後も持続する場合は治療を中止してを評価する、という書き方をしている(英国・ハンガリーのような「連用は7日まで」という上限日数の形ではない)5。

⭐ 推奨用量を超えないこと自体が添付文書の指示で、とくに小児と高齢者について明記されている13。実際の用量は製剤ごとに異なるため、手元の添付文書で確認する。

禁忌・注意

⚠️ 禁忌欄の中身は国で大きく違う。「禁忌はこれこれである」と国を書かずに覚えない。

項目 ハンガリー(成人用・小児用とも)12 英国34 スペイン5
過敏症 禁忌(塩化物過敏症を含む) 禁忌 禁忌(他のへの過敏症を含む)
経術・硬膜を露出する手術後 禁忌 禁忌 禁忌
乾燥性鼻炎・萎縮性鼻炎 禁忌 禁忌 記載なし
禁忌 禁忌 記載なし(4.3・4.4・4.5のいずれにも現れない)
4.4の慎重投与 禁忌 記載なし
4.4の慎重投与 禁忌 4.4で使用前の臨床評価を求める
阻害薬(併用中または中止後2週間以内) 4.4/4.5で「併用は推奨しない」 禁忌 4.5で2週間空けるよう指示
高血圧を含む心血管疾患・糖尿病・甲状腺機能亢進症 4.4の慎重投与 成人用は4.4の慎重投与だが、小児用0.05%では禁忌 4.4で使用前の臨床評価を求める
β遮断薬 記載なし 小児用0.05%で禁忌 記載なし
の皮膚・粘膜の炎症 記載なし 小児用0.05%で禁忌 記載なし

スペインの4.5が名指しするのはβ遮断薬ではなく、阻害薬・三環系/・(いずれもの恐れがあるため2週間空ける)と、系薬・(これらによる治療中は使用しない)である5。

上の表の項目のうち、・・・高血圧・糖尿病・萎縮性鼻炎は、国によって禁忌欄・慎重投与欄・記載なしのいずれにもなる。とくにスペインのficha técnicaはとにまったく触れておらず、「禁忌ではない=慎重投与欄にある」とは限らない5。

  • 年齢制限:小児用0.05%(0.5 mg/mL)製剤は英国が6歳未満に禁忌、ハンガリーは1歳未満に使用不可(2歳未満はの管理下、2歳〜12歳未満は成人の監督下)、スペインは6歳未満には投与しない(4.3の禁忌ではなく4.4のとして書かれ、小児用点鼻液の適応自体が「6〜12歳」に限られる)と割れている425
  • ⚠️ 小児は成人より中毒に対する感受性が高い(英国SmPCの逐語は “Small children are more sensitive to toxicity than adults”)。過量・では強い・発汗・著明な・頭痛・徐脈・高血圧・呼吸抑制・昏睡・けいれんが起こりうる。スペインのSmPCはとして傾眠・・徐脈・ショック様低血圧・無呼吸・を列挙している35
  • 阻害薬・三環系/との併用:交感神経作動性の点鼻薬を併用すると血圧が上昇しうる。英国はのような阻害薬の投与中(中止後2週間以内を含む)を禁忌に置き、ハンガリー・スペインは「併用しない/2週間空ける」という指示にとどめる315
  • 長期連用:上限日数を超える連用はリバウンド性鼻閉()・のリスクを高める31
  • 長QT症候群:を使用した長QT症候群の患者では重篤なのリスクが高まりうる、と英国・ハンガリー・スペインのSmPCがそろって注意喚起している315
  • 中止すべき徴候:英国の小児用SmPCは、・落ち着きのなさ・睡眠障害が出たら投与を中止するよう求めている4

副作用

英国・ハンガリーのSmPCの4.8は頻度区分つきで一致している341。

頻度区分 内容
高頻度(common、1/100以上1/10未満) 頭痛、鼻の乾燥・不快感、悪心、投与部位の灼熱感
低頻度(uncommon、1/1,000以上1/100未満)
非常にまれ(very rare、1/10,000未満) 過敏症反応(・発疹・そう痒)、一過性の、心拍の不整・頻拍
頻度不明(英国の小児用製剤のみ列挙) ・不安・落ち着きのなさ・不眠・・、その他の不整脈と高血圧、耐性(効果減弱)、リバウンド性鼻閉()、鼻の刺激感・乾燥——いずれも連用・過量使用で4

⚠️ (を含む)の像は副作用一覧とは別の節(4.9)にある:強い・発汗・著明な・頭痛・徐脈・高血圧・呼吸抑制・昏睡・けいれん。高血圧のあとに低血圧が続くことがある。スペインのSmPCはここにとして傾眠・無呼吸・を明記している35。

まとめ

  • -azoline系の局所で、機序・リバウンドの本態はと共通。と内因性ノルアドレナリン産生低下が本態。
  • の鼻炎スプレーとして最も広く使われる薬剤の一つ。適応は鼻閉のほか、・副鼻腔炎に伴う症状の緩和(ハンガリーでは中耳炎の・検査のまで含む)。
  • 1回量は「各鼻孔に1噴霧(点鼻液なら1〜2滴)」で、1日3回までが上限。「1回1〜2噴霧を1日2〜3回」ではない。
  • 連用の上限は製剤の濃度と国で決まる:0.1%(1 mg/mL)製剤はハンガリー・英国とも7日。0.05%(0.5 mg/mL)製剤はハンガリーが7日、英国はの指示がなければ5日、スペインは3日で改善しなければ再評価。
  • 年齢の線引きも国で違う:0.1%製剤は12歳未満に使わない。0.05%製剤は英国が6歳未満に禁忌、スペインも6歳未満には投与しない(小児用の適応は6〜12歳)、ハンガリーは1歳から(2歳未満はの管理下)。
  • 禁忌欄も国で違う:過敏症・経術後・乾燥性/萎縮性鼻炎・はハンガリーと英国で共通だが、・・阻害薬を禁忌に置くのは英国で、ハンガリーは慎重投与にとどめる。スペインの禁忌は過敏症と経術後の2項目だけで、・はそもそも文書に出てこない。

出典

  1. 1.Otrivin RAPID 1 mg/ml adagoló oldatos orrspray — Alkalmazási előírás(Országos Gyógyszerészeti és Élelmezés-egészségügyi Intézet(ハンガリー OGYÉI)・2023)ハンガリーの成人用1 mg/ml製剤は12歳以上が対象で、各鼻孔に1噴霧を1日3回まで、連用は7日を超えない。4.3の禁忌は過敏症(ベンザルコニウム塩化物過敏症を含む)・経蝶形骨洞下垂体摘出術/硬膜を露出する手術後・乾燥性鼻炎/萎縮性鼻炎・閉塞隅角緑内障の4群で、褐色細胞腫・前立腺肥大・MAO阻害薬・甲状腺機能亢進症・糖尿病・高血圧は4.4の慎重投与に置かれている。改訂表示は2023年11月3日閲覧 2026-09-17
  2. 2.Otrivin GYERMEK 0,5 mg/ml oldatos orrcsepp — Alkalmazási előírás(Országos Gyógyszerészeti és Élelmezés-egészségügyi Intézet(ハンガリー OGYÉI)・2023)ハンガリーの小児用0.5 mg/ml点鼻液は1歳未満には使用不可で、1〜6歳は各鼻孔に1〜2滴を1日1〜2回(8〜10時間ごと、1日3回まで。2歳未満は医師の管理下、2歳以上は成人の監督下)、6〜12歳は各鼻孔に2〜4滴を1日2〜3回(1日3回まで)、連用は7日を超えないとしている。禁忌は成人用製剤と同じ4群閲覧 2026-09-17
  3. 3.Otrivine Congestion Relief 0.1% Nasal Spray — Summary of Product Characteristics (SmPC)(electronic medicines compendium(英MHRA登録のSmPC)・2025)成人用0.1%製剤は12歳未満禁忌、連用は7日を超えない、適応は鼻閉・通年性およびアレルギー性鼻炎(花粉症を含む)・副鼻腔炎、禁忌に閉塞隅角緑内障・MAO阻害薬治療中(過去2週間以内を含む)・褐色細胞腫・前立腺肥大・経蝶形骨洞下垂体摘出術後・乾燥性鼻炎/萎縮性鼻炎を挙げ、4.2の用法は各鼻腔に1噴霧を1日3回までとしている。2026-09-17に閲覧した版の改訂表示は2026年8月28日(10. Date of revision of the text)で、id・year の2025とずれている閲覧 2026-09-17
  4. 4.Otrivine Child Nasal Drops 0.5mg/ml — Summary of Product Characteristics (SmPC)(electronic medicines compendium(英MHRA登録のSmPC)・2024)小児用0.05%点鼻液は6歳未満禁忌、6〜12歳は成人監督下で各鼻腔に1〜2滴を1日2回まで(24時間に2回を超えない)、医師の指示なしに5日を超えて使用しないとし、禁忌にMAO阻害薬(中止後14日以内を含む)・β遮断薬・高血圧を含む心血管疾患・糖尿病・甲状腺機能亢進症・閉塞隅角緑内障・褐色細胞腫・前立腺肥大・鼻前庭の皮膚/粘膜の炎症・乾燥性鼻炎/萎縮性鼻炎を挙げている。改訂表示は2024年1月16日閲覧 2026-09-17
  5. 5.Rhinovín 1 mg/ml solución para pulverización nasal / Rhinovín Infantil 0,5 mg/ml gotas nasales en solución — Ficha técnica(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios(スペイン AEMPS CIMA)・2024)スペインの製品では12歳以上に各鼻孔1噴霧を1日2回(必要時1日3回まで)、小児用点鼻液は6〜12歳(適応も「6〜12歳の小児の鼻閉の一時的な局所的緩和」)に各鼻孔1〜2滴を1日1回(必要時1日2回まで)とし、4.2の末尾に製剤を限定せず「症状が悪化するか3日の治療後も持続する場合は治療を中止して臨床状況を評価する」と置く。4.3の禁忌は過敏症(他のアドレナリン作動性充血除去薬への過敏症を含む)と経蝶形骨洞下垂体摘出術/硬膜を露出する手術後の2項目だけ。閉塞隅角緑内障と褐色細胞腫は文書のどこにも現れない(全文で glaucoma・feocromocitoma とも0件)。4.4は心血管疾患・高血圧・糖尿病・甲状腺疾患・前立腺肥大・三環系/四環系抗うつ薬による治療中の患者に使用前の臨床評価を求め、6歳未満には投与しないとし、長QT症候群での重篤な心室性不整脈リスクにも触れる。4.5はMAO阻害薬・三環系/四環系抗うつ薬・メチルドパとの併用で血圧が上昇しうるとして2週間空けるよう指示し、フェノチアジン系薬またはアドレナリン作動性気管支拡張薬による治療中も使用しないとする。4.9の過量投与では中枢神経抑制として傾眠・体温低下・徐脈・ショック様低血圧・無呼吸・意識消失を挙げる閲覧 2026-09-17