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Drug Atlas · A5 CNS stimulants / 中枢神経刺激薬 · 必修

メチルフェニデート

methylphenidate

分類
CNS stimulants / 中枢神経刺激薬
商品名(日本)
コンサータリタリン
商品名(EU)
ConcertaRitalin
科目
Pharmacology
トピック
A5: Indirect sympathomimetics. Selective α1 agonists
禁忌疾患
肥大型心筋症
副作用
不眠体重減少
相互作用
リスデキサンフェタミン
対象疾患
重篤気分調節症注意欠如・多動症(ADHD)

🧠 全体像:はA5の「=」の代表で、の。だけで、からの放出は促進しないという点がとの機序の違いであり、この違いが依存性・乱用リスクの相対的な低さにもつながっている。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 機序 特記事項
DA/NAのみ の第一選択(等)。乱用リスクは相対的に低いが
+ の小胞を直接動員する分、作用が強く乱用リスクも高い
弱いDA+機序不明な 依存性はさらに低いとされるが、では第一選択ではない

⭐ 英国のガイドライン(NG87)では、5歳以上の小児・青年のの第一選択を(推奨1.7.7)、成人ではまたは()を第一選択とする(推奨1.7.11)。 十分な用量のを6週間試みて効果不十分ならへの切り替えを考慮し、両者ともまたは6週間ずつの試行で反応しなければまたはを提供する1。⚠️ これは英国での位置づけであって、そのまま他国へは持ち込めない。 欧州のは小児のの適応を「先行する治療への反応が臨床的に不十分と判断された場合」に明示的に限定しており2、日本ではの効能・効果が「小児期における注意欠陥/障害(AD/HD)」に限られ、18歳以上での有効性・安全性は確立していない3。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methylphenidate'>メチルフェニデート</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='presynaptic'>前シナプス</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct antiglobulin test'>DAT</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dopamine transporter (DAT)'>ドパミントランスポーター</span>)を阻害"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='presynaptic'>前シナプス</span>のNET(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='noradrenaline transporter (NET)'>ノルアドレナリントランスポーター</span>)を阻害"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic cleft'>シナプス間隙</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dopamine reuptake'>ドパミン再取り込み</span>がブロックされる"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='synaptic cleft'>シナプス間隙</span>のノルアドレナリン再取り込みがブロックされる"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prefrontal cortex'>前頭前皮質</span>・線条体でドパミン・ノルアドレナリン濃度↑"]
    E --> F
    F --> G["注意・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='executive function'>実行機能</span>の制御が向上(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='attention-deficit/hyperactivity disorder'>ADHD</span>症状の改善)"]

💡 のようにトランスポーターを逆走させてから積極的にを追い出す作用は持たない——あくまで「漏れ出たものの再取り込みを妨げる」受動的な機序であり、この差が・乱用リスクの違いを生む。

適応

領域 使いどころ 日本での承認
精神科・小児科 の(小児・成人とも) コンサータ()の効能・効果は「注意欠陥/障害(AD/HD)」4
睡眠 リタリン()の効能・効果は「」5

用法・用量

経口。日本ではコンサータ(OROS)がAD/HD治療の中心で、のため、AD/HDの診断・治療に精通したが登録医療機関・登録薬局を通じてのみ処方できる制度がある4。

項目 日本のコンサータ(AD/HD)4
18歳未満 初回18mgを1日1回朝、18〜45mg。1日54mgを超えない
18歳以上 初回18mgを1日1回朝。1日72mgを超えない
増量 1週間以上の間隔をあけ、1日用量として9mgまたは18mgずつ
服用時刻 中枢神経刺激作用が服用後12時間持続するため、就寝時間を考慮し午後の服用を避ける

⚠️ 同じ一般名でも製剤ごとに適応が分かれる。 リタリン()の現行の効能・効果はのみ(成人1日20〜60mgを1〜2回に分割)で、電子添文はAD/HDを「適応外疾患」と明記して、その投与での全身痙攣の報告を挙げている5。速放製剤の乱用が問題となった経緯を受けた措置で、入れ替わるようにコンサータが2007年12月に販売開始された4。リタリンにも、の診断・治療に精通したと登録薬局を要件とするが課されている5。

禁忌・注意

⚠️ 禁忌の範囲は3極で大きく違う。心筋症を禁忌欄に病名で挙げているのは欧州だけで、日本と米国は・注意の側に置いている。

領域 日本(コンサータ・リタリンとも9項目)45 欧州(スペインのCONCERTA 4.3)6 米国(CONCERTA、2項目)7
過敏症 本剤の成分への既往歴 または添加剤 または本剤の成分
阻害薬 投与中または中止後14日以内 非選択的阻害薬の治療中または中止後14日以内 併用中または最終投与後14日以内
循環器 不整頻拍・狭心症 既存の心血管障害=重度高血圧、心不全、閉塞性動脈疾患、狭心症、血行動態的に有意な、心筋症、心筋梗塞、致死的不整脈、チャネル病 (禁忌ではない。5.2ので「避ける」)
脳血管 (禁忌ではない。9.1.4の注意) 既存の、、血管炎や脳卒中を含む血管異常 (禁忌ではない)
内分泌 甲状腺機能亢進、・ 甲状腺機能亢進症または、 (禁忌ではない)
精神・神経 過度の不安・緊張・興奮性、運動性・Tourette症候群またはその既往・家族歴、重症うつ病 ・・自殺傾向・・重度の・躁病・・精神病質/の診断または既往、コントロール不良の重症エピソード性 (禁忌ではない)
眼 閉塞隅角緑内障 緑内障(隅角を限定しない) (禁忌ではない)
  • ⚠️ を含む心筋症・は、上の区分が国で分かれる。 欧州のは心筋症を禁忌欄(4.3)に病名で挙げ、さらに4.4で「既知の構造的心異常、心筋症、重篤な異常その他の重篤な心疾患のある小児・青年に刺激薬の使用は推奨されない」「成人でもそうした異常のある者は一般に刺激薬で治療すべきでない」と述べる6。米国の添付文書は禁忌に置かず、5.2ので「既知の構造的心異常、心筋症、重篤な不整脈、冠動脈疾患その他の重篤な心疾患のある患者では本剤の使用を避ける」とする7。日本の電子添文は禁忌欄に病名を置かず、9.1.7「心臓に又は他の重篤な問題のある患者」として特定の背景を有する患者の項に置き、「は確立していないが、本剤の投与による突然死の報告がある」と記す4。⭐ 禁忌欄だけを読むと、日本・米国ではの扱いを見落とす。
  • 心血管リスクの事前評価:日本の電子添文は、心疾患の病歴や突然死・重篤な心疾患の家族歴から心臓に重篤ではないが異常が認められる若しくはその可能性が示唆される患者では、投与開始前に心電図検査等での状態を評価するよう求める(9.1.3)。投与期間中も定期的に心拍数・血圧を測定する(8.4)4。米国の添付文書もが平均約2〜4 mmHgのと約3〜6 bpmの心拍数増加を起こしうるとしてモニタリングを求める7
  • ⚠️ はを下げうる。てんかんの既往がある患者では慎重投与
  • ⚠️ との併用は避ける。 日本の電子添文は併用注意として「本剤投与中の患者には投与を避けることが望ましい」(のおそれ)と記す。との併用では突然死が報告されている(機序不明)4
  • 成長への影響:小児では体重増加の抑制・が報告されており、身長・体重が思わしくないときは投与を中断する。成人でも体重減少が報告されている4
  • 乱用・依存:(日本では・第一種)であり、乱用歴のある患者では特に慎重に管理する。米国の添付文書は乱用・誤用・依存をに置く7

副作用

頻度 内容
高頻度 不眠、食欲低下、体重減少
注意 心拍数・血圧の上昇、様症状の顕在化
重篤・まれ (・)、依存、患者での重篤な心血管イベント

まとめ

  • の。DA/NAのみで作用する。
  • との違いは「を持たない」点——乱用リスクが相対的に低い理由。
  • 日本ではコンサータ(、AD/HD向け・登録医制度あり。18歳未満は上限54mg、18歳以上は上限72mg)とリタリン(速放、効能・効果はのみ)で適応が分かれる45。
  • ⚠️ を含む心筋症の上の扱いは国で分かれる。 欧州は禁忌欄(4.3)に病名で挙げるが6、米国は5.2ので「使用を避ける」7、日本は9.1.7「心臓に又は他の重篤な問題のある患者」として突然死の報告とともに注意の側に置く4。いずれにせよ投与前に心疾患の既往・家族歴を確認し、必要なら心電図で評価する。
  • 日本の禁忌9項目に心筋症は入らないが、不整頻拍・狭心症・甲状腺機能亢進・・・・/Tourette症候群・過度の不安/緊張/興奮性・阻害薬併用は禁忌である4。
  • を下げうるため、てんかん既往には慎重投与。
  • 長期使用では成長(身長・体重)への影響を定期的にモニタリングする。

出典

  1. 1.Attention deficit hyperactivity disorder: diagnosis and management (NICE guideline NG87)(National Institute for Health and Care Excellence・2018)2018年3月14日公表・2019年9月13日最終更新。推奨1.7.7が5歳以上の小児・青年のADHDに対しメチルフェニデート(短時間作用型または長時間作用型)を第一選択の薬物療法として提供するよう求め(5歳児では適応外使用の注記付き)、推奨1.7.11が成人ではリスデキサンフェタミンまたはメチルフェニデートを第一選択とすること、推奨1.7.8および1.7.12が十分な用量のメチルフェニデートを6週間試みて効果不十分な場合にリスデキサンフェタミンへの切り替えを考慮すること、推奨1.7.10がメチルフェニデートとリスデキサンフェタミンのいずれも不耐容または6週間ずつの試行で反応しなかった小児・青年にアトモキセチンまたはグアンファシンを提供することを述べていることを確認した閲覧 2026-09-08
  2. 2.Ficha técnica ELVANSE 30 mg cápsulas duras (lisdexanfetamina dimesilato)(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios(AEMPS, CIMA)・2025)本文改訂は2025年12月。4.1の適応が、6歳以上の小児では「先行するメチルフェニデート治療への反応が臨床的に不十分と判断された場合」のADHDに限られること、小児期からADHD症状のある成人のADHDにも適応があり成人の側にはその前置き条件が無いこと、いずれも包括的な治療プログラムの一環として行動障害の専門医の監督下で用いることを確認した閲覧 2026-09-08
  3. 3.ビバンセカプセル20mg/ビバンセカプセル30mg 添付文書(2026年6月改訂・第5版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2026)効能・効果が「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」であり、6歳未満および18歳以上での有効性・安全性は確立していないこと、禁忌2.1が交感神経刺激アミンへの過敏症としてメチルフェニデートを名指しで例示していることを確認した閲覧 2026-09-08
  4. 4.コンサータ錠18mg/コンサータ錠27mg/コンサータ錠36mg 電子添文(2026年6月改訂・第5版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2026)効能・効果が注意欠陥/多動性障害(AD/HD)であること、禁忌が9項目(過度の不安・緊張・興奮性、閉塞隅角緑内障、甲状腺機能亢進、不整頻拍・狭心症、成分への過敏症の既往、運動性チックまたはTourette症候群とその既往・家族歴、重症うつ病、褐色細胞腫またはパラガングリオーマ、MAO阻害剤の投与中または投与中止後14日以内)であり心筋症・構造的心疾患が禁忌欄に無いこと、心臓の構造的異常は9.1.7「心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者」として特定の背景を有する患者の項に置かれ「因果関係は確立していないが、本剤の投与による突然死の報告がある」と記されること、9.1.3が心疾患の病歴や突然死・重篤な心疾患の家族歴から心臓に重篤ではないが異常が認められる若しくはその可能性が示唆される患者では投与開始前に心電図検査等で心血管系の状態を評価するよう求めること、用法が18歳未満は18mgを初回用量・18〜45mgを維持用量として1日1回朝経口投与し1日54mgを超えないこと、18歳以上は18mgを初回用量として1日72mgを超えないこと、増量は1週間以上の間隔をあけて9mgまたは18mg単位で行うこと、作用が服用後12時間持続するため午後の服用を避けること、併用注意にリスデキサンフェタミン(投与を避けることが望ましい、相加作用のおそれ)とクロニジン(併用による突然死の報告)が挙がること、規制区分が劇薬・向精神薬(第一種)・処方箋医薬品で販売開始が2007年12月であること、承認条件としてAD/HDの診断・治療に精通した医師による処方と流通管理が課されていることを確認した閲覧 2026-09-08
  5. 5.リタリン錠10mg 電子添文(2025年9月改訂・第3版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)・2025)効能・効果が「ナルコレプシー」のみであること、用法が成人1日20〜60mgを1〜2回に分割経口投与であること、禁忌9項目がコンサータと同一の並びであり心筋症・構造的心疾患を含まないこと、心臓の構造的異常が9.1.7に置かれ中枢神経刺激作用を有する薬剤の投与による突然死の報告があると記されること、15.1.2が「適応外疾患(注意欠陥多動性障害(ADHD))に対する投与で、全身痙攣が報告されている」と明記していること、承認条件としてナルコレプシーの診断・治療に精通した医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局でのみ投与・調剤することが課されていることを確認した閲覧 2026-09-08
  6. 6.Ficha técnica CONCERTA 18 mg comprimidos de liberación prolongada (metilfenidato hidrocloruro)(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios(AEMPS, CIMA)・2026)本文改訂は2026年2月。4.3の禁忌が、メチルフェニデートまたは添加剤への過敏症、緑内障、褐色細胞腫、非選択的不可逆性MAO阻害薬の治療中または中止後14日以内、甲状腺機能亢進症または甲状腺中毒症、重症うつ病・神経性やせ症/摂食障害・自殺傾向・精神病症状・重度の気分障害・躁病・統合失調症・精神病質/境界性パーソナリティ障害の診断または既往、コントロール不良の重症エピソード性双極I型障害の診断または既往、既存の心血管障害(重度高血圧、心不全、閉塞性動脈疾患、狭心症、血行動態的に有意な先天性心疾患、心筋症、心筋梗塞、致死的不整脈、チャネル病を含む)、既存の脳血管障害・脳動脈瘤・血管炎や脳卒中を含む血管異常であり、心筋症が禁忌欄に病名で挙がっていることを確認した。4.4は加えて、通常用量の中枢神経刺激薬使用に伴う突然死の報告を挙げ、既知の構造的心異常・心筋症・重篤な調律異常その他の重篤な心疾患がある患者には刺激薬の使用を推奨せず、成人でもそうした異常のある者は一般に刺激薬で治療すべきでないと述べている閲覧 2026-09-08
  7. 7.CONCERTA (methylphenidate hydrochloride) extended-release tablets — Prescribing Information(U.S. National Library of Medicine DailyMed(Janssen Pharmaceuticals 添付文書)・2026)表示上の labeler は Janssen Pharmaceuticals, Inc.(NDA021121)で改訂表示は2026年4月。禁忌が2項目(メチルフェニデートまたは本剤の成分への既知の過敏症、MAO阻害薬の併用または最終投与後14日以内)のみであり心筋症を含まないこと、5.2項が「構造的心異常その他の重篤な心疾患のある患者で推奨用量の中枢神経刺激薬投与中に突然死が報告されている」としたうえで「既知の構造的心異常、心筋症、重篤な不整脈、冠動脈疾患その他の重篤な心疾患のある患者では本剤の使用を避ける」と明示していること、5.1に乱用・誤用・依存の枠組み警告があること、5.3で中枢神経刺激薬が平均約2〜4mmHgの血圧上昇と約3〜6bpmの心拍数増加を起こしうるとして血圧・脈拍のモニタリングを求めていることを確認した閲覧 2026-09-08