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Drug Atlas · A6 Centrally acting antihypertensives / 中枢性降圧薬

グアンファシン

guanfacine

分類
Centrally acting antihypertensives / 中枢性降圧薬
商品名(日本)
インチュニブ
商品名(EU)
Intuniv
科目
Pharmacology
トピック
A6: α2-agonists and drugs acting on the imidazoline receptors
副作用
めまい低血圧傾眠
対象疾患
糖尿病性自律神経障害

🧠 全体像:は同じでもよりα2Aへの選択性が高い薬で、この一点が臨床上の位置づけを大きく分ける。半減期が長く1日1回投与で足り、鎮静・低血圧がより弱いとされる一方、としての適応はのみで、現在の主な使用場面はむしろ(インチュニブ)による小児・青年期に移っている。「同じ分子でも製剤で適応が分かれる」という点はの/と似た構造を持つ。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表 特徴 弱点
(低選択性) 、 α2A・B・Cすべてに結合し、にも作用 鎮静・口渇・が強い
(α2A選択性) α2Aへの選択性が高くへの親和性が低い としてはのみ承認、は専用
I1作動薬 、 α2作動性が相対的に弱く副作用がやや軽いとされる 専用。日本未承認

⭐ との一番の違いは受容体への選択性。 はα2A・α2B・α2Cのすべてに高い親和性を持ち脳幹のにも作用するのに対し、はα2A受容体により選択的に作用する1。この選択性の違いが、半減期の長さ(1日1回投与が可能)と、鎮静・低血圧がより弱い傾向にあるという臨床上の違いを説明すると考えられている1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guanfacine'>グアンファシン</span>が血液脳関門を通過"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Prefrontal cortex'>前頭前野</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='locus coeruleus'>青斑核</span>などの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='postsynaptic'>シナプス後</span>α2A受容体を選択的に刺激"]
    B --> C["Gi蛋白活性化 → <span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclic adenosine monophosphate'>cAMP</span>↓"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nucleus tractus solitarius (NTS)'>延髄孤束核</span>を介した<br>中枢からの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sympathetic outflow'>交感神経出力</span>↓"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral vascular resistance'>末梢血管抵抗</span>↓・心拍数↓ → 血圧↓"]
    B --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Prefrontal cortex'>前頭前野</span>のシグナル伝達を強化<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='HCN channel'>HCNチャネル</span>閉鎖を介するとされる)"]
    F --> G["ワーキング<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Notes'>メモ</span>リ・衝動制御の改善(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='attention-deficit/hyperactivity disorder'>ADHD</span>)"]

💡 とへの効果は「同じα2A受容体」でも作用部位が異なると理解されている。 延髄・の/後α2A受容体を介したの抑制がをもたらす一方、のα2A受容体刺激がワーキングリ・注意の制御に関わる神経回路を強化すると考えられている(の項も参照——同じ回路の低選択性版)。

薬物動態

項目 値・特徴
約80%2
血中濃度到達時間 約1〜4時間(平均2.6時間)2
半減期 約17時間(範囲10〜30時間、腎機能正常例)2
排泄 投与量の約40〜75%(平均約50%)が未変化体のまま2
剤形 錠(高血圧適応)と錠(適応、Intuniv)が別製剤として存在

⭐ より長い半減期のおかげで、でも1日1回投与が可能になる。 の半減期約12〜16時間より長く、1日2回投与が基本のと対照的である。

適応

領域 使いどころ
循環器() 高血圧症。単独または他の(特に)と併用2
精神・神経発達() ():6〜17歳でまたはへの併用療法として承認(Intuniv/)3
に伴うに対し、就寝時短時間作用型のとして例示されることがある(適応外)4

⚠️ 本ノートで扱う「のへの使用」はいずれの製剤でもではない。 ADA Standards of Careが例示する短時間作用型中枢性交感神経抑制薬の一つとして触れられているに過ぎず、承認された高血圧治療とは別枠で理解する。

用法・用量

(高血圧):1日1回1 mgを就寝時に開始し、3〜4週間後に必要なら2 mgまで増量する。1日3 mgを超えると有害事象が有意に増える2。():1日1回1 mgから開始し、・効果を見ながら週単位で漸増する。実際の用量は年齢・体重・適応・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:塩に対する過敏症の既往2
  • ⚠️ 急な中止はのリスク。 では臨床的に有意で持続するが報告されており、1〜3 mgを3〜7日ごとに減じるが必要(より頻度は低いとされるが、対策は同じ発想)3
  • に血圧・心拍数を低下させるため、徐脈・低血圧の既往がある患者では注意3
  • を持つ薬剤(ベンゾジアゼピン・オピオイド・アルコール等)との併用で鎮静がに強まりうる

副作用

頻度 内容
高頻度 傾眠・鎮静(より弱いとされる)、めまい
注意 低血圧(起立性)、徐脈、口渇
重篤・まれ (急な中止)

まとめ

  • よりα2A受容体への選択性が高い。半減期が長く1日1回投与が可能で、鎮静・低血圧がより弱いとされる。
  • は高血圧症の適応、(インチュニブ)は6〜17歳の・刺激薬併用療法として別に承認されている——同じ分子でも製剤で適応が分かれる。
  • のへの使用はいずれの適応にも含まれない。
  • 急な中止はのリスク。より頻度は低いとされるがが原則。
  • 高頻度副作用は傾眠・めまい・。鎮静薬との併用に注意。

出典

  1. 1.Alpha-2 Adrenergic Receptors and Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder(Current Psychiatry Reports・2010)クロニジンがα2A・α2B・α2Cの3つのサブタイプすべてに高い親和性を持つのに対し、グアンファシンはより選択的にシナプス後α2A受容体に作用すること、グアンファシンの利点として半減期が長く投与回数が少なくて済むこと、鎮静・低血圧の副作用がクロニジンより弱いというエビデンスがあることを確認した閲覧 2026-09-08
  2. 2.GUANFACINE HYDROCHLORIDE tablet [package insert](A-S Medication Solutions (DailyMed)・2026)速放性グアンファシン錠の適応が高血圧症の管理であること、経口バイオアベイラビリティ約80%、半減期約17時間(範囲10〜30時間、腎機能正常例)、投与量の約40〜75%(平均約50%)が未変化体のまま尿中に排泄されること、高血圧での開始用量が就寝時1日1回1 mgであること、中枢性α2作動薬の急な中止で血圧上昇などの反跳症状が起こりうることを確認した閲覧 2026-09-08
  3. 3.GUANFACINE tablet, extended release [package insert](Actavis Pharma, Inc. (DailyMed)・2020)徐放性グアンファシン錠(Intuniv後発品)の承認適応が6〜17歳のADHDに対する単剤療法および中枢刺激薬への併用療法に限られ高血圧の適応を持たないこと、用量依存性に血圧・心拍数を低下させること、傾眠・鎮静が高頻度の有害事象であること、急な中止で臨床的に有意で持続する反跳性高血圧が生じうるため1〜3 mgを3〜7日ごとに減量する漸減が必要であることを確認した閲覧 2026-09-08
  4. 4.12. Retinopathy, Neuropathy, and Foot Care: Standards of Care in Diabetes—2026(American Diabetes Association・2026)起立性低血圧の管理の節が、糖尿病性自律神経障害の患者では仰臥位血圧がかなり高くなりやすいため就寝時に短時間作用型の薬剤(グアンファシン、クロニジン、イスラジピンなどの短時間作用型カルシウム拮抗薬、アテノロールや酒石酸メトプロロールなどの短時間作用型β遮断薬)による降圧を要することが多いと述べていることを確認した。PMC12690177で全文を閲覧した(diabetesjournals.orgは403)。閲覧 2026-09-08