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Symptoms · Published

動悸

Palpitations

臓器系
循環器血液
科目
CardiologyInternal Medicine
トピック
循環器内科 A-30:上室性不整脈内科学 S-02:心臓の刺激生成・伝導障害循環器内科 A-31:心房細動内科学 E-02:甲状腺疾患の症状・診断・治療内科学 L-58:低形成性貧血
関連疾患
たこつぼ症候群バセドウ病マルファン症候群ミトコンドリア病ライム病悪性症候群異常子宮出血(機能性子宮出血)褐色細胞腫急性ストレス障害急性冠症候群急性骨髄性白血病巨赤芽球性貧血拘束型心筋症高血圧症骨髄異形成症候群再生不良性貧血徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)上室性頻拍症心筋炎心筋症心室期外収縮心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)心臓弁膜症心的外傷後ストレス障害心房細動心房粗動身体症状症・変換症・病気不安症腎性貧血先天性QT延長症候群僧帽弁狭窄症僧帽弁閉鎖不全症大動脈弁閉鎖不全症中毒性腺腫中毒性多結節性甲状腺腫鉄欠乏性貧血電気ストーム肥大型心筋症頻脈誘発性心筋症不整脈閉塞性睡眠時無呼吸慢性疾患に伴う貧血
起因薬
(レボ)ブピバカインLSDアトモキセチンアトロピンアミトリプチリンアムロジピンイソプレナリンイバブラジンイミプラミンエリスロマイシングリコピロニウムクロミプラミンコカインサルブタモールサルメテロールジヒドララジンシロスタゾールテルブタリンドーパミンドブタミンニコチンニトログリセリンニトロプルシドナトリウムニフェジピンヒドロキシジンフェノテロールフェロジピンフェントラミンブチルスコポラミンプラジカンテルペンタミジンホルモテロールリドカインレボキセチンレボチロキシン

🧠 全体像は「心臓の拍動を意識してしまう」というな訴えであって、不整脈の同義語ではない。健常な心臓をしているだけのこともあれば、のこともある。診断の主戦場は検査ではなくにあり、聞くべきは「速いか」ではなく、始まり方と終わり方、規則性、、誘因である。そのうえで、確定は「症状のあるときの心電図を1枚取ること」に尽きる。だから検査の設計は発作の頻度に記録手段を合わせるという一点で決まる。

何を訴えているのかを言い直させる

」という語のまま進めると鑑別が動かない。患者に胸に手を当てて再現させる、あるいは机を叩いてリズムを示させると、多くはここで型が絞れる。

患者の言い方 想定する型
「一拍飛ぶ」「ドンと突き上げる」「抜ける感じ」 。抜けたのは拍動ではなく、の後の1拍が強く感じられている
「ドドドドと速く、規則正しい」 規則的な頻拍。が回路になる発作性の性頻拍など
「速くて、まったくばらばら」 不規則な頻拍。心房細動、伝導比の変わる
「じわじわ速くなって、じわじわ戻る」 。不整脈そのものより背景にある原因を探す
「首がドクドクする」 心房と心室がほぼ同時に収縮している状態を示唆する

💡 「抜ける感じ」の正体は脱落ではなく強い1拍である。の後の休止でが増え、次の拍の心拍出量が大きくなる。この説明は患者の不安を直接下げるので、そのまま伝えてよい。

問診で不整脈の型を推定する

⭐ 最も情報量が多いのは、発症と停止が「突然」か「徐々に」かである。ここだけで発作性の頻拍とが分かれる。

突然/不規則側 徐々/規則側
発症と停止 スイッチを入れ切りするように突然(発作性の頻拍) 数分かけて上がり、数分かけて戻る(、不安、発熱、貧血、甲状腺)
規則性 完全に不規則なら心房細動を第一に 規則的ならか規則的な頻拍
一瞬〜数秒なら 数分〜数時間続くなら持続する頻拍
停止の仕方 息こらえ・冷水・しゃがみ込みで止まる=が回路に含まれる 安静・原因の是正で徐々に治まる
誘因 、飲酒、、睡眠不足、発作性に無誘因 労作、発熱、貧血、脱水、精神的緊張

で止まるかどうかは、機序をそのまま反映する。 を回路に含む頻拍は止まるが、心房内で完結する頻拍(心房細動・)は止まらない。患者の「しゃがんだら治る」という一言に診断的価値がある。

⚠️ 危険を示唆する所見

所見 理由
失神・を伴う 頻拍が拍出を保てないところまで進んでいる。ではなく失神の問題として扱う
労作中に起こる 運動誘発性の感受性の不整脈
の既往(心筋症、弁膜症、心不全、 の基質がある
若年突然死・原因不明の溺死の家族歴 遺伝性不整脈症候群
心電図の異常(、QT延長、、Q波、幅の広い頻拍) 基質そのものが写っている
胸痛・呼吸困難・低血圧を伴う 虚血やが並走している

⚠️ 失神を伴うは、の鑑別として処理せず、危険な失神として 失神 の枠組みで評価する。前駆するを強く示唆する所見である。

⚠️ 幅の広い頻拍は、証明されるまでとして扱う。 「若いから性だろう」という推定でを抑える薬を投与しない。

心臓以外の原因

心臓が正常でも、心拍出量を上げる要因、交感神経を刺激する要因、そして知覚の閾値を下げる要因のどれかがあればは起こる。

拍出需要の増大 貧血、発熱、脱水・出血、妊娠、甲状腺機能亢進
・交感神経刺激 低血糖、、離脱(アルコール・ベンゾジアゼピン)
外因性物質 、アルコール、、覚醒剤類、β刺激薬、甲状腺ホルモンの過量、
電解質・代謝
知覚と心理 不安症、。閾値が下がり正常拍動を強くする

初期検査は、、血算、電解質、甲状腺機能で足りることが多い。⚠️ 「若い女性の不安症」という早期の決めつけは、を見落とす典型的な経路である。突然始まり突然止まるという病歴があれば、不安の診断がついていても記録を試みる。

記録手段は発作の頻度で選ぶ

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='palpitations'>動悸</span>"] --> B{"いま症状があるか"}
    B -->|"ある"| C["その場で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='12-lead electrocardiogram'>12誘導心電図</span><br>=最も価値の高い1枚"]
    B -->|"ない"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='12-lead electrocardiogram'>12誘導心電図</span>で基質を確認<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='delta wave'>デルタ波</span>・QT・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bundle branch block'>脚ブロック</span>・Q波"]
    D --> E{"危険を示唆する所見があるか"}
    E -->|"あり"| F["心エコーと専門評価を先行"]
    E -->|"なし"| G{"発作の頻度は"}
    G -->|"ほぼ毎日"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Holter (ambulatory) ECG'>ホルター心電図</span>"]
    G -->|"週〜月に数回"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='patch'>パッチ</span>型長時間記録<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='event recorder'>イベント記録計</span>・携帯型記録"]
    G -->|"まれだが症状が重い"| J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='implantable loop recorder'>植込み型ループ記録計</span>"]

⭐ 記録期間を発作の頻度より短く取ると、陰性の結果が「不整脈がない」ことの証拠にならない。手段の選択がそのまま検査の意味を決める。

💡 患者にでの脈の取り方を教え、発作中に脈拍数と規則性を自分で記録してもらうだけでも鑑別に効く。次の受診までに1回でも記録できれば、高価な機器より早い。

まとめ

  • な訴えであり、不整脈と同義ではない。まず患者に再現させて型を絞る。
  • 最も情報量が多いは、発症と停止が突然か徐々にか。突然の入り切りは発作性の頻拍を示唆する。
  • 完全に不規則なら心房細動、一瞬なら、じわじわ上下するならで背景を探す。
  • 「一拍抜ける」感覚の正体は後の強い1拍であり、この説明自体が治療になる。
  • で止まる頻拍はを回路に含む。患者の一言が機序を教える。
  • 危険なのは、失神を伴う、労作中に起こる、、心電図異常。
  • 失神を伴うの鑑別に載せず、危険な失神として評価する。
  • 非心臓性の原因(貧血、甲状腺、発熱、薬剤、、不安)を初期検査で並行して外す。
  • 不安症の診断があっても、突然始まり突然止まる病歴があれば記録を試みる。
  • 記録手段は発作の頻度に合わせる。合っていない記録の陰性結果には意味がない。