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Drug Atlas · B26 Antihistamines / 抗ヒスタミン薬

テルフェナジン

terfenadine

分類
Antihistamines / 抗ヒスタミン薬
商品名(日本)
トリルダン
科目
Pharmacology
トピック
Core24:酵素阻害薬
副作用
動悸
相互作用
ジロートン

🧠 全体像:は、(眠くならない)第2世代抗ヒスタミン薬の先駆けとして登場しながら、QT延長とTorsades de pointesを引き起こすことが分かって多くの国で販売中止になった薬である。⭐ 本剤そのものを処方することはもう無い——それでも学習上重要なのは、⚠️ への置き換えというの教科書的な一例と、阻害薬との併用が薬物血中濃度を介して心毒性を引き起こすという相互作用学習のモデルケースになっているからである。

薬効群の中での位置づけ

世代 代表薬 心毒性
第1世代 高い(眠気・) 個別に評価
第2世代(初期) 、アステミゾール(同様の理由で販売中止) 低い() ⚠️ チャネル阻害によるQT延長・のリスク
第2世代(現行) 、、 低い 心毒性が実質的に消失

⭐ はのそのものである。 は肝臓でにより速やかにを受け、抗ヒスタミン作用の大部分は代謝物である酸(=)が担う。はこのカリウム電流を阻害せず心毒性を持たないため、が市場から消える際にそのまま後継薬として承認されたという、として異例の経緯を持つ1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='terfenadine'>テルフェナジン</span>を経口摂取"] --> B["肝で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450 3A4'>CYP3A4</span>により速やかに<span class='jp-term jp-term-diagram' title='first-pass metabolism'>初回通過代謝</span>"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='fexofenadine'>フェキソフェナジン</span>が抗ヒスタミン作用の主体"]
    A -.->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450 3A4'>CYP3A4</span>が阻害されると"| D["未代謝の親薬物<span class='jp-term jp-term-diagram' title='terfenadine'>テルフェナジン</span>が血中に蓄積"]
    D --> E["心筋の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human ether-a-go-go-related gene'>hERG</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rapid delayed rectifier potassium current'>IKr</span>)<span class='jp-term jp-term-diagram' title='potassium channel'>カリウムチャネル</span>を阻害"]
    D --> F["高濃度ではNaチャネル(I_Na)も阻害し伝導を遅延させる"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='QT interval prolongation'>QT間隔延長</span>・Torsades de pointesのリスク"]
    F --> H["非<span class='jp-term jp-term-diagram' title='torsades de pointes'>TdP</span>型の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ventricular tachycardia, VT'>心室頻拍</span>/細動のリスク(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='torsades de pointes'>TdP</span>を介さない機序)"]

💡 「未代謝の親薬物が心臓に届くかどうか」が全ての鍵になる。 通常量ではが非常に効率的なため、循環血中の濃度はごく低く保たれ、心毒性はほとんど問題にならない。しかしを強力に阻害する薬(など)を併用すると、このがブロックされ、未代謝のが心筋に到達してを阻害する——これがQT延長の直接の引き金になる2。

⚠️ QT延長・だけが危険なのではない。 高濃度のはNaチャネルも阻害するため、QT/を延長させずにQRS幅を拡大させ、を介さない/細動を誘発しうることが実験的に示されている。この非経路のリスクがのリスクを上回る可能性が指摘されている1。

販売中止の経緯

  • 1985年に米国で承認された最初の抗ヒスタミン薬として広く使われたが、市販後に・(・など)との併用でQT延長・・心停止に至る症例が報告された。
  • 併用時のPK/心電図変化を検証したHonigらの試験では、6名中4名で有意なのため投与継続が困難となった2。
  • 米国では表示の強化を経ても副作用報告が続き、⚠️ 心毒性を持たないが承認されたのと入れ替わる形で、1990年代後半に市場から撤退した。日本でも同時期に販売中止となっている。

適応(過去の位置づけ)

かつての適応は・などの疾患で、やなどの現行の第2世代抗ヒスタミン薬と同じ位置づけであった。現在この適応はすべて心毒性の無い後続薬に置き換わっている。

禁忌・注意(歴史的位置づけとしての学習ポイント)

  • ⚠️ を強く阻害する薬剤との併用が最大の危険因子。 ・などの、などのが典型例2。
  • ⭐ の添付文書は、との併用を推奨しないと明記している。 自体は阻害薬として位置づけられてはいないが、実測されたPK変化(・ワルファリン・との相互作用)から、との併用も慎重に避けるべきとされた——「販売中止になった薬でも、他剤の添付文書に相互作用注意として名前が残り続ける」という実例である。
  • (の低下)、も未代謝薬物の蓄積を介して同じリスクを生む。

まとめ

  • の第2世代抗ヒスタミン薬として登場したが、QT延長・Torsades de pointesのため多くの国で販売中止になった。
  • であるに、心毒性を持たないまま置き換わった——「親薬物が毒性を持ち、代謝物が安全で有効」というの教育上典型的な例。
  • 機序は、阻害によるの遮断→未代謝の蓄積→心筋()チャネル阻害→QT延長。高濃度ではNaチャネル阻害による非型不整脈のリスクも指摘されている。
  • ⚠️ 現在はもう処方されない薬だが、他剤(など)の添付文書の相互作用注意に名指しで残っているため、相互作用学習の文脈で名前に出会う。

出典

  1. 1.Does terfenadine-induced ventricular tachycardia/fibrillation directly relate to its QT prolongation and Torsades de Pointes?(British Journal of Pharmacology・2012)ウサギ摘出心臓・左室ウェッジ標本とパッチクランプ実験で、テルフェナジンがhERG(IKr)電流を阻害する一方、心筋Naチャネル電流(I_Na)も濃度・使用依存性に阻害すること、10μMの高濃度ではQT/JT間隔を延長せずにQRS幅の拡大・伝導遅延を来しTorsades de pointes型ではない心室頻拍/細動を高頻度(100%)に誘発したこと、テルフェナジンは強力なhERG遮断薬であるが非TdP型心室頻拍/細動のリスクがTdPのリスクを上回りうると結論していることを確認した閲覧 2026-09-05
  2. 2.Terfenadine-Ketoconazole Interaction: Pharmacokinetic and Electrocardiographic Consequences(JAMA・1993)健康成人6名(男性4名・女性2名、24〜35歳)を対象とした自己対照試験で、ケトコナゾール追加投与後は全被験者で未代謝のテルフェナジンが血中に検出されるようになりQT延長と関連したこと、6名中4名で有意な心電図再分極異常のためケトコナゾール投与を中断せざるを得なかったこと、テルフェナジン酸代謝物のAUCにも有意な変化が認められたこと、結論としてケトコナゾールがテルフェナジンの代謝を変化させ未代謝の親薬物の蓄積とQT間隔の有意な延長をもたらすためこの薬物の組み合わせは避けるべきであるとしていることを確認した閲覧 2026-09-05