薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A7 Alpha-blockers / α遮断薬 · 必修

フェントラミン

phentolamine

分類
Alpha-blockers / α遮断薬
商品名(日本)
レギチーン
科目
Pharmacology
トピック
A7: α-receptor antagonists
副作用
動悸低血圧
対象疾患
褐色細胞腫薬剤の血管外漏出
対象薬
ドーパミンノルアドレナリン

🧠 全体像は-zosin系と違いα1・α2の両方を遮断する非選択的α拮抗薬で、この非選択性そのものが臨床的な意味を持つ。α2受容体はで「これ以上ノルアドレナリンを出すな」と抑える負のフィードバック受容体であり、これも遮断してしまうためノルアドレナリン放出がむしろ増え、より顕著に出るの急性期治療薬として、この「効きすぎる頻脈」への理解が使いこなしの前提になる。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表 受容体
α1のみ 軽度
α1+α2 顕著(α2遮断でノルアドレナリン放出↑が加わる)
α+β遮断薬 α1+非選択β β遮断が頻脈を打ち消す

は「αも遮断する」点で似て見えるが真逆の使い方をする。 を許容してでも急速にαを叩きたい急性期の薬で、の周術期のようにあらかじめβ遮断薬を後から追加できる場面で使う。逆にβ遮断薬を先に、あるいは単独で使うと、遮断されないα受容体だけが働き末梢血管収縮が増強しを誘発しうるため、「α遮断が先、β遮断は後」の原則を破ってはいけない

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='phentolamine'>フェントラミン</span>が<br>α1・α2受容体を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に遮断"] --> B["α1遮断:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle relaxation'>血管平滑筋弛緩</span><br>→ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral vascular resistance'>末梢血管抵抗</span>↓"]
    A --> C["α2遮断:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='presynaptic'>シナプス前</span>の<br>負のフィードバックが外れる"]
    C --> D["神経終末からの<br>ノルアドレナリン放出↑"]
    D --> E["残存するβ受容体を刺激"]
    E --> F["⚠️ 心拍数↑・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myocardial contractility'>心収縮力</span>↑<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reflex tachycardia'>反射性頻脈</span>が顕著)"]
    B --> G["血圧↓"]

💡 より頻脈が目立つ理由はここにある。 はα2受容体を残すため、負のフィードバックが機能し続けノルアドレナリン放出はある程度抑制される。はこの安全弁ごと外してしまう。

薬物動態

項目 値・特徴
剤形 静注・皮下注(急性期使用が主体)
作用発現 速い
作用持続 短い(約15〜30分程度)

適応

領域 使いどころ
内分泌 ・術中の急性期血圧コントロール
救急 (ノルアドレナリンなど)のへの局所皮下注射(の予防)
歯科 (エピネフリン含有)の効果を早く切りたいときの

用法・用量

のクリーゼには少量から静注し血圧を見ながらする。には漏出部周囲へ少量ずつ皮下注射する。実際の用量は病態・年齢・体重で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ を増やし狭心症・心筋梗塞を誘発しうるため慎重に用いる
  • β遮断薬を先に、またはなしで単独投与しない:遮断されないα受容体を介した血管収縮が働き続けを誘発しうる(での鉄則)
  • 消化性潰瘍の既往では消化管刺激作用に注意

副作用

頻度 内容
高頻度 低血圧
注意 亢進(悪心・下痢)
重篤・まれ 頻脈による・不整脈

まとめ

  • 非選択的・α拮抗薬。α1とα2の両方を遮断する。
  • α2遮断によりの負のフィードバックが外れ、ノルアドレナリン放出が増える → より顕著。
  • に対する急性期の静注薬として使う。
  • ⚠️ 「α遮断が先、β遮断は後」の原則——β遮断薬を先に、または単独で使うと不可の血管収縮でを誘発しうる。
  • 時の局所注射(予防)という救急的な使い方も持つ。
  • により患者ではのリスクに注意する。