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Drug Atlas · A7 Alpha-blockers / α遮断薬 · 必修

ラベタロール

labetalol

分類
Beta-blockers / β遮断薬Alpha-blockers / α遮断薬
商品名(日本)
トランデート
商品名(EU)
Trandate
科目
Pharmacology
トピック
A7: α-receptor antagonists
禁忌疾患
気管支喘息
副作用
めまい低血圧
対象疾患
可逆性後頭葉白質脳症大動脈解離妊娠高血圧腎症・子癇・HELLP症候群脳内出血(非外傷性)

🧠 全体像はα1・β1・β2をすべて遮断する合剤的な薬で、「β遮断がを打ち消しながらα遮断で血管を拡張する」という組み合わせの妙で成り立っている。この設計により、単独のが出る)にも単独のβ遮断薬(を下げにくい)にもない使い方——急速なが要るのに心拍数は上げたくない場面——を担う。妊娠中の高血圧、で繰り返し名前が挙がるのはこのためである。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表 受容体
α1のみ 軽度〜中等度
α1+α2 顕著
α+β遮断薬 α1+非選択β β遮断が打ち消すためほぼ起こらない

β遮断作用の比率が経口とIVで違うことが処方文脈の理解を助ける。 経口ではβ:α遮断作用比が約3:1、静注では約7:1とされ、静注のほうがβ遮断優位に傾く。これは急性期(静注)ではより確実に頻脈を抑えたい場面が多いという臨床と整合する。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='labetalol'>ラベタロール</span>投与"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>のα1受容体を遮断"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral vascular resistance'>末梢血管抵抗</span>↓ → 血圧↓"]
    A --> D["心臓のβ1受容体を遮断"]
    D --> E["心拍数↑・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myocardial contractility'>心収縮力</span>↑が起こらない"]
    C -.->|"本来なら反射性に"| F["交感神経が心臓を刺激しようとする"]
    F -.->|"しかしβ1が遮断済み"| E
    A --> G["気管支・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='beta-2 receptor'>β2受容体</span>も遮断"]
    G --> H["⚠️ <span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchospasm'>気管支攣縮</span>のリスク(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bronchial asthma'>気管支喘息</span>で禁忌)"]

💡 「αとβを同時に遮断する」ことの意味は、片方だけでは説明できない。 α1遮断だけなら血管は開くが心臓は反射性に頑張って頻脈になる。β1遮断だけなら頻脈は防げてもは下がりにくい。は両方を同時に叩くことで、血圧は下げつつ心拍数はほぼ変えないという単剤ではまれな血行動態を作る。

薬物動態

項目 値・特徴
約25%(が大きい)
分布 胎盤を通過する(妊娠での使用実績は豊富)
代謝 肝でのが主体
半減期 約6〜8時間
剤形 経口・静注(急性期は静注)

適応

領域 使いどころ
産科・循環器 ・子癇・を含む妊娠中の高血圧(と並ぶ
循環器 全般の静注治療
循環器 の急性期血圧・心拍数コントロール(頻脈を避けつつしたい典型例)
神経 (非の急性期血圧コントロール

用法・用量

では静注1回20 mgを投与し、必要に応じて10分ごとに増量しながら、または持続静注で維持する。経口では1回100〜200 mgを1日2回から開始し漸増する。実際の用量は病態・妊娠週数・腎肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(β2遮断作用によりを誘発しうる)
  • 高度徐脈・房室ブロック・では避ける
  • ⚠️ の単剤治療には用いない。 のβ:α遮断比では十分なα遮断が保証されず、などの純粋なを先に確立してからβ遮断を追加するという原則を崩してはならない
  • 急な中止での頻脈・狭心症悪化)を起こしうるためする

副作用

頻度 内容
高頻度 めまい低血圧(起立性)、頭皮のちくちく感(投与初期に特徴的とされる)
注意 徐脈、
重篤・まれ 患者)、まれに

まとめ

  • α1・β1・β2を遮断する合剤的な薬。β遮断がを打ち消しながらα遮断で血管を拡張する。
  • β:α遮断比は経口約3:1、静注約7:1で、静注のほうがβ遮断優位。
  • 妊娠中の高血圧(と並ぶ)、の急性期に使う。
  • ⚠️ は禁忌。 β2遮断作用によるのリスク。
  • ⚠️ の単剤治療には用いない。 α遮断を先に確立してからβ遮断を追加する原則が優先される。
  • 頻脈を避けたい急性期のという、単独のにもβ遮断薬にもない役割を担う。