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Drug Atlas · A4 Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬 · 必修

ドブタミン

dobutamine

分類
Adrenergic agonists / アドレナリン作動薬Cardiac glycosides & inotropes / 強心薬
商品名(日本)
ドブトレックス
科目
Pharmacology
トピック
B4: Positive inotropic drugsA4: Catecholamines
禁忌疾患
肥大型心筋症
副作用
動悸低血圧
対象疾患
循環性ショック(心原性・循環血液量減少性・閉塞性・血液分布異常性)敗血症肺水腫
原因となる疾患
心筋炎心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)

🧠 全体像血圧を上げる薬ではなく、心拍出量を上げる薬である。β1受容体を主体に刺激して収縮力を高めるが、末梢のβ2作用で血管はむしろ広がるため、単独では血圧が下がることさえある。だからなどで血圧そのものが崩れている場面ではノルアドレナリンで血圧を確保した上に乗せるのが定石で、「」と「」を混同しないことがこの薬を理解するになる。

薬効群の中での位置づけ

は2つの分類軸に同時に属する。としては受容体プロファイル、としては「どうやって細胞内Ca²⁺を上げるか」で位置づけが決まる。

カテコラミンの受容体プロファイル

薬剤 α1 β1 β2 D(ドパミン受容体) 主な適応
ノルアドレナリン +++ + (第一選択
エピネフリン +++ +++ +++ アナフィラキシー・心停止
高用量で+ 中用量で+ 低用量で+ ショック・
ほぼなし +++ + (強心)
+++ +++ 徐脈・房室ブロック

の中でだけがα作用をほぼ持たない。 実際には(+)体(β1作動・α1拮抗)と(−)体(α1作動・β1作動)ので、両者の作用が打ち消し合うことで正味β1優位という受容体プロファイルが生まれる。この「αがされて見えなくなる」という成り立ちは、単一の受容体に結合するノルアドレナリンやとは対照的。

強心薬(陽性変力薬)としての位置づけ

分類 代表薬 機序 使いどころ
ジゴキシン・ Na/K-ATPase阻害→Ca²⁺↑ ・AF(経口)
β1→cAMP↑ (短期静注)
PDE-3阻害薬 PDE-3阻害→cAMP↑ (強心血管拡張)
Ca感受性↑(Caは増やさない) (強心血管拡張)

💡 はいずれも急性期の短期静注という共通点を持つが、たどり着く先(cAMP↑ vs Ca感受性そのものを上げる)が違う。の下流にあるcAMP分解酵素を止めることで同じcAMP↑に到達する別ルートであり、β受容体がしている患者(長期曝露後や慢性β遮断薬内服中)ではの方が理にかなうという使い分けが生まれる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dobutamine'>ドブタミン</span>((+)体と(−)体の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='racemic mixture'>ラセミ混合物</span>)"] --> B["(+)体:β1作動+α1拮抗"]
    A --> C["(−)体:β1作動+α1作動"]
    B --> D["α作用は互いに打ち消し合う"]
    C --> D
    D --> E["正味:β1優位(弱いβ2も残る)"]
    E --> F["Gs蛋白質→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenylyl cyclase, AC'>アデニル酸シクラーゼ</span>↑→cAMP↑"]
    F --> G["PKA活性化→L型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='calcium channel'>Ca²⁺チャネル</span>リン酸化"]
    G --> H["細胞内Ca²⁺流入↑→収縮力↑(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positive inotropic effect'>陽性変力作用</span>)"]
    F --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sinoatrial (SA) node'>洞結節</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='automaticity'>自動能</span>↑→心拍数↑(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='positive chronotropic effect'>陽性変時作用</span>は弱め)"]
    E --> J["弱いβ2作用→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral vasodilation'>末梢血管拡張</span>"]
    J --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afterload'>後負荷</span>↓(心拍出量↑を助けるが血圧は上がりにくい)"]

⚠️ (急速な効果減弱)が起こる代表薬の一つ。 β1受容体のにより、72〜96時間を超えるでは同じ用量での効果が落ちてくる。増量でしのぐか、他のなど)へ切り替えるかを検討する。

適応

領域 使いどころ
十分な血圧が確保されているにもかかわらず低心拍出・低灌流が続く場合。血圧そのものが崩れている場合はまずノルアドレナリンで血圧を確保し、その上でを追加する
循環器診断 (冠動脈疾患の虚血評価、運動負荷が困難な患者の代替)

用法・用量

IV持続静注。目安:2〜20 μg/kg/分から開始し、心拍出量・血圧・尿量などの灌流指標をみながらする。72時間を超えるではにより効果が減弱しうるため、漫然と増量を続けず他剤への切り替えも検討する。急な中止はリバウンド性の血行動態悪化を招きうるためする。実際の用量は病態・年齢・体重・腎肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(特にを伴う)。が流出路狭窄を悪化させ心拍出量をむしろ低下させる
  • 重度:心拍数をさらに上げるため増悪しうる
  • 未補正の:まず輸液で前負荷を補正してから開始する。血管内容量が不足したまま投与すると弱いβ2でかえって血圧が下がる
  • を増やすため狭心症・虚血を誘発しうる

副作用

頻度 内容
高頻度 ・頻脈
注意 低血圧による)、逆に高血圧をきたすこともある、の誘発
重篤・まれ (まれな過敏反応)

まとめ

  • の中で唯一αをほぼ持たないβ1優位の合成薬。(+)体と(−)体のα作用が打ち消し合う成り立ちによる。
  • 」ではなく「」。血圧より心拍出量を上げる薬なので、血圧自体が崩れたショックにはまずを先に使う。
  • β1→cAMP↑→Ca²⁺流入↑で。弱いβ2作用でを下げる分、血圧は上がりにくい。
  • 72〜96時間を超えるが起こる代表例(と並ぶ古典的出題ポイント)。
  • は禁忌。流出路狭窄を悪化させる。
  • という診断的用途も持つ。
  • B4()ではとして(PDE-3阻害)・(Ca感受性増強)と対比される。