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Drug Atlas · B7 Vasodilators / 血管拡張薬

ニトロプルシドナトリウム

sodium nitroprusside

分類
Vasodilators / 血管拡張薬
商品名(日本)
ニトプロ
商品名(EU)
Nipruss
科目
PharmacologyInternal MedicineForensic Medicine
トピック
B7: Ca++-channel blockers and other vasodilators内科学 L-13:高血圧切迫症と緊急症法医学 31:一酸化炭素中毒とヒ素・シアン化物・鉛・メタノール中毒
副作用
低血圧頭痛悪心錯乱動悸
監視検査値
クレアチニン乳酸
原因となる疾患
シアン化物中毒メトヘモグロビン血症

🧠 全体像は分子内に5つのを抱えたで、血中に触れた瞬間からNOを遊離し始める「即効・即消失」のと違って動脈・静脈をほぼ均等に拡張するため前負荷・を同時に下げられ、効果発現・消失が分単位のため速度で厳密にできる。ただし代謝の過程で放出したを体内で処理しきれなくなると、そのままに転じるという致命的な弱点を抱えており、この一点が現在の位置づけを大きく規定している。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 血管への効き方 主な血行動態効果 現在の位置づけ
動脈・静脈をほぼ均等に拡張 前負荷↓+ の代替薬。他剤が使える場面では第一選択にしない
静脈系()優位 前負荷↓が主体。高用量でようやく動脈にも波及 のIVで頻用、急性発作の第一選択

均等拡張になる理由は代謝の違いにある。 による酵素的な代謝を経てNOを生じ、この酵素は静脈平滑筋でより優位に働くため効果が静脈側に偏る。一方は血中のと接触するだけでNOを放出するため、動脈・静脈を問わず反応が進み、への効きが前提として保証されている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nitroprusside'>ニトロプルシド</span>を静注"] --> B["血中で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxyhemoglobin'>オキシヘモグロビン</span>と反応"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-enzymatic'>非酵素的</span>にNOを遊離<br>鉄はメトヘモグロビンへ"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='soluble guanylyl cyclase'>可溶性グアニル酸シクラーゼ</span>(sGC)を活性化"]
    D --> E["cGMP↑→PKG活性化"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle relaxation'>血管平滑筋弛緩</span>"]
    F --> G["動脈・静脈がほぼ均等に拡張"]
    G --> H["前負荷↓+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afterload'>後負荷</span>↓"]
    B --> I["同時に遊離<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyanide'>シアン化物</span>イオンが生成"]
    I --> J["一部はメトヘモグロビンと結合し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyanmethemoglobin'>シアンメトヘモグロビン</span>に"]
    I --> K["残りは肝・血管壁の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rhodanese'>ロダネーゼ</span>が<br>チオ硫酸を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulfur donor'>硫黄供与体</span>として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thiocyanate'>チオシアン酸</span>へ変換"]
    K --> L["腎から排泄"]
    I --> M["⚠️処理能力を超えると遊離<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyanide'>シアン化物</span>が蓄積"]
    M --> N["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome c oxidase'>シトクロムC酸化酵素</span>を阻害→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aerobic metabolism'>好気代謝</span>停止"]

💡 前負荷・を同時に落とせる薬は多くない。 を主目的にする場面(での心拍出量改善など)では、静脈系優位のより理にかなった選択になりうる。ただしその代償として、動脈拡張薬全般で問題になると、この薬に固有の蓄積という2つのリスクを常に背負う。

薬物動態

項目 値・特徴
のみ
作用発現 1〜2分以内
約2分。中止後数分で作用消失
の処理 一部はメトヘモグロビンに結合(容量限定)、残りは肝・血管壁の
の半減期 約3日(。腎機能低下で延長)
光安定性 光により分解し遊離が進む→が必須
用量の目安 低用量(0.3〜0.5 μg/kg/分)から開始し漸増。上限の目安10 μg/kg/分は短時間のみ許容

適応

領域 使いどころ
重症高血圧+進行中ので、他の可能な静注薬が使えない・不十分な場合の代替
血圧が保たれている例でのによる心拍出量改善
周術期 出血量減少などを目的とした
急性 などβ遮断薬で心拍数・dP/dtを十分に下げたうえでのの追加

用法・用量

低用量(0.3〜0.5 μg/kg/分)から開始し、血圧の反応を見ながら数分ごとに漸増する。血圧変動がなため動脈圧ラインによる持続モニタリングが必須で、非な間欠測定だけでは対応できない。ボトル・ラインは光による分解を避けるためし、(褐色化)した薬液は使用しない。48時間を超えるや、目安として2 μg/kg/分を上回る速度での蓄積のリスクを高めるため避け、腎機能(クレアチニン)を確認しつつ可能な限り低用量・短時間にとどめる。実際の投与量・投与法は病態・体重で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 中毒が最大の弱点。 高用量・長時間投与、腎障害(の排泄低下)、肝障害(による処理能の低下)、であるチオ硫酸の枯渇)でリスクが上がる。原因不明の代謝性アシドーシスや乳酸上昇、血圧に不釣り合いな頻脈、、痙攣は中毒を疑う手掛かりになる。解毒は、重症例ではと結合しシアノとして排泄させる)を用いる。
  • ⚠️ 現行の診療では第一選択ではない。 など他の可能な静注薬が使える場面ではそちらを優先する。理由は、のリスクから合併例で使いにくいこと、を減少させ頭蓋内圧を上げうるため脳卒中・合併例に不向きなこと、そして毒性である。
  • ではを単独で先行させない。 でdP/dtがむしろ増加しを悪化させるため、β遮断で心拍数を十分に下げてから併用する。
  • 妊娠中は胎児への影響が懸念され、代替薬が使えない緊急時に限る。

副作用

頻度 内容
高頻度 の過度な低血圧、反射性の
注意 頭痛悪心、発汗
重篤・まれ (代謝性アシドーシス、、痙攣、心停止)、中毒(腎機能低下例での長時間投与時)、

まとめ