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Drug Atlas · A19 Antidepressants / 抗うつ薬 · 必修

イミプラミン

imipramine

分類
Antidepressants / 抗うつ薬
商品名(日本)
トフラニール
商品名(EU)
Tofranil
科目
Pharmacology
トピック
A19: Monoamine reuptake inhibitors
承認適応
尿失禁
禁忌疾患
急性冠症候群閉塞隅角緑内障前立腺肥大症
副作用
便秘口腔乾燥傾眠低血圧動悸痙攣
監視検査値
QT延長
相互作用
モクロベミド

🧠 全体像は史上初めて合成された(TCA)であり、と並ぶ「なんでも屋」的な非選択性を持つ。現在のうつ病治療ではSSRIに主役を譲って久しいが、小児の)治療薬という独自ので生き残っている。この用途を支えるのは抗うつ効果とは別の3つの末梢作用——による弛緩、NET阻害でノルアドレナリンが増えることによる・尿道のα1刺激(=出口抵抗の上昇)、腎尿細管での作用——の組み合わせで、同じ機序が成人の切迫性・にも応用されるが、標準治療ではなく他が無効な場合の選択肢にとどまる。

薬効群の中での位置づけ

グループ 代表薬 標的 泌尿器系での特徴
TCA(原型) SERT+NET阻害+ムスカリン・α1・の遮断 に対する数少ない明確な適応を持つ
TCA 同上 泌尿器適応は明記されない
(OAB専用) M受容体拮抗のみ の標準治療

は肝臓でデシプラミン(NET選択的な)にされる。 が代謝されてになる関係と同型で、「の親薬+より選択的な代謝物」というTCAに共通するパターンの一例である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='imipramine'>イミプラミン</span>"] --> A1["SERT・NETを阻害(中枢)"] --> B["抗うつ効果"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='muscarinic receptor'>ムスカリン受容体</span>遮断(末梢・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anticholinergic effects'>抗コリン作用</span>)"] --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='detrusor muscle'>排尿筋</span>の不<span class='jp-term jp-term-diagram' title='voluntary contraction'>随意収縮</span>を抑制"]
    A1 --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bladder neck'>膀胱頸部</span>・尿道でノルアドレナリンが増え<br>α1受容体が間接的に刺激される"] --> F["尿道閉鎖圧が上昇し尿<span class='jp-term jp-term-diagram' title='continence (continent)'>禁制</span>が保たれやすくなる"]
    A --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>でのα作動性の再吸収亢進"] --> H["夜間尿量が減少する"]
    D --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='nocturnal enuresis'>夜尿症</span>・切迫性/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mixed urinary incontinence'>混合性尿失禁</span>の症状が軽減"]
    F --> I
    H --> I

💡 「一つの薬が3つの経路で同時に効く」ことが治療薬としての特徴。 を緩め(抗コリン)、尿道の締まりを強め(NET阻害によるα1刺激)、夜間尿量そのものを減らす()という3方向の作用が重なるため、単一機序の薬よりに効きやすいとされる。⚠️ ただし自身はα1受容体に対しては遮断薬である。 出口抵抗が上がるのは受容体を直接叩くからではなく、NET阻害で神経終末のノルアドレナリンが増えるためで、直接のα1遮断作用のほうはという副作用として表に出る。「α1刺激薬」と誤って覚えると、この副作用が説明できなくなる。ただしこのは裏を返せば副作用の多さでもあり、時の心など他のTCAと共通する。

適応

領域 使いどころ
精神科 うつ病・うつ状態(現在は第一選択ではない)
小児科・泌尿器科 6歳以上の小児の(アラーム療法・が無効な場合の専門施設での選択肢)1。日本の添付文書は(昼・夜)を効能・効果として明記する2
泌尿器科(成人) 切迫性・に用いられることがあるが、標準的な第一選択ではなく、行動療法・が無効またはの場合の選択肢にとどまる

用法・用量

うつ病:日本では1日25〜75mgから開始し、1日200mgまで段階的に増量する2:日本では幼児1日25mg、学童1日25〜50mgを1〜2回する2。米国添付文書は小児で1日2.5 mg/kgを超えないことを求め、この倍量ではECG変化が報告されている3。NICEガイドラインは低用量から開始し2週おきに年齢相応の最大用量まで漸増し、治療期間は3か月を上限に中止、再開前には3か月ごとの医療者による評価を求める1。実際の用量は年齢・体重・心機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(日本)による)、本剤またはTCAへの過敏症、心筋梗塞回復初期、尿閉、MAO投与中または中止後2週間以内、2
  • 禁忌(米国):MAO阻害薬との併用、3
  • ⚠️ 小児の治療は「専門施設限定」という位置づけ。 NICEガイドラインは、時の重篤な不整脈・致死リスクを理由に、心疾患の家族歴・既往がある小児には禁忌とし、それ以外の小児でも治療の専門知識を持つ医療者による綿密なフォローを要求する1
  • ⚠️ ・自殺行動):抗うつ薬に共通するが1本置かれており、小児・青年・若年成人(24歳以下)で・自殺行動のリスクがより増加する。25歳以上ではこの増加は示されず、65歳以上ではむしろ低下する。開始後数週間と用量変更時は特に注意深く観察する3
  • による尿閉のリスクがあり、皮肉にもの治療に使う同じ薬が、などのある患者ではかえって尿閉を悪化させうる

副作用

頻度 内容
高頻度 便秘口渇傾眠
注意 低血圧(起立性)、、小児でのECG変化(高用量)3
重篤・まれ 時の痙攣、QT延長

まとめ

  • 史上初のTCAで、SERT・NET阻害に加え・α1刺激という末梢作用を併せ持つ非選択的な薬。肝臓でデシプラミン(NET選択的)に代謝される。
  • うつ病治療では第一選択ではないが、抗コリン(弛緩)・NET阻害による間接的なα1刺激(尿道閉鎖圧↑)・(夜間尿量↓)という3方向の作用により、小児の治療薬という独自のを持つ。日本の添付文書はを効能・効果に明記する2
  • 治療はアラーム療法・無効例に限り、専門施設での使用にとどまる。心疾患の家族歴・既往がある小児には禁忌で、3か月ごとの再評価を要する1
  • 成人の切迫性・にも同じ機序で使われることがあるが、標準的な第一選択ではない。
  • ・心筋梗塞・MAO阻害薬併用は禁忌。による尿閉のリスクがあり、などがある患者ではかえって症状を悪化させうる。
  • 時ののリスクは他のTCA(など)と共通する。
  • は抗うつ薬共通の・自殺行動(小児・青年・若年成人)1本3

出典

  1. 1.TOFRANIL (imipramine hydrochloride) tablets — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2016)米国添付文書の禁忌がMAO阻害薬の併用・急性心筋梗塞回復期・過敏症であること、小児の夜尿症に対する用量上限が2.5 mg/kg/日であること(この倍量でECG変化が報告されている)、抗うつ薬に共通する24歳未満での自殺念慮・自殺企図リスク増加の警告があることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.トフラニール錠10mg・25mg 添付文書(アルフレッサファーマ(KEGG MEDICUS収載の電子添文))日本の添付文書の効能・効果がうつ病・うつ状態に加え遺尿症(昼・夜)を明記していること、禁忌が閉塞隅角緑内障・過敏症(三環系抗うつ剤含む)・心筋梗塞回復初期・尿閉・MAO阻害剤投与中または中止後2週間以内・QT延長症候群であること、遺尿症の用法・用量が幼児1日25mg、学童1日25〜50mgを1〜2回経口投与であることを確認した。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Nocturnal enuresis: the management of bedwetting in children and young people (NICE Clinical Guideline 111)(National Clinical Guideline Centre (UK) for the National Institute for Health and Care Excellence (NICE)・2010)三環系抗うつ薬(イミプラミンなど)は夜尿症の第一選択ではなく、アラーム療法・デスモプレシンに反応しない例で専門施設に限り検討される薬剤であること、過量服薬時の重篤な不整脈リスクから心疾患の家族歴・既往がある小児には禁忌であること、投与は3か月を上限に漸減中止し、次の投与再開前に3か月ごとの医療者による再評価が必要であることを確認した。閲覧 2026-08-10