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Drug Atlas · A3 Anticholinergics / 抗コリン薬 · 必修

アトロピン

atropine

分類
Anticholinergics / 抗コリン薬
科目
Pharmacology
トピック
A3: Muscarinic receptor blocking drugsA15: Intravenous anesthetics. Perioperative medication
禁忌疾患
潰瘍性大腸炎イレウス・腸閉塞閉塞隅角緑内障
副作用
便秘錯乱散瞳乏汗症動悸
解毒薬
フィゾスチグミン
対象疾患
コリン作動性クリーゼ弱視徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)有機リン中毒
原因となる疾患
緑内障
対象薬
ベタネコール

🧠 全体像は全身の非選択的に塞ぐ、すべての「原型」である。同じ抗コリン系の他剤——化して中枢に入れなくした薬、吸入で気道に限定した薬、M3だけを狙う薬——は、いずれも「の全身性・非選択性という副作用を、目的の臓器だけに絞り込むための改造版」と理解すると全体が一枚の地図になる。臨床的にはの第一選択)中毒のという、対照的な2つの顔を持つ。

薬効群の中での位置づけ

代表薬 分布・選択性 使いどころ
全身・非選択的(プロトタイプ) M1〜M5すべてに結合、脂溶性でBBBを通過(中枢移行あり) 徐脈、の解毒、術前の分泌抑制
・末梢限定 中枢移行なし 、周術期の分泌抑制
中枢移行型・鎮吐 中枢移行あり、を抑制
吸入・気道局所 など 気道に限定 COPD・喘息
膀胱選択(M3中心) など
眼局所 点眼
中枢限定(線条体) 中枢のM受容体 パーキンソン病・

試験で問われるのは「なぜだけが全身に効くのか」。 他のの多くは(電荷を持たせてBBBを越えられなくする)か、の局所化(吸入・点眼)で副作用域を狭めている。にはその工夫がなく、天然型ののまま全身・中枢に効くからこそ、逆に「緊急時に全身へ効かせたい」場面(徐脈、中毒)の主役になる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atropine'>アトロピン</span>が心臓の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sinoatrial (SA) node'>洞房結節</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atrioventricular (AV) node'>房室結節</span>の<br>M2受容体に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vagal tone'>迷走神経緊張</span>が解除される"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sinoatrial (SA) node'>洞房結節</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='automaticity'>自動能</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='AV conduction'>房室伝導</span>速度が回復"]
    C --> D["心拍数上昇(徐脈の解除)"]
    E["唾液腺・気道腺の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='M3 muscarinic receptor'>M3受容体</span>拮抗"] --> F["分泌抑制(口渇・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway secretion'>気道分泌</span>↓)"]
    G["平滑筋(消化管・膀胱)のM3拮抗"] --> H["蠕動低下・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='detrusor muscle'>排尿筋</span>弛緩"]
    I["脂溶性でBBBを通過"] --> J["中枢のM受容体拮抗"] --> K["高用量でせん妄・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hallucination'>幻覚</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='central anticholinergic syndrome'>中枢性抗コリン症候群</span>)"]

M受容体はGqと共役し、通常はACh結合でPLC→IP3/DAG経路を介して標的臓器を興奮させる。はACh非存在下でも受容体に結合しに拮抗するため、ACh濃度を上げれば作用を追い越せる(=での大量投与が必要な理由)。

💡 では「」にしか効かない。 を阻害してACh過剰状態()を起こすが、症状は(徐脈・増加・SLUDGE)と様(骨格筋の・筋力低下・)に分かれる。が拮抗できるのは症状だけで、様症状(特に)にはのようなが必要になる。

薬物動態

項目 値・特徴
経路 IV/IM/PO。緊急時はIVが中心
分布 脂溶性の血液脳関門を通過する(中枢移行あり)
代謝 一部が肝で代謝される
排泄 主に(未変化体+代謝物)
半減期 約2〜3時間(ただし瞳孔への作用は数日〜1週間以上持続する)

適応

領域 使いどころ
循環器・蘇生 の第一選択。⚠️2020年AHA ACLSガイドライン以降、(PEA)のルーチン治療からは外れており、脈のある徐脈に限って使う
)・カーバメート系中毒の解毒様症状(筋力低下)にはを併用する
周術期 としての分泌抑制などの予防・治療
眼科 ぶどう膜炎での強力なの癒着予防)。作用が長いため日常の検査には使わない

用法・用量

にはIV 1 mgを3〜5分ごとに反復(の目安は3 mg)。では初期にIV 2〜4 mgを投与し、が乾くまで(atropinization)用量を倍量ずつ漸増する——重症例ではが数十mgに達することもある。周術期の分泌抑制はIV/IM 0.5 mg前後が目安。実際の用量は適応・重症度・年齢・体重で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

副作用

頻度 内容
高頻度 口渇、便秘
注意 ・頻脈、尿閉、
重篤・まれ )、の急性発作

中毒と解毒

過量・の症状は語呂合わせ“hot as a hare, blind as a bat, dry as a bone, red as a beet, mad as a hatter”(熱く・盲目・乾燥・)で覚えられる——発熱(発汗できない)、による、口渇・皮膚乾燥、、せん妄である。中枢移行したには(BBBを通過する可逆的)がになる。

⚠️ 方向を混同しないこと。 過剰)には自身がとして働く一方、自体の過量(抗コリン性中毒)にはになる——逆方向の2つの中毒に、逆方向の薬が対応するという構造を意識すると混同しない。

まとめ

  • 全身・非選択的にM受容体を拮抗するの原型。他のは「効かせる範囲を狭めた改造版」。
  • 心臓のM2拮抗でを解除し徐脈を治療する。ACLSではが適応で、・PEAのルーチン使用からは外れている(2020年改訂)。
  • に拮抗するが、様症状(筋力低下)には無効——が必要。
  • 脂溶性でBBBを通過するため、(せん妄・)を起こしうる。
  • 。「の解毒」「中毒の解毒」という逆方向の対応を区別する。
  • の重症例・イレウス・・尿閉が禁忌。