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Drug Atlas · C2 Antimycobacterials / 抗結核薬 · 必修

カプレオマイシン

capreomycin

分類
Antimycobacterials / 抗結核薬Antibiotics / 抗菌薬
科目
PharmacologyMedical Microbiology
トピック
C2: Antimycobacterial drugs1/22: Antituberculotic drugs
標的微生物
Mycobacterium tuberculosis
副作用
難聴耳鳴めまいテタニー
監視検査値
クレアチニンカリウムマグネシウム

🧠 全体像:は、・と同じ注射用第二選択という括りで語られるが、化学構造は別系統という点が引っかけになりやすい薬である。アミノグリコシド系ではなく環状ポリペプチド系(tuberactinomycin系)に属するが、リボソームへの結合部位が重なるためを示す。現行の長期レジメンでは、とともに名指しで除外された唯一の系統である——・は条件付きで残るのに対し、この2剤だけは長期レジメンに含めないと明記されている。

薬効群の中での位置づけ

項目 ・
化学構造 環状ポリペプチド(tuberactinomycin系) アミノグリコシド系
機序 70Sリボソームに結合しmRNAを誘導(アミノグリコシドと類似) 結合によるmRNA
アミノグリコシド系と部分的にを示す(rrs変異、tlyA不活化) と部分的に
現行長期レジメンでの扱い 含めない1 も同様に含めない。はの代替として条件付きで残存

⭐ 「注射薬はまとめて格下げされた」わけではない。 統合ガイドライン Module 4(2026年の第2版)が長期レジメンから明示的に除外しているのはとの2剤のみであり、(無ければ)は条件を満たせばGroup Cに残る1。💡 があるからといって扱いも同じとは限らない——はアミノグリコシドではないのに、アミノグリコシドと同じ運命(除外)をたどった点が試験で問われやすい。

⚠️ 2020年までの旧い定義には、が名指しで含まれていた。 当時の定義は「かつかつ(・・)耐性」であり、2019年の推奨での役割が大幅に縮小したことを受けて、2021年に耐性判定の基準が・リネゾリドへ差し替えられた2。旧定義を暗記している教科書は現行ではない点に注意する。

機序・交差耐性

は70Sリボソームに結合し、mRNAの読み取り枠をずらして異常な蛋白質合成を誘導する——アミノグリコシド系と機序的には類似するが、結合部位(16S rRNAのヘリックス44・23S rRNAのヘリックス69付近)が一部重なるため、アミノグリコシド系との部分的なを生じる。としてはrrs遺伝子の変異や、リボソームのメチル化を担うtlyA遺伝子の不活化が知られる。

適応・用法

結核のとして、感受性・入手可能性・のでGroup A・B薬が使えない場合の補助的な位置づけにとどまる。⚠️ ただし現行の長期レジメンには含めないとされているため、実務上の出番はきわめて限定的である1。筋注・静注で、腎機能・電解質モニタリングに基づくを要する。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意・副作用

  • ⚠️ アミノグリコシド系と同様の・腎毒性を持つ。 難聴・・によるめまいに注意し、クレアチニンを定期的にモニタリングする
  • ⭐ に特徴的な合併症として、電解質異常(バートター様症候群)がある。 治療中の症例で、投与2か月後に・・・・低塩化物性を来し、(手指けいれん)・で発症した報告がある。中止後2日で電解質は正常化した3。⚠️ カリウム・も定期的に確認する——腎毒性の評価だけでは見落としうる合併症である

まとめ

  • は環状ポリペプチド(tuberactinomycin系)の注射用第二選択で、アミノグリコシド系とは化学構造が異なるが機序・は共通する。
  • 現行の長期レジメンでは、とともに名指しで除外された唯一の系統。・は条件付きで残る点と対比して覚える。
  • 副作用はアミノグリコシド系と同様の・腎毒性に加え、に特徴的な電解質異常(・などのバートター様症候群)がある。
  • モニタリングはクレアチニンだけでなく、カリウム・も定期的に確認する。

出典

  1. 1.WHO consolidated guidelines on tuberculosis. Module 4: treatment and care, second edition(World Health Organization・2026)2026-09-27に第2版(ISBN 978-92-4-012512-4)のPDF本体で確認した。推奨B3.2(不変)が「Kanamycin and capreomycin are not to be included in the treatment of MDR/RR-TB patients on longer regimens.」(conditional recommendation, very low certainty of evidence)としてカナマイシンとカプレオマイシンを長期レジメンから除外していること、推奨B3.11がアミカシン(入手できなければストレプトマイシン)を18歳以上・感受性確認・有害反応の監視体制という条件下で含めてよいとすること、Table 2.20のGroup Cにカプレオマイシンが含まれず(エタンブトール・デラマニド・ピラジナミド・イミペネムシラスタチンまたはメロペネム・アミカシン〔またはストレプトマイシン〕・エチオナミドまたはプロチオナミド・パラアミノサリチル酸の並び)、脚注hが「Kanamycin and capreomycin are no longer recommended for use in MDR-TB regimens.」と述べること。本書は長期レジメンの推奨が第1版(2025年)から変わっていないと述べる。閲覧 2026-09-27
  2. 2.Evidence-based Definition for Extensively Drug-Resistant Tuberculosis(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine・2021)2020年までのXDR-TB定義がMDR-TBかつフルオロキノロン耐性かつ第二選択注射薬(カナマイシン・アミカシン・カプレオマイシン)耐性であったこと、2019年のWHO推奨で第二選択注射薬の役割が大幅に縮小したためこの定義の見直しが必要になったことを確認した。閲覧 2026-09-06
  3. 3.Aminoglycoside-Induced Bartter-Like Syndrome: A Rare Complication(Case Reports in Nephrology(Sharma P, Sahay RN)・2017)多剤耐性結核治療中の23歳女性がカプレオマイシン投与2か月後に手指けいれん・錯感覚を呈し、低カルシウム血症・低ナトリウム血症・低マグネシウム血症・低カリウム血症・低塩化物性代謝性アルカローシスを認めた症例で、ビタミンD・副甲状腺ホルモンは正常範囲内であったが高尿中カルシウム尿症を伴い、カプレオマイシン中止後2日で電解質が正常化し、アミノグリコシド系抗菌薬による獲得性バートター様症候群と診断されたことを確認した。閲覧 2026-09-06