薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · B10 Diuretics / 利尿薬 · 必修

アセタゾラミド

acetazolamide

分類
Diuretics / 利尿薬
商品名(日本)
ダイアモックス
商品名(EU)
Huma-Zolamide
科目
Pharmacology
トピック
B10: Potassium excreting (wasting) diuretics
禁忌疾患
肝硬変
副作用
感覚異常
監視検査値
カリウム重炭酸眼圧
影響検査値
重炭酸カリウム
相互作用
アセチルサリチル酸
対象疾患
周期性四肢麻痺中枢性睡眠時無呼吸・肥満低換気症候群特発性頭蓋内圧亢進症緑内障
原因となる疾患
再生不良性貧血尿路結石症

🧠 全体像(CA)を阻害するK排泄の最上流に位置する薬だが、利尿薬として使われることは実はほとんどない。CAは腎だけでなく・赤血球など全身に分布する酵素で、はそれを一括して阻害するため、効果は「弱い利尿」よりもを下げる(緑内障)・髄液産生を下げる(頭蓋内圧亢進)・代謝性アシドーシスで換気を刺激する(という利尿以外の3つの適応の方が臨床的な主戦場になる。他のK排泄がすべてを起こすのに対し、だけが代謝性アシドーシスを起こすという点が、このグループ全体の中で際立つ特徴である。

薬効群の中での位置づけ

作用部位 分類 代表薬 利尿の強さ への影響
CA阻害薬 (下流での代償で一部される) 代謝性アシドーシス(他のK排泄と逆)
最強
中等度

K排泄3種はすべて低K血症を起こすが、だけはが仲間外れ。 でHCO3⁻の再吸収そのものを止めるため、他の2つと違ってアルカローシスではなくアシドーシスを作る。この対比は試験で狙われやすい。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetazolamide'>アセタゾラミド</span>が全身の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='carbonic anhydrase'>炭酸脱水酵素</span>(CA)を阻害"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>:HCO3⁻・Na⁺・水の再吸収↓"]
    B --> C["弱い利尿(下流の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='distal tubule'>遠位尿細管</span>・集合管でNa再吸収が一部代償)"]
    B --> D["尿中へHCO3⁻が失われる"]
    D --> E["代謝性アシドーシス"]
    A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ciliary epithelium'>毛様体上皮</span>のCA阻害"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aqueous humor production'>房水産生</span>↓→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intraocular pressure'>眼圧</span>低下(緑内障治療)"]
    A --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='choroid plexus'>脈絡叢</span>のCA阻害"]
    H --> I["髄液産生↓→頭蓋内圧低下"]
    E --> J["軽度の代謝性アシドーシスが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory center'>呼吸中枢</span>を刺激"]
    J --> K["換気が亢進し、高地の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypoxic / hypoxemic'>低酸素性</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='periodic breathing'>周期性呼吸</span>を是正"]

💡 予防の理屈は「アシドーシスをに作ってを促す」こと。 高地では低酸素によるが起こり、これが換気を抑制する方向へフィードバックしてしまう(の一因)。で代謝性アシドーシスを人為的に作ると、この抑制が外れて換気がさらに刺激され、動脈血酸素化が改善する。

薬物動態

項目 値・特徴
ほぼ完全に吸収される
分布 赤血球中のCAに結合しやすい
代謝 ほとんど代謝を受けない
排泄 未変化体のままで分泌)
半減期 約4〜8時間。は長時間作用型で1日1〜2回投与に適する

適応

領域 使いどころ
眼科 緑内障(急性発作・術前のコントロール)
神経 、てんかんの
呼吸器 の予防・治療、原発性・高地などの非異常の
代謝 の補正(他の利尿薬でアルカローシスに傾いた場合など)
その他 (低K性)のに用いられることがある

用法・用量

緑内障では1日250〜1000mgを(または)。予防では登山開始1〜2日前から1回125〜250mgを1日2回、症状発現後の治療でも同用量を用いる。では体重・症状に応じて漸増する。実際の用量は適応・年齢・腎機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌肝硬変(尿がしアンモニアの腎からの排泄が減ることで肝性脳症を誘発しうる)、、高度な低K血症、重度腎・肝障害
  • ⚠️ 高用量アスピリンとの併用は禁忌に近い重大な相互作用。 による代謝性アシドーシスはを増やして中枢神経系への移行を高め、腎からの排泄もに妨げるため、の血中濃度・中枢移行がともに上がり重篤なを招きうる
  • 腎結石(Ca-リン酸結石)のリスクが上がる(尿ののため)

副作用

頻度 内容
高頻度 四肢・口周囲の感、CA阻害薬に特徴的)
注意 代謝性アシドーシス、低K血症、(炭酸飲料の味が変わる)
重篤・まれ 腎結石などの血液障害(に共通するまれな反応)、肝性脳症の誘発(肝硬変患者)

まとめ

  • を阻害するK排泄だが、利尿薬として使われることは少なく、低下・頭蓋内圧低下・予防という「CA阻害の多臓器効果」で使われる。
  • K排泄の中で唯一、代謝性アシドーシスを起こす(ループ・はアルカローシス)。
  • 予防の理屈は「にアシドーシスを作って換気を刺激する」こと。
  • 高用量アスピリンとの併用は重篤なを招くため避ける。
  • 肝硬変では肝性脳症を誘発しうるため禁忌。
  • 四肢・口周囲の感()はCA阻害薬に特徴的な高頻度副作用。
  • や、非型のとしても使われる。