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Disease Atlas · 呼吸器 · 症候群

中枢性睡眠時無呼吸・肥満低換気症候群

Central sleep apnea and obesity hypoventilation syndrome

別名
CSAOHSチェーン・ストークス呼吸
臓器系
呼吸器
科目
Pulmonology
トピック
呼吸器内科 34:閉塞性睡眠時無呼吸・中枢性無呼吸・肥満低換気症候群治療の原則
鑑別疾患
閉塞性睡眠時無呼吸
続発疾患
肺高血圧症
関連疾患
慢性閉塞性肺疾患
治療薬
アセタゾラミド
症状
日中傾眠
検査値
高CO2血症夜間低換気評価
元疾患
肥満症
原因となる疾患
慢性心不全

🧠 全体像は、気流の低下・停止とともにも低下・消失する病態で、気道閉塞が主体のと機序が異なる。は、肥満・に覚醒時を伴う低換気障害であり、現在のAASM分類ではCSAに含めない。CSAは原因疾患・薬物とPSG所見、OHSは日中のまで含めて評価し、治療を個別化する。

OSAとの違い:呼吸努力の有無

睡眠中の無呼吸(気流が基準から90%以上低下し10秒以上持続)は、胸腹部のが保たれるか消失するかで閉塞性と中枢性に大別される。

OSA CSA
保たれる(努力が増強することもある) 消失(呼吸筋が動かない)
主機序 咽頭の物理的虚脱 からの駆動の消失・不安定化
代表的背景 肥満、解剖学的気道狭小化 心不全、、高地、オピオイド、CPAP治療下での出現(治療誘発性)

⭐ 気流の低下だけを見ると閉塞性・中枢性の区別はつかない。胸腹部ので評価)を確認して初めて機序を分類できる。

中枢性睡眠時無呼吸の病型

成人CSAは、原発性、を伴う型、薬物・物質による型、を伴わない医学的疾患による型、治療誘発性、高地による型の6群に分類する。多くは後にPaCO₂が無呼吸閾値を下回る呼吸不安定性で生じるが、オピオイド関連では呼吸駆動低下も関与する。神経筋疾患などによるはCSAと分けて評価する1

危険因子は、、心房細動、圧上昇、脳幹を含む神経血管疾患、高齢、腎不全、頭蓋内圧亢進などである。症状は日中の傾眠、夜間覚醒、起床時頭痛、いびきなどでOSAと重なるため、症状だけでは鑑別できない。

チェーン・ストークス呼吸(CSB)

心不全患者に生じる代表的なCSAで、中枢性無呼吸・と漸増・する換気パターンが周期的に反復する。

flowchart TD
    A["心不全による循環時間延長・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chemoreceptor'>化学受容体</span>感受性亢進"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperventilation'>過換気</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arterial carbon dioxide tension'>PaCO2</span>が無呼吸閾値を下回る"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory center'>呼吸中枢</span>からの駆動が消失し無呼吸"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arterial carbon dioxide tension'>PaCO2</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rebound'>再上昇</span>"]
    D --> E["換気が漸増して<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperventilation'>過換気</span>に戻る"]
    E --> A
    E --> F["換気ピークで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arousal'>覚醒反応</span>"]

心不全・脳卒中などの基礎疾患を確認し、で診断する。測定はの精密評価に有用だが、全例に必須の標準検査ではない。

CSAの治療

  • 基礎疾患の最適化が第一:原因疾患を治療し、イベント数の消失だけでなく症状・生活の質の改善を目標にする。
  • CPAP:原発性、心不全、薬物・物質、治療誘発性、医学的疾患によるCSAで条件付き選択となる。
  • PAP:バックアップ回数付きは心不全以外の一部病型で条件付き選択となる。バックアップ回数なしはCSAを誘発・増悪しうるため用いない。
  • :心不全を含む複数病型で条件付き選択となる。HFrEFでは一律禁止ではなく、経験のある施設に限定し、期待する症状・生活の質の改善をしたうえで厳密に追跡する。
  • その他:低流量酸素は心不全または高地によるCSA、は複数病型および高地によるCSAで条件付き選択となる。は原発性または心不全によるCSAで、侵襲性・費用を踏まえて後に検討する1
flowchart TD
    A["CSAの原因・PSG所見・症状を確認"] --> B["原因疾患と薬物を最適化"]
    B --> C{"病型と患者目標に合う治療か"}
    C --> D["CPAP・バックアップ回数付きBPAP・酸素・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetazolamide'>アセタゾラミド</span>など"]
    C --> E{"ASVを検討するか"}
    E -->|"HFrEF"| F["経験施設で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='shared decision-making'>共有意思決定</span>・厳密フォロー"]
    E -->|"その他"| G["利益と害を共有して個別化"]

肥満低換気症候群

OHSは以下の組合せで定義する。

  • BMI ≥30 kg/m²
  • (多くはOSAを合併)
  • 覚醒時安静PaCO₂ ≥45 mmHg
  • 他の肺・神経筋・代謝・薬物性の低換気を除外

腹部・頸部脂肪の増加はを増やし、とくにREM睡眠中の横隔膜機能を障害する。睡眠中の反復低換気が腎性HCO₃⁻保持との適応(CO2への感受性低下)を介して、覚醒時にも及ぶな日中へつながる。

flowchart TD
    A["肥満による腹部・頸部脂肪増加"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='work of breathing'>呼吸仕事量</span>増大・REM睡眠中の横隔膜機能障害"]
    B --> C["睡眠中の反復性低換気"]
    C --> D["腎性HCO3-保持・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='respiratory center'>呼吸中枢</span>のCO2感受性低下"]
    D --> E["覚醒時にも及ぶ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic'>慢性的</span>な日中<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypercapnia'>高CO2血症</span>"]
    E --> F["OHSとして顕在化(多くはOSAを合併)"]

⚠️ OHSは「重症OSA」ではなく、覚醒時の日中という独立したを満たして初めて診断される。OSAだけでは覚醒時のPaCO₂は通常正常であり、両者を混同しない2

OHSの治療

  • 持続的な減量が根本治療で、OHS解消には25〜30%程度の持続的体重減少が目標となり、十分な減量が得られない場合は肥満を検討する。
  • 安定した外来患者ではを導入する。重症OSAを合併するOHSには、NIVではなくCPAPを第一選択とする。
  • CPAPで日中のが改善しない例、OSAがそれほど重症でないOHS、例ではNIV(BPAP)を選択する。
  • 呼吸不全で入院しOHSが疑われる患者は、外来での確定診断的検査とPAP調整(理想的には退院後3か月以内)を受けるまでの間、NIVを装着した状態で退院させる2
装置 作用 主な位置づけ
CPAP 一定圧で上気道を開存 重症OSAを合併するOHSの第一選択
PAP(BPAP)/NIV 吸気圧と呼気圧の差で換気量も補助 CPAPでが改善しない例、OSAが重症でないOHS、急性性呼吸不全からの退院時など

まとめ

  • CSAはも低下・消失する点でOSAと機序が異なり、原発性、、薬物・物質、医学的疾患、治療誘発性、高地による型に分類する。
  • CSAでは原因疾患を最適化し、症状・生活の質・PSG所見に応じて治療を個別化する。HFrEFでASVを用いる場合は、経験施設でと厳密な追跡を行う。
  • OHSはBMI≥30、、覚醒時PaCO₂≥45 mmHgの組合せで診断し、CSAや単なる重症OSAとは異なる低換気障害である。
  • OHS治療の柱は25〜30%の持続的減量とPAP療法で、重症OSA合併にはCPAP、CPAPでが残る例や時にはNIV(BPAP)を用いる。

出典

  1. 1.Treatment of central sleep apnea in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline(American Academy of Sleep Medicine (AASM)・2025)成人CSAの現行分類と、CPAP、バックアップ回数付きBPAP、ASV、酸素、アセタゾラミド、横隔神経刺激の位置づけ閲覧 2026-08-02
  2. 2.Evaluation and Management of Obesity Hypoventilation Syndrome. An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline(American Thoracic Society (ATS)・2019)OHSの定義、PAP選択、退院時NIVと持続的減量目標閲覧 2026-08-02