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Drug Atlas · B9 Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬 · 必修

イコサペント酸エチル

icosapent ethyl

分類
Lipid-lowering drugs / 脂質異常症治療薬
商品名(日本)
エパデール
科目
Pharmacology
トピック
B9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight
承認適応
脂質異常症
副作用
末梢浮腫便秘
監視検査値
脂質検査

🧠 全体像:は、由来の(EPA)を高・安定なエチルエステルにした薬である。やと同じく「TGを下げる薬」だが、スタチン治療下へので心血管イベントを実際に減らしたという一点で他のTG低下薬と一線を画す——REDUCE-ITが一次複合評価項目を有意に減らし(17.2%対22.0%、0.75)、(AIM-HIGH・HPS2-THRIVE)やがスタチンで果たせなかったことを果たした数少ない薬である。ただし心房細動・の入院が増えるという代償を伴う。

薬効群の中での位置づけ

代表薬 スタチンでの心血管 現在の位置づけ
誘導体 AIM-HIGH・HPS2-THRIVEでいずれも有意差なし、有害事象は増加 米国はスタチン併用の効能を2016年に撤回。日本もJASガイドラインでの推奨対象から外れる
・ でスタチンの心血管は確立していない 著明の膵炎予防が主目的。「を下げる薬」ではない
高EPA製剤 REDUCE-ITで一次複合評価項目を有意に減少(HR 0.75) JASガイドラインがスタチンへのとして推奨レベルAで挙げる数少ない非スタチン薬

⭐ 「TGを下げればCVイベントが減る」という単純な図式ではない。 ・は3剤ともTG・を動かすが心血管を示せなかった一方、だけがを示した。TG低下の大きさだけでは説明が付かず、抗炎症・・などTG低下以外の作用(多面的効果)が関与しているのではないかという議論が続いている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='icosapent ethyl'>イコサペント酸エチル</span>(高<span class='jp-term jp-term-diagram' title='purity'>純度</span>EPAエチルエステル)を内服"] --> B["肝での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='very-low-density lipoprotein'>VLDL</span>-TG合成・分泌を抑制"]
    A --> C["TGクリアランスを促進"]
    B --> D["血中TG↓"]
    C --> D
    A -.->|"提唱されている付随作用(TG低下だけでは説明しきれない)"| E["抗炎症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antioxidant'>抗酸化</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plaque stabilization'>プラーク安定化</span>作用"]
    E -.-> F["心血管イベント抑制(REDUCE-IT)"]
    D -.-> F

💡 添付文書自身の機序記載は「肝での-TG合成・分泌抑制とTGクリアランス促進」にとどまる1。REDUCE-ITで観測された心血管イベント抑制の大きさをTG低下だけで説明できるかどうかは、TG低下以外の作用を示唆する材料として研究が続く領域であり、本ノートでは確立した機序として断定しない。

適応

米国の添付文書(VASCEPA)が掲げる適応は2つある1。

# 適応 TG閾値
1 のスタチン治療への追加で、患者の心筋梗塞・脳卒中・冠・入院を要するのリスクを下げる TG ≥150 mg/dL
2 への追加でTGを下げる 重症(TG ≥500 mg/dL)

⭐ 適応1を支えるのがREDUCE-IT試験である。 スタチンを4週間以上服用中でTG 150〜499 mg/dL・ 41〜100 mg/dLの8,179例(70.7%がコホート)を対象に、4 g/日(2 gを1日2回食事とともに)と(色調・粘稠度を模したを含む)を追跡4.9年で比較した2。

評価項目 (95%CI)
一次複合評価項目(心血管死・・・冠・入院) 705/4089例(17.2%) 901/4090例(22.0%) 0.75(0.68〜0.83)、P<0.001
主要な(心血管死・・) 11.2% 14.8% 0.74(0.65〜0.83)、P<0.001
心血管死単独 4.3% 5.2% 0.80(0.66〜0.98)、P=0.03

⚠️ がを含んでいたことは、試験報告そのものに明記されている2。ここが「観測された効果の一部は側の悪化によるのではないか」という議論の出発点になっているが、その議論の当否を判定する一次資料は本ノートでは未確認であり、断定しない。

⚠️ 日本ではエパデールという同一成分の製剤が流通しているが、の電子添文はこのセッションでは取得できておらず、日本国内の適応・用法用量・禁忌は本ノートで確認できていない。 日本動脈硬化学会の2022年版ガイドラインは、スタチンへのとして推奨するのが(推奨レベルA)と(同B)だけであると述べている——誘導体には同じの推奨文が置かれていない3。

用法・用量

米国の添付文書では1日4 g(0.5 g製剤なら1回2錠を1日2回、1 g製剤なら1回1錠を1日2回、いずれも食事とともに)を服用する1。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤成分への既知の過敏症(アナフィラキシー反応等)1
  • ⭐ 心房細動・:24時間以上の入院を要した判定済み心房細動・がREDUCE-ITで本剤群127例(3%)・プラセボ群84例(2%)に発生した(添付文書の表現)1。全文報告でも3.1%対2.1%(P=0.004)と有意差があった2
  • 出血:で延長を示した公表研究があるとして、抗凝固薬・併用時は出血を監視する。REDUCE-ITでの出血イベントは本剤群12%・プラセボ群10%(添付文書)で、重篤な出血に限れば2.7%対2.1%(P=0.06、有意差なし)12
  • 由来の製剤であり、魚・甲殻類アレルギーの既往に注意する1

副作用

頻度 内容
心血管転帰試験での主な有害事象 、、便秘、痛風
注意 心房細動・(対比で有意に増加)
出血 重篤な出血はと有意差なし(2.7%対2.1%)

まとめ

  • 高EPAのエチルエステル。肝での-TG合成・分泌抑制とTGクリアランス促進でTGを下げる。
  • ⭐ REDUCE-IT試験で、スタチンにより一次複合評価項目を有意に減少させた(17.2%対22.0%、HR 0.75)数少ないTG低下薬。・がスタチンで示せなかった心血管を示した点が最大の個性。
  • 心血管死単独も有意に減少(4.3%対5.2%、HR 0.80)した一方、心房細動・の入院がより多い(3.1%対2.1%)。
  • 禁忌は成分への過敏症のみ。抗凝固薬・併用時は出血を監視する。魚アレルギーに注意。
  • 適応は①スタチンでのTG≥150 mg/dL例の心血管イベント抑制、②への追加でのTG≥500 mg/dLの重症。
  • 日本動脈硬化学会2022年版はスタチンへのとして推奨レベルAで挙げるが、の電子添文は未確認であり国内の適応・用法用量・禁忌はこのノートでは確認できていない。

出典

  1. 1.VASCEPA (icosapent ethyl) capsules, for oral use — Prescribing Information(DailyMed (NLM) / labeler Amarin Pharma Inc.(Initial U.S. Approval 2012)・2026)添付文書全文を取得して確認した(改訂表示は Revised 3/2026)。INDICATIONS AND USAGEが2つの適応からなること——①「as an adjunct to maximally tolerated statin therapy to reduce the risk of myocardial infarction, stroke, coronary revascularization, and unstable angina requiring hospitalization in adult patients with elevated triglyceride (TG) levels (≥150 mg/dL)」、②「as an adjunct to diet to reduce TG levels in adult patients with severe (≥500 mg/dL) hypertriglyceridemia」。DOSAGE AND ADMINISTRATIONが「The daily dose of VASCEPA is 4 grams per day taken as either four 0.5 gram capsules twice daily with food or two 1 gram capsules twice daily with food」であること。CONTRAINDICATIONSが本剤成分への既知の過敏症(アナフィラキシー反応等)のみであること。WARNINGS AND PRECAUTIONSが、24時間以上の入院を要した判定済み心房細動・心房粗動が本剤群127例(3%)・プラセボ群84例(2%)に発生したこと、出血イベントが本剤群482例(12%)・プラセボ群404例(10%)に発生したこと、本剤が魚油由来のエイコサペンタエン酸(EPA)のエチルエステルであるため魚アレルギーへの言及があること、DRUG INTERACTIONSがオメガ3脂肪酸で出血時間延長を示した公表研究があるとして抗凝固薬・抗血小板薬併用時の出血の監視を求めること、CLINICAL PHARMACOLOGYの作用機序が「EPA reduces hepatic very low-density lipoprotein triglycerides (VLDL-TG) synthesis and/or secretion and enhances TG clearance」であること、REDUCE-IT試験の主要複合評価項目について「VASCEPA significantly reduced the risk for the primary composite endpoint...p<0.0001」と記載することを確認した。ADVERSE REACTIONSの心血管転帰試験での主な有害事象が筋骨格痛・末梢浮腫・便秘・痛風・心房細動であることを確認した。閲覧 2026-09-22
  2. 2.Cardiovascular Risk Reduction with Icosapent Ethyl for Hypertriglyceridemia (REDUCE-IT)(New England Journal of Medicine(Bhatt DL, et al., for the REDUCE-IT Investigators)・2019)全文(PDF)を取得して確認した。組入れが45歳以上で確立した心血管疾患を有する例、または50歳以上で糖尿病と他の危険因子を1つ以上有する例で、空腹時トリグリセリド150〜499 mg/dL(1.69〜5.63 mmol/L)・LDLコレステロール41〜100 mg/dL(1.06〜2.59 mmol/L)・スタチンを4週間以上安定用量で服用中の8,179例(70.7%が二次予防コホート)であったこと、介入がイコサペント酸エチル2 gを1日2回食事とともに(総量4 g/日)対プラセボ(オレンジ色と粘稠度を模した鉱物油を含む)で追跡期間中央値4.9年であったこと、一次複合評価項目(心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・冠血行再建・不安定狭心症による入院)の発生がイコサペント酸エチル群705/4089例(17.2%)・プラセボ群901/4090例(22.0%)でハザード比0.75(95%信頼区間0.68〜0.83、P<0.001)であったこと、主要な副次評価項目(心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中)が11.2%対14.8%(ハザード比0.74、95%信頼区間0.65〜0.83、P<0.001)であったこと、心血管死単独が4.3%対5.2%(ハザード比0.80、95%信頼区間0.66〜0.98、P=0.03)であったこと、24時間以上の入院を要した心房細動・心房粗動がイコサペント酸エチル群で多く(3.1%対2.1%、P=0.004)、重篤な出血はイコサペント酸エチル群2.7%・プラセボ群2.1%(P=0.06)で有意差がなかったことを確認した。閲覧 2026-09-22
  3. 3.Japan Atherosclerosis Society (JAS) Guidelines for Prevention of Atherosclerotic Cardiovascular Diseases 2022(Japan Atherosclerosis Society・2024)Europe PMC(PMC11150976)の全文を取得して確認した。FQ22でスタチンへの上乗せとして推奨されるのはイコサペント酸エチル(エビデンスレベル1+、推奨レベルA)とフィブラート(同2、B)だけであり、ニコチン酸誘導体には推奨文が置かれていないことを確認した。本ノートではこの一文のみを確認しており、日本国内での適応・用法用量・禁忌の詳細(電子添文)は本セッションでは取得できていない。閲覧 2026-09-22