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Drug Atlas · B6 Antihypertensives / 降圧薬 · 必修

バルサルタン+サクビトリル

valsartan + sacubitril

分類
Antihypertensives / 降圧薬
商品名(日本)
エンレスト
商品名(EU)
Entresto
科目
Pharmacology
トピック
B6: Drugs acting on the renin-angiotensin-aldosterone-system (RAAS)
禁忌疾患
遺伝性血管性浮腫
副作用
血管性浮腫低血圧めまい
監視検査値
カリウムクレアチニン
影響検査値
ナトリウム利尿ペプチド
相互作用
エナラプリルカプトプリルペリンドプリルラミプリルリチウム
対象疾患
僧帽弁閉鎖不全症慢性心不全
原因となる疾患
急性腎障害

🧠 全体像(ARNI:)は、による遮断にを足した配合剤である。を分解する酵素なので、これを止めると心臓を保護する側の内因性ホルモンが増える——「RAASを弱めながら、対抗するホルモン系を強める」という二正面作戦がARBやACE阻害薬の単剤とは根本的に異なる。ただしも分解するため、ACE阻害薬と併用するとが二重に蓄積しのリスクが跳ね上がる——これがの理由であり、この群を理解する最になる。

薬効群の中での位置づけ

は「カスケードのどこを止めるか」で4つの立ち位置に分かれる。

立ち位置 代表薬 機序 特徴
①ACE阻害薬「-pril」 AngⅡ産生↓、分解↓(蓄積) あり
②ARB「-sartan」 を直接遮断 代謝に影響せずが少ない
③MRA RAASの最終末端(受容体レベル)を止める
④ARNI 遮断+ RAAS抑制+増強の二正面

ARNIはARBの延長線上にある。 ACE阻害薬ではなくARBを土台に選んだのは、ACE阻害薬とを組み合わせると分解が二重に止まりのリスクが過大になるため(実際、ACE阻害薬にを足したは開発中止になった)。ARBは代謝に触れないため、と組み合わせてもリスクのが抑えられる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sacubitril'>サクビトリル</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active metabolite'>活性代謝物</span>LBQ657が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='neprilysin'>ネプリライシン</span>を阻害"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='natriuretic peptide'>ナトリウム利尿ペプチド</span>(ANP・BNP)の分解↓"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adrenomedullin'>アドレノメデュリン</span>の分解↓"]
    C --> E["血管拡張・利尿・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='natriuresis'>ナトリウム利尿</span>・交感神経活性↓・線維化抑制"]
    D --> F["血管拡張/蓄積しすぎると<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angioedema'>血管浮腫</span>"]
    G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='valsartan'>バルサルタン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angiotensin II type 1 (AT1) receptor'>AT1受容体</span>を直接遮断"] --> H["血管収縮↓・アルドステロン↓"]
    E --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardioprotection'>心保護</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afterload reduction'>後負荷軽減</span>"]
    H --> I
    F --> J["⚠️ ACE阻害薬併用で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>が二重に蓄積し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='angioedema'>血管浮腫</span>リスク増大"]

💡 自体もの基質である。 そのためARNI投与中はBNPがで人為的に上昇し、心不全の重症度を過大評価しかねない。心不全のモニタリングにはBNPではなくの基質ではない)を用いるのが原則で、これはARNI特有の臨床上の落とし穴として重要。

薬物動態

項目 値・特徴
。エステラーゼでLBQ657へ変換されを阻害
成分 活性体そのもの(代謝を受けない、単剤と同じ)
半減期 約11時間、成分約10時間。1日2回投与
排泄 は胆汁・糞便排泄が主体

適応

領域 使いどころ
循環器 (HFrEF):PARADIGM-HF試験でと比較し心血管死・心不全入院を有意に減少させ、現行ガイドラインではHFrEFのの一つとして第一選択(ACE阻害薬・ARBは「ARNIが使用できない場合」の代替という位置づけに変わった)
循環器(弁膜症の周辺症例) HFrEFに伴う二次性のなど、基礎にHFrEFを持つ患者の心不全治療の一環として用いられる

用法・用量

心不全治療歴のない患者・腎機能低下例では低用量(量として50 mg相当)を1日2回から開始し、を見ながら2〜4週ごとに目標用量(同200 mg相当を1日2回)まで漸増する。ACE阻害薬から切り替える場合は36時間のを挟む。実際の用量は適応・年齢・体重・腎肝機能・製剤で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

副作用

頻度 内容
高頻度 低血圧(ARB単剤より頻度が高い)、めまい
注意 、腎機能低下、咳嗽(ACE阻害薬よりまれだが皆無ではない)
重篤・まれ (ACE阻害薬併用時・切り替え直後に特にリスクが高い)、

まとめ

  • ARB()に)を足した配合剤。RAAS抑制と増強を同時に行う。
  • ACE阻害薬ではなくARBを土台にしたのは、分解の二重停止によるリスクを避けるため。
  • ACE阻害薬との併用は禁忌で、切り替えには36時間のが要る。
  • PARADIGM-HF試験でに優越し、現行ガイドラインではHFrEFの第一選択。ACE阻害薬・ARBはARNIが使えない場合の代替に位置づけが変わった。
  • BNPはの基質のため的に上昇しうる。モニタリングはを用いる。
  • ・ACE阻害薬併用歴のあるは禁忌。